【完結】運命の宝玉~悪役令嬢にはなりません~

らんか

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宝玉編~

51.宝玉を巡って①

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「では、さっそく本題に入りましょう。
 エマ嬢、もしくは幻獣様からお話頂けるのでしょうか?」
 
 
 教皇様がそう言って、私とグレイに視線を向けた。
 
 
『我から話すにゃ。
 我は女神様より、この世界を壊そうする要因を取り除き、女神様にその要因となったものをお届けすることが、一番の目的であるにゃ。
 しかし、その要因となる物がなかなか手に入れる事が出来ないでいるのにゃ』
 
 
「その要因とは、どのような物なのですか?」
 
 
 話を聞いていた教皇様が尋ねてくる。
 
 
「それについては、わたくしからご説明致します」
 
 
 そう言って私は1歩前に出る。
 
 
「その要因となるものは、本来は神界にしか存在しない物。しかし、この世界に産まれる魂と共に、こちらの世界に入ってきてしまったのです」
 
 
 私はそう言って周りを見回し、誰からも質問がない事を確認した後、さらに説明を続けた。
 
 
「ソレは人間の悪意や欲などに耐性がない為、それらに触れる事で悪影響を受けてしまい、その悪意や欲をソレがどんどん吸収してしまっているそうです。
 その吸収が限界に達してしまった時、ソレが破裂してこの世界をも巻き込むような大爆発が起きるそうです」
 
 
 私の説明に、陛下が教皇様を見て本当の事なのかを確認している。
 教皇様は陛下の視線に大きく頷いた。
 
「まさに私が感じ取った事です。
 何やらこの国が今にも爆発に巻き込まれそうな予感を感じ取りました」
 
 
「して、ソレはどんな物で、何処にあるのか分かっているのだろうか?」
 
 
 陛下の問いに私は頷き、アリアの方を見る。
 
 
 
「ソレは本来、宝玉と呼ばれる物です。
 宝玉はある人が持っております。
 そして、その人が多分生まれた時からずっと持っている物で、今も肌身離さず持っているかと。
 そうよね? アリア様」
 
 
 私がアリアの方を見てそう言うと、一斉に皆がアリアに注目する。
 
 
 
「アリア嬢が持っている? 生まれた時から?
 どういう事だ?」
 
 
 陛下の質問はもっともだ。
 私はアリアに向き直り、改めてアリアに問う。
 
 
「アリア様、貴女がこの世界に転生する時に女神様から祝福を頂いたでしょう?
 その後で転生する間際に、女神様の所にあった物を持って転生したわよね?」
 
 
 私の質問に、アリアは少し動揺しながらも、私を訝しげに見た。
 
 
「はぁ? エマさん、何を言っているの? 私はそんな危ない物、持ってないわよ!」
 
 
 アリアのその言葉を受け、アステルがアリアを庇うようにしながら私を睨む。
 
 
「根拠のない言いがかりはやめてくれないかな。アリアはそんな危険な物など持っていない!
 しかも、転生とかよく分からない事を言って、アリアを悪者に仕立て上げようとしているのか!?」
 
 
 そう叫んでいるアステルの事は無視して、アリアに宝玉の特徴を伝える。
 
 
 
 
「この世界に来て、宝玉は形を変えています。
 本来は虹色に輝く小さな玉ですが、この世界に来てその宝玉は、他の人には赤い魔石のように見えているそうです。
 でも、私にはちゃんと虹色に輝く玉に見えていました。
 アリア様、貴女もそうでしょう?
 
 でも最近は、どんどん黒くなっていき、大きく変化していっている。
 
 心当たり、あるよね? アリア様」
 
 
 
「え……まさか……で、でも……」
 
 
 私のその言葉に、アリアは動揺している。
 
 
 アステルもその赤い魔石に心当たりがあったのか、
「赤い魔石? 確かに出会った頃、アリアはずっと持っていた……。
 あ、でもあれはペンダントトップに使ったはず。
 最近は別の赤黒い大きめの魔石を持ち歩いてるよな? 私はずっと、アリアは魔石が好きなのかとずいぶんと魔石をプレゼントしたし……」
 と呟いていた。
 
 その言葉を聞いて、アステルに伝える。
 
「まさにソレですね。
 最初の頃の赤い魔石と最近の物は同一のものです。最近見られた魔石は、年月を経て悪意や人の欲を吸い込んだものだと思われます」
 
 
 私の言葉にアリアは慌てた様子で否定する。
 
 
「あ、あれは私のラッキーアイテムなのよ!
 そんな話、信じられるわけないじゃない!」
 
 アリアはそう叫び、部屋から飛び出ようとした。
 
 しかし、部屋のドア前にすかさずグレイが移動し、アリアの動きを止めた。
 
 
『何処に行くつもりニャ? 逃げるニャ』
 
 
 グレイの言葉に、アリアは叫ぶ。
 
 
「な、何なのよこれは!? こんなの知らない!
 私はただ、ラッキーアイテムに願い事を祈っただけよ!? 何も悪い事などしていないわ!」
 
 
 そう叫びながら、スカートのポケットの中に入っているものを握りしめていた。
 
 
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