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異変

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「椅子を落とすなよ。」

「はいっす!」

稽古しながら椅子を運ぶフードを被っていない金髪の男と
フード被った男がいた。

「……かなり消耗してる。」

アヌビスは魔力の歪みを感じたのか、
走っていった

「おい、アヌビス!」



「魔力を全て使い切るな。
集中しろ。無駄に魔力を放出するな」

「……っ」

「……そのままだ。」

ゆっくり歩いていく。
すると、1人の男が走ってくる。

「この人辛そう解放し……」

「……アヌビス邪魔するな。」

「……!」

ビクッと驚く顔を見せるアヌビス。
そして、3人の走る姿が見えた。

「アヌビス。どうし……」

「……怖い。」

正治が聞こうとしたが、アヌビスはすぐ答える。
正治を見た途端、フードの男が睨む。

「よくここまで来たものだ。褒めてやる犬」

「……、あの時は本当に」

「まぁ良い。それで、何の用だ?」

この貴とは違い冷たい視線と声は、
樹好には合わない。

「こ、怖いっす。
無理っすこんな人……ここが吸血鬼なんすか?」

と小さな声で、正治に言う。
だが、それには正治は答えない。
助言はしようと口を開けて言おうとする正治を遮る様に答えた。

「来訪者、うちの家系は五感が鋭いもんでな。
俺は聴覚は鋭い方だ。気を付けろ」

その答え方に貴はビックリした。
人間に見える彼を来訪者と言うためだ。

「貴、話は城の中でしよう。
玲、椅子を持って世良に報告を。」

「わかりましたっす!」

終わったと思ったのか完全に魔力を全身に纏わせて居たものを無くし、軽々と椅子を持って行こうとすると

「忘れ物」

と言われ、

「はいっす!」

ともう一度巡らせた上移動させた。
正治はそれを見て地獄か……ここ
と思いながらもアヌビスを見た。

「この人ずっとこの状態なの怖い」

とアヌビスは本音をダダ漏れさせていた。
吸血鬼の国の男は城の中に案内させようと歩いていこうとした時、
ずっと外に居て休まなかった為か、
外で咳をした。
苦しそうに息を吸う音まで聞こえた。
男の咳は異常な程で、深刻な病気持ち並の咳込みだった。
危険な状態。
それは突然だった。
丸くなろうと、座り込む。
貴が驚くもすぐにしゃがみ、背中に手を当てた

酷い。
貴は、助け呼ぶために、蛇を城に入れた。
すると、

「無鹿!!」

とフードはなく、エプロンを着て、切れ味悪そうな包丁を持った男と
後ろから追いかけるようにメイドが来た。

「だ、大丈夫か!?」

金髪の片方のもみあげがオレンジの三つ編み
そして髭を軽く生やした男性がいた。
城の中にしてはおかしな服装だ。
Tシャツって……

「……お父様!
急ぐ気持ちは分かりますが!
刃物は持ち歩かないで下さい!」

あれ、この国案外ネタ枠?

「お、父様゛……?」

ゆっくり起き上がる吸血鬼の王

「だ、大丈夫ですか?無鹿……」

あはは、こういう時はタフなんですから
と思う貴と、
辛そうに咳しつつも、身体はタフのように動く
強者

「助け呼んでんのに、包丁とか殺す気かぁ゛!?
指全部刻まれたいのかよ!」

すると、父親となる人は違う!とはっきり否定。

「違う……!
お前のこと思って……スープでも!」

看病のために作ったらしい。
優しい父親じゃないか!

「包丁をまず持つなとあれ程……ッ!!」

「王様……!
まずは休みましょう!
人間界の件もあると思いますが!
今は休めることです。」

メイドは無鹿を見て言った。
包丁を持つな……?
おかしいにも程があった。
すると、

パキン……


……カラン

「え?」

来客のみんな驚いた。
貴はため息ついて目を隠す。
見たくなかったのだろう。
ぱきん?からん?
この音は、

包丁が割れ、地面に落ちた。
こんな事ある……?

「お゛父様ぁ゛!
買ったばかりの包丁゛を
折るなと何度言ったら!!」

タフが過ぎる。
手を掴み、無理やり連れていった

「あ、す、すみません!
……こんなお恥ずかしい所を……!
ど、どうぞ!」

メイドは苦笑し案内をしてくれた。
コントだった……。
父親が馬鹿にしか見えない。
本当に柱の1つなのか?

「無鹿様
本日刄様が、まな板3つと、包丁3本壊しました……」

銀髪の人が報告をしていた。

「無理なさらないように。
刄様はスープと……。なんか泡立ってますね
紫色だし……」

「あ、ありがとな世良。
気持ちだけ貰っておく。
これで死にたくはねぇわ」

如何にも死にそうなスープだ。
毒ガスみたいなものが湧いている時点で
何入れたか分からない。

「人間界の参鶏湯作ろうと思った結果……。
生姜を茖荷、鶏肉をアンデッドホーク」

見守っていたのだが、
口出しは出来ずにいた。
毒ガスはアンデッドホークによるものだという。
食べたくないのか気持ちだけ貰った。

「俺は休む。来客には部屋に通すように」

「はい。玲!」

「は~い、聞いてたっすよ!」

顔見せては笑ってみせる。

「ようこそっす!
賑やかっしょ?……吸血鬼の国へようこそっす!」

と案内しつつ、無鹿を連れて部屋へ向かった。
玲と名乗る男は先程訓練を受けてた男だ。
暇そうにしていた男は早速案内した。
こんな男も城に住んでいるのかと実感した。
才能も格別なのだろう。

「こちらっす!
何か欲しいものあればいつでも呼んでくださいっす!」

と案内終えたあと、玲がお辞儀し
その場から去ろうとした。

「待て。そこにいろ玲」

「は、は~いっす」

と答え、玲は無鹿のベッドの横にある椅子に座り込んだ。無鹿も大変だったのか息を切らしていた。
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