乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

文字の大きさ
上 下
63 / 122

63.優しい人には笑っていて欲しいと思いませんか?

しおりを挟む

 
 食べてお代わりして、食べてお代わりして、食べてお代わりして……
 としている間にもレオにチラチラと秋波が送られてきます。

 まぁ、本当にカッコよくなったよね…昔もカッコ良かったけど子供っぽさが無くなった…。
 何か親戚のおばちゃんみたいな事考えちゃってるわ…こーんな小さい頃から知ってるからって話から色々失敗した話とかされるんでしょ?
 学生時代に友達が言ってたのをふわりと思い出したわ…。

 
 「リリィといると視線が凄いね」

 「ん?……レオに対する視線でしょ?」

 「何言ってるの?オレに対してもまあ、あったとしてもリリィの事狙っている奴らって凄い多いんだよ?」

 「狙う?」

 デザートのケーキを食べながらレオを見る。

 「今の君は婚約者のいない美しい女性。皆がこぞって立候補したいけど…ベルナー家という後ろ盾が怖いのと君を守ってるロウ様達が怖くて簡単には近寄れないんだよ?」

 「え?」

 「君に近寄ろうと思ったらロウ様達にも近づくという事でしょ?契約獣や精霊が怖がって…というか恐れ多くてというか…で近寄れないのもあるし、本人達もロウ様達の圧に耐えられないから遠巻きに見てるしかないという状態なんだよ」

 
 えー?ナニソレ!?
 初めて聞きましたが…。
 ロウ達が私をその…男の人達から守ってくれてる?確かに変な人に会った事もないけど…でも他の精霊達には遊び!って言ってかなり振り回されているし…そういうのは助けてはくれないって事?
 あ、でも普通に外出出来るのもロウ達が一緒だから…って事か。
 ゾロゾロ護衛がついたりしないもんね。
 皆は遊ぶ時とか結構ゾロゾロついてきてるけど私と合流すると人数がかなり減るもんね。

 …て事は感謝しなくちゃいけないよね。


 『どうやって感謝してくれるのかなー?』
 「セル!なによ…あ、ちょっとやめて!取らないで!あっ!!」
 『ごちそーさん』

 最後の一口……食べられた……。
一口ちょーだいよりも…タチが悪いやつよ……。
 セル…あんた…覚えてらっしゃいよ……。

 『うぉ!何怖いじゃん、どーしたのよ?』
 「ネスル…セルが…最後の一口……」

 『おい、謝っておいた方が後がラクだぞ?』
 「どういう意味よロウ!」

 『そのままの意味だよなぁ~』
 「ちょっと…ラスク?」

 「……アハハッ、ククク…」
 「ちょっと、レオまで!」


 皆でいじってくる!ひどいわ!!
 

 「ハハハッ、ごめんごめん。本当に仲がいいなと思ってね。…ロウ様達にオレは少しくらいは認められているのかな?」

 「レオ?急にどうしたのよ?」
 「オレといても威嚇とかはされないし」

 『…それはアレだな腐れ縁というやつでもあるな』
 『レオはなぁ自分が大変だったのに更に茨の道を行くんだもんなぁ、マゾだな!オレッチはそういうの嫌いじゃないぜぇ?』
 『すでに家族みたいなものじゃないのか?』
 『ミシェルを納得させるのが一番大変だ~』

 
 皆口々に好きなことを言っていますが、当の本人のレオはなんだか少し嬉しそう?
 セルがマゾって言ってたのもあながち間違っていないのかな…?

 
 「……情けない話だけどミシェル様が納得するような何か誇れるもの…を見つけるのに苦戦しているんだ」

 「え?」

 「それに、まだ活躍も何もしていない。そんなオレはまだリリィに相応しくないんだろうね…」

 伏し目がちにレオは独り言のように呟いた。


 「レオ?」
 「ああ、ごめんね。リリィの前で言うべき事じゃなかった。ケーキ持ってくるよ」

 
 スッと席を立ってデザートコーナーへケーキを取りに行ってくれるレオの後ろ姿を見ながら少し悲しい気持ちになってしまった。

 レオにはいつも楽しそうに微笑んでいて欲しいな…。
 過去のレオの辛い経験を思い出して、余計に悲しい気持ちになってしまって、自分に何か出来る事はないか考えてみる……って、お父様にレオが認められるように…って事は婚約OKって事になっちゃうんじゃ!?

 えと!!いやいや、そうじゃなくて!!
 レオの事は…好き?人としては好きだけどそれは愛なのか!?それともただの好きなのか!?
 
 って!愛って!!何?急に!!
 落ち着けー!自分落ち着けーー!!

 ロウ達はクククと笑いを堪えている。


 「はい、ケーキ。あれ?リリィどうしたの?顔が赤いよ?」

 「なっ…何でも…ない、あ、ケーキありがと」

 「そう?好きそうなのが二つあったから持ってきたよ。半分こずつしよう」

 
 レオがモテるのってこういう所よね、優しくて人の事よく見てる。
 私のしたい事とかして欲しい事を察してくれるのよね。
 痒い所に手が届くタイプ。

 
 「リリィ?どうしたの?食べられる?」
 「たっ!食べれる…レオ…いつもありがとね」

 「どういたしまして。リリィの喜ぶ顔を見るのが一番だからね。はいどうぞ」

  「う!うん。ありがと…」


 ケーキを取り分けてくれて用意してくれる。
 はー!やっぱりこの人イケメンです!!

 
 「そうだ。一月後の実戦訓練は一年生とペア組んで回るのだけど、リリィ、オレと組んでくれる?」

 「え?もう実戦訓練あるの?ヤッタ!!」

 「…リリィ、ちゃんとイベントとかは把握しておかないと大変な事になるよ?準備しておかなくちゃいけない物とか今後出てくるだろうし。フォローしてあげられる事はフォローするけどね」

 「…そういえば今回のオリエンテーションも知らなくてアディにも呆れられたわ…」

 「リリィは周りが沢山助けてくれるだろうけど、中等生になったし自分でもちゃんとしなくちゃダメだよ?」

 「分かった。ちゃんと確認するようにする!だけど、困った時はレオも助けてね?」

 「勿論。で、約束は?」
 「実戦訓練の?もちろんよ!レオが一緒に回ってくれるなら安心だもの」

 「良かった…」
 「何が?」

 「断られたらどうしようかと思って…」
 「断らないわよ?私なんかと一緒に回ってくれるのなんて、きっとレオかリュドかお兄様くらいしかいないと思うわ」

 「ふふ、その勘違いだけはずっとしておいて欲しいな…」
 「?」
 
 「楽しみにしとくね。さ、食べよう?食べたらダンスでも踊りに行こうか?」

 「ーーそれは!お断りさせて頂くわっ!!」

 「ククク…じゃあ、今度レッスンしようか?」

 「ーー!ーーお願いします…」


 ほらね、レオにはお見通しなのよ。
 ダンスは苦手だから踊りたくないのがバレてる。
 レオはダンスが得意らしいから…レッスンしてもらった方がいいよね。


 楽しそうに笑うレオはさっきまでとは違って、ドSな顔をしていた……。
 
 ロウ達も…ニヤニヤしてた……。

 もう!!
 何なのよ!!
 
 


 
 
 
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。 結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。 転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。 しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……! 「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」 農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。 「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」 ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)

モブだけど推しの幸せを全力サポートしたい!

のあはむら
恋愛
大好きな乙女ゲーム「プリンスオブハート」に転生した私。でも転生したのはヒロインじゃなくて、ヒロインの友達ポジション!推しキャラであるツンデレ王子・ディラン様を攻略できるはずだったのに、私はただの脇役…。ヒロインに転生できなかったショックで一度は落ち込むけど、ここでめげてどうする!せめて推しが幸せになるよう、ヒロインを全力でサポートしようと決意。 しかし、肝心のヒロインが天然すぎてシナリオが崩壊寸前!?仕方なく私が攻略対象たちと接触して修正を試みるけど、なぜか推しキャラのディラン様が「お前、面白いな」と興味津々で近寄ってくる。いやいや、ヒロインに集中してくれないと困るんですが!? ドタバタ転生ラブコメ、開幕! ※他のサイトでも掲載しています。

とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮
恋愛
クリバンス王国内のフォークロス領主の娘アリス・フォークロスは、母親からとある理由で憧れである月の魔女が通っていた王都メルト魔法学院の転入を言い渡される。 しかし、その転入時には名前を偽り、さらには男装することが条件であった。 その理由は同じ学院に通う、第二王子ルーク・クリバンスの鼻を折り、将来王国を担う王としての自覚を持たせるためだった。 だがルーク王子の鼻を折る前に、無駄にイケメン揃いな個性的な寮生やクラスメイト達に囲まれた学院生活を送るはめになり、ハプニングの連続で正体がバレていないかドキドキの日々を過ごす。 そして目的であるルーク王子には、目向きもなれない最大のピンチが待っていた。 さて、アリスの運命はどうなるのか。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ

弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は、たった今をもって解消させてもらう!!』  国のこれからを背負う若者たちが学院を卒業することを祝って開かれた舞踏会の日、めでたい筈のその席に響いた第一皇子の声を聞いた瞬間、私の頭にこの場面と全く同じ“ゲーム”の場面が再生された。 これ、もしかしなくても前世でやり込んでた乙女ゲームの終盤最大の山場、“断罪イベント”って奴じゃないですか!?やり方間違ったら大惨事のやつ!!  しかし、私セレスティア・スチュアートは貧乏領地の伯爵令嬢。容姿も社交も慎ましく、趣味は手芸のみでゲームにも名前すら出てこないザ・モブ of the モブ!!  何でよりによってこのタイミングで記憶が戻ったのか謎だけど、とにかく主要キャラじゃなくてよかったぁ。……なんて安心して傍観者気取ってたら、ヒロインとメインヒーローからいきなり悪役令嬢がヒロインをいじめているのを知る目撃者としていきなり巻き込まれちゃった!? 更には、何でかメインヒーロー以外のイケメン達は悪役令嬢にぞっこんで私が彼等に睨まれる始末! しかも前世を思い出した反動で肝心の私の過去の記憶まで曖昧になっちゃって、どっちの言い分が正しいのか証言したくても出来なくなっちゃった! そんなわけで、私の記憶が戻り、ヒロイン達と悪役令嬢達とどちらが正しいのかハッキリするまで、私には逃げられないよう監視がつくことになったのですが……それでやって来たのが既に悪役令嬢に攻略され済みのイケメン騎士様でしかも私の初恋の相手って、神様……これモブに与える人生のキャパオーバーしてませんか?

処理中です...