乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

文字の大きさ
上 下
36 / 122

36. 締めのデザートは何にしますか?

しおりを挟む

  
 「ーー!これが!!噂の【お好み焼き】!」
 「初めてよ!こんな……美味し過ぎるわ!」
 「うまいな!エールによく合う!!」
 「ワインにも…うん。美味しい」


 口々に感想を言い合いながらパクパクと食べていく皆さん。
お兄様とお母様も一緒に楽しそうに話をしながら食べている。
さすがに、今日はお客様がいるのでいつものお好みパーティーのように皆でつつく事はしていません。

 後で皆で食べてね!

 そして満を持して出してみます!広島焼き!
コレはひっくり返すのに失敗すると中身がバラッバラになっちゃうので、慎重にね!
完成した広島焼きも皆さんに食べてもらいます。
ドキドキ。
どうかな?


「あら、こっちの方がキャベツの甘味が引き立つわね…うん。美味しい!」

「ふむふむ。コレはコレで…白ワインに合います。美味しいですね」

「んむ、コレも旨い、が儂はさっきの方が好みじゃな」

「作り方はこちらが難しそうですが…うーん、オレもさっきの方が食べ応えがあって好みですかね」


 お母様も広島焼きに1票、お兄様は大阪焼きに1票。
成る程、男女(?)で意見が割れました。
私はというと、どっちも大好きーーー!!!です。


「この【お好み焼き】レシピは…」

「ああ、失礼。この【お好み焼き】は我がホッドミミルで売り出す予定なので申し訳ありませんがレシピの公開は控えさせて頂きますので」

「くーー!!さすがセバスだな。隣の店舗でやるって言われたら手も足も出せないじゃないか」

「まあ、…という事ですね」


 ハハハ…セバス、そんなの初めて聞いたよ?


「ああ、皆もう始めてる?」

 
 遅ればせながらのお父様の登場です。
ん?あれ?後ろにいるのって…


「あぁ、リュドヴィック、皆さんに挨拶を」

「リュドヴィック…です。よろしくおねがいします…」

「リュド!?どうしたの?」

「あ、リリィ。うん、えと…」

「お好みパーティーに誘ったんだ。もう養子の話も大分進んでいるんだけど、とりあえず家にも慣れてもらわないとと思って。いい機会かなと」

「そうなんですね!リュドいらっしゃい!たくさんたべてね!」


 って、リュド固まってるーー!?
あ、そりゃそうか、こんなに沢山の大人に囲まれるのも初めて?だろうし。


「リュド?みなさん、こゆいけど、やさしくておもしろいかたたちばかりだからだいじょうぶよ?」

「ーー。みなさんにもじゅうぶんにおどろかされるけど…フ、フェンリルとヨルムンガンド…」


 あ、そっち?


「よくしってるわねー!ロウとセルよ。わたしのかぞく。リュドもかぞくになるのだからなかよくしてね!」

「せいじゅうが…かぞく……?」

「うん?だって、けいやくしてずっといっしょにいるんだから、かぞくでしょ?」

「そっか……うん…。えと…よろしくおねがいします。ロウさま、セルさま」

『宜しく』
『おう』

「リュドもおこのみやき、たべて!で、どっちがこのみかおしえてちょうだい!」

「え?…ふふ。うん!」


 なんだかリュドの雰囲気が随分と変わった気がする…。
穏やか…?あの時の人を寄せ付けないような壁のようなものを感じなくなったと思う。
話し合いも上手く進んでるってさっき言っていたし、お父様のお陰ね!!


「よし、たべるわよーー!!」



 皆でお好み焼きを食べながら大人はお酒を片手にルーファスさんがチャチャッと作ったシーフードソテーを摘んでいる。
私もこっそりとソテーを食べながらリュドと隣り合って座っている。

 皆の話の内容は、先の大戦の時の事に移っていった。
特に私とリュドは目を輝かせて話を聞いていた。


「あの時はねぇ、南と東からいきなり他国軍が攻めてきたのよねぇ。前国王…トール様も……ふぅ…」
 リンリンさんが遠い目をして語り始めた。


「北からは魔族軍だったな。召喚術士と魔術士は始めはこっちに集められたけどな…」
 ルーファスさんも当時を思い出しているのか、遠い目になった。


「全員総動員でやれる事を各々がやっていった感じじゃった…な」
 ドルトスさんはぐっと噛み締めてからエールをガブ飲みした。


「皆が力を合わせたから退けられたんじゃないか。父上の事は…穏健派だったはずなのに…いきなり前線に向かって行って…止められなかったから…後悔はあるけどね」
 お父様が少し悲しそうに目を伏せた。
 
「…あの時のトール様は、誰にも止められなかったですから…私めでさえ…」
 セバスが珍しく落ち込んだような表情を浮かべている。

「でも!ミシェル様が魔族軍の方に来てくれてからは、南と東の方に人員を裂けたから良かったですし、私は王都の守りに徹していましたけど、ピエール様があちこちを鼓舞して回ったのは凄かったですから!」
 オルガさんがグッとワインを一口飲んだ。


「見ていた限りでは、ミシェル様が北に到着して魔族の親玉?を封印した途端に魔族全体が戦意喪失したんだよ。なんだったんだ?ってくらいに呆気なかった…」
 ルーファスさんがお父様を見て皆を見回した。

「…確かに、あの時急に他国軍も戦意喪失したんじゃった。それを見たピエールが先頭に立って血気だった戦闘員達を治めたんじゃ」
 
「ドルトスはあの時王国軍の方に入ってたんだっけ?」

「そうじゃ。セバスと共に走り回っとったが…急にピタリと戦闘が止んでな、なんじゃ?と思ったが…」

「まあ、多分何者かが操っていたんでしょうって結果になったのよね…。今思い返しても気分の良い物じゃなかったわ」
 ふぅ…とリンリンさんが溜息をついた。

「まあ、美味しい料理を食べながらする話ではないな…。店のデザート持ってきたからお子様達はどれがいいかな?選んでおくれ」


 ーー!

 お祖父様の事とか色々気になるしもっと話聞きたいけど…皆この話はここで終わらせようとしてる。

 ルーファスさんの所のデザート…
前回の固めプリンは最高に美味しかったのよね。
よし、空気を変える為にも!私は空気の読める女よ!


「リュド、なにがあるかみにいこう!」


 リュドの手を掴んで、テーブルに並べられたデザートを見る。
どれも綺麗で美味しそう!!
マカロン、モンブラン、アップルパイ…え?アップルパイにはバニラアイスが添えられるの??

 うーん…アイス添え…そそられる。
だけど、アップルパイを全部食べると他の物が入らない…。

 チラリと隣を見るとリュドが興味深そうにデザートを見ていた。

 ……ヨシ。


「リュド!ぜんぶをはんぶんずつにしよう!そうしたらぜんしゅるいたべられるよ!」

 いかにもあなたの為を思って提案してます!って感じ出せてるでしょ?
ん?視線……

 お兄様と目が合った、ジトリと見られた。

エヘヘ、ばれてらー。


「ていうか、リリィがぜんぶたべたいたけでしょ?」

 コッチもばれてらー。

『皆、分かってると思うが……』

 え?マジ?

『まあ、わかるよな』

 …そんなにわかりやすい?

 無言で頷くロウとセル。
いいもんね!今の私は3歳児!何をしても(?)許される…はず?


「あはは、やっぱりリリィよね。和むわ…」

「我が娘ながら本当に…面白く育ってくれたよ」

 
 いいんです!今回の人生なんと言われても私は食べたい物は食べるし、やりたい事はやっていくつもりだからねっ!後悔なんてしない。
ただ、食べ過ぎ注意よ!
これからはリュドもいる事だし、半分ずつっていう手が使えるからね…

 ……ラッキー。






しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

モブだけど推しの幸せを全力サポートしたい!

のあはむら
恋愛
大好きな乙女ゲーム「プリンスオブハート」に転生した私。でも転生したのはヒロインじゃなくて、ヒロインの友達ポジション!推しキャラであるツンデレ王子・ディラン様を攻略できるはずだったのに、私はただの脇役…。ヒロインに転生できなかったショックで一度は落ち込むけど、ここでめげてどうする!せめて推しが幸せになるよう、ヒロインを全力でサポートしようと決意。 しかし、肝心のヒロインが天然すぎてシナリオが崩壊寸前!?仕方なく私が攻略対象たちと接触して修正を試みるけど、なぜか推しキャラのディラン様が「お前、面白いな」と興味津々で近寄ってくる。いやいや、ヒロインに集中してくれないと困るんですが!? ドタバタ転生ラブコメ、開幕! ※他のサイトでも掲載しています。

転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。 結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。 転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。 しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……! 「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」 農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。 「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」 ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ

弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は、たった今をもって解消させてもらう!!』  国のこれからを背負う若者たちが学院を卒業することを祝って開かれた舞踏会の日、めでたい筈のその席に響いた第一皇子の声を聞いた瞬間、私の頭にこの場面と全く同じ“ゲーム”の場面が再生された。 これ、もしかしなくても前世でやり込んでた乙女ゲームの終盤最大の山場、“断罪イベント”って奴じゃないですか!?やり方間違ったら大惨事のやつ!!  しかし、私セレスティア・スチュアートは貧乏領地の伯爵令嬢。容姿も社交も慎ましく、趣味は手芸のみでゲームにも名前すら出てこないザ・モブ of the モブ!!  何でよりによってこのタイミングで記憶が戻ったのか謎だけど、とにかく主要キャラじゃなくてよかったぁ。……なんて安心して傍観者気取ってたら、ヒロインとメインヒーローからいきなり悪役令嬢がヒロインをいじめているのを知る目撃者としていきなり巻き込まれちゃった!? 更には、何でかメインヒーロー以外のイケメン達は悪役令嬢にぞっこんで私が彼等に睨まれる始末! しかも前世を思い出した反動で肝心の私の過去の記憶まで曖昧になっちゃって、どっちの言い分が正しいのか証言したくても出来なくなっちゃった! そんなわけで、私の記憶が戻り、ヒロイン達と悪役令嬢達とどちらが正しいのかハッキリするまで、私には逃げられないよう監視がつくことになったのですが……それでやって来たのが既に悪役令嬢に攻略され済みのイケメン騎士様でしかも私の初恋の相手って、神様……これモブに与える人生のキャパオーバーしてませんか?

処理中です...