上 下
17 / 28

第17話

しおりを挟む
●数時間後
 
 〖今朝は焼き魚を食べました。洗濯を終えてからウォーキングしました。蒸し暑いですが、風が何となく秋の気配です。稲刈りのシーズンももうすぐですね〗

 ここで季節感を出さなきゃ。近所の田んぼも結構稲穂がれてきてるし、景色の画像と合わせて三枚。

 実るほど こうべを垂れる 稲穂かな

 ……って、誰の俳句だか忘れたけど。

 【それはいい運動だ。君の家は米農家?】

 〖いえ。これは私の近所にある田んぼです。これからスーパーへ買い物に行ってきます〗

 え? 買い物に行くとか、いちいち言うことじゃないって?
 
 言ってもいいじゃん。むしろ、暇な奴だとか思われるのも嫌だし。実際、家事だの買い物だので、それなりに忙しいんだから。

 【何を買うの? 君は運転できるの??】
 
 あ~またまた、そうちゃん。スーパーで買う物なんて、どこの国でも大体決まってんだろ! とかキレないで。

 確かに、スーパーで家や車は普通買わないけどね。
 
 ローランドだってそんなことは分かってると思うよ。他愛もないお喋りをしたいだけだって。

●買い物後
 
 〖運転できますよ。そうでないと、こんなド田舎ではどこにも行けませんし。スーパーでは食料品を買いました。それと、久々にラーメン屋さんでランチしました〗

 野菜スープとミニチャーハンと餃子の画像を送ってあげよっ♪ 
 
 ちなみにね、野菜スープっていうのはめん無しラーメンのことだよ。あのラーメン屋さん、メニューに麵無しラーメンもあるの。いろいろ少しずつ食べたいっていう乙女心を理解してるよね!

 〖野菜たっぷりラーメン(麺無し)とチャーハン、それに餃子です。ラーメン屋は最高です〗

 【こんなお料理、君は自分で作れる?】

 〖そうですね。チャーハンなら作れます。しかし、あとの二つは、出来合いの麺と皮が必要です〗

 正直でしょ~。実際、ラーメンの麺や餃子の皮を自分で作る人はほとんどいないと思うし、常識的な答えだよ。ここで変に『何でもできます!』ってアピールしない方がいいんだよね。

 【なるほど。西洋の料理は作れる?】

 西洋の料理って、どんなのだろうね? 肉料理ぐらいしか思い浮かばない。

 〖西洋料理はあまりよく分かりません。ハンバーグとかステーキとか、フィッシュ&チップスとかでしょうか? もしかしたら、わたしの兄の方が料理は上手かもしれません。彼は作るのも食べるのも大好きで、かなり太っていますし……〗

 【君のお兄さんはそんなに太っているのか。君はとてもスタイルがいいのに。後で会うことができれば、キッチンで僕が君に西洋料理の作り方を教えてあげられるよ。ところで、君は何色が好き?】

 スタイルがいいだなんて、ローランドったら、まるでわたしが裸の画像でも送ったみたいに言って!♥

 それより、好きな色かぁ……。いきなり訊かれると迷うけど、わたしって基本、青系が好きかも。

 〖色は青系が好きです。いつか、あなたに料理を教えてもらえる日を楽しみにしています。あ、あと、医者のあなたから、わたしの兄に忠告してもらえるといいですね。ダイエットをするようにと。ところでローランド、あなたの好きな色は何ですか?〗

 【僕は白と赤が好きなんだ。白は純潔を意味するし、赤は愛情を意味する。君のお気に入りの色に加えてくれると嬉しいな。そうすれば、お互いにピュアな心で想い合うことができるよ】

 そうちゃん、なんかまた言いたげな顔。

 え? じゃあ今までピュアな心じゃないと思ってたのかって?

 もう、いちいち突っ込まないでよ。赤と白も好きになってくれたらいいなっていう、単なるローランドの願望でしょ。

 〖素敵ですね。それを聞くと、わたしも赤と白を好きになれそうです。日本の国旗の色でもありますし。わたしが青を好きなのは、空や海が好きだからです。クリアーで爽快で、見ているだけでリフレッシュできますから〗

 内陸に住んでる分際で、とか言わないで。旅行に行って、青いサンゴ礁の海だって見たことはあるんだから。

 【それは素敵だ。青は直感的知覚の象徴でもあり、インスピレーションや秘めた部分を刺激する色だね。それに、涼んだり落ち着いたりするのにもいい。ところで、君はパーティーとかにはよく行く方?】

 いつものことだけど、なんかローランドって、急な話題の転換が多いね。それだけ、わたしのことをいろいろ知りたいってことだろうけど(⌒∇⌒)♪
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

カクヨムでアカウント抹消されました。

たかつき
エッセイ・ノンフィクション
カクヨムでアカウント抹消された話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

リアル男子高校生の日常

しゅんきち
エッセイ・ノンフィクション
2024年高校に入学するしゅんの毎日の高校生活をのぞいてみるやつ。 ほぼ日記です!短いのもあればたまに長いのもだしてます。 2024年7月現在、軽いうつ状態です。 2024年4月8日からスタートします! 2027年3月31日完結予定です! たまに、話の最後に写真を載せます。 挿入写真が400枚までですので、400枚を過ぎると、古い投稿の挿入写真から削除します。[話自体は消えません]

人間AIの観察記録

あーく
エッセイ・ノンフィクション
学習能力だけが取り柄の僕が体験・観察したことを、時系列は不順ですが書いていきます

昨日19万円失った話(実話)

アガサ棚
エッセイ・ノンフィクション
19万円を失った様とその後の奇行を記した物

処理中です...