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聖女リセラが誕生後、第二王子ダミアンは浮かれていた。
(リセラが聖女だった。これで父上は、僕とリセラの仲を認めてくれるはずだ。
気位ばかり高いあの女とは、早く婚約破棄しなければ!)
ダミアンは、陛下にユーリとの婚約破棄を訴え、聖女リセラと婚約できるように願い出た。
「ダミアンよ。その聖女なのだが、どうやらあまり力が発揮出来ていないようだ。
あの者は本当に魔物討伐の時、聖女の力を発現したのか?」
陛下のその言葉に、ダミアンは必死になってあの時のことを説明した。
「何をおっしゃいますか! 確かに私は見たのです。魔物に襲われそうになった時、急にリセラの体が光に包まれ、周囲にいた魔物たちは一気に消滅しました!
深手を負った者に対しても、あっという間に治癒していました! あれほどの力は絶対に聖なる力に間違いありません!
陛下も、リセラの治癒魔法は確認されたでしょう⁉︎」
ダミアンの言葉に、陛下は困惑したような表情で、
「そ、そうか。しかし結界修復が、あまり上手くいっていないようだ。もう少し様子を見てみよう。
婚約の話は今はするでない。聖女が出現したからといって、すぐにミホーク公爵令嬢と婚約破棄をし、聖女と婚約すれば、公爵からも世論からも非難を受けることになるぞ。」
と、告げた。
陛下の言葉に、悔しそうに歯噛みするも、しかし一理あると考えたダミアンは、しぶしぶ訴えを取り下げた。
(……もっとリセラに力を発揮してもらい、陛下に認めてもらわなければ。
ユーリとの婚約破棄は、学園の卒業式に公衆の面前で堂々と行なってやる!)
ダミアンはリセラのいる教会に向かった。
「リセラはいるか?」
近くにいた修道女に尋ねると、
「聖女様は、今お部屋にて御休憩をなさっております」
とやや複雑な表情で答えた。
「呼んできてくれ。話があるんだ」
すぐにリセラを呼んでもらい、待っているとリセラはやや疲れた表情でやってきた。
「ダミアン様ぁ!わ、わたくし、もう!」
僕の顔を見るなり、涙をこぼし、泣きながら聖女の力を酷使されていると訴えた。
(聖女に対して! そして未来の王子妃、ゆくゆくは未来の王妃に対して酷使するとは何事だ!
力がうまく発揮できないのも、そのせいに違いない!)
そう考えたダミアンは、すぐに教皇に聖女を無理に働かせないよう訴え、聖女の力を使用するにあたり、色々な制約を行うように提案した。
最近、聖女に対する不満がちらほらと聞こえるようになった。
「聖女様の治療を受けるには、高額の治療費を払わないといけないらしい」
「治療を受けられる人数も、1日10人のみとか」
「聖女の力を貯めるために、しばらくは、結界の修復は行われないらしい」
「学業に専念すると言って、毎日のお祈りをしてないらしい」
最初は教会内のみでささやかれていた不満が、徐々に民衆に広がっていった。
主に治療が受けられる人たちは、金持ちの貴族たちばかりで、救護院にいる平民たちには目もくれないらしい。
しかし聖女に対して不満を言う事は不敬であり、結界が薄れている今、結界の修復ができる聖女はなくてはならない存在であることも周知されているため、表立って悪く言う者はいなかった。
学園にてリセラは、ダミアンやミゼル、オルガと共に昼食を共にしていた。
「ダミアン様ぁ。ダミアン様のおかげで、最近はようやく疲れもとれて、落ち着いて生活できるようになりましたわぁ。やはり、あの改善策は必要でしたのね!」
リセラに褒められて、ダミアンは嬉しそうだ。ミゼルやオルガも慌てて、
「リセラ! 君の活躍は、本当に素晴らしいものだ!」
「そうだとも! 誰も出来ないことをしているんだ! そんな君と懇意にしている僕達も鼻が高いよ!」
そう言って、口々に褒めた。
それを聞いたリセラは、思いついた。
(モブ女の始末は、この3人にしてもらいましょう。モブのくせに、聖女の力があるなんて生意気なのよ!)
リセラは急に顔を暗くし、
「でも……」
と、泣きそうな表情になった。
それを見て慌てた3人が、
「どうしたんだ⁉︎ 何か困った事でもあるのか?」
と、尋ねた。
「実は……。わたくしの他にも、結界の修復が出来る人がいると、小耳に挟んだのです。
わたくしが必死になって結界穴を修復しに行った時、付き添いで来ていた官僚の方が、もっと上手く修復出来る者がいると……。
比べられて、わたくしを小馬鹿にするようにおっしゃられました……。わたくしなんて、まだまだなんですわ!」
泣きながら訴えたリセラを見て、3人は憤慨した。
「誰だ! 勝手にそんなデマを言っているのは! 結界穴を修復出来る者がそうそういるはずないだろう!
リセラ、その官僚は、誰がその力を使えたと言っていたんだ?」
ダミアンは尋ねた。
「……ミーシャさんです」
リセラの返答を聞いたダミアン、オルガ、ミゼルは口々に怒りながら叫んだ。
「またあの女か!」
「聖女の力を騙るなんて許せない!」
「思い知らせてやりましょう!」
それらの言葉を聞きながら、リセラは彼らに見えない様にこっそりとほくそ笑んだ。
(リセラが聖女だった。これで父上は、僕とリセラの仲を認めてくれるはずだ。
気位ばかり高いあの女とは、早く婚約破棄しなければ!)
ダミアンは、陛下にユーリとの婚約破棄を訴え、聖女リセラと婚約できるように願い出た。
「ダミアンよ。その聖女なのだが、どうやらあまり力が発揮出来ていないようだ。
あの者は本当に魔物討伐の時、聖女の力を発現したのか?」
陛下のその言葉に、ダミアンは必死になってあの時のことを説明した。
「何をおっしゃいますか! 確かに私は見たのです。魔物に襲われそうになった時、急にリセラの体が光に包まれ、周囲にいた魔物たちは一気に消滅しました!
深手を負った者に対しても、あっという間に治癒していました! あれほどの力は絶対に聖なる力に間違いありません!
陛下も、リセラの治癒魔法は確認されたでしょう⁉︎」
ダミアンの言葉に、陛下は困惑したような表情で、
「そ、そうか。しかし結界修復が、あまり上手くいっていないようだ。もう少し様子を見てみよう。
婚約の話は今はするでない。聖女が出現したからといって、すぐにミホーク公爵令嬢と婚約破棄をし、聖女と婚約すれば、公爵からも世論からも非難を受けることになるぞ。」
と、告げた。
陛下の言葉に、悔しそうに歯噛みするも、しかし一理あると考えたダミアンは、しぶしぶ訴えを取り下げた。
(……もっとリセラに力を発揮してもらい、陛下に認めてもらわなければ。
ユーリとの婚約破棄は、学園の卒業式に公衆の面前で堂々と行なってやる!)
ダミアンはリセラのいる教会に向かった。
「リセラはいるか?」
近くにいた修道女に尋ねると、
「聖女様は、今お部屋にて御休憩をなさっております」
とやや複雑な表情で答えた。
「呼んできてくれ。話があるんだ」
すぐにリセラを呼んでもらい、待っているとリセラはやや疲れた表情でやってきた。
「ダミアン様ぁ!わ、わたくし、もう!」
僕の顔を見るなり、涙をこぼし、泣きながら聖女の力を酷使されていると訴えた。
(聖女に対して! そして未来の王子妃、ゆくゆくは未来の王妃に対して酷使するとは何事だ!
力がうまく発揮できないのも、そのせいに違いない!)
そう考えたダミアンは、すぐに教皇に聖女を無理に働かせないよう訴え、聖女の力を使用するにあたり、色々な制約を行うように提案した。
最近、聖女に対する不満がちらほらと聞こえるようになった。
「聖女様の治療を受けるには、高額の治療費を払わないといけないらしい」
「治療を受けられる人数も、1日10人のみとか」
「聖女の力を貯めるために、しばらくは、結界の修復は行われないらしい」
「学業に専念すると言って、毎日のお祈りをしてないらしい」
最初は教会内のみでささやかれていた不満が、徐々に民衆に広がっていった。
主に治療が受けられる人たちは、金持ちの貴族たちばかりで、救護院にいる平民たちには目もくれないらしい。
しかし聖女に対して不満を言う事は不敬であり、結界が薄れている今、結界の修復ができる聖女はなくてはならない存在であることも周知されているため、表立って悪く言う者はいなかった。
学園にてリセラは、ダミアンやミゼル、オルガと共に昼食を共にしていた。
「ダミアン様ぁ。ダミアン様のおかげで、最近はようやく疲れもとれて、落ち着いて生活できるようになりましたわぁ。やはり、あの改善策は必要でしたのね!」
リセラに褒められて、ダミアンは嬉しそうだ。ミゼルやオルガも慌てて、
「リセラ! 君の活躍は、本当に素晴らしいものだ!」
「そうだとも! 誰も出来ないことをしているんだ! そんな君と懇意にしている僕達も鼻が高いよ!」
そう言って、口々に褒めた。
それを聞いたリセラは、思いついた。
(モブ女の始末は、この3人にしてもらいましょう。モブのくせに、聖女の力があるなんて生意気なのよ!)
リセラは急に顔を暗くし、
「でも……」
と、泣きそうな表情になった。
それを見て慌てた3人が、
「どうしたんだ⁉︎ 何か困った事でもあるのか?」
と、尋ねた。
「実は……。わたくしの他にも、結界の修復が出来る人がいると、小耳に挟んだのです。
わたくしが必死になって結界穴を修復しに行った時、付き添いで来ていた官僚の方が、もっと上手く修復出来る者がいると……。
比べられて、わたくしを小馬鹿にするようにおっしゃられました……。わたくしなんて、まだまだなんですわ!」
泣きながら訴えたリセラを見て、3人は憤慨した。
「誰だ! 勝手にそんなデマを言っているのは! 結界穴を修復出来る者がそうそういるはずないだろう!
リセラ、その官僚は、誰がその力を使えたと言っていたんだ?」
ダミアンは尋ねた。
「……ミーシャさんです」
リセラの返答を聞いたダミアン、オルガ、ミゼルは口々に怒りながら叫んだ。
「またあの女か!」
「聖女の力を騙るなんて許せない!」
「思い知らせてやりましょう!」
それらの言葉を聞きながら、リセラは彼らに見えない様にこっそりとほくそ笑んだ。
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