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第一話
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フロナディア王国デルヴィーニュ公爵領を馬に乗った騎士四人に守られるように走る馬車があった。家の紋章は付いていないが上質な造りとわかる馬車が領都リーランドから馬車で1日行ったところにあるシア湖に向かって北へ北へと走っている。
「おかしい!おかしい!おかしい!」
馬車の中で狂ったように叫ぶ女が一人。馬車には質のいい服を着た女だけが乗っている。その女は馬車の外に聞こえるほど叫んでいるのだった。
ドガッ!ドガッ!ドガッ!
馬車の外から騎馬の騎士に馬車を荒々しく蹴られるのだった。
「リリア!! うるさい!!御者が怖がるから静かにしろ!!」
怒鳴るのはキース・デルヴィーニュ。五大公爵家デルヴィーニュ家の跡継ぎで、半年ほど前にデルヴィーニュ家に養子に入った男だった。
「わかりました~」
ゆるく返事するリリアにイラっとするキース。
「返事は『はい!!』っと簡潔に」
「はい~」
「後、一時間でシア湖の別荘に着く」
「はい~」
返事に納得したのかキースは馬車の前へ戻っていった。
馬車の中の女、リリアは相変わらず悔しそうに口を真一文字に結んでいた。
彼女はいろいろ思い出しているようだった。
――私、せっかく流行りの異世界転生したっぽいのに、何でこんなことに……前世?は詳しく覚えていないけど、明らかに大好きだったゲームの『ボクのハートをキミにあげる』のヒロインのリリア・バインズに転生したと思ったのに、一応結婚できたけれど、推しのライオネル様と実質的に結ばれるどころか幽閉されるなんて……こんな終わりってあり――!!
ライオネル様がBLに走っちゃうなんて、そんなストーリーなかったし、エドモンドってモブもキースなんてモブもいなかったわ。
攻略対象者はライオネル様とメルヴィン国王と五大公爵家のイケメンだったのは覚えてるんだけど……ヒロインだから何があってもゲーム補正ってやつで、ライオネル様を攻略できると思ったのに……どこで間違ったんだか……。
いろいろとリリアが思い出していると、馬車が止まったのだった。
馬車の扉が開いて、キースが顔を覗かせる。
「着いたぞ」
キースはリリアに素っ気なく言って、降りてくるのをまだかと待っていたのだった。
「おかしい!おかしい!おかしい!」
馬車の中で狂ったように叫ぶ女が一人。馬車には質のいい服を着た女だけが乗っている。その女は馬車の外に聞こえるほど叫んでいるのだった。
ドガッ!ドガッ!ドガッ!
馬車の外から騎馬の騎士に馬車を荒々しく蹴られるのだった。
「リリア!! うるさい!!御者が怖がるから静かにしろ!!」
怒鳴るのはキース・デルヴィーニュ。五大公爵家デルヴィーニュ家の跡継ぎで、半年ほど前にデルヴィーニュ家に養子に入った男だった。
「わかりました~」
ゆるく返事するリリアにイラっとするキース。
「返事は『はい!!』っと簡潔に」
「はい~」
「後、一時間でシア湖の別荘に着く」
「はい~」
返事に納得したのかキースは馬車の前へ戻っていった。
馬車の中の女、リリアは相変わらず悔しそうに口を真一文字に結んでいた。
彼女はいろいろ思い出しているようだった。
――私、せっかく流行りの異世界転生したっぽいのに、何でこんなことに……前世?は詳しく覚えていないけど、明らかに大好きだったゲームの『ボクのハートをキミにあげる』のヒロインのリリア・バインズに転生したと思ったのに、一応結婚できたけれど、推しのライオネル様と実質的に結ばれるどころか幽閉されるなんて……こんな終わりってあり――!!
ライオネル様がBLに走っちゃうなんて、そんなストーリーなかったし、エドモンドってモブもキースなんてモブもいなかったわ。
攻略対象者はライオネル様とメルヴィン国王と五大公爵家のイケメンだったのは覚えてるんだけど……ヒロインだから何があってもゲーム補正ってやつで、ライオネル様を攻略できると思ったのに……どこで間違ったんだか……。
いろいろとリリアが思い出していると、馬車が止まったのだった。
馬車の扉が開いて、キースが顔を覗かせる。
「着いたぞ」
キースはリリアに素っ気なく言って、降りてくるのをまだかと待っていたのだった。
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