乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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54.実は似たモノ同士ってやつですか?

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 シュンッと景色も空気も変わり、目の前にはリス?が驚いた顔でフリーズしていた。


『コイツがラタトスクだ』


 セルがチョイと首根っこを爪先で目の高さまで持ち上げた。


『チョ、離せ……って、ゲ!!ヨルムンガンドじゃん』


 捕獲成功っっ!!


『ーーーえ?あれ?なんで?ニーズヘグとフレスベルクが?一緒にいんの??』

『……一緒に居たらまずい事でもあるのか?』


 世界樹の湖の周辺に居た精獣や精霊達はサッと皆隠れて遠巻きにこちらの様子を伺っている。


『チョット話を聞こうかと思ってな。ツラ貸せや』

『オレらが一緒にいたら何かまずいのか?ん?』


 うわー怖ー。
こんなでかい厳つい人(?)に囲まれたら、震え上がっちゃうよ。


「ええと、ラスクさん?ちょっとお話しいいですか?」

『オレはラタトスクだ!ってリリアーヌじゃん!』

「?初めまして。話しする場所はココでいいの?」

『まあいいんじゃないか?ニーズヘグ、フレスベルクもいいか?』

『ああ』
『何処でもいいよ』


 観念したのか首根っこを掴まれたまま大人しくぶら下がっている。


「えーとですね、まず何点か確認したい事がありまして…いつからニーさんとネスルの間を取り持った…というか行き来するようになったのですか?そしてそれは何の為に?」 

『………………』

「?。どちらか、から何らかのアクション、伝言ですかね?があったからですか?」

『コイツに伝言なんてねぇよ!』
『コッチのセリフだよ!!』

「ニーさんもネスルも落ち着いてね。えーと、ラタ…ラスクさん?」

『………………』

「ニーさんとネスルの間にそういった伝言を送り合う関係性は無かったみたいだけど、初めはどちらから…誰からの伝言を誰に渡したの?」

『………………』

『オイ、なんで何にも言わねぇんだよ』
『オイ、ラタトスクよぅ…黙ってちゃわかんねぇよなぁ?』

『……えと……』

 
 あー目が泳いじゃってますよー涙目だし。
なんか体も震えてるし…あ、そういう事か…。


「二人には…特に何も言われてないのね?」

『オイ…』

「ゴメン、ニーさんもネスルも少しだけ待ってくれる?……貴方のイタズラ…なのかな?」

『……よくわ…』

「え?」

『よく分からないけど!ニーズヘグとフレスベルクは仲良くしちゃダメなんだよ!魂の奪い合いしなくちゃいけないんだから!』

「魂の奪い合い?どういう事?」

『………確かにオレは魂を喰らうモノとされているな』

「ニーさん?」

『実際には喰らうのではなく冥界に導くモノだけどな』

『オレも確かに魂を喰らうとされていたな…間違って上がって来るやつを追い払ってただけだけどな』

『………』

「勘違い?それとも誰かに何かを頼まれた?」

『わかんねえよ!だってそういうモノだろ!!コイツ達は仲悪くないと…』

「そういうモノ?仲悪くないと?」

『ラタトスク…お前は何がしたいんだ?』

 セルが摘み上げたままブーラブーラと揺すった。

『…………』

「うーん。またも思い込み?刷り込み?ってやつ?でも今回は…誰に?誰が?ラスクが自分で?」

『ラタトスクな…』

「コホン。セル、どう思う?」

『わっかんねぇけど…まあコイツらはラタトスクに踊らされてたってだけって所か?仲悪いと思わせておきたい奴がいる?とか?』

「それかも…。思わせておきたいってやつ。でも本人達にとっては迷惑な話よね。ラスクも踊らされてた一人なのかも…」

『ラタトスクな。そうなのかもしれん…。おい』

 
 ラスクは縮こまってブルブル震えながら顔面蒼白…自分がこういう風に問い詰められるなんて考えてもなかったような顔をしている。


「とりあえず……」


 ラスクはギュンッと目を瞑って更に首を縮めた。

「ニーさんとネスルに謝っとこう?」

『……へ?』

「だから、謝っとこう?それからどうするかは、ニーさんとネスルが考えるから…ね?」


 ラスクはプルプル震えて叫んだ。


『……ごっごべんなざぁび~』


 ワーンワーンと泣き出したラスクを、ニーさんとネスルは呆れたような顔で見て二人は顔を見合わせた。


『ぷ……』
『ククク……』

「ニーさん?ネスル?」

『ククク…こんな奴に…クク……引っ掻き回されてたと思ったら…ククク』

『バカバカしいわな…フフ…こんなに長い間…フフ…ハハハッ』

「許してあげるの?」

『許すも何もな…コイツもよく分かってないんだろ?それをどうこうできないな』

『オレ達も…まあ…何も考えずにな…勝手に相手を嫌って…ってしてたから』

『ゆるじでぐれるの~?』

『クククッ…その顔ヤメロ…』
『鼻を拭け…面白すぎる…フフ…フ…』


 あれ?意外と一件落着的な感じ??


『コホン。まあ、これからはそういう事はするなよ!オレ等が良いヤツで良かったな!』

『ニーズヘグ、オメエ自分でそういう事言うか~?』

『なんだよ!フレスベルクだってそう思うだろうよ!?』

『『クク…グワッハッハッハッハー』』


 何この和やかムード…

『あはっあはは…』

『『オメーは反省してろよ!!』』

『ひぇっ…すみませ~ん!!』

「……えーと、和解したという事ですかね?」
『まあ、そういう事…なのかな?人騒がせな野郎共だぜー』


『『ガハハハ~』』


 なんか、似たモノ同士なのかな?だから気が合うのかな?昔からの親友みたいな雰囲気出てるけど。
まぁ、終わり良ければ全て良しかな。

 …ラスクが、何でこんな事をしてたのかは分からないけど…まあいいか!


『ラタトスクよぅ!オメエもうこんな事するなよ?』

『はいっ!!すみませんでした!!』

『分かれば良いよな、反省しろよぅ~?』

『はい!!反省してます!!!』

『ヨシ、帰るか!』
『なんだ?愛しのヘル様ぁ~の所か?ガハハ』
『なんだよ!やんのか?』
『あぁん?んだよテメエ』

「ちょ、ちょっと!」

『ガハハハ、羨ましいだろぉ~?』
『まぁちっとばかしな~ガハハ』

「何なの?この人達…」
『まあ、元々似たような奴らって事だな。もう放っとけよ。帰ってチュロス食おうぜ~!』


 セルまで…。
まあいっか。

 チュロスが残ってるとは思えないけどね…。


 冥界にもどると、案の定チュロスはもう無くて、ヘルとお兄様が和やかにお茶をしていた。
おや?と思って何の話をしているかと思ったら
わたしのお母様に叱られた話で盛り上がっていた。

 
 お兄様…ダシにしないでくださる?

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