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終 章
後日談1
しおりを挟む◯檜山 武臣【 1月24日 午前11時00分 】
『…先日一月十二日に、高崎大和容疑者三十三歳が、恐喝の疑いで逮捕されました。高崎容疑者は、四年前まで犯罪組織ISMYに所属しており、半年前に釈放されたばかりでした。今回高崎容疑者は、服役前懇意にしていた女性を数回に渡り恐喝し、現金数百万円を脅し取ったとのことです。警察はその恐喝に至るまでの経緯も含めて、調べを進めていく方針です』
病院にて。
なんて事のない昼前の雰囲気。十畳程度の個室病棟であるこの部屋は、窓が大きく太陽の光が大量に入り込み、明るい空間を作り出していた。俺はベッドの上に仰向けで寝転び、天井をぼうっと見つめながら、テレビのニュース番組を見る…いや、キャスターの話す内容を耳で聴く。
本当は上半身を起こしてきちんと映像も見たいところだが、いかんせん今の俺の体は、それをすることができない状態である。
「檜山さーん。来たわよ」
部屋の入り口方向より、女性の声が聞こえた。そちらに首のみ向けると、そこにはキャバクラ愛彩の店長、篠山玲子が立っていた。
グレーのロング丈コート、黒のニット生地をしたシャツにデニムのパンツ。いつもと違い大人しめな服装だが、真っ白な顔、厚化粧であることは変わらない。
カツカツと、ヒールの音が室内に鳴り響く。俺は瞬きを何度かする。
「おお、玲子か」名前を呼ぶと、玲子は嬉しそうに片手を挙げた。
「調子はどう?って、まあ。会ったのは昨日だし、あまり変わらないかな」
彼女はそう言いながら、(俺からは見えないが)ベッドの横に置いてある丸椅子に、よいしょと腰を下ろした。
「ああ。でも昨日と比べると、大分痛みは治まってきたかもしれんな」
俺は彼女に向かって軽く頭を上下に揺らした。二週間前のことである。俺は西街郊外の路上で、鷺沼崇に包丁で腹部を刺され重傷を負い、意識を失った。
しかし、俺は死ななかった。生命力が強いのか、はたまた体が丈夫なのか。内臓も大きく損傷しており、その出血量とこの寒い時期に長時間の放置。通常の人間であれば命は無かったと、この病院の医者は笑いながら話していた。
目を覚ましたのは、ちょうど一週間前の一月十七日である。喉の渇きと息苦しさを感じ、俺は今際の際より現世に呼び戻された。
そして現在に至る。命があったとはいえ、やはり重傷であったことには変わりなく、未だ腰辺りより下半身は麻痺したような感覚のままである。
ただ医者によれば、体を動かす大事な神経は傷付いていないそうだ。傷が癒え、リハビリ等で歩く感覚を取り戻せば、健常者と変わらない生活を送れるとのことだった。
玲子はにっこりと、笑みを浮かべる。
「そ。良かったわ、本当に。あなたが重体で病院に運ばれたって噂を聞いてから、私ずっと落ち着かなかったんだから」
「心配かけたなあ」
「痛みが治まってきたのなら、あとは傷が塞がれば、退院もすぐかもね。そうすれば、また前みたく怖いもの無し!な檜山さんに戻る訳ね」
「…まあな。そうは言っても、注射は苦手になっちまったけどなあ。点滴をする時は毎回嫌になるよ」
鷺沼に包丁で刺された感覚が、体に染み付いているのだろうか。目を覚ましてから、俺は針や刃のついた物が、体に入るのはもちろん見ることも苦手になってしまった。これが、俗に言うトラウマというやつなのだろう。
「ふふ。あなたの顔に体格でまさか注射が苦手なんて、ギャップがあって可愛いじゃないの」
「ほっとけ…うっ、いてえいてえ」
溜息をつくが、それが横隔膜に伝わり腹部を軽く刺激する。それを見て、玲子はクスクスと笑う。
「ちょっともう。大丈夫?看護師の方、呼ぼうか」
「い、いや。これはよくやっちまうんだ」
たちまち彼女の眉間に皺が入った。
「よくって…痛むなら溜息なんかついちゃ駄目よ」
「ああ。分かっているよ」そう言いつつ、俺は横に座る玲子の顔を見た。
「ん?どうかした?」
彼女は不思議そうに、俺の顔を見る。
「いや、あの。お前、この時間店は大丈夫なのか?」
「やあねえ。うちの店は午後五時から開店よ。分かっているくせに」
「そうだけどよ、開店前にやる仕事とか。色々とあるんじゃないんかい」
そう言うと、玲子は手を口に当て、またも軽く笑う。
「心配してくれるの?」
「まあ。こう毎日来てくれるから、ありがたい反面申し訳なくてなあ」
「あらあら。檜山さんからそんなしおらしい言葉が出るなんて。珍しいこともあるのね」
「あのなあ…」
「ありがとう、でも大丈夫よ。ちょっと訳ありで、少し店はお休みにしているから。心配しないで」
「ん?そうか」
そうにっこりと笑う彼女の透き通った瞳を綺麗と思いつつも、俺は本当に申し訳無く思っていた。
目が覚めてから今まで一週間。この間、玲子はほぼ毎日ここに来て、様々な世話をしてくれている。これまでは店に行った際に面倒に感じた部分もあったが、今はそれも俺を好いていてくれるからこその行為と考えれば、可愛く思えた。
「そういえば。あなたを刺した鷺沼さん、もう当分出てくることができないそうよ」
冷蔵庫の中からお茶を取り出し、コップに注ぎながら、玲子は言う。
「ははあ。そりゃ、そうだろう。俺を刺したこともそうだが、小林も、柳瀬川の野郎についても殺っちまってんだから。何が原因で、あいつをあそこまで駆り立てたのかは分かりゃあしないが…」
彼女からコップを受け取り、一気に飲み干す。口内の渇きが潤う。俺をこんな目にした鷺沼だが、あの後近隣の派出所の警官に取り押さえられ、そのまま逮捕された。
俺が受けた匿名電話、Aだったか。その人物の言うとおり、鷺沼は本当に、小林を殺害していたようだ。警察の話によると、十二月三十日の夜、口論になった末に…とのことである。鷺沼本人の証言から、小林の遺体も人里離れた山奥から発見された。
警察が教えてくれたことは、それだけだった。小林を殺した理由までは分かったが、もう一人の柳瀬川まで殺した理由は分からない。また、鷺沼が使用した拳銃の入手方法についても。
そして、鷺沼の動向を俺に報告して来た、Aの本当の目的は何だったのか。結局彼もしくは彼女は何がしたかったのか。どうして、鷺沼の動向を把握できたのか、その方法も分からない。
しかしもはやどうでも良かった。Aが誰だったか、それを考えても答えを見つけ出すことなんて不可能である。たとえ警察に伝えたとしても、大した証拠も無い今の状態では意味が無い。
それにそんなことに時間を割くよりも、これだけ仕事に穴を空けてしまったことの方が大事だ。復帰した後の業務が大変だな…と憂うばかりであった。
「檜山さん、檜山さん」
「ん?」
玲子が足元から、何やら大きな物を取り出した。そのバスケットの中には、林檎やバナナ、キウイ等、様々な果物が所狭しと並んでいる。
「おお」
「これ、持って来たの。早く治るよう、栄養摂らないとね」
林檎を一つ手に取ると、いつの間に持っていたのだろうか、彼女は果物ナイフを表面にあて、丁寧に皮を剥いていく。
「玲子、ありがとうな」
「良いのよ。その代わり、元気になったらたっぷり、お店に来てもらわなきゃね」
「もちろん、退院したその日に行ってやるよ」
「約束よ?」
そうして、彼女は俺の顔の真横に、皮を剥いた林檎が乗った小皿を置いた。一切れ手に取り、口に放り込む。しゃりしゃりとしていて瑞々しい。確か、林檎の旬は過ぎているというのに、ここまで甘味を感じると言うのは、下半身同様味覚が軽く麻痺というか、おかしくなっているのだろうか。
「そういえば、一つ謝ることがあってね」
「ん、謝ること?」
「うん。この前小林さんの捜索で、檜山さんうちの店に来たじゃない」
「ああ、えーっと、九日の話か。行ったな」
結局のところその時既に小林は鷺沼に殺されていたため、あの捜索も意味が無かった訳だが。
「その帰り際。私、ちづるの件で一つ聞いたでしょ?」
「あ。ああ、そうだったな」
そうだった。自分の身に起こったことで頭が一杯で、ちづるのことをすっかり忘れていた。確か一月十日、彼女と会った時に『来週には店に顔を出す』と約束していたのである。たとえ重傷で意識がなかったとしても、彼女はそれを知る由も無いし、第一そんなことで許してくれはしないだろう。
…ということは。改めて玲子の顔を見る。ちづるは全て、俺との関係を正直に話してしまったのだろうか。おそらく俺に好意を抱いている玲子にとって、それは面白くないはずだ。
「あのな、玲子」
「あの件だけど、もう大丈夫だから。気にしないでね」
「え?」
どう弁明しようか考えようとしたところ、玲子は微笑んで言った。
「ど、どういう…」
「心配する必要、無くなっちゃったのよ。あの子、もううちの店にいないから」
「店に、いない?」
どういうことだ。一ヶ月前に復帰したばかりだというのに、また辞めたというのか。
「そうそう。あーあ、最近じゃあ彼女、お店の稼ぎ頭だったから本当に残念よ。東京に戻って来る際は口利きまでしてあげたのに…あの子少し、調子に乗り過ぎたのよね。全く」
ごくり、と。つばを飲み込む。
「玲子…」
「大体あなたと釣り合うと、本気で思っていたのかしら。そうだとしたら、筋違いよね。あんな経験浅い小娘が、何を考えていたんだか。まあもう、心配いらないんだけど」
ま、まさか。この女は。
「あんなちゃちな植物でも案外効くものね。あの日、カオルが途中で早退してくれて良かったわ。お陰であの子の名前が使えたから。彼女、他の女の子たちとあまり上手くいってなくて。他の子の名前を、使う訳にはいかなかったのよ」
彼女が何を言っているのか、それは分からない。しかし分からずとも、それが恐ろしいことであることは、どんなに勘の悪い人間だとしても、理解できるだろう。
また、今の発言で俺はやっと、気付くべきことに気付いてしまった。彼女がちづるのことを源氏名のアンナでは無く、わざわざちづると本名で呼んでいることを。瑞季のことはカオルと言っているのに。
一月九日の時も同様だったはず。要するに、彼女は俺を試していたのだ。本当にちづると懇意にしていないのであれば、「ちづるって誰だ?」と俺は答えるだろう。そうならず、そのまま話が続くようであれば、確実に…少なくとも本名を知る程の仲であるということは、把握できるはずである。
そして、彼女はちづるに問い質す。…とは言いつつも、ちづるが正直に言うとは思えない。恐らく仕事中、ロッカーを開けて携帯か何か、中身を見て真偽をはっきりさせたのだろう。店長である彼女なら、それができる。そして、俺との関係に気付く。
「そのせいでお店は少し、休業しなきゃいけなくなったんだけど。ああ、疲れるわよ」
「おい、お前もしかして…」
「檜山さん」
そこで玲子は、俺の目を見て言った。先程は透き通って見えた瞳が、今は深い、どこまでも深い黒で濁って見えた。
「約束よ。復帰したら、必ずお店に来るの。待っているから」
俺に拒否権など無い。それはもはや、至極当然のことであった。
◯新田 弘明 【 1月13日 午前10時00分 】
「新田さん。柳瀬川さんが来なくなってから、もう三日目になりましたね」
いつもどおり警備室で仕事をしていると、このスカイタワーシティホテルの主任である、霧島克樹が訪ねて来た。
「き、霧島主任!こんな所まで、わざわざお越しいただき…!」
俺は椅子から立ち上がり、深く頭を下げる。霧島はまあまあ、と両手で制する。
「まだ、連絡はとれないのですか?」
「…ええ、家にもいないようで。本当に困った奴です。無断欠勤なんて、今時アルバイトでも早々しないっていうのに」
「うーん、そうですか」
霧島は顎鬚を片手で摩りながら、考え込むような仕草をする。
「まあ彼に何かあったにせよ、こちらとしては、あなた方の会社と契約している訳です。分かりますか?」
「は、はい!」
「あなた個人と契約してはいませんし、代わりの人は派遣してもらえないと困る訳です」
「え、ええ!それはもう!本当に!」
俺が必死にそう伝えると、霧島は頷き、鋭い眼光を俺に向ける。
「明日には、よろしくお願いします」
「あ、明日ですか!」
「ええ。通常、人員に穴が空くこと自体おかしな話です。仕様上、欠員が出た時は速やかに補充を行うということでしたよね」
「ま、まあ。そうでしたが…」
「もしできないのであれば、パートナーガードさんの本部の方と直接お話しさせていただきます」
「は…」
「良いですね。よろしくお願いします」
「りょ、了解ました!」
俺のお辞儀を一瞥し、彼は部屋を出て行った。
「くそっ」
柳瀬川が使っていた椅子を蹴る。靴から衝撃が伝わり、軽く爪先が痺れてきた。
柳瀬川はどうしてしまったのだろうか。彼とはおよそ一年の間、一緒に仕事をしてきたが、無断欠勤をしたことは一度も無かった。確かに仕事に対する意欲は無かったが、何も言わずに休むなんて…それだけは無かったはずだ。
(まさか、本当に?)
二日前、この警備室で会話した内容を思い出す。
『…本当に機会があれば、別の…もっとやりがいのある仕事をやってみたいという欲はありますよ。柳瀬川さんもそうでしょう?』
『その思い、これからよく考えてみるのも良いかもしれませんね。私みたく、諦めてしまう前に。まだ間に合うと思いますよ』
(あの野郎。本当に、もっとやりがいのある仕事を探すため…それか見つけたため、ここに来ないのか?)
俺としては彼を焚きつける反面、もし上手くいくのであれば自主退職してもらうよう優しく、オブラートに包みながら伝えたつもりだった。
しかし実際にはまさか、彼がそれを本当に実行するとは思っていなかった。彼のような小心者じゃあ、それすらもままならないことが分かっていたから。
要するに、単純に嫌味を言ってストレス発散をしたかっただけなのだ。それにしても、辞めるなら辞めるできちんとしたやり方があるだろう。本部にも言わず(ましてや同じ職場の俺にも)、何も言わずに辞めるなんて、学生でもあるまいし。一体何年社会人をやってきているのか。
はあ…溜息が出る。明日には、なんて。無理に決まっているだろうに。他の会社じゃどうなのかは知らないが、パートナーガードは万年人手不足である。本部に電話しても、即この仕事に見合う人間なんて、見つかりっこない。
ああ、苛々する。ここの警備主任として、俺は本部から言及されるだろう。柳瀬川の仕出かしたことで、何回も頭を下げなければならないかと思うと、今から憂鬱である。
「くそ、くそ、くそ」
(柳瀬川…早く戻ってこい)
◯柳瀬川 春子【 1月11日 午後10時00分 】
そんな…和彦が亡くなったなんて。
「嘘でしょ」
今日、午前中に警察の人間が数人家にやってきて、そう告げられた。何でも鷺沼とかいう男に、拳銃で撃たれた…そうだ。
その鷺沼に加えてもう一人犯人がおり、鷺沼はそのもう一人に和彦を殺すよう促された…と言うが、そんなことはどうでもいいことだった。重要なのは、和彦がもうこの世にいないということ。それが一番の問題だった。
「どうして、どうしてよ」
室内がやけに暗いと思ったが、真夜中と呼べる時間帯になっていたのか。警察からの連絡を受けたのが午前十時頃だったはずなので、およそ十二時間も、私はこうしていたということになる。思った以上に、衝撃が強かったようだ。
「はあ」
溜息をつく。いつもこうだ。私は本当に、男運が無い。
和彦と会う前、初めに結婚した高崎大和は、友人に誘われた合同コンパで知り合った。最初は男らしさのある魅力的な男性と思えたのだが、結婚した途端に本性を現した。実態は気に食わないことがあると暴力を振るうDV男であり、挙げ句の果てには浮気、加えてIS…何とかの犯罪組織に入っていることが分かった。
屑。世間一般的に誰が見ても、そう思う程に屑な男。だからこそ、次に結婚するのであれば、私の言うことを何でも聞いてくれるような。そんな男が良かった。
夫の和彦は、それまでに何人もきちんと見合いをした中で一番気弱で、従順そうであった。彼なら私の希望を全て叶えてくれる。恐らく大和のように理不尽な要求はしてこないだろうし、毎日が辛いと感じることも無くなるだろう。そう感じた。
そして結婚後も私の思惑どおり、彼は本当に扱い易かった。怒ったふりをすれば何でも言うことをきく。私にとって、最高の夫を手に入れたと。そう思っていたというのに…
結局は無駄なことだった。こうして私の元からいなくなるのなら、何の意味もない。
「…これからどうすれば良いのよ」
専業主婦ではない事が唯一の救いだ。しかしパートの給料ではこのマンションで暮らしていくことはできそうにないし、第一独り身にここまで広い部屋は不要だ。
引っ越しか。しかし引っ越しも、全て和彦に任せていた身である。どこから手をつけていいのか。ああ、それもそうだが、和彦が死んで色々とやらなきゃいけない事がある。葬儀場の手配もそうだし、世帯主変更や保険の名義変更もそうだし、それに、それに…
「はあ。もう、嫌」
人間万事塞翁が馬とは良く言ったものである。私は深く溜息をついた。
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