イレンシ～壱～

case3 山の熊さん 後編

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女将「・・・どうして私だと？」


鹿神「・・・この村に来て、僕達は佐武さんとあなた以外他に人を見ませんでした。

最初は今回の事件を恐れて家に閉じこもっていたかとも思いましたがそうじゃない。

怨霊岩が・・・ここの村人を操り外へ出さなかった。」


女将「・・・・・・・・・。」


鹿神「そして・・・そこへ僕達がこの村に来てしまった。

想定外の事態に怨霊岩は計画を早めた。

と言うより・・・そもそも行方不明になった方達が、

何故この村に来たのか・・・それが謎でした。

でもまぁ・・・調べたら案外簡単な事でしたよ。」


竹田「え・・・？いつそんな事を？」


鹿神「頼んで調べて貰ってたんだ。

この山はどうやら自殺の名所になっているそうですね？

ネット上でその嘘の情報を知った自殺志望者がこの村の、この山に登りその石に座った。

それだけで楽に死ぬ事が出来る・・・痛みを伴わない死に方。

そしてその情報はこの村から発信されている事もね・・・。

そこで絞られるのは佐武さんと女将さんの2人、

佐武さんだとするとわざわざ僕達をここへ呼ぶ必要はありません。

それにこの山の事についてあまり詳しくない様だった。

そこで佐武さんの一番近くにいて情報が入りやすい女将さん、

あなたがここの事を流したとしか思えないんですよ。

・・・と言うよりあなたの他に誰もいなかったのでね・・・簡単な消去法です・・・。」


女将「・・・・・・・・・。」


鹿神「不明者の方達は苦しんで死ぬよりも、楽に死にたかったんでしょう・・・。

ただあの石に横になれば勝手に怨霊岩が吸収してくれるんですから・・・。」


女将「・・・そこまで知られているのであれば・・・、

尚更・・・ここから逃がす訳にはいきません・・・！！」


するとその声と共に、先程倒れたはずの村人達が再び起き上がった。


怨霊岩「長話だったなぁ・・・？だがそのお陰で再び繋げ動かすには充分だった。

あぁついでに・・・、ここの村人を全員呼ばせてもらったがな！」


怨霊岩が言った通りなのか、鹿神達が登って来た山道からは、

複数の山道を歩く様な足音が聞こえて出した。


鹿神:なぁに、この話をする為に一度繋がりを切らせてもらっただけですよ。

全て・・・想定内です!」