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王立学園編~前編
26.図書室にて①
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次の日よりさっそくエマは自分の属性について調べ始めた。
学園内にある図書室で、色んな属性について調べてみる。
想像魔法は、昨日の事で自ら欲した事を想像しながら念じる事で発動する事は理解した。
しかし、光属性と空間属性についてはよく分かっていない。
光属性は聖属性に次ぐ希少な属性だ。
この学園にも光属性はいる。同じ学年だと、4人が光属性だと認識していた。
光属性と対になるのは闇属性だ。
この闇属性も希少な存在だが、闇を扱うため、忌み嫌われる傾向にある。
なので、進んで闇属性と名乗る者は少なく、この学園には闇属性となる者はいなかった。
光属性は主に光を使った攻撃魔法が多い。聖属性は攻撃に特化していないから、ラケシス様が身を守る術として光属性も与えてくれたのだろうか。
これからはこっそり光魔法の練習もしておく事にしよう。
あとは空間属性魔法か。
色んな特殊属性があるこの世界では、その人独自の使い方がある。特殊属性は、一般魔法学を学んだ後は、特に師を仰ぐこともなく独自で使い方を見つけていかなければならない。
なので、同じ特殊属性を持っていても十人十色で決まった使い方がないのが特徴だ。
これも考え方としては想像魔法の一種なのでは無いだろうか。
そういえば、お祖父様の引力魔法も特殊属性の1つだ。お祖父様はその特殊属性を自分なりにちゃんと使いこなしていた事を思い出した。
「私が考える空間といったら、まずはアイテムボックスかな」
この世界にアイテムボックスはない。
何も無い空間から物を出し入れするなんて、普通は想像もつかないだろう。
「アイテムボックスがこの世界になくて良かった。それこそそこに宝玉をしまわれたら、絶対回収出来ないものね」
あえて想像魔法の中ではなく、空間属性として授けてくれたのは何故だか分からないけど、他にも空間魔法を利用できる何かを考えながら自分なりの使い方を模索していこう。
そんなことを考えながら本を読んでいると、突然目の前に影がかかった。
「エマ・ベルイヤ」
名前を呼ばれ顔を上げると、そこには第1王子のアステルと、宰相の息子マイク、大司教息子のレスターが立っている。
はぁ……。またか。
今度はどんな因縁をつけてくるのか……。
「はい。何か御用でしょうか?」
あの食堂での出来事から、その後も度々王子達に因縁をつけられていた。
こっちはなるべく関わりたくないのに、何故いちいち突っかかってくるのだろう。
しかもいつもグレイがいない時を狙って。
「お前。この前の魔法学の授業で無詠唱をしたらしいな。一体どんな手を使ったんだ?」
「どんな手とは?」
「大方、アリアに対抗したくて汚い手を使ったのだろう!」
アステルの次に、マイクがそう言ってくる。
この人がセリーヌの婚約者とは……。
「どんな汚い手を使ったら無詠唱で魔法が放てるというのでしょう? 言いがかりは止めて頂きたいですわね」
私がそう言うと、今度はレスターが怒り出す。
「貴様! 生意気な! アリアに敵わないからと今まで散々汚い手を使ってきたくせに!」
何だか無性にムカムカしてきた。
何故やってもいない、なんの根拠もない事でこんなにも蔑まれ、責められなければならないのだろう。
「その、今までも汚い手というのは、どういった事ですか? 全く謂れのない事でこんなにも責められるのは心外です。激しく抗議しなければならないようですね」
自分の本来の魔力と属性を知った私は、気が大きくなっていたのは否めない。
でも、明らかに何の根拠もなければ証拠もない事でこんなにも責められるのは我慢ならないのだ。
「ずいぶんな態度だな。我々は今まで散々アリアから聞いているのだぞ。アリアに対する嫌がらせの数々をな!」
私はアステルがそう叫ぶのを、冷めた目で見ていた。
この人が将来、この国の王になる可能性があるのか。証拠もなしに先走るから、まだ王太子ではないのかも知れないな。とても国を統べる器には見えない。
そんな事を考えていると、図書室にグレイがやって来る。
「エマ。どうした?」
「グレイ」
グレイは私に声を掛けてから、チラッとアステル達を見た。
「これは第1王子殿下。どうしたのです? 図書室で大声を出すのはマナー違反では?」
グレイの言葉に、アステルはグッと歯をかみ締める。
アステルが、グレイがいない時を狙って私に攻撃をしかけるには理由がある。
グレイは、この王国より何倍もの大きさと戦力を持った帝国の公爵家の嫡男という設定だ。
当然、この国への影響力は大きい。
一方、アステルは第1王子ではあるが、あまり力のない家の側妃の子である為、力関係が弱い。
だから、まだ王太子には任命されておらず、アステルは、グレイとは友好的な関係を築くよう陛下に言われているようだ。
帝国との友好的な関係と、後ろ盾となってくれる大貴族を手に入れてこそアステルは王太子に任命される。
その為、グレイを怒らせるわけにはいかない。
また、後ろ盾となってくれる大貴族を手に入れるには、そこの令嬢を婚約者に据えるのが1番手っ取り早い。
だからこそ、聖女候補ではあるが実家は男爵家のアリアではなく、他の力ある家の令嬢を婚約者にと側妃側は探しているのだろう。
アリアと婚約していない理由はそれだったと、後日セリーヌに教えてもらって知ったのだ。
その婚約者候補の中に多分、我が家も含まれている事をこの王子は知っているのだろうか?
知っていてこの態度なら、私は選ばれる事は無いなと、少し安心した。
学園内にある図書室で、色んな属性について調べてみる。
想像魔法は、昨日の事で自ら欲した事を想像しながら念じる事で発動する事は理解した。
しかし、光属性と空間属性についてはよく分かっていない。
光属性は聖属性に次ぐ希少な属性だ。
この学園にも光属性はいる。同じ学年だと、4人が光属性だと認識していた。
光属性と対になるのは闇属性だ。
この闇属性も希少な存在だが、闇を扱うため、忌み嫌われる傾向にある。
なので、進んで闇属性と名乗る者は少なく、この学園には闇属性となる者はいなかった。
光属性は主に光を使った攻撃魔法が多い。聖属性は攻撃に特化していないから、ラケシス様が身を守る術として光属性も与えてくれたのだろうか。
これからはこっそり光魔法の練習もしておく事にしよう。
あとは空間属性魔法か。
色んな特殊属性があるこの世界では、その人独自の使い方がある。特殊属性は、一般魔法学を学んだ後は、特に師を仰ぐこともなく独自で使い方を見つけていかなければならない。
なので、同じ特殊属性を持っていても十人十色で決まった使い方がないのが特徴だ。
これも考え方としては想像魔法の一種なのでは無いだろうか。
そういえば、お祖父様の引力魔法も特殊属性の1つだ。お祖父様はその特殊属性を自分なりにちゃんと使いこなしていた事を思い出した。
「私が考える空間といったら、まずはアイテムボックスかな」
この世界にアイテムボックスはない。
何も無い空間から物を出し入れするなんて、普通は想像もつかないだろう。
「アイテムボックスがこの世界になくて良かった。それこそそこに宝玉をしまわれたら、絶対回収出来ないものね」
あえて想像魔法の中ではなく、空間属性として授けてくれたのは何故だか分からないけど、他にも空間魔法を利用できる何かを考えながら自分なりの使い方を模索していこう。
そんなことを考えながら本を読んでいると、突然目の前に影がかかった。
「エマ・ベルイヤ」
名前を呼ばれ顔を上げると、そこには第1王子のアステルと、宰相の息子マイク、大司教息子のレスターが立っている。
はぁ……。またか。
今度はどんな因縁をつけてくるのか……。
「はい。何か御用でしょうか?」
あの食堂での出来事から、その後も度々王子達に因縁をつけられていた。
こっちはなるべく関わりたくないのに、何故いちいち突っかかってくるのだろう。
しかもいつもグレイがいない時を狙って。
「お前。この前の魔法学の授業で無詠唱をしたらしいな。一体どんな手を使ったんだ?」
「どんな手とは?」
「大方、アリアに対抗したくて汚い手を使ったのだろう!」
アステルの次に、マイクがそう言ってくる。
この人がセリーヌの婚約者とは……。
「どんな汚い手を使ったら無詠唱で魔法が放てるというのでしょう? 言いがかりは止めて頂きたいですわね」
私がそう言うと、今度はレスターが怒り出す。
「貴様! 生意気な! アリアに敵わないからと今まで散々汚い手を使ってきたくせに!」
何だか無性にムカムカしてきた。
何故やってもいない、なんの根拠もない事でこんなにも蔑まれ、責められなければならないのだろう。
「その、今までも汚い手というのは、どういった事ですか? 全く謂れのない事でこんなにも責められるのは心外です。激しく抗議しなければならないようですね」
自分の本来の魔力と属性を知った私は、気が大きくなっていたのは否めない。
でも、明らかに何の根拠もなければ証拠もない事でこんなにも責められるのは我慢ならないのだ。
「ずいぶんな態度だな。我々は今まで散々アリアから聞いているのだぞ。アリアに対する嫌がらせの数々をな!」
私はアステルがそう叫ぶのを、冷めた目で見ていた。
この人が将来、この国の王になる可能性があるのか。証拠もなしに先走るから、まだ王太子ではないのかも知れないな。とても国を統べる器には見えない。
そんな事を考えていると、図書室にグレイがやって来る。
「エマ。どうした?」
「グレイ」
グレイは私に声を掛けてから、チラッとアステル達を見た。
「これは第1王子殿下。どうしたのです? 図書室で大声を出すのはマナー違反では?」
グレイの言葉に、アステルはグッと歯をかみ締める。
アステルが、グレイがいない時を狙って私に攻撃をしかけるには理由がある。
グレイは、この王国より何倍もの大きさと戦力を持った帝国の公爵家の嫡男という設定だ。
当然、この国への影響力は大きい。
一方、アステルは第1王子ではあるが、あまり力のない家の側妃の子である為、力関係が弱い。
だから、まだ王太子には任命されておらず、アステルは、グレイとは友好的な関係を築くよう陛下に言われているようだ。
帝国との友好的な関係と、後ろ盾となってくれる大貴族を手に入れてこそアステルは王太子に任命される。
その為、グレイを怒らせるわけにはいかない。
また、後ろ盾となってくれる大貴族を手に入れるには、そこの令嬢を婚約者に据えるのが1番手っ取り早い。
だからこそ、聖女候補ではあるが実家は男爵家のアリアではなく、他の力ある家の令嬢を婚約者にと側妃側は探しているのだろう。
アリアと婚約していない理由はそれだったと、後日セリーヌに教えてもらって知ったのだ。
その婚約者候補の中に多分、我が家も含まれている事をこの王子は知っているのだろうか?
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