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最終話
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最近、ジルが凄く可愛い。
あの事件以降、ジルの僕を見る目が違う。
いつも、少し恥ずかしそうに頬を染め、そしてそんな自分に変だと不思議そうにしている。
ふふっ。ジルはまだ気付いてないんだね。
最近ジルは、全くオヤジ達に目が向いてない事を。
ジルが僕を意識しているなんて、こんな嬉しい事はない。
あの事件は許せないし、今でも腹立たしいけど、ジルが僕に意識し始めた事だけは僥倖だったな。
あの後、もちろんフェリス侯爵家は潰した。
もともとフェリス侯爵家は後ろ暗い噂があったから、潰すのは案外簡単だった。
そして元フェリス侯爵令嬢のバーベラは、劣悪な環境で有名な娼館に送ってやった。
あの娼館は、来る者拒まずで客を選ばず、変な性癖を持った男共がよく通うらしいから、娼婦たちはすぐに壊れるそうだ。
あの女も長くはもたないだろう。
ジルを暴漢に襲わせて殺す計画を立てた女だ。その罪は自身で身をもって知って貰わなければな。
そしてジルが学園を休んでいる間に、ジルを貶めていた者や、嫌がらせをしていた者も粛清しておいた。
ジルが学園に戻る頃には、静かになっているだろう。
全く王族の婚約者を何だと思ってるのか。
これで少しは懲りただろう。
ジルには、楽しい学園生活を送ってもらいたいしね。
これからも僕は、ジルの為に色々と動かねばならない。
ジルの世界を守り、変わらず呑気な笑顔を僕に見せてくれるように。
またジルの悪い癖が出たら、その男の闇を暴くために、常に周りの情報収集も欠かせないな。
ジルが僕だけを見るように、僕は常に策を凝らしていくからね。
そんな事を考えながら、愛しいジルを見ていた。
──── そんな日々が続き
本日も王城のバラ園の四阿でいつものお茶会をしていると、珍しく陛下がそこに姿を現した。
「やぁ、お邪魔だったかな」
と、陛下はにこやかに声をかけてくる。
「王国の太陽、国王陛下にご挨拶申し上げます」
私は慌ててカーテシーで挨拶をする。
「ここでは、そんなに堅苦しい挨拶はいらないよ。楽にしていいよ。ジュリア嬢」
陛下が笑顔で優しくそう言ってくれる。
ああ! 最近忘れていたけど、やっぱり大人の男性って素敵!
「父上、何故こちらに?」
アルベルト様は不機嫌だ。
「まぁ、そう怒るな。あの事件以来、ジュリア嬢とはちゃんと話せてなかったから、元気にしてるか気になっただけだよ。
ジュリア嬢、もう大丈夫かい?」
そう陛下が言ってくれる。
素敵なおじ様の代表である陛下にそう言われて、また舞い上がりそうになるのを必死で抑えて、返答した。
「はい、陛下やアルベルト様の御尽力のお陰で、何事もなく平和に過ごさせて頂いております。
身に余るお言葉を頂き、恐悦至極に存じます」
私の返事に満足げに陛下は頷く。
「それは良かった。では私はもう行くとしよう。長居をすればアルベルトに恨まれそうだしな」
と、笑いながらこの場を後にされた。
アルベルト様は何とも言えない苦々しい顔をして、陛下を見ている。
そんな様子を見ながらクスッと笑い、改めて陛下の跡を目で追う。
やっぱり、大人の男性は余裕があるわぁ!
その上、陛下は彫りの深い極上のハンサム! そこに渋さが備わってるなんて、なんてことなの!
久しぶりの素敵なおじ様の魅力にやられている私に、アルベルト様がこっそり言った。
「僕は、父上にそっくりだから、僕は将来、父上みたいになるよ」
な、なんですってぇ!
目をキラキラしながらアルベルト様を見る私を、アルベルト様は、にっこり笑って、
「だから、これからも僕だけを見ていてね」
と、満足げにおっしゃった。
~完~
あの事件以降、ジルの僕を見る目が違う。
いつも、少し恥ずかしそうに頬を染め、そしてそんな自分に変だと不思議そうにしている。
ふふっ。ジルはまだ気付いてないんだね。
最近ジルは、全くオヤジ達に目が向いてない事を。
ジルが僕を意識しているなんて、こんな嬉しい事はない。
あの事件は許せないし、今でも腹立たしいけど、ジルが僕に意識し始めた事だけは僥倖だったな。
あの後、もちろんフェリス侯爵家は潰した。
もともとフェリス侯爵家は後ろ暗い噂があったから、潰すのは案外簡単だった。
そして元フェリス侯爵令嬢のバーベラは、劣悪な環境で有名な娼館に送ってやった。
あの娼館は、来る者拒まずで客を選ばず、変な性癖を持った男共がよく通うらしいから、娼婦たちはすぐに壊れるそうだ。
あの女も長くはもたないだろう。
ジルを暴漢に襲わせて殺す計画を立てた女だ。その罪は自身で身をもって知って貰わなければな。
そしてジルが学園を休んでいる間に、ジルを貶めていた者や、嫌がらせをしていた者も粛清しておいた。
ジルが学園に戻る頃には、静かになっているだろう。
全く王族の婚約者を何だと思ってるのか。
これで少しは懲りただろう。
ジルには、楽しい学園生活を送ってもらいたいしね。
これからも僕は、ジルの為に色々と動かねばならない。
ジルの世界を守り、変わらず呑気な笑顔を僕に見せてくれるように。
またジルの悪い癖が出たら、その男の闇を暴くために、常に周りの情報収集も欠かせないな。
ジルが僕だけを見るように、僕は常に策を凝らしていくからね。
そんな事を考えながら、愛しいジルを見ていた。
──── そんな日々が続き
本日も王城のバラ園の四阿でいつものお茶会をしていると、珍しく陛下がそこに姿を現した。
「やぁ、お邪魔だったかな」
と、陛下はにこやかに声をかけてくる。
「王国の太陽、国王陛下にご挨拶申し上げます」
私は慌ててカーテシーで挨拶をする。
「ここでは、そんなに堅苦しい挨拶はいらないよ。楽にしていいよ。ジュリア嬢」
陛下が笑顔で優しくそう言ってくれる。
ああ! 最近忘れていたけど、やっぱり大人の男性って素敵!
「父上、何故こちらに?」
アルベルト様は不機嫌だ。
「まぁ、そう怒るな。あの事件以来、ジュリア嬢とはちゃんと話せてなかったから、元気にしてるか気になっただけだよ。
ジュリア嬢、もう大丈夫かい?」
そう陛下が言ってくれる。
素敵なおじ様の代表である陛下にそう言われて、また舞い上がりそうになるのを必死で抑えて、返答した。
「はい、陛下やアルベルト様の御尽力のお陰で、何事もなく平和に過ごさせて頂いております。
身に余るお言葉を頂き、恐悦至極に存じます」
私の返事に満足げに陛下は頷く。
「それは良かった。では私はもう行くとしよう。長居をすればアルベルトに恨まれそうだしな」
と、笑いながらこの場を後にされた。
アルベルト様は何とも言えない苦々しい顔をして、陛下を見ている。
そんな様子を見ながらクスッと笑い、改めて陛下の跡を目で追う。
やっぱり、大人の男性は余裕があるわぁ!
その上、陛下は彫りの深い極上のハンサム! そこに渋さが備わってるなんて、なんてことなの!
久しぶりの素敵なおじ様の魅力にやられている私に、アルベルト様がこっそり言った。
「僕は、父上にそっくりだから、僕は将来、父上みたいになるよ」
な、なんですってぇ!
目をキラキラしながらアルベルト様を見る私を、アルベルト様は、にっこり笑って、
「だから、これからも僕だけを見ていてね」
と、満足げにおっしゃった。
~完~
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