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第二章
第十四話
しおりを挟む訓練学校に入って一年もたつとダニエルとマチルダの間に最初あったわだかまりもなくなり、みんな仲良くなっていた。
入学した当時だと考えられないことではあるのだが、訓練生6人で訓練と称してそれぞれの竜に乗って遠出をして絆をつないでいくのだった。
そうして、竜騎士訓練学校の卒業式がおこなわれる日がやってきた。
式典会場へやってきた6人は入学した時よりも顔つきが引き締まり、それぞれの目には訓練の成果か力強さをみなぎらせていた。
校長によりそれぞれ名前を呼ばれ、竜騎士にのみ与えられる記章を授与された。
校長の話、アレクサンダー国王の話を聞きながら、マチルダはこれまでの事を思い出す。
――マグナス王国での出来事、マグナス王国からドラガニアへの旅立ち、そして、リラに出会った時の事、アレクサンダー国王やルドルフとの出会い、訓練学校への入学、一緒に訓練した5人の事。
辛いことも多かったけれども、一緒に訓練した5人と言う仲間と出会えた事はこれから先、何物にも代えがたいと思う。
そして、卒業式が終わり、6人は訓練学校の校庭に集まった。
ハンスがマチルダの横にそっとやってきて、マチルダを見てちょっと照れた様子を見せる。
「これからも共によろしくお願いします」
ハンスがマチルダに向かって話しかけた。マチルダは嬉しそうに言葉を返そうとする。
「抜けがけするなよ!!」
ダニエルが二人の方へとやってきて二人の間を割くように伸ばした両腕を差し込み広げた。
ダニエルはハンスに宣言した。
「俺はお前より先に一人前の竜騎士になってみせる。 そして、マチルダにプロポーズする!!」
その言葉にハンスもマチルダもびっくりする。(もちろんハンスの竜ブリュンやマチルダの竜のリラも)リラが呆れ顔でダニエルに言い放つ。
『マチルダの意思を聞かずに何を言っておる、小童め!!』
ダニエルは謝る。
「マチルダ、ゴメン。でも、この気持ちは嘘ではないんだ。まず一人前の竜騎士になる!!」
ハンスはダニエルを抑えるよう体を動かした。
「僕も一人前の竜騎士になって見せる!!」
二人の言い合いに困ったマチルダ。
「私も一人前の竜騎士になるのが最優先です。今はそれしか考えられません」
リラが笑う。
『お主たち、色恋の前にまずは一人前の竜騎士にならねばな』
リラの一言にダニエルとハンスは苦笑い。
そして、マチルダ、ハンス、ダニエルは確認し合うように互いを見てうなずいた。
こうして、マチルダは竜騎士の第一歩を踏み出すのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
なんとか第二章が終わりました。
お読み頂いてありがとうございますm(_ _)m
頭から絞り出すのに必死で(段々何が面白いかわからなくなったりしてました(^_^;))、おかしいところがあったり、書き足りないところがあるので、第三章を書きながら修正していこうかと思います。
(内容は変わらないと思います。)
第三章で話は完結予定なのですが、二章が考えていた話から変わってしまったので、
第三章の書き出しまで更にお待たせしてしまうかと思います。
再開の際、ぜひ読んでいただければ嬉しいです。
ここまでお読み頂いてありがとうございましたm(_ _)m
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続き楽しみに待っています~頑張って下さいね~
読んでいただいてありがとうございますm(__)m
公爵家の子息なのに表向きだけでも取り繕えないなんて……と思うのですが、
気づいたらやや暴走気味です(-_-;)
大丈夫じゃあないかも……書いてて「こいつヤバい」と思います(←私が言っちゃあダメですが……)
上手く軌道修正出来ることをお祈りくださいm(__)m
待ってました。待ってました。また楽しみが増えました。最後まで頑張ってください
こてつむり様、大変お待たせいたしましたm(__)m
ゆっくり更新になるかと思いますが、最後まで頑張りたいと思います。