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第1章「Baby Doll」
第4話
しおりを挟む眠れない夜だった。
目を閉じると、真吾くんの姿が蘇る。
文字通り、瞼(マブタ)に焼き付いてしまったようだ……
次の日の開店前。
私達、従業員は広い待合室に呼び出されオーナーを待った。
真吾くんの事があるからだろうか。
早苗は部屋の隅に置かれたソファーに座り、ずっと俯いたままだった。
しばらくしてオーナーが現れた。
その後ろからは黒服の男達が……
『きゃ……ッ!?』
誰かが悲鳴を上げる。
無理もない。
男達が、力無くうなだれた人間らしき物体を引きずり、ホールの真ん中で手放したのだから。
それが何か確認しなくても、私にはわかった。
だって昨日見たまま……
いや、もっと酷くなっているようにも見える、真吾くんの姿だったから。
『ッ真吾!!』
早苗はバッと立ち上がると、床に転がった真吾くんに駆け寄る。
しかしハイヒールが邪魔で辿り着けず転んでしまった。
『お前ら、ちょっとたるんでんじゃねーのか?』
低く太いオーナーの声が響く。
『誰がこんな事していいって言ったよ。 誰が恋愛許したよ! 愛だの恋だの言ってっから客が満足しねーんだ!!』
売り上げが悪い月と重なってしまった事。
相手が店の従業員だった事。
早苗は運が悪かった……
『他にいねーだろうなぁ?! 掟破りの馬鹿がッ!!』
オーナーはそう言って、すぐ傍にいた女の子の髪を掴む。
女の子は消え入りそうな声で「いません」と鳴いた。
皆、恐怖で逃げる事も出来ない。
同じ人間のはずなのに、まるで獰猛(ドウモウ)な肉食獣に睨まれたようだ。
『おい、お前』
と突然、オーナーの視線が私と合う。
『え……私、ですか?』
それだけで、声が震える。
『そうだ。 昨晩、お前の所に真吾が行ったらしいな』
確かに来た。
でもあれは偶然、私があの部屋にいただけで……
『お前も真吾の女なんじゃないか?』
『そッ そんなわけありません!』
そんなわけ……ッ
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