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第二十八話
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その場に残ったリリアは申し訳なさそうに口を挟む。
「キース様、普段使っている物は私の物として持っていきたいのですが、公爵家の者として誂えていただいたドレスや宝石や靴はお返ししたいのですが……」
リリアの物になった物を返したいと言われてキースは困る。
「返されてもなぁ。貰ったもんだから、持っとけばいいんじゃあない?」
リリアは首を横に振る。
「いえ、平民として生きていくのに不要ですし、これから先、使うこともないですから……」
キースは返す必要はないとばかりに提案する。
「じゃあ、それらを売って金として持っとけば?」
「いいえ、そんな大金不要ですし、そんな怖いことできないです」
ためらいなく受け取る気はないと言うリリアの言葉にキースは困る。
「俺がもらってもしょうがないし……」
「どうしましょうか……」
二人はしばし悩むのだった。
悩んでいるうちに、リリアは何か思い付いたような顔をするのだった。
「キース様、デルヴィーニ公爵領の孤児院に寄付するって言うのはどうでしょう?」
いろいろやらかしたリリアが言うとは思えない言葉にキースは驚く。
「いいこと言うなぁ。お前、ほんとに別人のようだな」
「キース様、私、今日から、別人になるんでしょ」
そう言って笑うリリアを見てキースも「違いねぇ」と言って笑う。
二人は笑いながら顔を見合わせる。リリアはキースに向かい、改まり、お辞儀をするのだった。
「キース様、よくしていただいてありがとうございました」
キースは自分は何もしていないと首を横に振る。
「俺はなにもしていない。お前が良いほうに変わったから、ここをこんな風に出ることになったのだ。ここに来たときは一生出すつもりはなかったがな」
そう言って、過去を思い出し、キースはフッと笑う。リリアは首を横に振る。
「いいえ。周りに置いて頂いた三人のおかけでもあり、何も言わずここに置いて頂いたキース様のお陰だと思います。一人なら、切れてあのまま、頭もおかしくなっていても不思議じゃあありませんでした」
キースはリリアの言葉にそうなったかもしれないなぁとうなずく。
「そっか、お前が良かったと言うならそうしておこう。が、別れの言葉はの様なことは言うな。俺が領都にいる時はパンを買いに行くから、付き合いは残念ながらまだまだ続くぞ」
残念ながら続くぞと言うキースの言葉に思わず、クスッとリリアは笑う。
「キース様にそんな風に言っていただけるとは思いませんでした」
「俺もここに連れてきた時は思わんかった。ムカついていたからな。ホント、変わったな」
「いえ、元に戻っただけなんですよ。貴族になったからって、気負ってたのかも知れませんね、フフフ」
リリアは思わず笑うのだった。キースも笑い返し、リリアの荷造りの時間の事を気にかける。
「話は馬車でもできるから、出発の用意してこい!!」
「はーい、キース様、行ってきます」
キースに準備を促され、リリアは準備に向かった。
残されたキースはつぶやく。
「今更だが、アイツが最初からこんな感じなら、跡継ぎはレオのままだったのに……まぁ、ぼやいても始まらんか」
そう言って頭を掻きながら、手伝いに向かうのだった。
「キース様、普段使っている物は私の物として持っていきたいのですが、公爵家の者として誂えていただいたドレスや宝石や靴はお返ししたいのですが……」
リリアの物になった物を返したいと言われてキースは困る。
「返されてもなぁ。貰ったもんだから、持っとけばいいんじゃあない?」
リリアは首を横に振る。
「いえ、平民として生きていくのに不要ですし、これから先、使うこともないですから……」
キースは返す必要はないとばかりに提案する。
「じゃあ、それらを売って金として持っとけば?」
「いいえ、そんな大金不要ですし、そんな怖いことできないです」
ためらいなく受け取る気はないと言うリリアの言葉にキースは困る。
「俺がもらってもしょうがないし……」
「どうしましょうか……」
二人はしばし悩むのだった。
悩んでいるうちに、リリアは何か思い付いたような顔をするのだった。
「キース様、デルヴィーニ公爵領の孤児院に寄付するって言うのはどうでしょう?」
いろいろやらかしたリリアが言うとは思えない言葉にキースは驚く。
「いいこと言うなぁ。お前、ほんとに別人のようだな」
「キース様、私、今日から、別人になるんでしょ」
そう言って笑うリリアを見てキースも「違いねぇ」と言って笑う。
二人は笑いながら顔を見合わせる。リリアはキースに向かい、改まり、お辞儀をするのだった。
「キース様、よくしていただいてありがとうございました」
キースは自分は何もしていないと首を横に振る。
「俺はなにもしていない。お前が良いほうに変わったから、ここをこんな風に出ることになったのだ。ここに来たときは一生出すつもりはなかったがな」
そう言って、過去を思い出し、キースはフッと笑う。リリアは首を横に振る。
「いいえ。周りに置いて頂いた三人のおかけでもあり、何も言わずここに置いて頂いたキース様のお陰だと思います。一人なら、切れてあのまま、頭もおかしくなっていても不思議じゃあありませんでした」
キースはリリアの言葉にそうなったかもしれないなぁとうなずく。
「そっか、お前が良かったと言うならそうしておこう。が、別れの言葉はの様なことは言うな。俺が領都にいる時はパンを買いに行くから、付き合いは残念ながらまだまだ続くぞ」
残念ながら続くぞと言うキースの言葉に思わず、クスッとリリアは笑う。
「キース様にそんな風に言っていただけるとは思いませんでした」
「俺もここに連れてきた時は思わんかった。ムカついていたからな。ホント、変わったな」
「いえ、元に戻っただけなんですよ。貴族になったからって、気負ってたのかも知れませんね、フフフ」
リリアは思わず笑うのだった。キースも笑い返し、リリアの荷造りの時間の事を気にかける。
「話は馬車でもできるから、出発の用意してこい!!」
「はーい、キース様、行ってきます」
キースに準備を促され、リリアは準備に向かった。
残されたキースはつぶやく。
「今更だが、アイツが最初からこんな感じなら、跡継ぎはレオのままだったのに……まぁ、ぼやいても始まらんか」
そう言って頭を掻きながら、手伝いに向かうのだった。
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