57 / 122
57.この世界の寮ってどんな物ですか?
しおりを挟む本日は入寮の日です。
私はお兄様に付き添われてリュドと共にアールヴレズル学園寮までやってきました。
寮の部屋は今日から卒業まで基本的に変わらないらしいですが、二人部屋の人達はあまりにも相性が悪かったりする場合があるのでそういった事情がある場合は変更も可能だそうです。
一人部屋の場合は六年間同部屋だという事ですね。
沢山の子息令嬢達がワイワイと入寮の手続きをしています。
「リリィ!!リュドも!」
「あ、レオ」
「レオ様!」
彼はレオポルト・ガルシア 辺境伯の子息で昔婚約して欲しいとアプローチされましたがお父様によって一蹴。
それでも諦めずにイベントの時にプレゼントや、お茶会でのエスコート等をしてくれています。
「リリィ、元気だった?なかなかゆっくり会えなかったし話せなかったから寂しかったよ。しばらく会わないうちに更に美しくなったね」
「レオは相変わらずねぇ」
レオは銀髪に青い瞳のイケメン君です。
あら、身長も更に伸びたみたい。
すらりと伸びた手足は長くてしっかり鍛えている印象。
ご令嬢たちからの熱烈なアプローチもあるみたいなんだけどね。
それには全く見向きもしないらしくて、でもそんな所も素敵って事で人気も高いそうです。
…確かに、年齢を重ねてきて15歳にもなると少年というよりも青年に近くなってくるよね。
と、言っても元の世界のこの年齢の子達よりも遥かに大人っぽい気がするわ。
チラリとレオを見上げると、「ん?どうした?」と美しい青い瞳を少し細めて笑います。
それを見たご令嬢達はキャーと頬を染めてチラチラとレオを見ながら隣にいる私を確認すると少しガッカリした顔をされます。
……失礼だと思いません?
あのガッカリ顔は、人の顔見てザンネーンって思ってるって事でしょう?そりゃあ、レオやお兄様やリュドというハイパーイケメン達に囲まれて羨ましがられるのは昔からの事だし、その視線を受けるのは慣れましたが…最近特に皆さんがその、ザンネーンっていう顔をされるのです。
私だって、そこまでヒドイ顔だと思ってないですよ。
だってお父様とお母様のDNAが刻まれているのよ、お兄様とだって同じ血が流れてる。
……なのに、皆さんザンネーンって思ってるって事でしょう?
成長過程でどこか失敗したのかしら……。
「皆さんリリィ様を羨ましがっているのです!その美貌、バックグラウンド、いい男に囲まれた姿に太刀打ちできないと悔しいのですよ!」
とニナは慰めてくれるのですが、それは身内の欲目ってヤツでしょ?
いいのいいの、わかってるわ。
ベースは良い筈なのにそう思われるって事は、内面の雑さが滲み出てるって事でしょ?
そんな自分にザンネーン!よ!!
「リリィ?」
「あ、ごめんなさい。何だった?」
「テオが、後で皆で集まらないか?、って。生徒会役員用のサロンで待ってるって言ってたから伝言しに来たんだよ」
「あ、いいわね!皆で集まるのって久しぶりよね!」
「なんだかんだで皆忙しくしてるからね。あ、勿論リュドもおいでよ?」
「…え!あ、はい!!」
「あはは、じゃあ後でね」
レオはヒラリと手を振ってその場を離れて行った。その後ろ姿をご令嬢達は頬を染めて、ご子息達は憧れの瞳で見送っていた。
私の隣でリュドも同じ様にキラキラした憧れの瞳で眺めています。
レオは光と闇の2属性持ち。
2属性っていうだけでも凄いのに、更に光と闇という相反する属性というのが凄いと皆からの憧れの的です。
レオが悩んで苦しんでいたのも遠い昔のように感じるわ。
リュドは闇属性なのでレオに色々相談したりしてたそうでその憧れ方は半端なく、ある意味でレオマニアだと思います。
よく「リリィはレオ様と一緒になってくれれば、僕はそれだけでいい…」とリュドに言われました。
それって、レオが身内になってくれたら嬉しいっていうリュドの希望なだけじゃん?と思いますが…。
「リリィ、このカードが部屋のマスターキーだから。部屋にこのカードを挿す場所があるからそこに。そしたら全てが起動するからね。で、部屋自体は扉横のパネルに手を翳して魔力を込めれば開閉できるからね」
なる程、マスターキーを挿しておけばあとはキーを持ち歩く必要がないという事ね。
よく物を無くす私にはありがたいわ。
「じゃあリリィ、いくら付き添いでも僕は女子寮には入らないから後は部屋は自分で整理するんだよ?」
「大丈夫よ!お兄様心配しないでちょうだい!」
「……入ってすぐに問題とか起こさないでよね?じゃあリュド行こう。リリィは後で生徒会室のサロン…の場所は分からないか?」
「場所ね…冊子に書いてあったわよね?それ見て行くわ。じゃあ、また後でね!」
「あ、ああ…後で」
寮生活か…前の世界とは全く違う環境だから楽しみよね。
ある意味で前も寮生活みたいなものだったけど…。
とりあえず、他のお嬢様方と違って基本的に自分の事は自分でできるから、問題無し!よ!
私の部屋は3階のBね。
あ、隣のAはアディだわ!嬉しい!!
メルが向かい合わせの斜め前でCで、レティがその隣のD、皆一人部屋でこんなに近くの部屋だなんて、ワクワクしちゃう!!
部屋の前に着くとちょうどメルとレティが親御さんと一緒に部屋に入る所だった。
「皆様、ご機嫌様」
「リリィ!すぐ近くね!嬉しい!」
「リリィ、これからまたよろしくね!」
メルとレティとそれぞれと会話を交わし、親御さん達にも挨拶をする。
「ご無沙汰しております。また仲良くさせていただきますので宜しくお願い致します」
ニコリと笑うと親御さん達も口々に挨拶を返してくれました。
「リリィ様、また美しくなられましたね」
「このマルタン王国で一番じゃないですか?」
そんなお世辞はいいのにね。
ウフフと笑って皆さんと別れ、部屋の扉の横のパネルを確認。
「ここに、魔力を込めて手を翳す…と」
ポウッと手に魔力を込めパネルに近づけると、同じようにポウッと光ってパネルに文字が浮かび上がった。
・リリアーヌ・ベルナー 火風水土光
・契約精霊 オベロン(精霊王)
・契約獣 ロウ(フェンリル)
セル(ヨルムンガンド)
ネスル(フレスベルク)
ラスク(ラタトスク)
・在校兄弟 クリストフ・ベルナー
リュドヴィック・ベルナー
成る程、基本情報的な物が入力されたわけだ。
カチャリと鍵の開く音がしたので扉を開いた。
部屋は一人で使うには広すぎるくらいで、掃除が大変そうだな~というのが最初の感想。
部屋自体はとても綺麗で、広ーいリビングにはお母様が送ってくれたソファやチェスト等がすでに並べられていた。
リビングの横にミニキッチンも付いていてお茶を入れたり簡単な料理だったらできるくらいのコンロ的なものや冷蔵庫的な物もおいてあった。
マスターキーを挿すパネルが中にあって、そこに挿すと魔力が流れて色々な物が起動した。
リビングから隣の扉を開くとベッドルームがあって、こちらも送ってもらった上質なベッドがダーンと置いてある。
クローゼットも大きくて前の世界でいう所のウォークインクローゼット。しかもそれだけで6畳はありそうなサイズ。
クローゼットにも簡易なワンピースから部屋着等が所狭しと並べてあり、ニナの仕事の早さに驚いた。
シャワーブースとトイレも付いていて、ゆったりした1LDKって感じの部屋に正直、寮って……?と分からなくなりました。
さて、なんかほとんど片付いているし、生徒会役員用のサロンに向かいますか!!
10
新作〔私の婚約者様〕という話を投稿しています!是非読んでみてください!
お気に入りに追加
2,780
あなたにおすすめの小説

転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

異世界細腕奮闘記〜貧乏伯爵家を立て直してみせます!〜
くろねこ
恋愛
気付いたら赤ん坊だった。
いや、ちょっと待て。ここはどこ?
私の顔をニコニコと覗き込んでいるのは、薄い翠の瞳に美しい金髪のご婦人。
マジか、、、てかついに異世界デビューきた!とワクワクしていたのもつかの間。
私の生まれた伯爵家は超貧乏とか、、、こうなったら前世の無駄知識をフル活用して、我が家を成り上げてみせますわ!
だって、このままじゃロクなところに嫁にいけないじゃないの!
前世で独身アラフォーだったミコトが、なんとか頑張って幸せを掴む、、、まで。

転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

3年前にも召喚された聖女ですが、仕事を終えたので早く帰らせてもらえますか?
せいめ
恋愛
女子大生の莉奈は、高校生だった頃に異世界に聖女として召喚されたことがある。
大量に発生した魔物の討伐と、国に強力な結界を張った後、聖女の仕事を無事に終えた莉奈。
親しくなった仲間達に引き留められて、別れは辛かったが、元の世界でやりたい事があるからと日本に戻ってきた。
「だって私は、受験の為に今まで頑張ってきたの。いい大学に入って、そこそこの企業に就職するのが夢だったんだから。治安が良くて、美味しい物が沢山ある日本の方が最高よ。」
その後、無事に大学生になった莉奈はまた召喚されてしまう。
召喚されたのは、高校生の時に召喚された異世界の国と同じであった。しかし、あの時から3年しか経ってないはずなのに、こっちの世界では150年も経っていた。
「聖女も2回目だから、さっさと仕事を終わらせて、早く帰らないとね!」
今回は無事に帰れるのか…?
ご都合主義です。
誤字脱字お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる