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「あぁ!? ルナリアだと? あの娘は死んだではないか!」
「だから、悪魔になって蘇ったのでしょう!
ルナリアが赤く発光しているのが何よりの証拠です!」
その会話を聞いて、周りの者が光の中心を見ると、その光は赤色から徐々に金色の光に変化していく。
金色一色となった光はルナリアを包み、それは悪魔ではなく、神々しさを放っていた。
しかし、マーク王子はそんな事に気付けず、攻撃的に叫ぶ。
「皆の者! 死んだはずの女が生き返った!
あの者こそ、この国に呪いをかけた張本人だ! あの者を捕まえ、今度こそ息の根を止めなければ、この国は滅びてしまうぞ!」
マークの言葉は、思いのほか周囲に大きく届き、その言葉で、衛兵たちはルナリアの元に向かい、一斉に剣を向ける。
「バカな事を言うな! ルナリア嬢は死んでなんかいない! お前たちが追いやったせいで、この国は滅びようとしているのだ!
ルナリア嬢こそ、精霊王の愛し子なのだぞ!」
ルイジアス殿下は、私を守りながらそう叫んだ。
私達の元に辿り着いたマーク王子は、その言葉に鼻で笑う。
「はっ! 誰が何を言うかと思えば!
貴殿はカルステイン帝国の皇太子ではないか。何故貴殿がその悪魔と一緒にいるのだ。
よもや、帝国の皇太子とあろうものが悪魔に魅入られたのではないだろうな!」
「そういう貴殿こそ、昔から変わらないな。
自分本位の考えに固執し、他の意見に耳を貸さない。そんなに視野が狭いから、ルナリア嬢の素晴らしさに気付くことが出来なかったのだな」
「何だと! 貴様こそ何の先触れもなしにこの国に来ているとはどういう事だ! ここはお前の庭ではないぞ! 無断でこの国に来ていたのだから、この場でその悪魔と一緒に片付けられても文句は言えまい!」
マーク王子のその言葉を受けて、ルイジアスはニヤリと笑う。
「望むところだ!」
そう言って、剣の鞘に手をかけると、周りを囲んでいた兵たちも、一斉に構えた。
「やめて!」
私はルイジアス殿下の前に出て、庇うように両手を広げた。
「ルナリア! 危ないから下がれ!」
「いいえ! 下がりません!」
ルイジアス殿下の言葉に反論し、マーク王子に向き直る。
「マーク王子。確かにわたくしは魔物の森に捨て置かれました。
しかし、わたくしは魔物の森で精霊たちに出会ったのです。その精霊たちのおかげで無事に隣国のカルステイン帝国まで辿り着く事が出来ました」
その言葉にマーク王子が胡乱げな眼差しで私を見る。
「精霊だと? 何を馬鹿げた事を」
「この国は元々、精霊王様や精霊たちによって守られていたのです。でも、この国の人たちは、精霊の存在を忘れてしまっていた。
災害にあって、ようやく精霊の事を思い出したのではないのですか? だから、こんな祭儀を催したのでしょう?」
その言葉にマーク王子、一瞬躊躇するも、すぐに攻撃的になる。
「だとしたら何だ! 国外追放になったお前が精霊の供物となればいいのではないのか! そうすれば、この国は救われる!」
そう言って、兵たちに「捕まえろ!」と、合図を出した。
「くそっ! 本当に話が通じないな!」
ルイジアス殿下が剣で応戦するも、どんどん傷付けられる。それでも必死に私を守ろうとしてくれるが、多勢に無勢。
私に向かって一筋の剣が振り下ろされそうになった。
「ルナリア!」
ルイジアス殿下が叫んだと同時に、私を包んでいた光が眩く発光し、その光は辺り一面を覆い尽くす。
その状態を見ていた観衆の1人が何かに気付き、空に向かって叫んだ。
「空に人が浮かんでいる!」
その言葉に皆が空を見上げると、いつの間にか雷や暴風雨が止んでいる。
空に浮かぶそれは神々しい光を放ち、金色の長い髪を靡かせながら、大きな翼を持った麗人であった。
「だから、悪魔になって蘇ったのでしょう!
ルナリアが赤く発光しているのが何よりの証拠です!」
その会話を聞いて、周りの者が光の中心を見ると、その光は赤色から徐々に金色の光に変化していく。
金色一色となった光はルナリアを包み、それは悪魔ではなく、神々しさを放っていた。
しかし、マーク王子はそんな事に気付けず、攻撃的に叫ぶ。
「皆の者! 死んだはずの女が生き返った!
あの者こそ、この国に呪いをかけた張本人だ! あの者を捕まえ、今度こそ息の根を止めなければ、この国は滅びてしまうぞ!」
マークの言葉は、思いのほか周囲に大きく届き、その言葉で、衛兵たちはルナリアの元に向かい、一斉に剣を向ける。
「バカな事を言うな! ルナリア嬢は死んでなんかいない! お前たちが追いやったせいで、この国は滅びようとしているのだ!
ルナリア嬢こそ、精霊王の愛し子なのだぞ!」
ルイジアス殿下は、私を守りながらそう叫んだ。
私達の元に辿り着いたマーク王子は、その言葉に鼻で笑う。
「はっ! 誰が何を言うかと思えば!
貴殿はカルステイン帝国の皇太子ではないか。何故貴殿がその悪魔と一緒にいるのだ。
よもや、帝国の皇太子とあろうものが悪魔に魅入られたのではないだろうな!」
「そういう貴殿こそ、昔から変わらないな。
自分本位の考えに固執し、他の意見に耳を貸さない。そんなに視野が狭いから、ルナリア嬢の素晴らしさに気付くことが出来なかったのだな」
「何だと! 貴様こそ何の先触れもなしにこの国に来ているとはどういう事だ! ここはお前の庭ではないぞ! 無断でこの国に来ていたのだから、この場でその悪魔と一緒に片付けられても文句は言えまい!」
マーク王子のその言葉を受けて、ルイジアスはニヤリと笑う。
「望むところだ!」
そう言って、剣の鞘に手をかけると、周りを囲んでいた兵たちも、一斉に構えた。
「やめて!」
私はルイジアス殿下の前に出て、庇うように両手を広げた。
「ルナリア! 危ないから下がれ!」
「いいえ! 下がりません!」
ルイジアス殿下の言葉に反論し、マーク王子に向き直る。
「マーク王子。確かにわたくしは魔物の森に捨て置かれました。
しかし、わたくしは魔物の森で精霊たちに出会ったのです。その精霊たちのおかげで無事に隣国のカルステイン帝国まで辿り着く事が出来ました」
その言葉にマーク王子が胡乱げな眼差しで私を見る。
「精霊だと? 何を馬鹿げた事を」
「この国は元々、精霊王様や精霊たちによって守られていたのです。でも、この国の人たちは、精霊の存在を忘れてしまっていた。
災害にあって、ようやく精霊の事を思い出したのではないのですか? だから、こんな祭儀を催したのでしょう?」
その言葉にマーク王子、一瞬躊躇するも、すぐに攻撃的になる。
「だとしたら何だ! 国外追放になったお前が精霊の供物となればいいのではないのか! そうすれば、この国は救われる!」
そう言って、兵たちに「捕まえろ!」と、合図を出した。
「くそっ! 本当に話が通じないな!」
ルイジアス殿下が剣で応戦するも、どんどん傷付けられる。それでも必死に私を守ろうとしてくれるが、多勢に無勢。
私に向かって一筋の剣が振り下ろされそうになった。
「ルナリア!」
ルイジアス殿下が叫んだと同時に、私を包んでいた光が眩く発光し、その光は辺り一面を覆い尽くす。
その状態を見ていた観衆の1人が何かに気付き、空に向かって叫んだ。
「空に人が浮かんでいる!」
その言葉に皆が空を見上げると、いつの間にか雷や暴風雨が止んでいる。
空に浮かぶそれは神々しい光を放ち、金色の長い髪を靡かせながら、大きな翼を持った麗人であった。
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