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第16章
つらい現実(6)
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「蒼月。麻井先輩のこと、好きか?」
前に同じようなことを聞かれた時、そんなんじゃない、と否定して見せた。
まだ『好き』の自覚こそなくても、あの時にはもう流奈は特別だったのに。
だけど、もう誤魔化さない。
気持ちはちゃんと自分の中にあって、もうどうにもできないほどに大きくなってる。
違う、と簡単に言えるほど、流奈への気持ちは安くも軽くもない。
「ああ、大好きだよ」
多少の照れくささはあるもののはっきり言って、流奈への気持ちを再確認した。
その言葉だけじゃ言い表せないくらい、想いが深すぎる。
でも、それ以上の言葉なんてわからないし、思いつかない。
だから、知っている言葉で伝えることしかできなくて、それが少し歯痒く感じた。
「流奈がいなくなっても流奈がいた証は残ってる。俺の中にい続けるんだ、ずっと」
それは、いつか流奈が言った言葉。
あの時はその意味がよくわかっていなかったけど、今ならわかる。
側にいなくても自分の中の想いが消えない限り、いつまでも生き続けるんだ。
「そこまで想える人に出会えた蒼月は幸せだな。きっと麻井先輩もそうだったはずだ」
「…だといいけどな」
「そうに決まってるよ。俺はほとんど話したことはないけどさ、蒼月と一緒にいる時いつも幸せそうに笑ってた。あれは誰でも出せるもんじゃねえよ」
俺の中の流奈は笑顔で、年上だと思えないほどに無邪気だった。
振り回されてばかりいたけど、一緒にいられるのが嬉しかったし楽しかった。
後悔はいくつかある。
でもそれは仕方のないことで、きっとどんなことをしても後悔は必ず残っていた。
俺は俺なりに、自分ができる精一杯のことをしていた。
流奈を想ってしたこと、それがどんなに的外れなことだったとしてもきっと間違ってなかった。
「麻井先輩を幸せにしてたのは、蒼月、お前の存在そのものだよ」
励ましとか慰めとか、そうじゃない。
聖也はきっと本気でそう思って、こんなことを言ってくれるんだ。
その優しさや思いやりに触れると胸がギュッと縮むのは、流奈のそれと似た形をしているからだ。
聖也と話し終えてから外に出る。
ふと仰げた空はどこまでも青くて、七色の虹が架かっているのが見えた。
アスファルトはまったく濡れていなくて、雨が降った形跡なんてどこにもない。
なのに虹が出ているなんて、まるで流奈が出しているみたいだ。
『虹があっくんと私を繋ぐ架け橋になるんだよ』
いつかの流奈の言葉が蘇る。
あの時はなにをバカなことを言ってるんだと思ったけど、あれは本当のことだった。
虹は俺達を引き合わせてくれた、会う場所を作ってくれた。
そうして流奈と時間を共有して、お互いに想いを募らせていった。
俺と流奈を繋いでくれた虹――それは今日も、確かに存在していた。
旅立ってもなお、彼女が俺と繋がろうとしているように思えた。
「流奈、今日も虹が綺麗だよ」
悲しいくらい、切ないくらい。
流奈がいた時と同じように、そこにある虹は変わらずに鮮やかだった。
心の中にある流奈への想いのように、それはいつまでも消えてなくならなかった――。
前に同じようなことを聞かれた時、そんなんじゃない、と否定して見せた。
まだ『好き』の自覚こそなくても、あの時にはもう流奈は特別だったのに。
だけど、もう誤魔化さない。
気持ちはちゃんと自分の中にあって、もうどうにもできないほどに大きくなってる。
違う、と簡単に言えるほど、流奈への気持ちは安くも軽くもない。
「ああ、大好きだよ」
多少の照れくささはあるもののはっきり言って、流奈への気持ちを再確認した。
その言葉だけじゃ言い表せないくらい、想いが深すぎる。
でも、それ以上の言葉なんてわからないし、思いつかない。
だから、知っている言葉で伝えることしかできなくて、それが少し歯痒く感じた。
「流奈がいなくなっても流奈がいた証は残ってる。俺の中にい続けるんだ、ずっと」
それは、いつか流奈が言った言葉。
あの時はその意味がよくわかっていなかったけど、今ならわかる。
側にいなくても自分の中の想いが消えない限り、いつまでも生き続けるんだ。
「そこまで想える人に出会えた蒼月は幸せだな。きっと麻井先輩もそうだったはずだ」
「…だといいけどな」
「そうに決まってるよ。俺はほとんど話したことはないけどさ、蒼月と一緒にいる時いつも幸せそうに笑ってた。あれは誰でも出せるもんじゃねえよ」
俺の中の流奈は笑顔で、年上だと思えないほどに無邪気だった。
振り回されてばかりいたけど、一緒にいられるのが嬉しかったし楽しかった。
後悔はいくつかある。
でもそれは仕方のないことで、きっとどんなことをしても後悔は必ず残っていた。
俺は俺なりに、自分ができる精一杯のことをしていた。
流奈を想ってしたこと、それがどんなに的外れなことだったとしてもきっと間違ってなかった。
「麻井先輩を幸せにしてたのは、蒼月、お前の存在そのものだよ」
励ましとか慰めとか、そうじゃない。
聖也はきっと本気でそう思って、こんなことを言ってくれるんだ。
その優しさや思いやりに触れると胸がギュッと縮むのは、流奈のそれと似た形をしているからだ。
聖也と話し終えてから外に出る。
ふと仰げた空はどこまでも青くて、七色の虹が架かっているのが見えた。
アスファルトはまったく濡れていなくて、雨が降った形跡なんてどこにもない。
なのに虹が出ているなんて、まるで流奈が出しているみたいだ。
『虹があっくんと私を繋ぐ架け橋になるんだよ』
いつかの流奈の言葉が蘇る。
あの時はなにをバカなことを言ってるんだと思ったけど、あれは本当のことだった。
虹は俺達を引き合わせてくれた、会う場所を作ってくれた。
そうして流奈と時間を共有して、お互いに想いを募らせていった。
俺と流奈を繋いでくれた虹――それは今日も、確かに存在していた。
旅立ってもなお、彼女が俺と繋がろうとしているように思えた。
「流奈、今日も虹が綺麗だよ」
悲しいくらい、切ないくらい。
流奈がいた時と同じように、そこにある虹は変わらずに鮮やかだった。
心の中にある流奈への想いのように、それはいつまでも消えてなくならなかった――。
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