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番外編
後日談:もうひとつの結婚 前編
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ライオネルとリリアのその後です。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
学園の卒業パーティが進む中、参加者たちは卒業を祝って楽しそうにホールで踊っていた。そんな中、一組だけ踊っていないカップルがいた。 顔色の悪いリリア・バインズとそれを支えるライオネル・デルヴィーニュであった。
「リア、顔色が悪い。どこかで休むか?」
「リリア、おうちに帰りたい」
リリアは力なさげにライオネルへと寄りかかった。ライオネルは心配そうな顔をして、そっとリリアに話しかける。
「うちの馬車で送ろう」
リリアは言葉なく頷いた。
公爵家の馬車の中、会話がなく静寂に包まれる。二人とも話す気力がないとばかりにそれぞれが馬車の窓から外を眺めていた。
しばらく行くと馬車が止まった。
ライオネルが外を確認するとバインズ男爵家の門の前であった。
「リア、家に着いたよ。さぁ降りよう」
返事を待たずにライオネルが降りてリリアの手を取ろうとする。
リリアは手を添えようと手を伸ばすがふらついて倒れかかる。
倒れるリリアを支えたライオネルは辛そうなリリアを横抱きにして屋敷へと入る。玄関には帰宅の知らせを受けた男爵が出ていたのだった。
「リリアは大丈夫なのかね?」
「はい、体は大丈夫だと思うのですが、精神的に参っているようで……」
「卒業パーティーで何かあったのかね」
「オフィーリアと婚約破棄できたのですが、陛下より私とリアの結婚を認める代わりにリアに一年間ミラルデル修道院に行くように命じられまして……」
「ミラルデルとな。なんと言う……」
「パパ、リリアには無理~。なんとかして~」
「陛下のお決めになったこと、男爵ごときにいかんともできん」
「私が父に頼んで見ましょう」
「公爵閣下?いや、閣下のお手を煩わせる事など……」
「私の頼みとあらば、なんとかしてくれると思います」
男爵の言葉に被せるようにライオネルは力強く話した。
ライオネルは男爵との話を終え、リリアを客間のソファに降ろす。
「リア、何とか修道院行きを阻止してくるよ。待っててくれるかい?」
「もちろん。ライオネル様、大好き~」
リリアは上目遣いでライオネルを見つめる。離れがたいとばかりにどちらからともなく口付けたのだった。
◇
デルヴィーニュ公爵家では、イライラする公爵の様子を使用人たちが遠巻きに伺っている。
そこへ嫡男ライオネルの帰宅が知らされる。
ライオネルが家族用のリビングに入るやいなや公爵がライオネルを厳しい眼差しで見るのだった。
「貴様、卒業パーティーで何をやらかした!」
つかみかからんとする父の姿にライオネルは怯む。
「知らせは受けておる。ノーリッシュの娘との婚約を破棄するばかりか、陛下にどこぞの男爵の娘と婚約を認められるなど……」
「父上、どこぞではありません。バインズ男爵家のリリアです」
「どこの誰でも良い。身分が釣り合わんだろう。せっかくノーリッシュの娘と婚約を結んでやったものを陛下に取られおって」
「オフィーリアのような意地悪な奴より素直で優しいリリアのほうが私の妻にはふさわしい」
公爵は呆れた様子でライオネルを見る。
「ノーリッシュの娘が意地悪などそんなつまらぬことするわけがなかろう。あの頭脳を我が家に入れたなら、我がデルヴィーニュ家は安泰。お前も私同様騎士団総団長を約束されたものだったのに……」
「リリアもちゃんと支えてくれます」
「リリアとやらは、公爵夫人として家を守れるのか」
「それはこれから勉強して……」
「おまえは甘い。そんなことで間に合うか!」
「間に合わせます。ですから、父上から陛下へリリアのミラルデル修道院行きを止めるように言っていただけないでしょうか?」
「公爵家の中を切り盛りをするにもミラルデルに一年行っただけでは間に合わんわ。それに陛下からの命、反対できるわけなかろう」
「でも、リリアには可哀相すぎます」
「そんな甘いことで公爵家を継ぐものとして、やっていけるものか!お前も揉まれてこい。北の砦へ行かせよう」
「父上、嘘でしょう。そのような荒くれものの集まる所……」
「嘘であるものか。一年間様子を見て結婚後公爵家の跡を次がせるか血縁から優れたものを養子にして跡を継がせるか決めるとしよう」
「わたしが跡を継ぐのではなかったのですか?」
「あのようなことをやらかすようなものに公爵家の跡を継がせられるわけなかろう。この国のためにも継がせられん」
「父上!!」
「私はお前の仕出かしたことの後始末が残っておる。お前は自分の今後を良く考えておくように」
ライオネルは退出した公爵の後ろ姿を唖然と見つめるほかなかったのだった。
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学園の卒業パーティが進む中、参加者たちは卒業を祝って楽しそうにホールで踊っていた。そんな中、一組だけ踊っていないカップルがいた。 顔色の悪いリリア・バインズとそれを支えるライオネル・デルヴィーニュであった。
「リア、顔色が悪い。どこかで休むか?」
「リリア、おうちに帰りたい」
リリアは力なさげにライオネルへと寄りかかった。ライオネルは心配そうな顔をして、そっとリリアに話しかける。
「うちの馬車で送ろう」
リリアは言葉なく頷いた。
公爵家の馬車の中、会話がなく静寂に包まれる。二人とも話す気力がないとばかりにそれぞれが馬車の窓から外を眺めていた。
しばらく行くと馬車が止まった。
ライオネルが外を確認するとバインズ男爵家の門の前であった。
「リア、家に着いたよ。さぁ降りよう」
返事を待たずにライオネルが降りてリリアの手を取ろうとする。
リリアは手を添えようと手を伸ばすがふらついて倒れかかる。
倒れるリリアを支えたライオネルは辛そうなリリアを横抱きにして屋敷へと入る。玄関には帰宅の知らせを受けた男爵が出ていたのだった。
「リリアは大丈夫なのかね?」
「はい、体は大丈夫だと思うのですが、精神的に参っているようで……」
「卒業パーティーで何かあったのかね」
「オフィーリアと婚約破棄できたのですが、陛下より私とリアの結婚を認める代わりにリアに一年間ミラルデル修道院に行くように命じられまして……」
「ミラルデルとな。なんと言う……」
「パパ、リリアには無理~。なんとかして~」
「陛下のお決めになったこと、男爵ごときにいかんともできん」
「私が父に頼んで見ましょう」
「公爵閣下?いや、閣下のお手を煩わせる事など……」
「私の頼みとあらば、なんとかしてくれると思います」
男爵の言葉に被せるようにライオネルは力強く話した。
ライオネルは男爵との話を終え、リリアを客間のソファに降ろす。
「リア、何とか修道院行きを阻止してくるよ。待っててくれるかい?」
「もちろん。ライオネル様、大好き~」
リリアは上目遣いでライオネルを見つめる。離れがたいとばかりにどちらからともなく口付けたのだった。
◇
デルヴィーニュ公爵家では、イライラする公爵の様子を使用人たちが遠巻きに伺っている。
そこへ嫡男ライオネルの帰宅が知らされる。
ライオネルが家族用のリビングに入るやいなや公爵がライオネルを厳しい眼差しで見るのだった。
「貴様、卒業パーティーで何をやらかした!」
つかみかからんとする父の姿にライオネルは怯む。
「知らせは受けておる。ノーリッシュの娘との婚約を破棄するばかりか、陛下にどこぞの男爵の娘と婚約を認められるなど……」
「父上、どこぞではありません。バインズ男爵家のリリアです」
「どこの誰でも良い。身分が釣り合わんだろう。せっかくノーリッシュの娘と婚約を結んでやったものを陛下に取られおって」
「オフィーリアのような意地悪な奴より素直で優しいリリアのほうが私の妻にはふさわしい」
公爵は呆れた様子でライオネルを見る。
「ノーリッシュの娘が意地悪などそんなつまらぬことするわけがなかろう。あの頭脳を我が家に入れたなら、我がデルヴィーニュ家は安泰。お前も私同様騎士団総団長を約束されたものだったのに……」
「リリアもちゃんと支えてくれます」
「リリアとやらは、公爵夫人として家を守れるのか」
「それはこれから勉強して……」
「おまえは甘い。そんなことで間に合うか!」
「間に合わせます。ですから、父上から陛下へリリアのミラルデル修道院行きを止めるように言っていただけないでしょうか?」
「公爵家の中を切り盛りをするにもミラルデルに一年行っただけでは間に合わんわ。それに陛下からの命、反対できるわけなかろう」
「でも、リリアには可哀相すぎます」
「そんな甘いことで公爵家を継ぐものとして、やっていけるものか!お前も揉まれてこい。北の砦へ行かせよう」
「父上、嘘でしょう。そのような荒くれものの集まる所……」
「嘘であるものか。一年間様子を見て結婚後公爵家の跡を次がせるか血縁から優れたものを養子にして跡を継がせるか決めるとしよう」
「わたしが跡を継ぐのではなかったのですか?」
「あのようなことをやらかすようなものに公爵家の跡を継がせられるわけなかろう。この国のためにも継がせられん」
「父上!!」
「私はお前の仕出かしたことの後始末が残っておる。お前は自分の今後を良く考えておくように」
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