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第25章 喰う、それは生きる為ですよ⁉︎
361話 突入作戦
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魔鉱石の建物が並ぶ市街地を、増殖分身体のアラヤは耐魔鉱石ゴーレムⅢ型(囮用竜人タイプ)と共に駆け回っていた。
「居たぞ!囲み込め!」
魔人が指揮する改造魔人警備隊達が、辺りを破壊しながら派手に走り回るアラヤ達を追いかけている。
その装備は魔力を銃弾に変えて放つ魔導銃で、射速も速い上に連射が可能だ。
魔力量がある改造魔人達にも、鬼に金棒な武器で、無詠唱ができる魔術士よりも厄介だと言える。
その飛び交う銃弾を、耐魔鉱石ゴーレムの肉壁と、無数に出したサクションで吸収して躱し、風中位精霊が側面から武器破壊する。
直後に、闇中位精霊が生への怠惰(ポイズンドロップ、コラープスの合成魔法)の麻痺毒で敵を全て行動不能にした。
「さて、もうそろそろみんな降りたかな?」
現在地と真逆の位置にある地下遺跡への入り口に、ニイヤ達が向かっている。アラヤはそれを気づかれないように囮を買って出ていたのだ。
『アラヤ君、みんなは今しがた入り口に突入しました。そろそろ切り上げてもらって構わないです』
「じゃあ、戻ろうかなぁと思ったら…何か来たね?」
前世界のSFの映画ではよく見る奴だね。いわゆるロボット兵士。
人型が3体で、それぞれ左肩に番号があり腕の武器が違う。
1型は魔導銃と盾、2型は大槌と鎖、3型は魔導チェンソーと鉤状だ。
「流石は魔導科学国だな。厄介そうだ」
この装備を見る限り、対強者相手のチームプレイを想定しての機体かもしれない。
しかもロボット兵士という段階で、状態異常の効果を望めない。
つまりは、攻撃魔法及び物理攻撃で攻めるのがベストと判断した。
「先ずはお手並み拝見…!」
シルフィーに、3体の両サイドに風の壁を作らせ逃げ道を塞いだ後に、アラヤがフレイムウォールを放った。
すると、盾を持つ1型が先頭に立ち突進して来た。
その盾は、途中で大盾に変化して炎を受け止めるとそのまま吸収した。
「火がダメなら、氷はどうかな?」
次は氷河期で範囲氷結攻撃だ。
一瞬だけ動きが鈍くなったが、即座に盾が吸収した炎を吐き出し氷を溶かした。
そうこうしている間に、1型の背後から2型が飛び越えて鎖をアラヤの持っていた長剣に絡める。
直後に鎖に電流が流れたが、アラヤは剣を手離し2型の頭部に蹴りを入れる。
「硬っ⁉︎」
結構強めに蹴ったのに、首をへし折ることはできなかった。それどころか、せいぜい2mくらい背後に飛ばしたくらいだ。
しかも、3型がその足を捕まえようと鉤状の手を伸ばす。
「フッ!」
アラヤはその鉤状を踏み台にして体を捻り、3型の頭に触れて頭内部にエアカッターを放つ。
骨格部はかなりの強度があるだろうが、内部破壊によりガクンと膝からくずれおちた。
「良かった、魔法の内部伝達は有効だったみたいだな」
外殻が耐魔法に優れた素材なら、内部に発動しにくい筈だからだ。
『てめぇ!新型を壊したな!』
2型から聴き覚えのある音声が聞こえる。どうやら、このロボット達は遠隔から観察されている様だ。
『パガヤ王国の亜人は魔法を使う奴は少ない。貴様のその容姿、暴食魔王か?大罪教からの刺客として来たか?』
「……」
どうやら、このロボット達を通してアラガキがこの戦闘を見ているらしい。
ここは素直に答えて、奴の注意を引いておくべきだろうか?
いや、奴と会話するのも気分が悪いな。
「ガウッ‼︎」
アラヤは、即座に残り2体の頭部を同様に破壊した。
『ガガッ…やろう!…ガ…ガッ…』
通信が途絶えた様で、音声は聞こえなくなった。
『ちょっとアラヤ、どうする気?アヤはもう戻って良いって言ったでしょ?』
アヤコは突入組に集中しているのだろう。代わりにサナエから念話が届く。
アラヤは3体の首無しロボットを亜空間収納に収めると、管制室にいるサナエに楽しそうな声で答えた。
「ちょっと、要塞内部を探検してくる。サポートよろしくね?」
『あっ、ちょっと待ちなさい!』
注意を引きつけるなら徹底的にしてあげよう。どうせなら、アラガキが悔しがる顔が想像できるくらいに。
要塞入り口から警備隊の増援が現れたタイミングで扉を破壊し、アラヤは意気揚々と要塞内部へと突入するのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
地下遺跡に突入したニイヤ達。
テレポート使用可能な人数も考慮して、部隊は3隊に分けた。
先ずはニイヤが率いる、カオリ・ノア(消極的なアラヤ)の部隊。
主様率いる、クララ・アスピダ・サハドの部隊。
アー君率いる、アグリ(積極的なアラヤ)・アフティの部隊。
「くれぐれも、仲間を巻き込む様な戦い方はしないように。俺からは以上だ」
「ちょっとニイヤ!もうちょっとマシな話できないの?」
「まあまあ、言いたい事は分かるから大丈夫だよ」
「要は、遺跡を破壊し過ぎて潰すなよ?って事だよね?でもそれは、言い出した君達が1番気をつける事でしょ?」
アー君や主様から指摘されて、否定できないなと、ニイヤとカオリは赤くなる。
気を取り直してから入り口を進むと、下に降りる階段があった。
その下階段から出た先は開けていて、巨大な神殿遺跡が現れた。
正面の広い入り口には、見える範囲には見張りが居ない。だが、柱の影に魔力反応がある。
どうやら、待ち伏せしているつもりみたいだ。上の騒ぎで既にバレているらしい。
「とりあえず、お互いに離れた場所から突入するか」
入り口はきっと正面だけじゃない。左右にも隊を移動させ、同時突入することにした。
「それじゃ、なるべく無駄な戦闘は避けて行くぞ?」
「「了解」」
先ずは魔力制御と隠密で気配をほぼ完璧に消したニイヤ達が正面入り口の鎮圧に掛かる。
柱の影で待ち構えるヌル虚無団員達は、気配を消せないミュウやサハドに気を取られている。
その背後に回ったニイヤ達は難無く彼等を沈黙させた。
倒した後は拘束して【生命の檻】へと収納する。放置するよりも危険は少ないし、後で大罪教と美徳教の両団に引き渡せば、代わりに罰してくれるだろう。
「さぁ、進め」
あくまでも、ヌル虚無教団教皇であるダクネラ=トランスポートを捕らえる目的だが、相手は多技能持ちが多い教団。
対する月の庭の国軍たるニイヤ達も、個の実力がAランク冒険者を凌駕する3部隊。
絶対に穏便に終わらない突入作戦が、とうとう開始したのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「はっ⁉︎あ、あのアヤコさん!この反応を見て下さい!」
管制室で待機組のミネルバが、作戦に集中しているアヤコを呼び掛ける。
今のところ作戦に支障は出ないと判断して、アヤコはミネルバの下に向かった。
「何かありましたか?」
「この反応です!この数が一斉に…」
ミネルバが指差している世界地図を見て、アヤコは思わず自身の口を手で押さえた。
そうしないと、大声で叫んでしまいそうだったからだ。
「……良かった」
アヤコがそう漏らすと、奥の部屋から風の大精霊が出て来た。
『…アラヤは無事に役目を果たした』
エアリエルの表情が全てを物語る。
彼が、不可能かと思われていた創造神ヌルの召喚を、見事に阻止することに成功したのだ。
世界地図のスニス大陸全土の魔力反応が、元のバラバラの大小の反応に戻っているのも、ベルフェゴールの支配から外れたその表れだろう。
「エアリエル様、それでアラヤ君は?」
『今しがた、ハウン達と合流した様だ。光の大精霊が助けてくれた様だな』
「良かった!あ、みんなに伝えても良いでしょうか?」
『もちろんだ。差し迫っていた世界の危機は去った。だから、命を無理に掛ける必要はなくなった。…言わば、これから先は追撃戦だ。皆の気持ちを切り替えさせるのだ』
「はい!」
アヤコは早速、ニイヤ達全員に念話を送る。
『管制室より総員に報告!別隊が創造神ヌルの召喚阻止に成功!今より、ダクネラ教皇捕獲計画から虚無教団壊滅作戦に移行します!隠密不用だけど無理は禁物!でもみんな、思いっきりやっちゃってOKです!』
「いやアヤ、指揮官の貴女がそのノリはどうかと思うよ?」
サナエの心配に、彼女はテヘッと照れる仕草を見せる。どうやら少し舞い上がっているようだ。
「おっと、作戦開始した途端に方針変更かよ。だが早い話、殲滅戦だろ?派手にできるなら大歓迎だぜ」
「ちょっと、巻き込み防止だからね?」
「分かってるって」
そう言いつつもニヤけている夫婦に、ノアとミュウは不安の汗を流すのだった。
「居たぞ!囲み込め!」
魔人が指揮する改造魔人警備隊達が、辺りを破壊しながら派手に走り回るアラヤ達を追いかけている。
その装備は魔力を銃弾に変えて放つ魔導銃で、射速も速い上に連射が可能だ。
魔力量がある改造魔人達にも、鬼に金棒な武器で、無詠唱ができる魔術士よりも厄介だと言える。
その飛び交う銃弾を、耐魔鉱石ゴーレムの肉壁と、無数に出したサクションで吸収して躱し、風中位精霊が側面から武器破壊する。
直後に、闇中位精霊が生への怠惰(ポイズンドロップ、コラープスの合成魔法)の麻痺毒で敵を全て行動不能にした。
「さて、もうそろそろみんな降りたかな?」
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『アラヤ君、みんなは今しがた入り口に突入しました。そろそろ切り上げてもらって構わないです』
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1型は魔導銃と盾、2型は大槌と鎖、3型は魔導チェンソーと鉤状だ。
「流石は魔導科学国だな。厄介そうだ」
この装備を見る限り、対強者相手のチームプレイを想定しての機体かもしれない。
しかもロボット兵士という段階で、状態異常の効果を望めない。
つまりは、攻撃魔法及び物理攻撃で攻めるのがベストと判断した。
「先ずはお手並み拝見…!」
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すると、盾を持つ1型が先頭に立ち突進して来た。
その盾は、途中で大盾に変化して炎を受け止めるとそのまま吸収した。
「火がダメなら、氷はどうかな?」
次は氷河期で範囲氷結攻撃だ。
一瞬だけ動きが鈍くなったが、即座に盾が吸収した炎を吐き出し氷を溶かした。
そうこうしている間に、1型の背後から2型が飛び越えて鎖をアラヤの持っていた長剣に絡める。
直後に鎖に電流が流れたが、アラヤは剣を手離し2型の頭部に蹴りを入れる。
「硬っ⁉︎」
結構強めに蹴ったのに、首をへし折ることはできなかった。それどころか、せいぜい2mくらい背後に飛ばしたくらいだ。
しかも、3型がその足を捕まえようと鉤状の手を伸ばす。
「フッ!」
アラヤはその鉤状を踏み台にして体を捻り、3型の頭に触れて頭内部にエアカッターを放つ。
骨格部はかなりの強度があるだろうが、内部破壊によりガクンと膝からくずれおちた。
「良かった、魔法の内部伝達は有効だったみたいだな」
外殻が耐魔法に優れた素材なら、内部に発動しにくい筈だからだ。
『てめぇ!新型を壊したな!』
2型から聴き覚えのある音声が聞こえる。どうやら、このロボット達は遠隔から観察されている様だ。
『パガヤ王国の亜人は魔法を使う奴は少ない。貴様のその容姿、暴食魔王か?大罪教からの刺客として来たか?』
「……」
どうやら、このロボット達を通してアラガキがこの戦闘を見ているらしい。
ここは素直に答えて、奴の注意を引いておくべきだろうか?
いや、奴と会話するのも気分が悪いな。
「ガウッ‼︎」
アラヤは、即座に残り2体の頭部を同様に破壊した。
『ガガッ…やろう!…ガ…ガッ…』
通信が途絶えた様で、音声は聞こえなくなった。
『ちょっとアラヤ、どうする気?アヤはもう戻って良いって言ったでしょ?』
アヤコは突入組に集中しているのだろう。代わりにサナエから念話が届く。
アラヤは3体の首無しロボットを亜空間収納に収めると、管制室にいるサナエに楽しそうな声で答えた。
「ちょっと、要塞内部を探検してくる。サポートよろしくね?」
『あっ、ちょっと待ちなさい!』
注意を引きつけるなら徹底的にしてあげよう。どうせなら、アラガキが悔しがる顔が想像できるくらいに。
要塞入り口から警備隊の増援が現れたタイミングで扉を破壊し、アラヤは意気揚々と要塞内部へと突入するのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
地下遺跡に突入したニイヤ達。
テレポート使用可能な人数も考慮して、部隊は3隊に分けた。
先ずはニイヤが率いる、カオリ・ノア(消極的なアラヤ)の部隊。
主様率いる、クララ・アスピダ・サハドの部隊。
アー君率いる、アグリ(積極的なアラヤ)・アフティの部隊。
「くれぐれも、仲間を巻き込む様な戦い方はしないように。俺からは以上だ」
「ちょっとニイヤ!もうちょっとマシな話できないの?」
「まあまあ、言いたい事は分かるから大丈夫だよ」
「要は、遺跡を破壊し過ぎて潰すなよ?って事だよね?でもそれは、言い出した君達が1番気をつける事でしょ?」
アー君や主様から指摘されて、否定できないなと、ニイヤとカオリは赤くなる。
気を取り直してから入り口を進むと、下に降りる階段があった。
その下階段から出た先は開けていて、巨大な神殿遺跡が現れた。
正面の広い入り口には、見える範囲には見張りが居ない。だが、柱の影に魔力反応がある。
どうやら、待ち伏せしているつもりみたいだ。上の騒ぎで既にバレているらしい。
「とりあえず、お互いに離れた場所から突入するか」
入り口はきっと正面だけじゃない。左右にも隊を移動させ、同時突入することにした。
「それじゃ、なるべく無駄な戦闘は避けて行くぞ?」
「「了解」」
先ずは魔力制御と隠密で気配をほぼ完璧に消したニイヤ達が正面入り口の鎮圧に掛かる。
柱の影で待ち構えるヌル虚無団員達は、気配を消せないミュウやサハドに気を取られている。
その背後に回ったニイヤ達は難無く彼等を沈黙させた。
倒した後は拘束して【生命の檻】へと収納する。放置するよりも危険は少ないし、後で大罪教と美徳教の両団に引き渡せば、代わりに罰してくれるだろう。
「さぁ、進め」
あくまでも、ヌル虚無教団教皇であるダクネラ=トランスポートを捕らえる目的だが、相手は多技能持ちが多い教団。
対する月の庭の国軍たるニイヤ達も、個の実力がAランク冒険者を凌駕する3部隊。
絶対に穏便に終わらない突入作戦が、とうとう開始したのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「はっ⁉︎あ、あのアヤコさん!この反応を見て下さい!」
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今のところ作戦に支障は出ないと判断して、アヤコはミネルバの下に向かった。
「何かありましたか?」
「この反応です!この数が一斉に…」
ミネルバが指差している世界地図を見て、アヤコは思わず自身の口を手で押さえた。
そうしないと、大声で叫んでしまいそうだったからだ。
「……良かった」
アヤコがそう漏らすと、奥の部屋から風の大精霊が出て来た。
『…アラヤは無事に役目を果たした』
エアリエルの表情が全てを物語る。
彼が、不可能かと思われていた創造神ヌルの召喚を、見事に阻止することに成功したのだ。
世界地図のスニス大陸全土の魔力反応が、元のバラバラの大小の反応に戻っているのも、ベルフェゴールの支配から外れたその表れだろう。
「エアリエル様、それでアラヤ君は?」
『今しがた、ハウン達と合流した様だ。光の大精霊が助けてくれた様だな』
「良かった!あ、みんなに伝えても良いでしょうか?」
『もちろんだ。差し迫っていた世界の危機は去った。だから、命を無理に掛ける必要はなくなった。…言わば、これから先は追撃戦だ。皆の気持ちを切り替えさせるのだ』
「はい!」
アヤコは早速、ニイヤ達全員に念話を送る。
『管制室より総員に報告!別隊が創造神ヌルの召喚阻止に成功!今より、ダクネラ教皇捕獲計画から虚無教団壊滅作戦に移行します!隠密不用だけど無理は禁物!でもみんな、思いっきりやっちゃってOKです!』
「いやアヤ、指揮官の貴女がそのノリはどうかと思うよ?」
サナエの心配に、彼女はテヘッと照れる仕草を見せる。どうやら少し舞い上がっているようだ。
「おっと、作戦開始した途端に方針変更かよ。だが早い話、殲滅戦だろ?派手にできるなら大歓迎だぜ」
「ちょっと、巻き込み防止だからね?」
「分かってるって」
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