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2章 飯屋と鍛冶屋
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しおりを挟む加治屋「・・・じゃあ、当分の間はこの辺りも安泰・・・て事で良いのか?」
徳井「いや・・・、残念ながらそれもそうじゃ無いらしいんだよ。」
加治屋「・・・どういう事だ?」
徳井「さっきお前が聞いて来たよな?この町から出て行った冒険家がほとんど戻って来ていないって話。」
加治屋「それがどうした?」
徳井「この町に愛着が無いのも確かにあるんだろうが、それでも何かしらの報告をする為に、
あの町へ戻って来る場合もあるらしいんだ。」
加治屋「・・・何か、他にもあるのか?戻って来ない理由が・・・。」
徳井「・・・魔王軍に引き抜かれているらしい。それもかなりの数だ。噂なんだけどな。」
加治屋「引き抜き・・・ヘッドハンティングか。」
徳井「あぁ、実際冒険家をするにも色々大変なんだそうだ。装備一式は自前で揃えなければいけないし。
出してくれる場合もあるが、大体どこでも買えそうな初心者セットの様な安物。
成功報酬は依頼された場所まで戻らないと貰えないし、達成した証拠の提示が面倒らしい。」
加治屋「あぁ・・・、サービス業に思われがちなんだろうな、冒険者って。」
徳井「それに加え魔王軍の強さときたら、全然歯が立たなくてやる気が削ぎ落とされてよ、
魔王軍に寝返る奴もいるみたいだ。まぁ実際そっちの方が良いと思ってそうした奴もいるって話だ。」
加治屋「それに加えて、冒険家の中でも実力がある者達を勧誘している・・・と言う事か?」
徳井「魔王軍では生活面や財政面、様々な面をサポートする事を約束しているらしいぞ。
更に、近くに住居を提供されて、体調面も管理して貰えるらしい。」
加治屋「・・・でもそれはそれでまずいんじゃないか?共和国軍にとっては・・・。」
共和国軍と言うのは、魔王軍に対抗するべく結成された一つの国の事である。
徳井「そりゃあな、このまま勢力を拡大されてしまったら、共和国軍どころか、
ここの町にもいつ魔王軍が攻めて来るか・・・。考えだしたら恐ろしくなってきたよ。」
加治屋「そうじゃねぇよ、俺が心配してんのは魔王の方だ。」
徳井「ん・・・?何で魔王軍の心配をする必要があるんだ?」
加治屋「おそらく、魔王軍の中にもその頂点、魔王を目指さんとする野望を持った奴がいるかもしれない。
だったら・・・その場合起こるのは何だと思う?」
徳井「・・・魔王への決闘か?」
加治屋「あぁ、魔王軍には互いに切磋琢磨し合える環境があり、そこから自ずと魔王への憧れが生じて、
魔王になりたいと思うかもしれない。それでもし魔王が破れたら・・・。」
徳井「・・・まさか、そんな事で裏のダンジョンが開かれるなんて事は・・・あるのか?」
加治屋「・・・可能性は無い訳じゃない。何より魔王がどの様にして倒されると裏ダンジョンが解放されるのか、
それは未だに明らかにされていない。だから、仲間内での決闘でも・・・と思ってしまう。」
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