ナニカがタリナイ

葉゚二🌙👤

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洗脳

愛とは

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何故だろう、

守る

そんな言葉が、こんなに嬉しいなんて。
ただの口約束みたいなもの。
裏切られる事もあるのに、
彼を信頼しているせいか、守ってくれる。
そう思った。

何故か
必ず守ってくれると思ってしまう。
だが、彼は教官だ。
そんな事ない可能性もあるのに、

「必ず守る。
辛い事も全部」

「……俺は穢いのに」

「構わない。
そんなところもあって良いと思う」

何故、なんでも許すのだろう。
彼はどうして俺なんかを選んだのだろう。

何故、こんな俺にここまでするのだろうか
俺なんて犯罪者だ。
許されないことをし続けたもの。
愛情


これが、愛情……?
どう思っているのかさえ分からないのに、
無意識に、
嗚呼、此奴は俺のこと好きなのかな?
と気になってしまう。


「亨、あの……さ」

首傾げるリンドウ


「……なんでもない」

と一言言うと、
首横振る。
リンドウは優しく笑ってみせると
中から指が抜かれて行った。
そして、抱き締めた。
0は抱き締められる。
涙が溢れそうになった。
泣くのを我慢し、リンドウを抱き締め返した。

「影、好きだ。」

そう言われ、
はじめての愛を感じた。
好きという言葉がこんなに来るなんて

これが、兄以外の人間に言われるとは思わなかった。
俺も、好きだ。

「……考え、させて欲しい」

俺は、告白かどうかも分からないそんな言葉に
首横に振り答えてみせた。
考えさせて欲しい。
だって、犯罪者と教官だ。
恋愛なんて有り得ない。
いくらスグリと梢がそういう関係に見えてもだ。

ぐるぐると回る。
俺は、恋をして良いのか?
教官に……

まだ良い人は居る。
教官には俺以外より、良い人が良い。
似合う。
あんたは汚れちゃ駄目だ。



……何故、好き前提になっている?
自分が気色悪い。

もし、俺が良いなら、何故俺なんだ?
あんたは、俺以外が絶対良い。



こんな声漏らして
男でもなんでもない。
女じゃねぇか……

「影……」

行為を辞め、抱き締める。
抱き締めた時に感じたぬくもりは暖かい。
リンドウの身体は逞しく、自身よりかっこいい
そして、身体同士の温もりもある
だが、心にも温もりを感じた。
そんな訳無いのに……

形でも無い物がこんなにもわかるんだ
良いのだろうか
俺が
こんな奴が



『だっる、とっとと決めろよ馬鹿が。』

一颯の声が聞こえた。

『俺はお前を守る為に居る。』

(じゃあ、一颯は消えてしまうのか?)

『さぁ。』

一颯の答えに下を向いた。
こんなにも辛いのかって
1人でも欠けて欲しくない。

(俺は、一颯が好き。
一颯は、俺にとって家族だから)

『かぞ……く?』

影の家族という言葉に涙が出た。
あぁ、一颯も泣くんだ。
辛かったものが晴れるような気持ちになる。
一颯、俺は幸せになろうと思う。
一颯は笑った。

『そうだな。俺たちは家族だ』

最初は相容れなかったが、
何年も居ると変わるんだなと思った。
周りから見たら同じ人だが、声質や目付きで人が変わった様に見える。
不思議だ……
人の見方によって変わるなんて
滅多に無い事を学んだ様なそんな気になった。

一颯は影が大好きだ。
そして守ってくれるリンドウも好きだ。
これからも守っていて欲しい。
梢はもう居ない。
自由にすれば良い
そもそもヒーローなんて

存在しないんだ。

母さん父さん、ごめんなさい
心配を掛けたよね。
梢が怖かったんだよね
俺もそうだったから

一颯が居なかったら今頃
梢では無く、俺が死んでいたかも知れない。
今でも思う
俺は生きて良いのだろうかと

「俺、生きて良いのか?」

気付いたらリンドウに聞いていた

「当たり前だ。
今居る人の為に生きろ」

その言葉に5や1を思い出した。

『いつでも頼れよ?』

『……大丈夫っすよ!0にきの事大好きなんで!』

5と1ありがとう。
お前たちのおかげでここまで来れた。
1には特に救われている。
最初は5に救われて、こんなに嬉しい事があるのだろうか。
出来すぎているのでは?
なんて思ってしまう。

それだけ恵まれたということなのだろうか

梢よりここの方が幸せを感じる。

「影、大丈夫か」

涙を拭くリンドウ。
優しい。
俺はこんな簡単に心開いてしまって
馬鹿みたいだ。
思わず笑ってしまう。

「大丈夫だ。」

リンドウの言葉に答えると、
一颯に話した。

(お前は、リンドウとどうしたい?)

『さあな。 別に俺はどれも気にしねー』

と答えてくれた。
一颯は、俺の自由にしろと遠回しに言っていた。
きっと、
俺の身体だからなのだろうか?
違う、
俺たちの身体だ。


だが、相手はたった一つの身体。
リンドウという名前の、リンドウという存在と……

それぞれ人間は違う。同じなんて双子くらいでしか有り得ない。
1人を2人で独り占め……悪くない

(って、何考えてんだよ俺は!)

と首を横に振り、
忘れようとする。
そしてリンドウに向かって笑ってみせた。

リンドウは0の頭を撫で、
優しく声を掛け

ぬくもり何だこれは と教えられる。
勿論、言葉でも身体でも……

どうしても変わらない。
好きってこう言う事なのだろうか。
すきって?

詳しくは分からない。
好きかどうかもだが、嫌いでは無い


「ん……」

と0は口付けをした。
そのリンドウの唇に


「ん゛!?」


とリンドウは、
まさか自分からするとは思わなかったのか、かなり驚いていた
気持ち良い。
そんな気持ちが溢れたのだった
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