ナニカがタリナイ

葉゚二🌙👤

文字の大きさ
上 下
2 / 81
教官と更生員

最初

しおりを挟む
俺は警察では無い誰かに捕らえられた。
あの時パトカーの音も聞こえなかった。

『お前が×××か!』

「っ……!」

1人のときを狙い、家の付近で押さえつけられた。
力が強すぎて腰も腕も痛いし、痕ができるんじゃねぇのかって思うくらいだった。

そしてハンカチで口元を押えられた。
誘拐か?
でもこんな大袈裟な誘拐なん…………


……

……

……






◇◇◇_______________◇◇◇






気付いたら、冷たいコンクリートの床上で横になっていた。
見知らぬ場所に目が一気に覚めた。

「気づきましたか」

マスクをつけた優しそうな男がいた。

「2人が目が覚めるまで待っててって言われまして」

2人?
て言うことは俺以外にも居るのか。
そっと起き上がると、腕が痛んだ
夢じゃない。
そして隣には鞄があった。
自分の鞄だ。
開けて携帯等を探すも見当たらない。
なんなら財布もない。

「嘘ですよね。」

咄嗟に本音がでかけたが、我慢した。

「貴方、名前は?」

と後ろから声をかけられ、振り向くと、咄嗟に答えたのは

0ゼロ

……?
あれ、0……?

「……ここ皆名前は必ず番号で言うんです。私の時もそうでした。私は4フィーラと申します」

……自分の名前が思い出せない。
それに、

「あ!目が覚めたようだね!こんにちは!」

と出てきたのは青髪の男。
すると、みんな静まった

「今日から君たちの教官になったサルビアです。」

とチャラい喋り方で進める男がいた。
すると、サルビアは確認をした

「じゃあとりあえず1から確認で職業聞きます」

そう言うとそっと立ち上がる。

「じゃあ1アン

……0からじゃない?

「……24歳、俺はIT企業に勤めてます」

「はい、オッケー」

と何やら紙にペンで書いていく。
そして、

2ツヴァイ

「僕、……27歳、働いて……ないです」

ボソッと女の子が喋る。無理矢理話ししている様で可哀想に見える。

3トリー

「僕は警察官しています。29歳です」

と明るく話しかける。そして

4フィーラ

「はい、私は32歳、弁護士をしています」

弁護士!?
俺、弁護士に話しかけられてた……?

5ベッシュ

「うっす、20歳、……ヤクザっす」

「うん、みんな良いね。」

と答える。で、俺の出番が来た。

「最後、0ゼロ

「……」

俺は無言だった。

「0ー?」

とサルビアは俺に聞いてくるも俺は無言だった。
そして俺は目を細める。
警戒心がつい出た

「ゼ、」

とサルビアが言おうとした時

「何故、言わないといけないんですか。」

俺は反論した。その言葉に皆は俺の方を見た。
みんな、この状況で話しづらかったみたいだ。
確かに教官だもんな。先生に口答えするとおなじだろう。
そして1人は声を上げた

「ま、待って、あの時の……あの時の!」

とその場に座り込み俺を指さす。
そう、3と呼ばれた男。警察官

「あぁ、お久しぶりですね。」

と口元だけで笑ってみせる。

「ヒッ、」

と3が怖がるとサルビアが言った

「はい、会話して良いなんて言ってないよ。3」

「す、すみません……」

すると、サルビアが俺に近付いた

「人の確認の為に職業確認がいるの。わかる?」

「……それなら名前聞けば良いじゃないですか」

「あぁ、」

とサルビアが言うと、急に声を出して笑い出す

「その記憶ねごめんけど、消えてるでしょ?あの薬がそう。いつかは思い出せるよきっと」

そして俺の肩に触れた

「だからそれを確認してるの。これでわかるかな?」

「……わかりません。」

「ふーん?」

そう言うと、サルビアは紙を読み上げた。

「0、18歳。高校生」

そう言うと、その年齢を聞いた途端みんな驚いた。

「そう、君、最年少。大人に逆らっちゃだめだよ?餓鬼」

と言うと、独り言で

「あーあ、前も未成年いたけど、君程の抵抗は無かったのになぁ」

とサルビアが言う。
餓鬼と言われた事と他の奴と比較されたこと。
ムカついた。

そして俺は前に出ようとした時

「やめときましょう。顔を見る限りなにか裏があります。喧嘩は……」

と4が止める
すると俺はそっぽを向いた。
そして、また足音が聞こえた。2人分。
それは

「あぁ、この2人も教官だからね。」

「……」

「俺、チューベローズです。ローズって呼んでくれ」

……

「危険な快楽」

俺はついそう言った。
チューベローズの花言葉のひとつ、危険な快楽。
聞いたことがある。
……なんで、思い出せない。

「で、この無言なのはリンドウね」

「……よろしく」

「で、俺サルビアね。」

と手を振り笑顔で言う。
すると、サルビアはウロウロ回るように歩くと説明をした

「これから君たちのお世話を3人でします。で、更生できたものは、君たちに印が付与され、その証拠が俺らの実績になる」

実績……ね。

すると、リンドウという男と目が合った

「……」

ずっと見ている。何だこの男。
するとリンドウは俺に向かってきた。
サルビアは急な出来事に驚き

「ちょ、リンドウ!?」

と言う。すると俺の目のまで止まると、
目を細めた。そして

「0、お前はなんだ。」

は?

「ちょっと!変態に見えるからやめて!」

サルビアがリンドウの後ろから腕を掴み戻そうとするも、そちらの方が明らかに強い

「……さっきからの目付きが怪しい、それに真面目な奴が香水つけるか?」

詳しいことを教官が知らないのか……?

「……質問があります。俺らは悪いことしたから来たんですよね。あなた方は詳しくは知らないんですか」

「……お、0、初めて良い質問来た!後でご褒美あげよう!」

「要りません」

俺は即答をした。

「酷いなー、0」

とサルビアが頬を膨らませた。
そして、

「実は俺ら詳しいことをボスからいつも聞かない。だから職業確認したというのもある。そう、君たちの口から話してもらおうと思ってね。自覚する為に」

自覚……か。
俺は、

「ぼ、僕、わ、悪いことしてないです!」

と2が急に喋り始めた。
そして、4も

「私もです。弁護士としてやっていません。」

3も

「僕も!!そんな事!!」

1と5は無言で、俺はニヤリと笑った
その顔を見たリンドウとサルビアがゾワッとした

「僕も何もしてません。……けど、この男はしました。なんで僕がいる前で平然と嘘がつけれるんです?」

そして、笑顔で俺は

「クソ変態男さん」

と言った。すると、サルビアは

「ほう。これはこれはまさか0から3のこと言ってくれるなんて。ローズ」

「はい。サルビアさん。」

「やれ」

と低い声でサルビアが言う

「はい。……3、今日は俺とお話しよっか。」

すると、3はローズに連れていかれた。
ニコニコと微笑んでいた顔はいつの間にか下を向いていた。
こいつはどうやら俺の事を見た時からサルビアは目をつけていたのか行動が早い。

「じゃ、今日は解散。1おいで」

すると、1はずっと無言だったのだが、サルビアに言われると他の奴と違って微笑みかけた

「はい!教官様!」

……、俺はまた目を細める。
おかしい。この男なんか

「……なんですかここ。」

そして1は異常なまでにサルビアに引っ付き、
サルビアも1の腰に手を回している。
普通はローズと3のようになるはず。

「……」

リンドウは誰も指名しなかった。
そして、そのままそっぽを向き、俺に背を向けて歩いていった

すると、
喋らなかった男が来た。

「凄いっす!あんな奴に反抗したの!!俺憧れたっす!」

5だった。俺の肩を掴む
あー、馴れ馴れしい

「俺、0にきと呼んで良いっすか!?」

「……好きにしてください」

「こんな真面目でガリ勉だと思ってたっすけど、偏見だけじゃなく中身も凄いんすね!俺のことは5とお呼びください!0にき!」

と言った。そして、

「ぼ、僕もです!0くん凄くカッコよかった、です……。1くんが隣で顔イケメンだな思ってたけど……」

と2が下を向くと

「僕も悪い人じゃないって言えたの、0くんのお陰です」

と微笑みかけた。そして、4もいた

「流石です。最後はやり過ぎでしたけど、私たち喋りづらかった中、貴方は素晴らしい」

そして4は

「良かったら0さんふたりでおはなししませんか」

と言った。俺は目を逸らし静かに頷いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

処理中です...