27 / 66
王立学園編~前編
26.図書室にて①
しおりを挟む
次の日よりさっそくエマは自分の属性について調べ始めた。
学園内にある図書室で、色んな属性について調べてみる。
想像魔法は、昨日の事で自ら欲した事を想像しながら念じる事で発動する事は理解した。
しかし、光属性と空間属性についてはよく分かっていない。
光属性は聖属性に次ぐ希少な属性だ。
この学園にも光属性はいる。同じ学年だと、4人が光属性だと認識していた。
光属性と対になるのは闇属性だ。
この闇属性も希少な存在だが、闇を扱うため、忌み嫌われる傾向にある。
なので、進んで闇属性と名乗る者は少なく、この学園には闇属性となる者はいなかった。
光属性は主に光を使った攻撃魔法が多い。聖属性は攻撃に特化していないから、ラケシス様が身を守る術として光属性も与えてくれたのだろうか。
これからはこっそり光魔法の練習もしておく事にしよう。
あとは空間属性魔法か。
色んな特殊属性があるこの世界では、その人独自の使い方がある。特殊属性は、一般魔法学を学んだ後は、特に師を仰ぐこともなく独自で使い方を見つけていかなければならない。
なので、同じ特殊属性を持っていても十人十色で決まった使い方がないのが特徴だ。
これも考え方としては想像魔法の一種なのでは無いだろうか。
そういえば、お祖父様の引力魔法も特殊属性の1つだ。お祖父様はその特殊属性を自分なりにちゃんと使いこなしていた事を思い出した。
「私が考える空間といったら、まずはアイテムボックスかな」
この世界にアイテムボックスはない。
何も無い空間から物を出し入れするなんて、普通は想像もつかないだろう。
「アイテムボックスがこの世界になくて良かった。それこそそこに宝玉をしまわれたら、絶対回収出来ないものね」
あえて想像魔法の中ではなく、空間属性として授けてくれたのは何故だか分からないけど、他にも空間魔法を利用できる何かを考えながら自分なりの使い方を模索していこう。
そんなことを考えながら本を読んでいると、突然目の前に影がかかった。
「エマ・ベルイヤ」
名前を呼ばれ顔を上げると、そこには第1王子のアステルと、宰相の息子マイク、大司教息子のレスターが立っている。
はぁ……。またか。
今度はどんな因縁をつけてくるのか……。
「はい。何か御用でしょうか?」
あの食堂での出来事から、その後も度々王子達に因縁をつけられていた。
こっちはなるべく関わりたくないのに、何故いちいち突っかかってくるのだろう。
しかもいつもグレイがいない時を狙って。
「お前。この前の魔法学の授業で無詠唱をしたらしいな。一体どんな手を使ったんだ?」
「どんな手とは?」
「大方、アリアに対抗したくて汚い手を使ったのだろう!」
アステルの次に、マイクがそう言ってくる。
この人がセリーヌの婚約者とは……。
「どんな汚い手を使ったら無詠唱で魔法が放てるというのでしょう? 言いがかりは止めて頂きたいですわね」
私がそう言うと、今度はレスターが怒り出す。
「貴様! 生意気な! アリアに敵わないからと今まで散々汚い手を使ってきたくせに!」
何だか無性にムカムカしてきた。
何故やってもいない、なんの根拠もない事でこんなにも蔑まれ、責められなければならないのだろう。
「その、今までも汚い手というのは、どういった事ですか? 全く謂れのない事でこんなにも責められるのは心外です。激しく抗議しなければならないようですね」
自分の本来の魔力と属性を知った私は、気が大きくなっていたのは否めない。
でも、明らかに何の根拠もなければ証拠もない事でこんなにも責められるのは我慢ならないのだ。
「ずいぶんな態度だな。我々は今まで散々アリアから聞いているのだぞ。アリアに対する嫌がらせの数々をな!」
私はアステルがそう叫ぶのを、冷めた目で見ていた。
この人が将来、この国の王になる可能性があるのか。証拠もなしに先走るから、まだ王太子ではないのかも知れないな。とても国を統べる器には見えない。
そんな事を考えていると、図書室にグレイがやって来る。
「エマ。どうした?」
「グレイ」
グレイは私に声を掛けてから、チラッとアステル達を見た。
「これは第1王子殿下。どうしたのです? 図書室で大声を出すのはマナー違反では?」
グレイの言葉に、アステルはグッと歯をかみ締める。
アステルが、グレイがいない時を狙って私に攻撃をしかけるには理由がある。
グレイは、この王国より何倍もの大きさと戦力を持った帝国の公爵家の嫡男という設定だ。
当然、この国への影響力は大きい。
一方、アステルは第1王子ではあるが、あまり力のない家の側妃の子である為、力関係が弱い。
だから、まだ王太子には任命されておらず、アステルは、グレイとは友好的な関係を築くよう陛下に言われているようだ。
帝国との友好的な関係と、後ろ盾となってくれる大貴族を手に入れてこそアステルは王太子に任命される。
その為、グレイを怒らせるわけにはいかない。
また、後ろ盾となってくれる大貴族を手に入れるには、そこの令嬢を婚約者に据えるのが1番手っ取り早い。
だからこそ、聖女候補ではあるが実家は男爵家のアリアではなく、他の力ある家の令嬢を婚約者にと側妃側は探しているのだろう。
アリアと婚約していない理由はそれだったと、後日セリーヌに教えてもらって知ったのだ。
その婚約者候補の中に多分、我が家も含まれている事をこの王子は知っているのだろうか?
知っていてこの態度なら、私は選ばれる事は無いなと、少し安心した。
学園内にある図書室で、色んな属性について調べてみる。
想像魔法は、昨日の事で自ら欲した事を想像しながら念じる事で発動する事は理解した。
しかし、光属性と空間属性についてはよく分かっていない。
光属性は聖属性に次ぐ希少な属性だ。
この学園にも光属性はいる。同じ学年だと、4人が光属性だと認識していた。
光属性と対になるのは闇属性だ。
この闇属性も希少な存在だが、闇を扱うため、忌み嫌われる傾向にある。
なので、進んで闇属性と名乗る者は少なく、この学園には闇属性となる者はいなかった。
光属性は主に光を使った攻撃魔法が多い。聖属性は攻撃に特化していないから、ラケシス様が身を守る術として光属性も与えてくれたのだろうか。
これからはこっそり光魔法の練習もしておく事にしよう。
あとは空間属性魔法か。
色んな特殊属性があるこの世界では、その人独自の使い方がある。特殊属性は、一般魔法学を学んだ後は、特に師を仰ぐこともなく独自で使い方を見つけていかなければならない。
なので、同じ特殊属性を持っていても十人十色で決まった使い方がないのが特徴だ。
これも考え方としては想像魔法の一種なのでは無いだろうか。
そういえば、お祖父様の引力魔法も特殊属性の1つだ。お祖父様はその特殊属性を自分なりにちゃんと使いこなしていた事を思い出した。
「私が考える空間といったら、まずはアイテムボックスかな」
この世界にアイテムボックスはない。
何も無い空間から物を出し入れするなんて、普通は想像もつかないだろう。
「アイテムボックスがこの世界になくて良かった。それこそそこに宝玉をしまわれたら、絶対回収出来ないものね」
あえて想像魔法の中ではなく、空間属性として授けてくれたのは何故だか分からないけど、他にも空間魔法を利用できる何かを考えながら自分なりの使い方を模索していこう。
そんなことを考えながら本を読んでいると、突然目の前に影がかかった。
「エマ・ベルイヤ」
名前を呼ばれ顔を上げると、そこには第1王子のアステルと、宰相の息子マイク、大司教息子のレスターが立っている。
はぁ……。またか。
今度はどんな因縁をつけてくるのか……。
「はい。何か御用でしょうか?」
あの食堂での出来事から、その後も度々王子達に因縁をつけられていた。
こっちはなるべく関わりたくないのに、何故いちいち突っかかってくるのだろう。
しかもいつもグレイがいない時を狙って。
「お前。この前の魔法学の授業で無詠唱をしたらしいな。一体どんな手を使ったんだ?」
「どんな手とは?」
「大方、アリアに対抗したくて汚い手を使ったのだろう!」
アステルの次に、マイクがそう言ってくる。
この人がセリーヌの婚約者とは……。
「どんな汚い手を使ったら無詠唱で魔法が放てるというのでしょう? 言いがかりは止めて頂きたいですわね」
私がそう言うと、今度はレスターが怒り出す。
「貴様! 生意気な! アリアに敵わないからと今まで散々汚い手を使ってきたくせに!」
何だか無性にムカムカしてきた。
何故やってもいない、なんの根拠もない事でこんなにも蔑まれ、責められなければならないのだろう。
「その、今までも汚い手というのは、どういった事ですか? 全く謂れのない事でこんなにも責められるのは心外です。激しく抗議しなければならないようですね」
自分の本来の魔力と属性を知った私は、気が大きくなっていたのは否めない。
でも、明らかに何の根拠もなければ証拠もない事でこんなにも責められるのは我慢ならないのだ。
「ずいぶんな態度だな。我々は今まで散々アリアから聞いているのだぞ。アリアに対する嫌がらせの数々をな!」
私はアステルがそう叫ぶのを、冷めた目で見ていた。
この人が将来、この国の王になる可能性があるのか。証拠もなしに先走るから、まだ王太子ではないのかも知れないな。とても国を統べる器には見えない。
そんな事を考えていると、図書室にグレイがやって来る。
「エマ。どうした?」
「グレイ」
グレイは私に声を掛けてから、チラッとアステル達を見た。
「これは第1王子殿下。どうしたのです? 図書室で大声を出すのはマナー違反では?」
グレイの言葉に、アステルはグッと歯をかみ締める。
アステルが、グレイがいない時を狙って私に攻撃をしかけるには理由がある。
グレイは、この王国より何倍もの大きさと戦力を持った帝国の公爵家の嫡男という設定だ。
当然、この国への影響力は大きい。
一方、アステルは第1王子ではあるが、あまり力のない家の側妃の子である為、力関係が弱い。
だから、まだ王太子には任命されておらず、アステルは、グレイとは友好的な関係を築くよう陛下に言われているようだ。
帝国との友好的な関係と、後ろ盾となってくれる大貴族を手に入れてこそアステルは王太子に任命される。
その為、グレイを怒らせるわけにはいかない。
また、後ろ盾となってくれる大貴族を手に入れるには、そこの令嬢を婚約者に据えるのが1番手っ取り早い。
だからこそ、聖女候補ではあるが実家は男爵家のアリアではなく、他の力ある家の令嬢を婚約者にと側妃側は探しているのだろう。
アリアと婚約していない理由はそれだったと、後日セリーヌに教えてもらって知ったのだ。
その婚約者候補の中に多分、我が家も含まれている事をこの王子は知っているのだろうか?
知っていてこの態度なら、私は選ばれる事は無いなと、少し安心した。
128
お気に入りに追加
466
あなたにおすすめの小説

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
マーベル子爵とサブル侯爵の手から逃げていたイリヤは、なぜか悪女とか毒婦とか呼ばれるようになっていた。そのため、なかなか仕事も決まらない。運よく見つけた求人は家庭教師であるが、仕事先は王城である。
嬉々として王城を訪れると、本当の仕事は聖女の母親役とのこと。一か月前に聖女召喚の儀で召喚された聖女は、生後半年の赤ん坊であり、宰相クライブの養女となっていた。
イリヤは聖女マリアンヌの母親になるためクライブと(契約)結婚をしたが、結婚したその日の夜、彼はイリヤの身体を求めてきて――。
娘の聖女マリアンヌを立派な淑女に育てあげる使命に燃えている契約母イリヤと、そんな彼女が気になっている毒舌宰相クライブのちょっとずれている(契約)結婚、そして聖女マリアンヌの成長の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる