11 / 14
番外編
後日談:幸せな日々 前編
しおりを挟む
メルヴィンとオフィーリアのその後です。
※※※※※※※※
メルヴィンとオフィーリアの結婚からはや半年、結婚式やその後のパレードの様子からメルヴィンが妃に溺れ、仕事が疎かになるかと思われたが、普段の仕事ぶりが変わる所か前にもまして精力的に執務に励む様子に国民はホッとしていた。
そんなある日、メルヴィンとオフィーリアが二人で公務を果たすため、王宮から馬車で二時間程のとある町に視察に赴いていた。
メルヴィンが先に馬車を降り、オフィーリアに手を貸す。
「陛下、ありがとうございます」
「足元気をつけて」
オフィーリアを優しく見守るメルヴィンと表情は変わらないものの恥ずかしそうに手を預けるオフィーリアに様子を見ていた町の人々はいつまでも初々しい国王夫婦へ暖かな眼差しを向けるのだった。
二人は町の視察も終わり、町長の屋敷に昼御飯をご馳走になろうと立ち寄った。
メルヴィンは毒味後パクパクと食べ始めたが、オフィーリアは顔色が悪く、食べようとするが食が進まない。
オフィーリアは仕方なく一緒にテーブルを囲む町長に詫びを入れる。
「申し訳ありません。せっかく用意していただいたのですが……」
人の良さそうな町長はオフィーリアを気遣うように言った。
「ご結婚されて半年、お疲れが出ているのではありませんか? 王妃殿下は公務に尽力されているとお聞きしますから。お気になさらず。陛下にお食べいただけましたので。お疲れなら安静にしていれば治りますから、ここは無理をなさらずに」
「ありがとうございます」
オフィーリアは町長へ礼をするのだった。
メルヴィンが町長に話しかける。
「町長、気遣い感謝する」
「いえ、私どものことより妃殿下の事をお願いいたします」
「ありがとう」
町長に感謝したかと思うと、メルヴィンは立ち上がり、オフィーリアを横抱きにした。
「へ……陛下!」
「無理は良くない。馬車まで連れていく」
「はい……」
人前で横抱きされて恥ずかしさに顔が赤くなるオフィーリア。町長を見る。
「町長、お気遣いありがとうございました。このような格好の挨拶になり申し訳ありません」
「お気になさらず。またお元気になられたら、うちの自慢の料理を食べに来てください」
「はい、ありがとうございます」
オフィーリアの挨拶が終わったのを見計らって、メルヴィンが町長に話しかける。
「今日は用意してもらったのに誠にすまぬ。改めて立ち寄らせてもらう」
「いえいえ、お気遣いありがとうございます。それより妃殿下のお体を大事になさってくださいませ」
「心遣い感謝する」
町長に礼をしたメルヴィンはオフィーリアを横抱きにしたまま馬車へ乗り込んだ。そのままオフィーリアをメルヴィンの膝の上に乗せて座る。オフィーリアはメルヴィンを見つめる。
「陛下、一人で座れます」
メルヴィンはオフィーリアを見つめ返して微笑む。
「道中舗装できてない道を通る所もある。体調も悪いし何かあるといけないから、ここに座って」
「でも……」
「ほら、町のものたちが見送りに来てくれている。挨拶せねば」
メルヴィンに促され、オフィーリアが馬車の窓から覗くと周りには町長を始め町の者達が見送りに集まっていた。馬車に向かい各々手を振っている。
オフィーリアもメルヴィンと共に手を振り返した。そして、馬車は出発したのだった。
町の人々は、メルヴィンの膝の上に乗せられているオフィーリアの姿に優しい微笑みを浮かべた。メルヴィンのオフィーリアへの気持ちを感じ、相思相愛な感じが滲み出ている国王夫婦を微笑ましい気持ちで見送っていたのだった。
※※※※※※※※
メルヴィンとオフィーリアの結婚からはや半年、結婚式やその後のパレードの様子からメルヴィンが妃に溺れ、仕事が疎かになるかと思われたが、普段の仕事ぶりが変わる所か前にもまして精力的に執務に励む様子に国民はホッとしていた。
そんなある日、メルヴィンとオフィーリアが二人で公務を果たすため、王宮から馬車で二時間程のとある町に視察に赴いていた。
メルヴィンが先に馬車を降り、オフィーリアに手を貸す。
「陛下、ありがとうございます」
「足元気をつけて」
オフィーリアを優しく見守るメルヴィンと表情は変わらないものの恥ずかしそうに手を預けるオフィーリアに様子を見ていた町の人々はいつまでも初々しい国王夫婦へ暖かな眼差しを向けるのだった。
二人は町の視察も終わり、町長の屋敷に昼御飯をご馳走になろうと立ち寄った。
メルヴィンは毒味後パクパクと食べ始めたが、オフィーリアは顔色が悪く、食べようとするが食が進まない。
オフィーリアは仕方なく一緒にテーブルを囲む町長に詫びを入れる。
「申し訳ありません。せっかく用意していただいたのですが……」
人の良さそうな町長はオフィーリアを気遣うように言った。
「ご結婚されて半年、お疲れが出ているのではありませんか? 王妃殿下は公務に尽力されているとお聞きしますから。お気になさらず。陛下にお食べいただけましたので。お疲れなら安静にしていれば治りますから、ここは無理をなさらずに」
「ありがとうございます」
オフィーリアは町長へ礼をするのだった。
メルヴィンが町長に話しかける。
「町長、気遣い感謝する」
「いえ、私どものことより妃殿下の事をお願いいたします」
「ありがとう」
町長に感謝したかと思うと、メルヴィンは立ち上がり、オフィーリアを横抱きにした。
「へ……陛下!」
「無理は良くない。馬車まで連れていく」
「はい……」
人前で横抱きされて恥ずかしさに顔が赤くなるオフィーリア。町長を見る。
「町長、お気遣いありがとうございました。このような格好の挨拶になり申し訳ありません」
「お気になさらず。またお元気になられたら、うちの自慢の料理を食べに来てください」
「はい、ありがとうございます」
オフィーリアの挨拶が終わったのを見計らって、メルヴィンが町長に話しかける。
「今日は用意してもらったのに誠にすまぬ。改めて立ち寄らせてもらう」
「いえいえ、お気遣いありがとうございます。それより妃殿下のお体を大事になさってくださいませ」
「心遣い感謝する」
町長に礼をしたメルヴィンはオフィーリアを横抱きにしたまま馬車へ乗り込んだ。そのままオフィーリアをメルヴィンの膝の上に乗せて座る。オフィーリアはメルヴィンを見つめる。
「陛下、一人で座れます」
メルヴィンはオフィーリアを見つめ返して微笑む。
「道中舗装できてない道を通る所もある。体調も悪いし何かあるといけないから、ここに座って」
「でも……」
「ほら、町のものたちが見送りに来てくれている。挨拶せねば」
メルヴィンに促され、オフィーリアが馬車の窓から覗くと周りには町長を始め町の者達が見送りに集まっていた。馬車に向かい各々手を振っている。
オフィーリアもメルヴィンと共に手を振り返した。そして、馬車は出発したのだった。
町の人々は、メルヴィンの膝の上に乗せられているオフィーリアの姿に優しい微笑みを浮かべた。メルヴィンのオフィーリアへの気持ちを感じ、相思相愛な感じが滲み出ている国王夫婦を微笑ましい気持ちで見送っていたのだった。
12
お気に入りに追加
926
あなたにおすすめの小説
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中

婚約破棄されたら、王様の専属抱き枕に任命されました!
アイリス
恋愛
幼馴染の次期伯爵クリフから突然婚約破棄された公爵令嬢のリリー。
そこに宰相がやって来て、「呪いを受けて眠れない国王陛下と添い寝するように」と告げる。
超絶美麗な国王と一緒に寝るなんてとドキドキするリリーだが、なぜか国王はずっと前からリリーのことを知っているようで…?
一方、婚約破棄したクリフはどんどん追い詰められていく。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。

初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。

【完結】謀られた令嬢は、真実の愛を知る
白雨 音
恋愛
男爵令嬢のミシェルは、十九歳。
伯爵子息ナゼールとの結婚を二月後に控えていたが、落馬し、怪我を負ってしまう。
「怪我が治っても歩く事は難しい」と聞いた伯爵家からは、婚約破棄を言い渡され、
その上、ナゼールが自分の代わりに、親友のエリーゼと結婚すると知り、打ちのめされる。
失意のミシェルに、逃げ場を与えてくれたのは、母の弟、叔父のグエンだった。
グエンの事は幼い頃から実の兄の様に慕っていたが、彼が伯爵を継いでからは疎遠になっていた。
あの頃の様に、戻れたら…、ミシェルは癒しを求め、グエンの館で世話になる事を決めた___
異世界恋愛:短編☆(全13話)
※魔法要素はありません。 ※叔姪婚の認められた世界です。 《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる