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第24章 それは世界の救世主らしいですよ⁉︎
357話 堕天
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室内の光が収束を始め、アゲノル達の視力も回復してきた。
『フッフッフッフッ…』
声が聞こえ祭壇の上を見上げると、そこには丸々として艶々肌の男性が立っていた。
「え?だ、誰?」
『我が名はバアルゼブル!フレイア神様直属の僕なのですよ!』
自信満々に胸を張って語るバアルゼブルは、少なくとも今まで出会ったどの厄災の悪魔とも似つかない。
よく見ると、背中に翼がついているし、一応、熾天使という扱いなのかな?
「ほ、本当に召喚できた!あ、アラヤは⁉︎」
『居ないわね。確かに依代にされたみたいよ?』
正直、アラヤからの見た目の変化に引いてしまう。
だがここは、アラヤが居ない代わりに自分が頑張らないとと、アゲノルはバアルゼブルの前に立ち頭を下げた。
『フッフッフッ、久しぶりの召喚に、私自身心が昂っておりますよ?さぁ、此度の願いは五穀豊穣?無病息災?』
「あ、違います。創造神ヌル様の召喚を止めてもらいたいのです」
『フッフッフッ、なるほどなるほど、召喚を阻止ね~……ぬ、ヌル神様⁉︎はぁぁっ⁉︎』
「はい、お願いします」
『い、いやいやいやいや、相手は創造神様だよ⁉︎ただの使いである私が、神の意志を止めるのは畏れ多いですよ⁉︎』
ブンブンと顔を横に振り、回りに汗を飛ばしてくる。
「ヌル神様を呼ぼうとしているのは、この世界を消し去ろうとする危険な奴等なんです。俺達はそれを止めたいんです!」
『そう言われてもねぇ~?その事態でも主神様達も神託は授けて無いみたいだし、傍観するつもりだと思うんだよね~?』
神託?だいたい、巫女や依代の方法はさっき知ったばかりなのに、神託なんて授かるわけないじゃないか!
《ちょっと待って!》
『フェッ⁈み、巫女の声ですかな⁉︎』
《良かった!話はできるみたいですね!》
バアルゼブルの口を介して、アラヤの声色で言葉が出ている。
ちょっと笑いそうになるな。
《神託、受けてますね!まぁ、仮想未来でですけど。俺はバアルゼブル様を探すように言われてました!》
『ムム?仰る意味が分かりませんが、神託を授かっているというわけですね?ならばそれが誠かどうか、確認してみましょう』
バアルゼブルはそう言った後、目を閉じて天を仰ぐ。
暫くして、
『おお、何ということか!まさかそんなことが⁉︎』
目を開いたバアルゼブルは、涙を流して自身を抱きしめる。
『この依代を傍観していた主神様、フレイア神様の兄上であるフレイ神様が、依代が述べる仮想未来とやらに巻き込まれたと仰っている。…ただ、神託ではなく情報を少しだけ与えたに過ぎないと。だが、形はともあれ道は示された事に代わりはありませんね。ああっ、蒼月神様もなんと寛容なことか。紅月神様との興を壊さないように、自ら尽力なさったとは…』
(フレイ様があの場に居た?いや、姿は無かったから、何かを介して観察していたのかな?もしかして、祠で会った後からずっと⁉︎)
仮想未来の中で、何故に暴食の悪魔を探していたかは分かった。おそらく、仮想未来を見なかった場合でも、フレイ様の介入があったのだろう。それこそ、勇者側、差し当たりヨハネスを介した神託として。
「それでは、召喚阻止の件は…?」
『それとこれとは別ですよね~。分かったのは神託が確かになされていたという事だけ。貴方達の願いを聞き入れるかは、別問題というものですよ~』
『ちょっと何言ってるのよ!神託にならいアラヤは現にあなたを探し出したのよ⁉︎ちゃんとそれには応えなさいよ、デブ‼︎』
キレ気味な水の大精霊が、タプンと揺れるバアルゼブルの腹を抑えて詰め寄る。
『で、で、で、デブぅぅぅっ⁈』
バアルゼブルの顔がゆでだこの様に赤くなっていく。思った以上に気にしていたのか?
『わ、私はデブと呼ばれる程、肥満では無いっ‼︎…んんっ?よく見ると、貴女はブラフーマ様の眷属のようですね?ならば貴女こそ、彼等の願いを聞き入れてあげたらどうです?』
『くっ、無理に決まってるでしょう!私は水を司ることを任されてはいるけど、水の力で今回の魔法陣を止めることはできないもの!』
『フッフッフッフッ、そうでしょうね~?』
勝ち誇るかのように見下ろすバアルゼブルに、アーパスは腹パンをしたい気持ちを必死に堪えた。
「あ、あ、あの、バアルゼブル様!」
そこに、リアナが恐る恐る進み出て来た。その表情は既に限界が近い様で、涙を浮かべながら歯をガチガチと振るわせている。
『おや、貴女には見覚えがありますね…?』
「は、は、はい。で、でも、オラのことは良いんだぞ。い、今は、彼等の願いをなんとか叶えてもらえませんでしょうか、だぞ⁉︎」
バアルゼブルは、リアナを舐め回す様に見た後、フッと鼻で笑った。
『フッフッフッフッ、確かに私にはその魔法陣を止める力はあります。しかし創造神様達は、私にその力を行使せよとは仰らない。つまり、私の意志に任せるという事なんですよ?』
『じゃあ、何故に叶えようとしないのよ⁉︎』
『先程から貴女…、私に対等に話掛けて来ますが、勘違いしているようですね~?貴女は創造神様達が創った箱庭の、1部を任されただけの庭師の1人に過ぎない。それに比べて、私は創造神様達の直近で働く配下なんですよぉ?頭が高くありませんかぁ~?』
やばい。アーパス様の怒りが限界に近くなっている。
このままでは、召喚を阻止する前に大惨事になってしまう。
アゲノルとハウンは、その怒りをどうやって鎮めるべきか必死に考えていた。
《ああ、見つけました。この技能ですね?》
『んあっ?』
再び依代のアラヤの声が出て、バアルゼブルも間の抜けた声を出して驚いた。
《大丈夫ですよ、アーパス様。必要な技能が分かったんで、今から行ってきます》
『ブフッ⁉︎依代が勝手に何を言っているのかなぁ?そんなの…』
《えっと、先ずは…この体じゃ使えない技能なんで、【堕天】しますね》
『ちょっ、えっ⁉︎』
1人で慌てふためくバアルゼブルを、アゲノル達は見ていた。
どうやらアラヤが内側から動いているらしい。
『ば、馬鹿な事はやめなさい⁉︎そもそも、なんで依代が勝手に動ける⁈た、ただの人間じゃないの⁉︎ひいっ⁉︎』
必死に抵抗しているのか、大量の汗を撒き散らしながら祭壇の上で暴れている。
『い、嫌だ!あの姿にはなりたくないぃぃぃぃぃっ‼︎‼︎⁉︎』
祭壇に両膝をついたバアルゼブルは、両手で頭の髪をむしり取るように引っ張りだした。
《【堕天】暴食のバアルゼブル化発動!》
アラヤがそう言った直後、ビリビリとバアルゼブルの体面が裂け、中から悍ましい巨大な蠅の姿が現れた。
「あああああああっ‼︎‼︎」
リアナは恐怖で体を震わせ、部屋の隅まで逃げて頭を抱えて蹲る。
変貌したバアルゼブルの姿に、過去の恐怖が蘇ったのだ。
『我が名は、蠅王バアルゼブル!この世の全てを喰わんとする執着の権化なり!』
どこからともなく髑髏の杖を取り出すと、アゲノル達に向けて構えた。
アゲノル達も素早く距離を取り構えた。
『あ、驚かないで良いよ?みんなに被害が出ないように、ちょっと結界を張るだけだから』
『あ、アラヤなのか⁉︎』
『はい。こんな姿ですけど、今動いているのは俺です』
アーパスとアゲノルは顔を見合わせる。まさか、依代が神の使いを支配した?
その事実に、皆が驚きを隠せない。
『本当か⁉︎ならば、あのデブはどうしたんだ⁉︎』
『アーパス様、バアルゼブル様は多少膨よかなだけですよ?一応、この身体の支配権は俺ですけど、バアルゼブル様は意識の端っこに居ます。彼もかなり驚いてるみたいですね』
「まさか、バアルゼブルの意識下で支配権を奪えるかをずっと探っていたのか?」
『ん~、始めは素直に願いを叶えてくれる事を期待してたんだけどね?一応、持っている能力を鑑定していたんだ。でも叶える気がないみたいだから、自分でやるしかないなって決めた』
うん。このアラヤの存在は、今の姿も踏まえてカオスとしか言い表せないな。
その彼の分身体であるアゲノルが、そう痛感していると、ヨロヨロとリアナが近づいてきた。
「も、もしかして、あの時もその姿になったのは…ヤノメの意思だったんだか⁉︎」
『……そうみたいだね。バアルゼブル様はこの姿を嫌っているみたいだし』
「そんな…」
リアナは、過去の出来事がヤノメの意思だと知り、ショックを受けて再び蹲る。
「それで、その姿なら創造神召喚を止める事ができるの?」
『多分ね。まぁ、やってみるよ。先ずは結界をみんなに掛けるね』
アラヤが杖を振ると、アーパスも含めて結界が何重にも掛けられた。
衝撃に備える結界じゃなさそうだ。
『…デブは喋れないの?』
『え?あー、俺の中ではずっと抗議してて煩いんですけど、んん、支配権取る気無いのか、なんか力が弱いんですよね』
それって、単にアラヤの方が精神支配が強いからでは?と、アーパス達は考えた。
アラヤ本体は今や全精霊の加護を持つ(その中の2属性は契約者)半神人だ。
その時点で、通常の暴食王の巫女よりも特異な存在だといえるのだ。
『とにかく、せっかくなので早く実行したいと思います』
何故だろう、今から世界を救おうとする救世主とは、とても言い辛い巨大な蠅の姿にも関わらず、アゲノル達には普段のアラヤが舌舐めずりをしているかのように見えるのだった。
『フッフッフッフッ…』
声が聞こえ祭壇の上を見上げると、そこには丸々として艶々肌の男性が立っていた。
「え?だ、誰?」
『我が名はバアルゼブル!フレイア神様直属の僕なのですよ!』
自信満々に胸を張って語るバアルゼブルは、少なくとも今まで出会ったどの厄災の悪魔とも似つかない。
よく見ると、背中に翼がついているし、一応、熾天使という扱いなのかな?
「ほ、本当に召喚できた!あ、アラヤは⁉︎」
『居ないわね。確かに依代にされたみたいよ?』
正直、アラヤからの見た目の変化に引いてしまう。
だがここは、アラヤが居ない代わりに自分が頑張らないとと、アゲノルはバアルゼブルの前に立ち頭を下げた。
『フッフッフッ、久しぶりの召喚に、私自身心が昂っておりますよ?さぁ、此度の願いは五穀豊穣?無病息災?』
「あ、違います。創造神ヌル様の召喚を止めてもらいたいのです」
『フッフッフッ、なるほどなるほど、召喚を阻止ね~……ぬ、ヌル神様⁉︎はぁぁっ⁉︎』
「はい、お願いします」
『い、いやいやいやいや、相手は創造神様だよ⁉︎ただの使いである私が、神の意志を止めるのは畏れ多いですよ⁉︎』
ブンブンと顔を横に振り、回りに汗を飛ばしてくる。
「ヌル神様を呼ぼうとしているのは、この世界を消し去ろうとする危険な奴等なんです。俺達はそれを止めたいんです!」
『そう言われてもねぇ~?その事態でも主神様達も神託は授けて無いみたいだし、傍観するつもりだと思うんだよね~?』
神託?だいたい、巫女や依代の方法はさっき知ったばかりなのに、神託なんて授かるわけないじゃないか!
《ちょっと待って!》
『フェッ⁈み、巫女の声ですかな⁉︎』
《良かった!話はできるみたいですね!》
バアルゼブルの口を介して、アラヤの声色で言葉が出ている。
ちょっと笑いそうになるな。
《神託、受けてますね!まぁ、仮想未来でですけど。俺はバアルゼブル様を探すように言われてました!》
『ムム?仰る意味が分かりませんが、神託を授かっているというわけですね?ならばそれが誠かどうか、確認してみましょう』
バアルゼブルはそう言った後、目を閉じて天を仰ぐ。
暫くして、
『おお、何ということか!まさかそんなことが⁉︎』
目を開いたバアルゼブルは、涙を流して自身を抱きしめる。
『この依代を傍観していた主神様、フレイア神様の兄上であるフレイ神様が、依代が述べる仮想未来とやらに巻き込まれたと仰っている。…ただ、神託ではなく情報を少しだけ与えたに過ぎないと。だが、形はともあれ道は示された事に代わりはありませんね。ああっ、蒼月神様もなんと寛容なことか。紅月神様との興を壊さないように、自ら尽力なさったとは…』
(フレイ様があの場に居た?いや、姿は無かったから、何かを介して観察していたのかな?もしかして、祠で会った後からずっと⁉︎)
仮想未来の中で、何故に暴食の悪魔を探していたかは分かった。おそらく、仮想未来を見なかった場合でも、フレイ様の介入があったのだろう。それこそ、勇者側、差し当たりヨハネスを介した神託として。
「それでは、召喚阻止の件は…?」
『それとこれとは別ですよね~。分かったのは神託が確かになされていたという事だけ。貴方達の願いを聞き入れるかは、別問題というものですよ~』
『ちょっと何言ってるのよ!神託にならいアラヤは現にあなたを探し出したのよ⁉︎ちゃんとそれには応えなさいよ、デブ‼︎』
キレ気味な水の大精霊が、タプンと揺れるバアルゼブルの腹を抑えて詰め寄る。
『で、で、で、デブぅぅぅっ⁈』
バアルゼブルの顔がゆでだこの様に赤くなっていく。思った以上に気にしていたのか?
『わ、私はデブと呼ばれる程、肥満では無いっ‼︎…んんっ?よく見ると、貴女はブラフーマ様の眷属のようですね?ならば貴女こそ、彼等の願いを聞き入れてあげたらどうです?』
『くっ、無理に決まってるでしょう!私は水を司ることを任されてはいるけど、水の力で今回の魔法陣を止めることはできないもの!』
『フッフッフッフッ、そうでしょうね~?』
勝ち誇るかのように見下ろすバアルゼブルに、アーパスは腹パンをしたい気持ちを必死に堪えた。
「あ、あ、あの、バアルゼブル様!」
そこに、リアナが恐る恐る進み出て来た。その表情は既に限界が近い様で、涙を浮かべながら歯をガチガチと振るわせている。
『おや、貴女には見覚えがありますね…?』
「は、は、はい。で、でも、オラのことは良いんだぞ。い、今は、彼等の願いをなんとか叶えてもらえませんでしょうか、だぞ⁉︎」
バアルゼブルは、リアナを舐め回す様に見た後、フッと鼻で笑った。
『フッフッフッフッ、確かに私にはその魔法陣を止める力はあります。しかし創造神様達は、私にその力を行使せよとは仰らない。つまり、私の意志に任せるという事なんですよ?』
『じゃあ、何故に叶えようとしないのよ⁉︎』
『先程から貴女…、私に対等に話掛けて来ますが、勘違いしているようですね~?貴女は創造神様達が創った箱庭の、1部を任されただけの庭師の1人に過ぎない。それに比べて、私は創造神様達の直近で働く配下なんですよぉ?頭が高くありませんかぁ~?』
やばい。アーパス様の怒りが限界に近くなっている。
このままでは、召喚を阻止する前に大惨事になってしまう。
アゲノルとハウンは、その怒りをどうやって鎮めるべきか必死に考えていた。
《ああ、見つけました。この技能ですね?》
『んあっ?』
再び依代のアラヤの声が出て、バアルゼブルも間の抜けた声を出して驚いた。
《大丈夫ですよ、アーパス様。必要な技能が分かったんで、今から行ってきます》
『ブフッ⁉︎依代が勝手に何を言っているのかなぁ?そんなの…』
《えっと、先ずは…この体じゃ使えない技能なんで、【堕天】しますね》
『ちょっ、えっ⁉︎』
1人で慌てふためくバアルゼブルを、アゲノル達は見ていた。
どうやらアラヤが内側から動いているらしい。
『ば、馬鹿な事はやめなさい⁉︎そもそも、なんで依代が勝手に動ける⁈た、ただの人間じゃないの⁉︎ひいっ⁉︎』
必死に抵抗しているのか、大量の汗を撒き散らしながら祭壇の上で暴れている。
『い、嫌だ!あの姿にはなりたくないぃぃぃぃぃっ‼︎‼︎⁉︎』
祭壇に両膝をついたバアルゼブルは、両手で頭の髪をむしり取るように引っ張りだした。
《【堕天】暴食のバアルゼブル化発動!》
アラヤがそう言った直後、ビリビリとバアルゼブルの体面が裂け、中から悍ましい巨大な蠅の姿が現れた。
「あああああああっ‼︎‼︎」
リアナは恐怖で体を震わせ、部屋の隅まで逃げて頭を抱えて蹲る。
変貌したバアルゼブルの姿に、過去の恐怖が蘇ったのだ。
『我が名は、蠅王バアルゼブル!この世の全てを喰わんとする執着の権化なり!』
どこからともなく髑髏の杖を取り出すと、アゲノル達に向けて構えた。
アゲノル達も素早く距離を取り構えた。
『あ、驚かないで良いよ?みんなに被害が出ないように、ちょっと結界を張るだけだから』
『あ、アラヤなのか⁉︎』
『はい。こんな姿ですけど、今動いているのは俺です』
アーパスとアゲノルは顔を見合わせる。まさか、依代が神の使いを支配した?
その事実に、皆が驚きを隠せない。
『本当か⁉︎ならば、あのデブはどうしたんだ⁉︎』
『アーパス様、バアルゼブル様は多少膨よかなだけですよ?一応、この身体の支配権は俺ですけど、バアルゼブル様は意識の端っこに居ます。彼もかなり驚いてるみたいですね』
「まさか、バアルゼブルの意識下で支配権を奪えるかをずっと探っていたのか?」
『ん~、始めは素直に願いを叶えてくれる事を期待してたんだけどね?一応、持っている能力を鑑定していたんだ。でも叶える気がないみたいだから、自分でやるしかないなって決めた』
うん。このアラヤの存在は、今の姿も踏まえてカオスとしか言い表せないな。
その彼の分身体であるアゲノルが、そう痛感していると、ヨロヨロとリアナが近づいてきた。
「も、もしかして、あの時もその姿になったのは…ヤノメの意思だったんだか⁉︎」
『……そうみたいだね。バアルゼブル様はこの姿を嫌っているみたいだし』
「そんな…」
リアナは、過去の出来事がヤノメの意思だと知り、ショックを受けて再び蹲る。
「それで、その姿なら創造神召喚を止める事ができるの?」
『多分ね。まぁ、やってみるよ。先ずは結界をみんなに掛けるね』
アラヤが杖を振ると、アーパスも含めて結界が何重にも掛けられた。
衝撃に備える結界じゃなさそうだ。
『…デブは喋れないの?』
『え?あー、俺の中ではずっと抗議してて煩いんですけど、んん、支配権取る気無いのか、なんか力が弱いんですよね』
それって、単にアラヤの方が精神支配が強いからでは?と、アーパス達は考えた。
アラヤ本体は今や全精霊の加護を持つ(その中の2属性は契約者)半神人だ。
その時点で、通常の暴食王の巫女よりも特異な存在だといえるのだ。
『とにかく、せっかくなので早く実行したいと思います』
何故だろう、今から世界を救おうとする救世主とは、とても言い辛い巨大な蠅の姿にも関わらず、アゲノル達には普段のアラヤが舌舐めずりをしているかのように見えるのだった。
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