上 下
116 / 170
8章 鍛冶屋と共和国

20

しおりを挟む


兵士長「き・・・騎士団長!緊急事態です!!」


その声は、先程まで金田にやられた兵士長の物で、かなり焦った様子で裏庭に戻って来ていた。


金田「何だ?もう起きて来たのか?」


騎士団長「・・・どうした・・・?そんなに焦って・・・?」


重力から解放はされていたが、体が思う様に動かない騎士団長は、仰向けの状態で兵士長を見ていた。


兵士長「騎士団長・・・?一体どうされたのですか?あ・・・いや、それより!」


動揺を隠せない兵士長は騎士団長に近付きながら、囲われているロープを掴み。


兵士長「たった今報告がありまして・・・。共和国領に・・・各地から人民が押し寄せて来ています!」


騎士団長「人民が・・・共和国領へだと?何故その様な事になっている?」


兵士長「わかりません・・・。ただ、人民は口々に魔王軍討伐反対、裏ダンジョン開放反対・・・と・・・。」


騎士団長「・・・どういう事だ?人民には知り得ない情報のはずだ・・・。誰かが情報を漏らした・・・?

いや、我々が行動を開始した時期を考えるとそんな時間は無いはず・・・。」


金田「そんなの簡単だろ?裏ダンジョンの情報を持っていて、尚且つ多くの人員を動員できる組織。

共和国軍で無いのなら一つしかないだろ?」


騎士団長「・・・魔王軍か・・・。だが人民が簡単に魔王軍を信用するとは思えない・・・。」


加治屋「それは偏見ってもんだ。現に魔王軍の呼びかけに応じて集結している。

まぁ、かなりの時間を要しただろうが。」


金田「いや、実際の所魔王軍もそこまで積極的ではなかったらしい。要は魔王が倒されなければ良いだけの事。

なら、立ち向かってくる者達を倒して行けば未然に防ぐ事が出来る。そう考えていたらしい。」


騎士団長「では、何が魔王軍をそこまで動かした?」


金田「簡単な話だ。魔王軍のトップ、魔王より力がある者が魔王に指示したってだけだ。」


加治屋「魔王より力がある者?・・・おい、金田お前・・・魔王軍に誰を送った?」


金田「・・・奥さんだ。元魔王のな・・・。」


騎士団長「・・・奥さん・・・だと?俺は今一体何を聞かされた・・・?金田・・・お前・・・、

魔王と結婚したのか・・・?」


騎士団長は金田が平然と話しているのが信じられていなかった。


金田「いや・・・、事情があってな・・・。手加減はする様に言っておいたんだが、大丈夫だろうな?」


加治屋「お前の奥さん手加減を知らないからな?持ってくる農具ほとんど奥さんが壊してるだろ?」


金田「俺も困っているんだがな・・・未だに力加減がわからないとよ・・・。いやそれより、

騎士団長お前はどうする?このままだと国王の身に何が起きてもおかしくないぞ?」


騎士団長「・・・・・・やむを得ん・・・。共和国軍全兵に伝えろ!緊急事態により、

全兵は至急共和国へ帰還せよ!国王の安全の確保が最優先だ。」


加治屋「そんな状態でも国王が大切なんだな・・・?」


騎士団長「それもある・・・が、国王は今精神的に不安定なんだ、それにこのような事態が発生すれば・・・、

何をしでかすかわからない。下手すれば・・・。」


金田「・・・下手すれば・・・何だよ?」


騎士団長「・・・実はな・・・あるんだよ・・・。共和国軍の領地、国王が住んでいる城の最奥部に・・・、

裏ダンジョンが・・・。」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした

せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ―――

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

ああ、もういらないのね

志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。 それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。 だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥ たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。

転生したら弱いものまね士になったけど結局活躍した。それはいいとして、英雄になったら隣に住んでたエルフとベッドの上でファンタジーが始まった

ぐうのすけ
ファンタジー
会社帰り、俺は突然異世界に転生した。 転生した異世界は貴族屋敷……の隣にあるボロ屋の息子だった。 10才で弱いと言われるものまね士のジョブを授かるが、それでも俺は冒険者を目指す。 所で隣のメイドさん、俺をからかうの、やめてもらえますか? やめて貰えないと幼馴染のお嬢様が頬をぷっくりさせて睨んでくるんですけど? そう言えば俺をバカにしていたライダーはどんどんボロボロになっていくけど、生きておるのか? まあ、そんな事はどうでもいいんだけど、俺が英雄になった後隣に住んでいたエルフメイドがベッドの上では弱すぎる。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...