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第二章

第十三話

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 そうして、あっと言う間に戦いは幕を閉じた。
 大きな犬はマチルダとリラの方へやってきた。

「エリザ?? 違うな?? リラ、どういうことだ?」
(犬が喋ったことにマチルダは驚いた)

慌てふためく犬にリラは諭すように言った。

『お主、先に言うことがあろう』

「おっと!! すまねぇ。 助けてもらってありがとうな」

 犬がマチルダとリラに礼を言っているとそばの草むらから子犬が一匹、大きな犬の方に走り寄ってきた。

「坊や、大丈夫だったか?」
「うん!! ママありがとう」

 そう言って、子犬は大きな犬にじゃれついた。

 リラは驚きの顔で訪ねた。

『お主、メス? 子供がおったのか?』
「おうよ。何故か良くオスと間違えられるがなぁ」

 リラとマチルダは思った。

『『そりゃあ、その喋り方じゃあメスとは思われないよ』』と。

「所で、リラよ。そのお嬢ちゃんはどうした?エリザにそっくりじゃあないか?エリザが帰ってきたのか?」

『いや。エリザは亡くなった。この娘はマチルダというエリザの娘じゃ。詳しいことは省くが、今はわしと共におるわ』

「エリザが亡くなった? エリザに娘?われにも子がおるぐらいだから、エリザにも子供が……エリザが亡くなったのか……あやつは人が良すぎたからあのような国では生きられなかったか……」

 ブツブツつぶやく大きな犬にマチルダは挨拶せねばと竜騎士の制服に合わせた挨拶を二匹に向かってする。

「はじめまして。エリザの娘のマチルダと申します。母が生前お世話になったようで……」

 マチルダの挨拶の途中で二匹はマチルダを慰めるように体をこすりつけてきました。母犬が話しかける。

「硬い挨拶はなしじゃ。エリザの娘とあらば、身内と同じじゃ」

「お姉ちゃん、僕とも仲良くしてね」

 そう言って、子犬はマチルダにさらにじゃれついてきた。

「坊や、やりすぎるとマチルダに嫌われるぞ」
「はい、ママ」

 マチルダは子犬を抱き上げて顔を見る。子犬はつぶらな目でマチルダを見つめた。

「子犬ちゃん、よろしくね」
「お姉ちゃん、名前で読んでよ。子犬ちゃんじゃあやだよ」

 そう言われたマチルダは、母犬を見た。

「この子は何というお名前ですか?」
「まだ誰とも契約しておらんから名前はないわ。マチルダのことが気に入ったようだから、契約してやってくれ」
「お姉ちゃん、早くぅ~」
『マチルダよく考えよ。名前をつけて契約するということは、一生この者たちにつきまとわれるということじゃ』

 リラは諭すようにマチルダに語りかけた。

「おい!! リラ、つきまとうとはなんちゅう言い草。守護してもらえると言ってくれ、守護とな」

「守護してくださるのですか? でも、私とずっと一緒にいないといけないのですよ。いいのですか?子犬ちゃんの自由がなくなってしまうのでは?」

「お姉ちゃん大丈夫!! ずっとつきまとうわけじゃあないから。お姉ちゃんの危険を察知すれば現れるけれど、ストーカーじゃあないから、ずっとつきまとわないよ。安心してね」

 そう言って子犬がニコッとすると母犬がうなずく。

「迷惑かもしれんが、この子が初めて守護したいと言いおったんだ。頼む!! 願いを叶えてやってくれ」

 土下座せんばかりに頼む犬の姿にマチルダはリラに助けてを求める。リラはうなずきながら

『名前をつけて契約しても害にならんようわしが見張るから大丈夫じゃ。安心せい』

 マチルダはリラにそう言われて抱っこしてるふわふわとした白い毛を持つ子犬を再び見た。

「じゃあ、あなたの名前をつけるわね。そうね……シロね」
「ありがとう、お姉ちゃん」

 嬉しそうに子犬はマチルダの頬をなめた。


 話がついたところで、リラは話をかえる。

『ところでだな。マチルダ、さっきのリザードマンの核を拾わねばならぬぞ』
「そうでした。リラ、ありがとうございます」

 そう言ってマチルダは子犬のシロを地面へおろして、散らばって落ちてる核を拾い始めた。

 子犬や母親やリラも集め始めた。
 あっという間に核が集まり、マチルダの手は核でいっぱいになった。

「皆さん、ありがとうございます」

 マチルダはお礼を言い、マジックバックに核を片付けた。リラが話しかける。

『フェンよ。我々はこの森で過ごさねばならぬが、お主たちはどうする?』

 2匹はためらいなく告げた。

「「この森にいる間だけでも、一緒にすごしたい!!」」

 その言葉にリラはちょっと嫌そう。でも、マチルダは嬉しそう。

「二人はいいのですか? 嬉しい!!」

 マチルダの喜ぶ顔にリラは何も言えなくなってしまい、渋々と言う顔を見せた。

 こうして、マチルダとリラとフェンとシロは森で一緒に過ごすことになり、たまに遭遇する魔物をやっつけながら、過ごしたのだった。

 一夜明け、森での訓練が始まって24時間経ち、訓練生達は前日別れたところへと集合した。

 マチルダはリラ以外にフェンとシロを連れ、他のものは別れた時と様子が変わらないようだった。

 マチルダとハンスは互いの無事をたたえあった。ハンスはマチルダの連れている犬が気になるようだった。

「マチルダ、その子達どうしたの?」

 マチルダはハンスの問いにフェンとシロを見つめて答えた。

「森で出会って、リラの知り合いらしく、頼まれて契約した感じかな?」

「契約? 竜以外に共に?」

 ハンスは驚いているが、犬達から親しみを感じたのか挨拶をする。

「僕はハンスと言います。よろしく」
「「よろしく!!」」



 少し遅れてやってきたハイゼはマチルダの連れてきた犬を見て驚く。

「マチルダさん、ご一緒なのは、あのフェンリルではないですか?」

 ハイゼの驚きようにマチルダは驚いて、2匹に確認を求める。母のフェンは当然のように答えた。

「確かに、人間は我らをそのように呼ぶ」
「!!」

「うちの子はマチルダと契約したから、よろしく頼む」

「なかなか遭遇することのないフェンリルと契約するとは、マチルダやるな!!」

 ダニエルは驚きとともに悔しそう。

 他の者たちも驚きを隠せないようだった。

 それぞれ無傷で核をゲットして訓練生としては上出来の結果で訓練は無事終わったのだが、フェンリルとの契約という予想外の結果をマチルダは残したのだった。
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