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8章 鍛冶屋と共和国

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国王「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」


国王は1人、誰一人としてすれ違わない城の中を走っていた。


国王「こ・・・ここは、私の・・・城・・・私の軍だ!・・・何をしようが私の・・・自由だ!!」


先程国王の前に現れた兵士に扮した男、その頃には既に姿をくらましていた。


国王「兵士は・・・どこにいるのだ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」


慣れない運動を急にしたためか、国王は息が切れ切れになりながらも歩を進めていた。


国王「・・・全く・・・、こういう時に・・・使えない者共だ・・・。こうなったら私1人でも・・・。」


国王が今向かっている場所、今も尚迫ってきている人民から姿を隠す為、

自分自身しか知らない場所へ身を隠そうと考えていた。その場所は騎士団長さえも知る由もない・・・。


国王「領地へ入るには正門を通るしかない。今は完全に閉まっている・・・。

暫く身を隠せば他の者が対処してくれるはずだ・・・。」


そうこうしている内に・・・、国王は城の最深部・・・、一度も開かれたことが無いであろうその扉は、

そこら中に蜘蛛の巣が張られ、人間の侵入を阻んでいる様にも見えていた。


国王「くっ・・・、やむを得ん!」


そう言いながら国王は蜘蛛の巣を払いのけ、ようやく扉の全容が見えて来た。

そしてその扉を封じている南京錠、それは錆びついて鍵穴が開いているかどうかすらわからなかった。


国王「・・・・・・・・・。」


ここまで来れば覚悟を決める。そう決意していた国王は懐から鍵を取り出し、鍵穴に差し込んだ・・・。


・・・・・・・・・・・・


加治屋「・・・どうだ?何かわかったか?」


主「・・・さぁな、実際の所裏ダンジョンへ入るまで感知が出来ないんだ。

さっきのはその周辺の揺らぎを感じ取っただけだしな。」


金田「それにしても時間の問題か・・・。あのジジイ・・・、会ったらぶっ飛ばしてやる!」


騎士団長「その時は・・・俺を通して貰おう・・・。俺も一緒に・・・やる。」


加治屋「やっぱり休むつもりは無いんだな?」


騎士団長はどうにか立ち上がり、木の杭でどうにかバランスを保っていた。


騎士団長「あたり・・・まえだ・・・。もし、共和国領地に向かっている人民に何かあったら・・・。」


騎士団長も既に人民を優先し始めた様で、それを聞いた加治屋は・・・。


加治屋「それならこれを食ってみろ?」


加治屋は騎士団長に小さな木の実を差し出した。


騎士団長「何だ・・・これは?」


加治屋「まぁ食ってみろ!疲れがたちどころに回復するから。」


騎士団長「・・・・・・・・・。」


半信半疑ではあったが、考えている暇はないと思い騎士団長はその実を受取り口に運んだ。


騎士団長「・・・すっぱ!!?な・・・何だこ・・・れ?」


騎士団長は強烈な酸味を感じた後、自分の身体に起きた変化に驚愕した。

先程まで杭にもたれかからないと立つ事が出来なかった体が、何事も無かったかのように普通に立っていた。

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