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後日更新。
「………わっ」
息が漏れる。今までの苦心してきた身体に酸素を取り入れるために、そして眼前に広がる初めて見る景色に。
頂上には綺麗な花畑と石造りの家が一つ立っていた。花畑の周りには花畑と家を囲むように、緑がつややかな大木が幾つも植えられていた。登る途中に見た細い木々たちとはまるで違う。胸を張って立っている大男のように、立派な幹と大きく伸びる枝を持って存分に背筋を伸ばしている。まるでこの場所を外部の侵入から守っているようだった。
花畑は見たことのない種類の花々が自生していた。黄色の花ははっきりした色でまるでカタバミみたいだが、それよりも遙かに背丈が高く華やかだ。他にも青、白、赤、ピンクなど色とりどりの様々な花が美しく、風に揺られていた。
もっとよく眺めていたいが、足がすでに限界に達していたので、花畑の隙間を縫ってあの家に行くこととする。
家の前に着く頃には足はもう使い物にならなくなっていた。花を踏まないようにゆっくり歩いたのがいけなかったのだろう。さっきから震えて仕方がない。
近くで見ると、ずいぶんと立派な家だと言うことがよく分かる。外壁は明度の違うレンガを色合いを考慮して並べられ、重厚感たっぷりだ。正面には小さな窓がはめ込まれた木製のドアとその傍に吊された金ぴかのベル。上の方に中央でくり抜かれた丸窓がある。ここが私の新しい家になるらしい。ゆっくりとドアを開けた。ベルが微かにちりりんと鳴った。
「………わっ」
息が漏れる。今までの苦心してきた身体に酸素を取り入れるために、そして眼前に広がる初めて見る景色に。
頂上には綺麗な花畑と石造りの家が一つ立っていた。花畑の周りには花畑と家を囲むように、緑がつややかな大木が幾つも植えられていた。登る途中に見た細い木々たちとはまるで違う。胸を張って立っている大男のように、立派な幹と大きく伸びる枝を持って存分に背筋を伸ばしている。まるでこの場所を外部の侵入から守っているようだった。
花畑は見たことのない種類の花々が自生していた。黄色の花ははっきりした色でまるでカタバミみたいだが、それよりも遙かに背丈が高く華やかだ。他にも青、白、赤、ピンクなど色とりどりの様々な花が美しく、風に揺られていた。
もっとよく眺めていたいが、足がすでに限界に達していたので、花畑の隙間を縫ってあの家に行くこととする。
家の前に着く頃には足はもう使い物にならなくなっていた。花を踏まないようにゆっくり歩いたのがいけなかったのだろう。さっきから震えて仕方がない。
近くで見ると、ずいぶんと立派な家だと言うことがよく分かる。外壁は明度の違うレンガを色合いを考慮して並べられ、重厚感たっぷりだ。正面には小さな窓がはめ込まれた木製のドアとその傍に吊された金ぴかのベル。上の方に中央でくり抜かれた丸窓がある。ここが私の新しい家になるらしい。ゆっくりとドアを開けた。ベルが微かにちりりんと鳴った。
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