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第四章 新出ちづると柳瀬川和彦の場合2
六 ◯ ————【 1月10日 午後7時00分 】
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柳瀬川との電話を切った後、衣服の内ポケットに忍ばせていたボイスチェンジャー、タオル、そしてセロハンテープを取り出した。
予め非通知でかかるよう、頭に三桁を入れ、続けて番号を入力する。後は通話ボタンを押せばつながる…という状態にしておく。変声機の電源を入れ、それと自分の携帯を一緒にしてタオルで何重にも巻き、テープでしっかりと止める。
これで準備は万端。しかし慣れたものだ。タオルの間に指を差し込み、通話ボタンを押した。
耳を近付けると、コール音が聞こえてくる。よし。落ち着け、大丈夫。昨日と同様、気丈に振る舞えば良い。まあそうは思っても、自然と緊張はするものだ。体中から脂汗が出てくる感覚。気持ちが悪い。
『…もしもし』
しかしそんな緊張の昂りも収まらないうちに、声が聞こえた。まるで、自分のことを待っていたかのような早さである。
「こんばんは、檜山さん」
このボイスチェンジャー、雑貨店で安く仕入れたものではあるが、無事に機械を通したようなくぐもった声、になっているのだろうか。まあ昨日一度会話して気付かれなかったということは、何の問題も無いだろう。
『お前…Aか』
電話した相手、檜山の声が聞こえる。Aと言われて自分のことと把握するまでに一瞬考えてしまった。そうだった、昨日彼に電話した際、咄嗟にそう名乗ったんだったっけな。先日柳瀬川から聞いた「A」が、頭に残っていたのだ。
「調子はどう? 鷺沼には会えた?」
そう訊くと、何とも歯切れの悪い言い方で言葉を返してくる。まあ、実際取り逃がしている分悔しさもあるのだろう。ここで、少々この男をからかってやろうと考えた。
「逃げられたんでしょ?見ていたよ」
『え?』
もちろん、彼が鷺沼を逃した瞬間など見ていない。柳瀬川より、電話で聞いた程度の情報しか持っていない。しかし相手を驚かせるには十分だった。電話口から一時声が聞こえなくなる。自分が放った言葉を聞いて、周囲を見回しているのか。
(檜山、お前の周り…どこを見回そうと誰もいないぞ)
笑いがこみ上げてくる。
「折角会えたのに、残念だね」
そう言った瞬間、我慢できずにくくく、と笑いが溢れた。
『…確かに。昨日聞いたとおり鷺沼はこのホテルにいた。つまり嘘ではなかった、ということになる。一先ず感謝するよ』
からかわれたことをまるで無かったかのように、檜山は先を続ける。そんな彼の態度が、少々頭にきた。
「だから単なる情報共有だって言っただろ。変な情報なんて共有しないよ。それなのに、勝手に檜山さんが疑っただけじゃん」
『まあな。しかしそうなるとやはり、お前が何者かということが気になってくる。何故俺に伝えるのかということも』
ああ。またか。当然といえば当然だが、自らの正体を晒すような情報を与える訳が無いだろうに。溜息をつきつつ軽く否定し、それから鷺沼の動向が分かるということを彼に暗に示した。
『お前、鷺沼の居場所が分かるのか?』
やはり食いつきが良い。それはそうだ。「得体の知れない者からの情報であっても、鷺沼の居場所を聞き出したい」。おそらく彼の頭の中ではまさに猫の手も借りたい程、切羽詰まっているのだろう。
『それでは教えてもらいたい。鷺沼は今どこにいるんだ』
檜山にそう問われ、すぐに回答しようしたところを思い留まった。眉間にしわを寄せて考える。時刻はまだ午後七時。計画では柳瀬川の仕事が終わった後…午後十時以降まで、彼には暇を潰して貰う必要があるのだった。
『どうした?』
電話からは、檜山の催促の声が聞こえる。さて、どうするか。顔を歪ませ、唸る。その時、ふと頭の中に考えが浮かんだ。
「あのさ。そう簡単に全部を教えるのもつまらないなって」
『はっ?』
「考えた。今の段階だと檜山さんにはこれだけ教えることにするよ。鷺沼はこのホテルから離れ、西街方面へ逃げた。どう、結構重要な情報でしょ?」
苦肉の策としては名案だった。彼は鷺沼が、まさかホテル目の前の喫茶店にいるとは知らない。そんな彼に、鷺沼がホテルの外、西街方面へ逃げたと言えば、彼も同様にそこへ向かうだろう。しかし鷺沼は今も変わらず、喫茶店の中である。奴がその場所にいるのは、柳瀬川の仕事終わりを尾行し、誰もいなくなった機会を狙うつもりなのだろう。故に、奴が喫茶店から出ることは考えにくい。
そうなると、檜山は見当違いの場所を闇雲に探すことになるのだ。西街は広いし、時間稼ぎにはちょうど良いだろう。
(…いや、待てよ)
それで完全に安心はできない。午後十時まで後三時間、それだけ時間があれば、西街からまたホテル周辺に戻って来る可能性もあり得る。外は寒い。そうなると、目指す場所は鷺沼がいる喫茶店である。檜山が店に入れば、全てが終わりだ。彼が柳瀬川を狙うチャンスを逃すことになる。
…そうだ。アンナだ。檜山がよく愛彩を訪れることは知っている。もしかすると、あの子が利用できるかもしれない。後に柳瀬川経由で頼んでみるべきか。
彼からの返事は無い。
「どうしたの?檜山さん、黙っちゃって」
そう問いかけても、変わらず返事はない。まあその沈黙については察しがつく。彼自身の気持ちとしては、今すぐにでも鷺沼の居場所を教えてもらい、彼を捕まえたい。故に、焦らすことに対し不満があるのだろう。
加えて、彼は自分が操られているかのように感じており、猜疑心にも囚われているに違いない。それは当然だ。自分が彼の立場なら、同様に相手の思惑を図ろうとするに違いないから。
「大丈夫だよ。檜山さん」
あくまで安心させるために、軽く言った。
「今はそうだっていうだけで、頃合になったらちゃんと教えてあげるからさ。それも、今日中に絶対。安心してよ」
彼は沈黙を決め込んでいたが、はぁと溜息をついた。
『…分かった。とりあえず今は、奴がこのホテルにいないという情報だけでもとても助かる。まあ、それが本当に正しい情報であれば、の話だが』
一々嫌味な言い方をする奴だ。全く、頭にくる。まあ鷺沼の居場所は実際に嘘をついているため、彼のその疑念は当たっているのだが。
「おいおい、まだ疑っているのかよ。そんなに疑い深いと、ストレスで長生きできないぞ。それじゃあ、また少し後に連絡するからね」
彼と同様に嫌味を吐き捨て、電話を切った。
それにしても…檜山武臣。なんて不憫な奴だ。部下を鷺沼に殺され、その理由も分からず数日の間その部下を探して走り回り、昨日今日とどこの誰かも分からぬ匿名電話に翻弄されているのだから。
例えばここが舞台の上…推理ものの物語であれば、彼は犯人に踊らされ続ける、いわば喜劇役者の一人である。そして、大体そういった人物は物語の途中で死ぬ。それは虚構のみならず、現実であっても変わらない。もはや彼の運命、行く末というものは決まっている。そう、人生というものは成るべくして成る、まさにそのとおりである。
さて。計画を立ててそれを実行するのは良いが、やはり予想どおり、百パーセント上手くいくなんてことは無かったようだ。まあそれでも、少々不備はあるにしても、計画どおりといえば計画どおりである。ただしこれがこの後も同様かというと、絶対とは言い切れない。
とりあえず今は冷静に。落ち着いて。成功することを願うばかりだった。
予め非通知でかかるよう、頭に三桁を入れ、続けて番号を入力する。後は通話ボタンを押せばつながる…という状態にしておく。変声機の電源を入れ、それと自分の携帯を一緒にしてタオルで何重にも巻き、テープでしっかりと止める。
これで準備は万端。しかし慣れたものだ。タオルの間に指を差し込み、通話ボタンを押した。
耳を近付けると、コール音が聞こえてくる。よし。落ち着け、大丈夫。昨日と同様、気丈に振る舞えば良い。まあそうは思っても、自然と緊張はするものだ。体中から脂汗が出てくる感覚。気持ちが悪い。
『…もしもし』
しかしそんな緊張の昂りも収まらないうちに、声が聞こえた。まるで、自分のことを待っていたかのような早さである。
「こんばんは、檜山さん」
このボイスチェンジャー、雑貨店で安く仕入れたものではあるが、無事に機械を通したようなくぐもった声、になっているのだろうか。まあ昨日一度会話して気付かれなかったということは、何の問題も無いだろう。
『お前…Aか』
電話した相手、檜山の声が聞こえる。Aと言われて自分のことと把握するまでに一瞬考えてしまった。そうだった、昨日彼に電話した際、咄嗟にそう名乗ったんだったっけな。先日柳瀬川から聞いた「A」が、頭に残っていたのだ。
「調子はどう? 鷺沼には会えた?」
そう訊くと、何とも歯切れの悪い言い方で言葉を返してくる。まあ、実際取り逃がしている分悔しさもあるのだろう。ここで、少々この男をからかってやろうと考えた。
「逃げられたんでしょ?見ていたよ」
『え?』
もちろん、彼が鷺沼を逃した瞬間など見ていない。柳瀬川より、電話で聞いた程度の情報しか持っていない。しかし相手を驚かせるには十分だった。電話口から一時声が聞こえなくなる。自分が放った言葉を聞いて、周囲を見回しているのか。
(檜山、お前の周り…どこを見回そうと誰もいないぞ)
笑いがこみ上げてくる。
「折角会えたのに、残念だね」
そう言った瞬間、我慢できずにくくく、と笑いが溢れた。
『…確かに。昨日聞いたとおり鷺沼はこのホテルにいた。つまり嘘ではなかった、ということになる。一先ず感謝するよ』
からかわれたことをまるで無かったかのように、檜山は先を続ける。そんな彼の態度が、少々頭にきた。
「だから単なる情報共有だって言っただろ。変な情報なんて共有しないよ。それなのに、勝手に檜山さんが疑っただけじゃん」
『まあな。しかしそうなるとやはり、お前が何者かということが気になってくる。何故俺に伝えるのかということも』
ああ。またか。当然といえば当然だが、自らの正体を晒すような情報を与える訳が無いだろうに。溜息をつきつつ軽く否定し、それから鷺沼の動向が分かるということを彼に暗に示した。
『お前、鷺沼の居場所が分かるのか?』
やはり食いつきが良い。それはそうだ。「得体の知れない者からの情報であっても、鷺沼の居場所を聞き出したい」。おそらく彼の頭の中ではまさに猫の手も借りたい程、切羽詰まっているのだろう。
『それでは教えてもらいたい。鷺沼は今どこにいるんだ』
檜山にそう問われ、すぐに回答しようしたところを思い留まった。眉間にしわを寄せて考える。時刻はまだ午後七時。計画では柳瀬川の仕事が終わった後…午後十時以降まで、彼には暇を潰して貰う必要があるのだった。
『どうした?』
電話からは、檜山の催促の声が聞こえる。さて、どうするか。顔を歪ませ、唸る。その時、ふと頭の中に考えが浮かんだ。
「あのさ。そう簡単に全部を教えるのもつまらないなって」
『はっ?』
「考えた。今の段階だと檜山さんにはこれだけ教えることにするよ。鷺沼はこのホテルから離れ、西街方面へ逃げた。どう、結構重要な情報でしょ?」
苦肉の策としては名案だった。彼は鷺沼が、まさかホテル目の前の喫茶店にいるとは知らない。そんな彼に、鷺沼がホテルの外、西街方面へ逃げたと言えば、彼も同様にそこへ向かうだろう。しかし鷺沼は今も変わらず、喫茶店の中である。奴がその場所にいるのは、柳瀬川の仕事終わりを尾行し、誰もいなくなった機会を狙うつもりなのだろう。故に、奴が喫茶店から出ることは考えにくい。
そうなると、檜山は見当違いの場所を闇雲に探すことになるのだ。西街は広いし、時間稼ぎにはちょうど良いだろう。
(…いや、待てよ)
それで完全に安心はできない。午後十時まで後三時間、それだけ時間があれば、西街からまたホテル周辺に戻って来る可能性もあり得る。外は寒い。そうなると、目指す場所は鷺沼がいる喫茶店である。檜山が店に入れば、全てが終わりだ。彼が柳瀬川を狙うチャンスを逃すことになる。
…そうだ。アンナだ。檜山がよく愛彩を訪れることは知っている。もしかすると、あの子が利用できるかもしれない。後に柳瀬川経由で頼んでみるべきか。
彼からの返事は無い。
「どうしたの?檜山さん、黙っちゃって」
そう問いかけても、変わらず返事はない。まあその沈黙については察しがつく。彼自身の気持ちとしては、今すぐにでも鷺沼の居場所を教えてもらい、彼を捕まえたい。故に、焦らすことに対し不満があるのだろう。
加えて、彼は自分が操られているかのように感じており、猜疑心にも囚われているに違いない。それは当然だ。自分が彼の立場なら、同様に相手の思惑を図ろうとするに違いないから。
「大丈夫だよ。檜山さん」
あくまで安心させるために、軽く言った。
「今はそうだっていうだけで、頃合になったらちゃんと教えてあげるからさ。それも、今日中に絶対。安心してよ」
彼は沈黙を決め込んでいたが、はぁと溜息をついた。
『…分かった。とりあえず今は、奴がこのホテルにいないという情報だけでもとても助かる。まあ、それが本当に正しい情報であれば、の話だが』
一々嫌味な言い方をする奴だ。全く、頭にくる。まあ鷺沼の居場所は実際に嘘をついているため、彼のその疑念は当たっているのだが。
「おいおい、まだ疑っているのかよ。そんなに疑い深いと、ストレスで長生きできないぞ。それじゃあ、また少し後に連絡するからね」
彼と同様に嫌味を吐き捨て、電話を切った。
それにしても…檜山武臣。なんて不憫な奴だ。部下を鷺沼に殺され、その理由も分からず数日の間その部下を探して走り回り、昨日今日とどこの誰かも分からぬ匿名電話に翻弄されているのだから。
例えばここが舞台の上…推理ものの物語であれば、彼は犯人に踊らされ続ける、いわば喜劇役者の一人である。そして、大体そういった人物は物語の途中で死ぬ。それは虚構のみならず、現実であっても変わらない。もはや彼の運命、行く末というものは決まっている。そう、人生というものは成るべくして成る、まさにそのとおりである。
さて。計画を立ててそれを実行するのは良いが、やはり予想どおり、百パーセント上手くいくなんてことは無かったようだ。まあそれでも、少々不備はあるにしても、計画どおりといえば計画どおりである。ただしこれがこの後も同様かというと、絶対とは言い切れない。
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