乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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59.どっきり大成功!みたいなのは必要ないですよね?

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 イケメン二人に詰め寄られて訳が分からない状況です。


『アンタ達人型になれるってリリィに伝えてないんじゃないの?』

『あっ!確かに伝えてない…?』
『あの格好のままで大丈夫な家だしな…』


 ん?んん??


『リリィ、すまない。我の事わからないか?』

 銀髪、銀瞳の男性が肩をガッチリ掴んで話しかけてくる。


『リリィ?オレッチの事わかんない?』

 黒髪、紅瞳の男性が横から顔を覗き込んでくる。


 ひとがた?人型?って事?
じゃあ、この二人…は????


 『ロウだ』
 『セルだよ?』

 
 えーーーーーー!!!

「ロッロウとセル??なんで?え?人?え?」

『リリィ、驚かせてすまなかったな』
『人型になれるって伝えるの忘れてたわー』

 
 迫力イケメンからにじりにじりと詰め寄られて気付いたら二人から壁ドンされてるみたいな体制になってしまっていた。

「わっ、わかったから!!離れて!!」

『ん?どうした?赤い顔して』
『オイ!ババア!やっぱり何かしたのか!?』

『チョット人聞きの悪い事言わないでちょうだい。リリィがそうなってるのはアンタ達のせいでしょう』

『そうなのか?』
『リリィ?』

 
 はぁはぁ…と息も上がっちゃうよね。
心臓も驚きすぎてドッドッドッと走った後みたいに脈打っちゃってる。


「ふぅ…。えーと、ロウとセル?」
『ん?』
『どうした?』


 うわー、人型ってヤバイね…
フワリと笑うロウとニヤリと悪戯っ子みたいに笑うセルと…。

THE☆イケメン

 元の世界だったら確実に芸能人だよ。
写真とかあったら絶対に爆売れ間違い無し。
ん?写真ってこの世界にあるのかな?肖像画みたいな感じの絵はあるよね?
写真的な物ができれば…ボロ儲けじゃない?
 
 例えば、ロウとセルのコンビで売り出すか、お兄様とレオ、リュド、と組ませて5人組として…。
あ、この二人が人型になれるって事は、ネスルは?ニーさんも?
 

『リリィ?』
『よからぬ事を考えてる顔だな…』

「……あのーちなみにネスルとニーさんも人型になれるの?」

『そうだな…魔力が強い奴ならなれる奴が多い。アイツらは勿論人化できる』

『そういや、ラタトスクは最近になって人化できるようになったって言ってたなぁ』

 
 ウシッ。
これから何か困ったらコレがあるって事で安心ね。
ただ…色々考えないと…


『リリィ、グループにするならキャラが被らないようにしないとダメよ?』

「ーー!!ですよね!!お母様!!分かってらっしゃる!!」

『ふふ…私の事はアンって呼んでちょうだい。ヘルのファンクラブを作ったのは私だからね』

「おぉ!!フィクサー!!」

『うふふ…』

「…その時が来たら……ご教示ください!!!」

『ふふ。任せて。そんな楽しい事噛ませてもらわないとね…』

『うふふふ…』
「うふふふ…」

 アン様とガッシリ握手を交わす。


『マジでイヤな予感しかしねえんだけど…』
『我も同感だ…』


 
『とりあえず、子供達が仲良くしてる子と会いたかったの、それが叶ったからもういいわ。勝手に連れてきちゃってごめんなさいね?』

「いえ!アン様と会えて私も嬉しいです!!……色々とまたお話ししたいです」

『ええ。勿論よ。お話ししましょうね』


 

 では、と家から出るとまたボートがそこに来ていて帰りは3人で乗る事になった。
ロウとセルはまだ人型のままだ。


『マジでアイツの所に来るのめんどくさくてイヤなんだよな…』

『確かにな…このボートの件もだが、ここに来るまでの森も面倒だ』

「ねえ…なんでその…人型なの?それにいつもなら転移ってすぐできるじゃない?わざわざコレに乗って湖渡るのも不思議な感じなんだけど…」

『ああ、この森は鉄の森って言って、アングルボダの森…所謂テリトリーなんだ』

『ババアのテリトリーって事はアイツの思い通りの場所って事だ』

「テリトリー…あ!あのなんか壁みたいなのがあった所は?」

『あれは結界だな。結界を超えれるのは母より魔力の多い奴か母が許可した者だけだ』

「成る程ねー。で、人型の訳は?」

『…ババアの趣味だな』

「趣味?」

『…母は美しい者を好むんだ。我等の獣の姿は…あまり好ましくないらしい』

「ーー!」

『あー、リリィ。オレ等は特にそういうの気にしてないからなぁ変に同情とかすんなよ?』

「ホントに?」

『ああ、本当に』

「…悲しくない?」

『オレ等、この姿も自分だからなぁ』

「そっか!なら、良かった。でも、なんで今まで教えてくれなかったの?」

『特には理由はないがな、人型だと…何故か人の目につくと言うか人に声を掛けられたり囲まれたりするのだ』

『獣の姿だと、人は遠巻きだったりでしか見ないからラクだしな』


 あ、成る程ね。
人型だとこのイケメンっぷりだし、獣と気付かれないから女性達からのアプローチがすごいって事か。

 
「…学園では人型にならない方が身の為かもね…」

『そうだな』
『間違い無いね。ただ、リリィの部屋ではサイズ的にはコッチの方がいいかと思うけどね』


 ーーー!!
 こんなイケメンが部屋に常時居るとかどんな拷問よ…。
それに間違って誰かに見られでもしたら困る。
だけど、確かに寮の部屋に…と思ったら人型コッチの方がいいのかも。


「……まぁ、どっちでもいいけど…その姿で部屋から出なければね」

『『了解した』』

 と言ってロウとセルは頬にキスをしてきた。


「ーー!!ちょっと!!」

『ククク。リリィはこの姿に弱いと見た』
『壁ドンとやらも効きそうだな』


 カッカッカッと笑いながらロウとセルは森を歩く。

 その背中を見ながら、これは厄介なことになりそうな予感…と冷や汗を流すのでした。
 
 はぁ。


 ……その後、正直行きよりも長い距離を歩いて学園まで戻って来て、ロウとセルとは一先ず解散し、無事にサロンへと到着する事ができたのでした。


 


 
 
 
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