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第二章
第三話
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マチルダ以外の竜騎士訓練生がリラの圧力にうろたえていると緑色の竜を連れて担任のテオドール・ハイゼが入ってきた。入ると同時に、リラに目をやったかと思うと、緊張の色を見せ、深々と礼をする。
「リラ様,ご無沙汰しております」
『久しぶりだな、テオドール。うちのマチルダを頼むぞ』
「もちろんでございます」
担任の堅苦しい挨拶にマチルダだけ相変わらず何が起こっているのか分からなかった。思わず、リラに尋ねるのだった。
「リラ、どうしたの? みんな、リラに腰が低いと言うか……」
『どうもせんわ。この国で一番の長生きをしている竜だから、敬ってくれているんだろうよ』
リラはこともなげに答えた。
担任のハイゼが首を振る。
「いえいえ、リラ様は国王陛下の妹のエリザ様の竜であっただけではなく、長生きしているからと言うだけではなく、竜王であらせられます。ですから、皆このように応対しているのです」
焦った様に説明するハイゼにリラは困った顔をする。聞いている他の竜と訓練生達はハイゼの言葉に激しく同意するように首を縦に振った。
『マチルダには内緒にするつもりだったのだが……』
リラが参ったとばかりに呟いた。
「申し訳ありません」
『リラ様、余計なことをハイゼが申して、申し訳ありません』
うっかり口を滑らせたとばかり、担任は顔を青くして、連れている緑色の竜のヴァルトも慌てて謝罪をするのだった。
マチルダはリラ=竜王と言う言葉に驚く。マチルダから見たリラは気のいい親切な母の連れていた竜だったから、そのような位の高い竜とは思いもしなかった。
「リラって、そんなすごい竜? 私がパートナーでよかったの? 他に……」
マチルダが申し訳なさそうにリラに尋ねた。
『マチルダなら気にするだろうから内緒にしておきたかったものを……』
困ったようにリラはつぶやく。
「申し訳ありません」『申し訳ございませんでした』
重ね重ね謝罪をする担任と竜のヴァルトにリラは首を振るのだった。
『もうよい。いつかは話さなければならぬこと。で、何用?』
「入学式が始まるので、講堂にお連れしようと……」
ハイゼの改まった姿にリラはため息をそっとついた。
『そんなに改まらなくても、普通でよい。マチルダはこの学校に入学する。それについてきただけの竜だと思って接すればよい』
「ですが……」
『頼んだぞ!!』
リラは圧を担任に向けるのだった。
「承知いたしました」
リラの圧に押されるようにハイゼは返答し、竜のヴァルトは縦に首を振るのだった。
そして、ハイゼは入学生の方を向いた。
「では、6人ともいいですか? 後、ここは竜騎士を育てる場所。対等の竜騎士が居る場所ですので、身分は関係ありません。そのことを肝に銘じておくように」
と、ダニエル・シェーファーの目を見ながら言うのだった。ダニエルは悔し気にしぶしぶ首を縦に振った。
「では、皆さん、講堂へ参りましょう」
そう言って、担任は掛け声をかけ講堂へ向かって行く。その後ろを新入生たちはついていく。
先に扉に向かおうとしたダニエルとフランクはすれ違いざまマチルダをにらみつけて行った。連れている竜達はマチルダとリラに向かってお辞儀をしながら出て行った。
にらまれたマチルダはため息をついた。
――この国でも、疎まれるのかしら……どこの国でも同じかしら……いえ、陛下やルドルフ様がいらっしゃるからそんなことないわよね……
マチルダは一人思いながら教室を後にした。
「リラ様,ご無沙汰しております」
『久しぶりだな、テオドール。うちのマチルダを頼むぞ』
「もちろんでございます」
担任の堅苦しい挨拶にマチルダだけ相変わらず何が起こっているのか分からなかった。思わず、リラに尋ねるのだった。
「リラ、どうしたの? みんな、リラに腰が低いと言うか……」
『どうもせんわ。この国で一番の長生きをしている竜だから、敬ってくれているんだろうよ』
リラはこともなげに答えた。
担任のハイゼが首を振る。
「いえいえ、リラ様は国王陛下の妹のエリザ様の竜であっただけではなく、長生きしているからと言うだけではなく、竜王であらせられます。ですから、皆このように応対しているのです」
焦った様に説明するハイゼにリラは困った顔をする。聞いている他の竜と訓練生達はハイゼの言葉に激しく同意するように首を縦に振った。
『マチルダには内緒にするつもりだったのだが……』
リラが参ったとばかりに呟いた。
「申し訳ありません」
『リラ様、余計なことをハイゼが申して、申し訳ありません』
うっかり口を滑らせたとばかり、担任は顔を青くして、連れている緑色の竜のヴァルトも慌てて謝罪をするのだった。
マチルダはリラ=竜王と言う言葉に驚く。マチルダから見たリラは気のいい親切な母の連れていた竜だったから、そのような位の高い竜とは思いもしなかった。
「リラって、そんなすごい竜? 私がパートナーでよかったの? 他に……」
マチルダが申し訳なさそうにリラに尋ねた。
『マチルダなら気にするだろうから内緒にしておきたかったものを……』
困ったようにリラはつぶやく。
「申し訳ありません」『申し訳ございませんでした』
重ね重ね謝罪をする担任と竜のヴァルトにリラは首を振るのだった。
『もうよい。いつかは話さなければならぬこと。で、何用?』
「入学式が始まるので、講堂にお連れしようと……」
ハイゼの改まった姿にリラはため息をそっとついた。
『そんなに改まらなくても、普通でよい。マチルダはこの学校に入学する。それについてきただけの竜だと思って接すればよい』
「ですが……」
『頼んだぞ!!』
リラは圧を担任に向けるのだった。
「承知いたしました」
リラの圧に押されるようにハイゼは返答し、竜のヴァルトは縦に首を振るのだった。
そして、ハイゼは入学生の方を向いた。
「では、6人ともいいですか? 後、ここは竜騎士を育てる場所。対等の竜騎士が居る場所ですので、身分は関係ありません。そのことを肝に銘じておくように」
と、ダニエル・シェーファーの目を見ながら言うのだった。ダニエルは悔し気にしぶしぶ首を縦に振った。
「では、皆さん、講堂へ参りましょう」
そう言って、担任は掛け声をかけ講堂へ向かって行く。その後ろを新入生たちはついていく。
先に扉に向かおうとしたダニエルとフランクはすれ違いざまマチルダをにらみつけて行った。連れている竜達はマチルダとリラに向かってお辞儀をしながら出て行った。
にらまれたマチルダはため息をついた。
――この国でも、疎まれるのかしら……どこの国でも同じかしら……いえ、陛下やルドルフ様がいらっしゃるからそんなことないわよね……
マチルダは一人思いながら教室を後にした。
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