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おわりに-洗い場はクリエイティブだ-

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 さて、どのように取り組めば、効率よく洗い場を回せるかが分かったと思います。
 ちょっとでも「やってみよう」と思ってくれれば、お話しした甲斐があるというものです。

 で、最後は失敗談として、わたしがどうしても攻略できなかった難攻不落の二大巨頭についてお話します。
 わたしだって、なんでもかんでもうまくいくわけじゃありませんので。

 ひとつめがホテルの朝食ビュッフェ。

取り放題、食べ放題のビュッフェは、食器も使い放題。メインの白皿をはじめとして、スープ用のカップ、ご飯茶碗、みそ汁のお椀、コーヒーのカップ、ジュースのグラス・・・
 もう、多岐にわたる食器たちが尋常じゃない量で帰ってきて、手が全く追いつかない。
自分の無力さをまざまざと見せつけられました。
 入口に投入するとコンベアで流れていって、洗いあがって出てくるタイプの洗浄機でしたが、基本この形式の洗浄機のところは大量の食器を洗うのが前提。
なので、しばらくはコンベア洗浄機がトラウマになっていました。
そのホテルにも、もう行きたくないです。

 もうひとつは4大回転ずしチェーンの一角のお店。

大きなバットに大量の食器たちがいくつも下げられ、それを仕分けるのにひと苦労。回転ずしの皿には専用の洗浄機があるのでそこに放り込めば勝手に洗いあがって積み重なっていくので楽ちんでしたが、それ以外の食器と併せて洗っていくとなるとまたひと苦労。ランチのピーク1時間だけなのに、はじめて手に負えなくてパンクしました。ピークを過ぎたあたりでスタッフの方が手伝ってくれましたが、それがなかったら泣いて帰りたくなるくらい、非常に悔しい思いをしました。
 他の規模の小さい回転ずし店で何度かリハビリができたので、いつかはそのお店でリベンジを果たしたいですね。

 最後の最後に、何でこの話の表題に「クリエイティブ」とつけたのか?をお話していきます。

 洗い物自体は非常に単調で地味な作業です。
 ただ、ここに「効率よく」とか「スピーディーに」と目標をつけると状況は変わります。
 どのように食器たちを並べれば、大量にかつきれいに洗うことができるのか?
 どんな順番で洗えば、洗浄機を止めることなく回せるのか?
 というように、自分の知恵を絞ってあれこれと考え、できる限り最高のパフォーマンスを発揮しようとするのではないでしょうか?
 
「食器たちをきれいにする」という、単純明快かつコアな目標さえ違えなければ、方法はいろいろと創造されていいのです。

だいたいの決まりごとはあるけれど、具体的な順番や方法はかなり自由。
今回紹介したやり方を自分なりに工夫、アレンジすれば、もっといい方法へと生まれ変わるかもしれません。
 単調、地味な作業でも、自分の思いや考えを乗せて、どんどんクリエイティブに改善していければ、きっとあなたの人生を切り拓くきっかけになる、かもしれませんよ。 
 
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