【完結】運命の宝玉~悪役令嬢にはなりません~

らんか

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王立学園編~後編

46.魔法大会決勝戦

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 いよいよ魔法大会決勝戦が始まる。
 会場内は観覧席が満員で、凄い熱気だ。
 
 
 試合会場にて両者が前に出ると、試合開始の笛が鳴る。
 
 
「覚悟しろよ!」
 
 
 先程の勢いのまま、アステルは光魔法を展開し、剣に纏わせて私に向かって斬りかかって来た。
 
 
 私は、今まで聖属性と光属性、そして空間魔法しか使っていない。
 それは多分、この試合後に調べられるであろう私の属性と魔力が再度測定し直す事になった時、画面に表記される属性のその3つが明らかになるからだ。
 もう1つ、?属性の表記は出るが、その内容はこの世界の人には分からない物。
 
 だから私は、まだその?属性は覚醒されていない事にしようと思っていたのだ。
 
 しかし、それでは本当の力を見せつけられないのではないか?
 
 このアホ王子は、1度コテンパンにやられて、プライドをズタズタにへし折らなければ、この国を任せるに足りる人にはならないのではないだろうか?
 
 
 そう思わされる程、多分私はこの王子に苛立っていたのだろう。
 
 後から考えるとやり過ぎたのかもしれない。
 
 でも、この時はこの方法が1番だと思ったのだ。
 
 
 
「エレメント発動」
 
 
 この五大要素を持った魔法は、短い詠唱を要する。
 
 すると、火・水・土・風・木の五要素のエネルギーが発動する。
 
 手のひらを天に向かって掲げると、それらは絡み合いながら螺旋状のエネルギーとなって、私の手のひらに集結する。
 私はそのエネルギーをアステルに向けて一気に解放した。
 
 
「なっ!? その力は何……うわあああ!!」
 
 
 アステルは大きな叫びと共に、場外まで一気に吹き飛ばされた。
 
 
 この魔法は、グレイとの修行中に、前世の記憶を元に編み出した魔法だ。アニメか何かで見たと思うけど、何か派手な大技を使ってみたかった。
 いきなり適当に想像して出したこの技は、初めて発動した時、全く力調整が出来ずにぶっ放した為、次の瞬間には山の一角がすっ飛んで消えていた。
 流石に威力が高すぎだと、グレイにドン引きされ、力調整出来るようにその後すごく頑張って練習した。
 
 
 一国の王子を死なすわけにもいかないので、今回も力の加減はしておいた。はずだ。
 
 
 だから……
 
 
 うん、多分大丈夫よね?
 
 
 
 
「今の、何?」
「あんな魔法って、存在するの?」
「ちょっとよく分からなかったんだけど、どういう事だ?」
 
 
 会場中の観客らや関係各者は、エマの放った魔法が理解出来ないでいた。
 しかし、アステルが場外に飛ばされていった事で、勝敗がついたことだけは理解出来た。
 
 審判も棒立ちやになって、呆然としている。
 
「こほっ。んん。審判様?」
 
 審判は私の声掛けにようやくハッとして、勝敗の決定を皆に告げた。
 
 
「勝者、エマ・ベルイヤ!」
 
 
 審判の叫びに、呆然となっていた他の観客や、関係者たちは一斉に驚き、そして歓声の声が上がった。
 
 
 
「終わった……」
 
 
 私はホッと息をついて場外に出る、
 
 外には、セリーヌ、グレイ、レイラが待っていてくれていた。
 
 
「もう! 本当に凄いんだから! おめでとう、エマ!」
 
 そう言ってセリーヌが抱きついてきた。
 
「あんな凄い魔法は今まで見た事がありません。凄く興味深いです。さすがはエマ様です」
 
 レイラも笑顔で褒めてくれる。
 
「おつかれ。エマの凄さを皆に見せ付ける事が出来たな」
 
 グレイは私の頭をわしゃわしゃと撫でながら、そう言った。
 
「みんな、ありがとう! みんなが応援してくれたから心強かったの。だからみんなのおかげよ」
 
 私はみんなに頭を下げてお礼を言う。
 
 
「みずくさいですわよ、エマ! さぁ、もうすぐ表彰式でしょ? 主役が遅れたら格好つきませんわ! 早く行ってらっしゃいな」
 
 
 セリーヌに背を押されながら、また会場内に戻る。
 
 
 
 係員に呼ばれて、表彰式が行われた。
 
 
 
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