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12 ヒロイン視点
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私には前世の記憶がある。
前世の私は幼い頃からぽっちゃり体型で、自分に自信がなく、高校3年生になっても人と話をすることが苦手で友達も少なかった。ネット上では姿を見せることもないため、色んなコミュニティサイトに入り、その中で知り合った人に勧められて始めたゲームが〈ミラクルガール・ラブアタック〉通称ミラアタだった。
衝撃だった。現実にはあり得ない素敵な男性たちとの恋の駆け引きや、甘いシュチュエーション。私はどんどんゲームにのめり込んでいった。
そこからの記憶が曖昧で、自分がいつ、何故死んだのか分からない。
でも、いま、ここ〈ミラクルガール・ラブアタック〉の世界にいるって事は、そういう事なのだろう。
この世界で私は、男爵令嬢として産まれたが、領地を持たないため、平民とそう変わらないくらい質素な生活を送っていた。
しかし仮にも貴族であるため、この国では学園に通わなければならない。
両親にお金を何とか工面してもらい、最低限の準備を整えて学園に入学した。
そして、入学式で新入生代表として挨拶をしていたダミアン第二王子殿下を見た途端、雷に打たれたような衝撃を受け、突然思い出したのだ。
ああ! 私はヒロインだ!
思い出した途端、顔を確認したくて入学式が終わったと同時に鏡を見た。
そうだ、この顔。ベビーピンクの緩やかなウェーブがかった柔らかな髪を肩下まで伸ばし、髪より濃いめのローズピンクの、やや垂れ目の大きな瞳。艶のある小さめのM字リップ。全体的に細くて、やや低めの身長は可愛らしい小動物を思わせる。
前世では、あんなに自分にコンプレックスを持っていたのが嘘のように、今の自分は完璧だ! この容姿なら高位貴族令息だろうが、王子様だろうがすぐに落とせる!
まず狙うは第二王子のダミアンね。聖なる力にも目覚めないといけないから、他の攻略対象者とも同時にイベント回収して好感度を上げていかないと。
ここはゲームの世界だから、ゲーム通りに進めていけば、上手くいくはず。
逆ハーもいいけど、私の大本命はダミアン攻略後に出てくる隠れ攻略キャラのシオン様よ!
何がなんでもシオン様と結婚して、聖女になった私はみんなに崇められながら、ゆくゆくはこの国の王妃になって贅沢三昧に暮らしていくのよ!
そう思ってたのに、まず第二王子ダミアンの婚約者である悪役令嬢が嫌がらせをしてこない。
親しくなる時期を勝手に早めたから、バグったかな? モブの婚約破棄で始まるオープニングから悪役令嬢が動きだすかも?
攻略対象たちや、その他の子息たちは簡単に自分に靡いてくれるし、気にしないでイベントを進めて行けばいいよね♪
そう考えて、順調に進めていたはずなのに、学園2年目の夏期休暇が明けた頃、いるはずのないシオン様が学園にいた。
え? なんで?
しかも、オープニングでしか出番のないモブ女と親しげに話してるなんて、どういう事?
やめてよ! シオン様は私のものなんだからねっ! モブはモブらしく大人しくしてなさいよね!
前世の私は幼い頃からぽっちゃり体型で、自分に自信がなく、高校3年生になっても人と話をすることが苦手で友達も少なかった。ネット上では姿を見せることもないため、色んなコミュニティサイトに入り、その中で知り合った人に勧められて始めたゲームが〈ミラクルガール・ラブアタック〉通称ミラアタだった。
衝撃だった。現実にはあり得ない素敵な男性たちとの恋の駆け引きや、甘いシュチュエーション。私はどんどんゲームにのめり込んでいった。
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でも、いま、ここ〈ミラクルガール・ラブアタック〉の世界にいるって事は、そういう事なのだろう。
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まず狙うは第二王子のダミアンね。聖なる力にも目覚めないといけないから、他の攻略対象者とも同時にイベント回収して好感度を上げていかないと。
ここはゲームの世界だから、ゲーム通りに進めていけば、上手くいくはず。
逆ハーもいいけど、私の大本命はダミアン攻略後に出てくる隠れ攻略キャラのシオン様よ!
何がなんでもシオン様と結婚して、聖女になった私はみんなに崇められながら、ゆくゆくはこの国の王妃になって贅沢三昧に暮らしていくのよ!
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親しくなる時期を勝手に早めたから、バグったかな? モブの婚約破棄で始まるオープニングから悪役令嬢が動きだすかも?
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そう考えて、順調に進めていたはずなのに、学園2年目の夏期休暇が明けた頃、いるはずのないシオン様が学園にいた。
え? なんで?
しかも、オープニングでしか出番のないモブ女と親しげに話してるなんて、どういう事?
やめてよ! シオン様は私のものなんだからねっ! モブはモブらしく大人しくしてなさいよね!
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