【完結】前世の因縁は断ち切ります~二度目の人生は幸せに~

らんか

文字の大きさ
上 下
32 / 43

31.逆襲②

しおりを挟む
 
「な、なんで……」
 
 クラスメイト達の姿を見たマリーナは、二の句が告げないでいた。
 
 
「貴女が、公爵家でどんな扱いを受けているのか、皆様が興味を持っていらしたので、見て頂こうとご招待しましたの。
 ありのままを見て頂きたくて、マリーナには内緒にしていたのよ。
 ビックリしたかしら? ごめんなさいね?」
 
 そう私が説明すると、顔を真っ赤にして私を睨んでくるも、その瞬間に態度を変えて、クラスメイト達に泣き真似をしながら訴えた。
 
 
「み、みなさん! なんて言ってここに連れて来られたのか知りませんが、これはルーシーの……いえ、ルーシー様がわたくしを陥れようとした計画なのですわ!」
 
 
 マリーナがそう涙ながらに訴えるも、クラスメイト達は冷めた視線をマリーナに送るばかりだ。
 
 
「あ……あの……。わたくし、ちょっと調子が悪くて、ついルーシー様に当たるようなマネを……。ルーシー様、申し訳ございません!」
 
 
 必死になって色々言うマリーナに、呆れたようにクラスメイトの一人が言った。
 
 
「マリーナさん、貴女、普段からルーシー様に虐められてこき使われているって言われてましたわよね?
 そんな人が、調子が悪いからって、ルーシー様にあんな態度、取れるのかしら?」
 
 一人がそう言った事を皮切りに、次々と皆がマリーナに言い始めた。
 
 
「ルーシー様がご祖父様やご両親から馬車を貰ったからって、ずるいってどういう立場でそんな事言えるのかしら?」
 
「全くだ。今までの態度は嘘だったんだな?
 公爵令嬢であるルーシー嬢に、男爵令嬢の君が何故呼び捨てで偉そうにしていたんだ?」
 
「それに、勝手にルーシー様のドレスを着た上に、自分の方が似合うからちょうだいだなんて、なんて恥知らずな言い分なの!?」
 
 
「それ以上に許せないのは、王子妃や王妃になるから、今から態度を改めろだって!?
 男爵令嬢のお前が王族と結婚出来るわけないだろ!」
 
 
 クラスメイト達の攻撃が止まらない。
 
 マリーナの実態を少し見せただけなのに、こんなに皆がマリーナを攻撃するとは思わなかった。
 
 
 そうよね。
 前世でも、今と同じような事をされてきた。
 その色々な仕打ちは、やはり誰もが怒って当たり前の事だったんだ。
 
 なんで前世の時は、あんなに我慢して誰にも言わなかったんだろう。
 伝え方は色々あったはずなのに。
 
 そこまで考えて、やはり前世では無理だったと思い直す。
 
 自分を信じてくれる存在がいてこそ、心を強く持って行動出来るんだ。
 だから、今世では行動出来て、このような結果を手に入れる事が出来た。
 
 
 今回、クラスメイト達を公爵家に呼ぶ上で、モニカに色々と協力してもらった。
 
 計画した当日に、ほぼ全員のクラスメイトを連れて来てくれたのだから、本当にモニカには頭が下がる。
 
 私一人では今日の計画は無理だった。
 
 
 公爵家に戻ってすぐに、この計画を相談し、協力してくれたのはメイドのジェシカだ。
 
 前から物欲しそうに見ていた私のドレスを、これみよがしに部屋に出してくれていたのもジェシカ。
 
 目に付いたらすぐに持って行ってしまう事は、もちろん前世からだから私は知っていたけど、ジェシカはマリーナが来た数週間の間に、マリーナのしそうな事を感じ取っていた。
 
 前世では、学園に上がる前に居なくなってしまったジェシカ。
 もしかしたら、前世ではマリーナからの横槍が入って、居られなくなってしまったのかもしれない。
 だってジェシカは、今世では全くこの屋敷を去る気配さえ見せないのだもの。
 
 幼い頃からの私の味方であるジェシカが屋敷に居てくれるだけで、こんなにも心強いなんて。
 
 今になって、そんな事に気付いた私は、ジェシカやモニカの存在が、本当に有難いと感じていた。
 
 
 
「さて、皆様。それくらいになさって?
 マリーナが生き生きとここで暮らしている事は、これで皆様にも分かって頂けたようで、わたくしも安心致しましたわ。
 急なお誘いにも関わらず、来て頂けた事、とても感謝しております。
 さぁ、お茶の準備が出来た頃でございますので、皆様、どうぞあちらへ」
 
 
 そう言って私は、クラスメイト達をもてなす。
 もちろん、この騒ぎの中、もてなしの準備をしてくれたのは、ジェシカ率いる公爵家のメイド達だ。
 
 (後でジェシカや他のメイド達にも、何かお礼をしなきゃね)
 
 
 クラスメイト達は、他のメイド達に促され、お茶の準備が出来ている部屋に案内された。
 
 もちろん、行く際、しっかりとマリーナを睨んだり、苦言を呈したりしながら。
 
 
 その場に残されたマリーナが、再度私に突っかかろうとした時、父付きの執事がマリーナを呼びに来た。
 
 
「マリーナ様、旦那様がお呼びです。執務室までご一緒に来てください。
 あと、ルーシーお嬢様も、お客様がお帰りになった後で、旦那様の元に来て頂けますようお願いします」
 
 
 執事にそう言われて、マリーナはまたしても憎々しげに私を睨む。
 
 
「分かりましたわ」
 と、私が返答した後にマリーナも頷いて、執事と共に屋敷内に入って行った。
 
 
しおりを挟む
感想 165

あなたにおすすめの小説

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

お姉様に恋した、私の婚約者。5日間部屋に篭っていたら500年が経過していました。

ごろごろみかん。
恋愛
「……すまない。彼女が、私の【運命】なんだ」 ──フェリシアの婚約者の【運命】は、彼女ではなかった。 「あなたも知っている通り、彼女は病弱だ。彼女に王妃は務まらない。だから、フェリシア。あなたが、彼女を支えてあげて欲しいんだ。あなたは王妃として、あなたの姉……第二妃となる彼女を、助けてあげて欲しい」 婚約者にそう言われたフェリシアは── (え、絶対嫌なんですけど……?) その瞬間、前世の記憶を思い出した。 彼女は五日間、部屋に籠った。 そして、出した答えは、【婚約解消】。 やってられるか!と勘当覚悟で父に相談しに部屋を出た彼女は、愕然とする。 なぜなら、前世の記憶を取り戻した影響で魔力が暴走し、部屋の外では【五日間】ではなく【五百年】の時が経過していたからである。 フェリシアの第二の人生が始まる。 ☆新連載始めました!今作はできる限り感想返信頑張りますので、良ければください(私のモチベが上がります)よろしくお願いします!

竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです

みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。 時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。 数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。 自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。 はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。 短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました を長編にしたものです。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

処理中です...