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第26章 楽しいばかりが人生ではないそうですよ⁉︎
383話 双月への祈り
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盛大に行われたゴーモラ女王こと嫉妬魔王コウサカと、アラヤの分身体であるネガト(卑屈的なアラヤ)の婚姻の挙式と披露宴は、3日3晩続いた。
「おいおいソルテ、その娘達を俺にも紹介してくれない?」
宴会場を女魔物達を侍らせて歩くソルテに、アグリ(積極的なアラヤ)が仲間に入れてくれよと声を掛ける。
「良いけど、手を出すなら結婚する条件だよ?」
「へっ?ソルテは手を出して無いの?」
「肉体的にはね?」
付き従う彼女達は、どう見てもソルテに惚れている様に見える。それも、少し常軌を逸している感じでだ。
「まぁ、良ければ説明するよ?」
アグリがソルテに遊びの説明を聞いている頃、主様、ノア(消極的なアラヤ)は会場の端で今日も巨人族と大食い対戦をしていた。
「主様殿、ノア殿、今日こそは儂が勝つぞ!」
巨人族の代表が2日間の雪辱を晴らさんと気合いを入れているが、2人は単に目の前に出されたボア肉の丸焼きを、スタートと同時に齧り付くことしか考えていなかった。
所変わり、新ゴーモラ王宮こと、コウサカ宮殿には、アラヤ達が集まっていた。
「それで、デートは何処に行ってたの?」
「そ、それは基本、ネガトに合わせてお家デートよ。そもそも、私の国に娯楽施設なんて無いし、景色を楽しめるスポットも少ないもの」
「お家デートだと、あっちの世界では映画鑑賞とかがメインですよね?その点はどうされたのですか?」
馴れ初めをしつこく聞くサナエアヤコの質問攻めに、コウサカはたじろぎながらも真面目に答えている。
婿入りした立場のネガトは、カオリと宰相のジョスイに挟まれ、国内を発展させる案を聞かされていた。
「今1番の問題は、魔物の食糧不足よ!それには先ず、人工太陽光を取り入れる為に、水力発電所を作るべきよ。このゴーモラにでは日照時間がほぼゼロだから、作物だけじゃなく家畜も上手く育たない。島と島の間の海流を利用した水力発電所を早急に作るべき!」
「いやいや、色欲魔王殿、ゴーモラ国民の約半数はアンデッドでございます。現時点での家畜の総数で問題なく済んでおりますよ。今早急に取り掛かるべきは、国の象徴たる城とその城下街でございましょう?」
「確かに、多種族の魔物達が近くに住む様になっているみたいだから街作りは必要よね。でも宰相、誰もが貴方達みたいな死肉を望むわけじゃないのよ?」
「……」
「ネガト、貴方はどう考えてるの?」
「ネガト殿下、どうなのですか?」
「えっと…、僕なんかが決めるのはおこがましいというか…。彼女に決定権があるわけだし…。そもそも、分身体で1番能力が低い僕なんかじゃ、彼女の補佐にもならないというか…」
小声でブツブツと答えるネガトに、カオリとジョスイが戸惑っていると、それに気付いたコウサカがやって来て、ネガトの頭を小突いた。
「アンタ馬鹿なの?アンタは私が選んだ男なのよ?面倒事はジョスイに全部丸投げして、貴方は私の居場所だけを守っていたら良いのよ」
「あ、アカネ…」
「な、なによ。と、当然でしょ?」
名前で呼ばれて急に赤面する彼女に、カオリとジョスイは「こっちで勝手に進めましょうか」と場を離れる事にした。
『随分と、眷属達を自由にさせているのだな。もう少し自制させねば、他属性の微精霊が集まらないぞ?』
『わ、わ、私は、別に今のままで良いもん。あ、貴女には居心地は悪いかもだけど、子供達は活き活きしているから』
奥の部屋には、風の大精霊と闇の大精霊が居て、あらや(サナエの夫)がヨウのオムツ変えするやり方を見学していた。
『さぁ、終わったなら、私が抱っこをしてやる』
エアリエルはヨウを受け取ると、慣れた様子で優しく抱っこをする。
『あ、あ、赤ちゃんを触れるの?』
『ええ。この子にはもう、私の加護を与えているもの。どう?慣れたものでしょう?昔はよくこうして、エルフの赤子を抱き上げていたのよ』
精霊が人に触れるには加護を与えるか契約者になる必要がある。
『な、なら、わ、私も、加護を与えるわ』
プルートーは、三つ目を開眼してからヨウの小さな手に触れた。
『ぷ、プニプニしてる…』
小さな手の柔らかさを堪能したプルートーは、今度は抱っこがしたいと手を差し出す。
『そ、そっとだぞ?まだ首の据わりが甘いからな?』
エアリエルは、恐る恐るプルートーへとヨウを渡す。プルートーは背が低いので安定して抱っこできるか心配なのだ。
『こ、これがサナエの子…。尊い…』
初めて見るプルートーの笑顔に、居合わせた皆の顔がほころぶ。
『どうせなら、契約者になれば良かったのではないか?』
『そ、それは、女王の子に、するつもりだから、いいの』
「あー、プルートー様、彼女はアンデッドだから、子は成せないと思いますよ?」
アンデッドは、身体の組織が停止しているから、当然妊娠すらしない。
あらやがそう言うと、プルートーは頬を膨らませて睨んだ。
『あ、あの子は、わ、私があの体にしたんだもん!い、いっぱい、魔物の臓器も付けたけど、腐らない様に耐性も付けたから大丈夫なの!』
コウサカは1度死んだのに、ゴーモラに遺体が運ばれてから蘇ったのは、プルートーが蘇生したからだったのか。
「じ、じゃあ、彼女の臓器は生きているのですか?」
『死んでるけど動くの!わ、私の加護なの!』
よく分からないが、普段は機能は死んでるけど、闇の魔力なら機能するという事かな?
『そうか、ならば楽しみだな』
『フフ、きっと女の子。わ、私が1番に抱っこする…』
いつになるかも分からないのに、もう確定しているかの様に、2人の大精霊は喜んでいた。
王宮の外。
中に入れなかった暴風竜エンリルと、闇の眷属竜ニュクスは、外の空気を吸いに来たアラヤとニイヤを取り押さえていた。
「離せエンリル、何の真似だよ?」
『用があるのは俺の方だ。しかもニイヤ、君の方にね?』
「え、俺?」
『貴様に貸した、あの勇者の魂を早く返せ』
「勇者の魂?」
ギクッと、ニイヤの肩が跳ねる。アラヤには伝えていなかった案件だった。
「あー、あれだよ、ほら、バンドウも魂をゴーレムに入れて復活させたじゃん?実は、ベヒモス奪還作戦でこのゴーモラに宰相とポルカを迎えに来た時に、ニュクスから借りたんだよ。バンドウみたくゴーレム要員として」
「へぇ~」
アラヤはエンリルの腕を振り払い、ニュクスの闇の手に捕まっているニイヤに詰め寄る。
「あの勇者は、カオリの因縁があること知っているよね?それなのに?」
「も、もちろん、彼女の許可は得たさ!ちゃんと、従魔契約だってしているから安心だ!」
ニイヤは必死になって、同意のもとで決めたことだと説明する。
『じゃあ、そのゴーレムのまま我に渡せ。そのまま、神殿の守護者に使ってやる』
ニュクスとしても、この勇者には痛い目にあわされているので、憂さ晴らしの面もあるのだろう。
「そ、それが、少し前にアシヤの奴に貸しちゃてて…」
「アシヤに⁉︎」
借りた当の本人は、行方不明になっている。
そりゃあ、魂のあるゴーレムが強いのはバンドウで理解した。
でも、アイツを使うのは納得いかない。いくらカオリが許可したとはいえ…
あれひょっとして、知らなかったの俺だけか?
『なんだ、逃げられたのか?』
「いや、そうじゃないけど…。今は何処に行ったか分からないんだ」
アラヤは、闇の空を見上げて消えた3人の無事を思っていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
今や世界に、モーントガルテンの敵となり得る脅威はいない。
グルケニア帝国は、記憶が残っているパオロ皇帝と忠義の勇者コーリー=スナイプスが、反乱分子の多さを目の当たりにした為に根本的な政策の立て直しに動いており、他国への侵略等は当面の間、起こすことは無いだろう。
美徳教団や勇者達に関しても、アラヤ達に対抗する気は既に無い。
美徳教団教皇である慈愛の勇者ヨハネス=オ=ドワーズが、敵視する魔王を傲慢の魔王アラガキと、嫉妬の魔王コウサカの2名に絞ったからでもある。
コウサカに至っては、今回のネガトとの婚姻により、外交面からもこの敵視から外されるだろう。
もとより冥界の国へと人々が近付かない事から、わざわざ海の脅威(厄災の悪魔レヴィアタン)と陸の脅威(ベヒモス)を越えてまで、討伐に赴く必要は無いと判断されるに違いない。
まぁ、一部の戦闘狂(勤勉の勇者クリスチャート=高須=スタディ)はいるだろうけど。
節制の勇者タカノブ=ブリアトーレと分別の勇者ウィリアム=ジャッジは、例の記憶喪失により転移時後の記憶が無いので、美徳教団の傘下で新世界に慣れるのに必死で大人しくしている。
彼等は、ヨハネスがしっかりと導いてくれるだろう。
そう、世界は今、着々と平和へと向かっている。
俺達、落ちぶれ者達の居場所はそこには無い。
「うん、問題無く来れたね」
とある街に着いた3人は、フードを外して伸びをした。
そのまま見上げた夜空には、双月が浮かび並んでいる。
その月に2人を思い浮かべたアシヤは、祝舞の言葉を呟いた。
「おめでとう、ネガト、コウサカ」
笑顔を見せて2人の幸せを祈る。
だがそれも数秒、直ぐに気持ちを切り替えたアシヤは、2人と共に夜の街へと消えるのだった。
「おいおいソルテ、その娘達を俺にも紹介してくれない?」
宴会場を女魔物達を侍らせて歩くソルテに、アグリ(積極的なアラヤ)が仲間に入れてくれよと声を掛ける。
「良いけど、手を出すなら結婚する条件だよ?」
「へっ?ソルテは手を出して無いの?」
「肉体的にはね?」
付き従う彼女達は、どう見てもソルテに惚れている様に見える。それも、少し常軌を逸している感じでだ。
「まぁ、良ければ説明するよ?」
アグリがソルテに遊びの説明を聞いている頃、主様、ノア(消極的なアラヤ)は会場の端で今日も巨人族と大食い対戦をしていた。
「主様殿、ノア殿、今日こそは儂が勝つぞ!」
巨人族の代表が2日間の雪辱を晴らさんと気合いを入れているが、2人は単に目の前に出されたボア肉の丸焼きを、スタートと同時に齧り付くことしか考えていなかった。
所変わり、新ゴーモラ王宮こと、コウサカ宮殿には、アラヤ達が集まっていた。
「それで、デートは何処に行ってたの?」
「そ、それは基本、ネガトに合わせてお家デートよ。そもそも、私の国に娯楽施設なんて無いし、景色を楽しめるスポットも少ないもの」
「お家デートだと、あっちの世界では映画鑑賞とかがメインですよね?その点はどうされたのですか?」
馴れ初めをしつこく聞くサナエアヤコの質問攻めに、コウサカはたじろぎながらも真面目に答えている。
婿入りした立場のネガトは、カオリと宰相のジョスイに挟まれ、国内を発展させる案を聞かされていた。
「今1番の問題は、魔物の食糧不足よ!それには先ず、人工太陽光を取り入れる為に、水力発電所を作るべきよ。このゴーモラにでは日照時間がほぼゼロだから、作物だけじゃなく家畜も上手く育たない。島と島の間の海流を利用した水力発電所を早急に作るべき!」
「いやいや、色欲魔王殿、ゴーモラ国民の約半数はアンデッドでございます。現時点での家畜の総数で問題なく済んでおりますよ。今早急に取り掛かるべきは、国の象徴たる城とその城下街でございましょう?」
「確かに、多種族の魔物達が近くに住む様になっているみたいだから街作りは必要よね。でも宰相、誰もが貴方達みたいな死肉を望むわけじゃないのよ?」
「……」
「ネガト、貴方はどう考えてるの?」
「ネガト殿下、どうなのですか?」
「えっと…、僕なんかが決めるのはおこがましいというか…。彼女に決定権があるわけだし…。そもそも、分身体で1番能力が低い僕なんかじゃ、彼女の補佐にもならないというか…」
小声でブツブツと答えるネガトに、カオリとジョスイが戸惑っていると、それに気付いたコウサカがやって来て、ネガトの頭を小突いた。
「アンタ馬鹿なの?アンタは私が選んだ男なのよ?面倒事はジョスイに全部丸投げして、貴方は私の居場所だけを守っていたら良いのよ」
「あ、アカネ…」
「な、なによ。と、当然でしょ?」
名前で呼ばれて急に赤面する彼女に、カオリとジョスイは「こっちで勝手に進めましょうか」と場を離れる事にした。
『随分と、眷属達を自由にさせているのだな。もう少し自制させねば、他属性の微精霊が集まらないぞ?』
『わ、わ、私は、別に今のままで良いもん。あ、貴女には居心地は悪いかもだけど、子供達は活き活きしているから』
奥の部屋には、風の大精霊と闇の大精霊が居て、あらや(サナエの夫)がヨウのオムツ変えするやり方を見学していた。
『さぁ、終わったなら、私が抱っこをしてやる』
エアリエルはヨウを受け取ると、慣れた様子で優しく抱っこをする。
『あ、あ、赤ちゃんを触れるの?』
『ええ。この子にはもう、私の加護を与えているもの。どう?慣れたものでしょう?昔はよくこうして、エルフの赤子を抱き上げていたのよ』
精霊が人に触れるには加護を与えるか契約者になる必要がある。
『な、なら、わ、私も、加護を与えるわ』
プルートーは、三つ目を開眼してからヨウの小さな手に触れた。
『ぷ、プニプニしてる…』
小さな手の柔らかさを堪能したプルートーは、今度は抱っこがしたいと手を差し出す。
『そ、そっとだぞ?まだ首の据わりが甘いからな?』
エアリエルは、恐る恐るプルートーへとヨウを渡す。プルートーは背が低いので安定して抱っこできるか心配なのだ。
『こ、これがサナエの子…。尊い…』
初めて見るプルートーの笑顔に、居合わせた皆の顔がほころぶ。
『どうせなら、契約者になれば良かったのではないか?』
『そ、それは、女王の子に、するつもりだから、いいの』
「あー、プルートー様、彼女はアンデッドだから、子は成せないと思いますよ?」
アンデッドは、身体の組織が停止しているから、当然妊娠すらしない。
あらやがそう言うと、プルートーは頬を膨らませて睨んだ。
『あ、あの子は、わ、私があの体にしたんだもん!い、いっぱい、魔物の臓器も付けたけど、腐らない様に耐性も付けたから大丈夫なの!』
コウサカは1度死んだのに、ゴーモラに遺体が運ばれてから蘇ったのは、プルートーが蘇生したからだったのか。
「じ、じゃあ、彼女の臓器は生きているのですか?」
『死んでるけど動くの!わ、私の加護なの!』
よく分からないが、普段は機能は死んでるけど、闇の魔力なら機能するという事かな?
『そうか、ならば楽しみだな』
『フフ、きっと女の子。わ、私が1番に抱っこする…』
いつになるかも分からないのに、もう確定しているかの様に、2人の大精霊は喜んでいた。
王宮の外。
中に入れなかった暴風竜エンリルと、闇の眷属竜ニュクスは、外の空気を吸いに来たアラヤとニイヤを取り押さえていた。
「離せエンリル、何の真似だよ?」
『用があるのは俺の方だ。しかもニイヤ、君の方にね?』
「え、俺?」
『貴様に貸した、あの勇者の魂を早く返せ』
「勇者の魂?」
ギクッと、ニイヤの肩が跳ねる。アラヤには伝えていなかった案件だった。
「あー、あれだよ、ほら、バンドウも魂をゴーレムに入れて復活させたじゃん?実は、ベヒモス奪還作戦でこのゴーモラに宰相とポルカを迎えに来た時に、ニュクスから借りたんだよ。バンドウみたくゴーレム要員として」
「へぇ~」
アラヤはエンリルの腕を振り払い、ニュクスの闇の手に捕まっているニイヤに詰め寄る。
「あの勇者は、カオリの因縁があること知っているよね?それなのに?」
「も、もちろん、彼女の許可は得たさ!ちゃんと、従魔契約だってしているから安心だ!」
ニイヤは必死になって、同意のもとで決めたことだと説明する。
『じゃあ、そのゴーレムのまま我に渡せ。そのまま、神殿の守護者に使ってやる』
ニュクスとしても、この勇者には痛い目にあわされているので、憂さ晴らしの面もあるのだろう。
「そ、それが、少し前にアシヤの奴に貸しちゃてて…」
「アシヤに⁉︎」
借りた当の本人は、行方不明になっている。
そりゃあ、魂のあるゴーレムが強いのはバンドウで理解した。
でも、アイツを使うのは納得いかない。いくらカオリが許可したとはいえ…
あれひょっとして、知らなかったの俺だけか?
『なんだ、逃げられたのか?』
「いや、そうじゃないけど…。今は何処に行ったか分からないんだ」
アラヤは、闇の空を見上げて消えた3人の無事を思っていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
今や世界に、モーントガルテンの敵となり得る脅威はいない。
グルケニア帝国は、記憶が残っているパオロ皇帝と忠義の勇者コーリー=スナイプスが、反乱分子の多さを目の当たりにした為に根本的な政策の立て直しに動いており、他国への侵略等は当面の間、起こすことは無いだろう。
美徳教団や勇者達に関しても、アラヤ達に対抗する気は既に無い。
美徳教団教皇である慈愛の勇者ヨハネス=オ=ドワーズが、敵視する魔王を傲慢の魔王アラガキと、嫉妬の魔王コウサカの2名に絞ったからでもある。
コウサカに至っては、今回のネガトとの婚姻により、外交面からもこの敵視から外されるだろう。
もとより冥界の国へと人々が近付かない事から、わざわざ海の脅威(厄災の悪魔レヴィアタン)と陸の脅威(ベヒモス)を越えてまで、討伐に赴く必要は無いと判断されるに違いない。
まぁ、一部の戦闘狂(勤勉の勇者クリスチャート=高須=スタディ)はいるだろうけど。
節制の勇者タカノブ=ブリアトーレと分別の勇者ウィリアム=ジャッジは、例の記憶喪失により転移時後の記憶が無いので、美徳教団の傘下で新世界に慣れるのに必死で大人しくしている。
彼等は、ヨハネスがしっかりと導いてくれるだろう。
そう、世界は今、着々と平和へと向かっている。
俺達、落ちぶれ者達の居場所はそこには無い。
「うん、問題無く来れたね」
とある街に着いた3人は、フードを外して伸びをした。
そのまま見上げた夜空には、双月が浮かび並んでいる。
その月に2人を思い浮かべたアシヤは、祝舞の言葉を呟いた。
「おめでとう、ネガト、コウサカ」
笑顔を見せて2人の幸せを祈る。
だがそれも数秒、直ぐに気持ちを切り替えたアシヤは、2人と共に夜の街へと消えるのだった。
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