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第23章 力のご利用は計画的にらしいですよ⁉︎
331話 ベヒモスの管理
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オモカツタの街内にある大罪教教団の教会。入り口には部屋内側にアスピダが立ち、誰かが来ないか警戒している。
集まっている6人は、護衛(見張り)のアスピダを除いたアラヤとアヤコ、勇者ウィリアムとサラ、冒険者ギルドマスターのカザックと大罪教司教であるベルフェル司教だ。
「先ずは、アラヤ=グラコ殿、貴方が空中公国月の庭の大公となられました事を、心より祝福致します」
ベルフェル司教が仰々しく頭を下げるけど、建国についていろいろと俺に言いたいことがありそうな笑顔だな。
まぁ、大罪教教皇や大司教が承認者に入っている事を知っているだろうから、詳しくは聞いてこないだろうけど。
「いやぁ、全くだよアラヤ殿!貴殿がまさか国を立ち上げるなんて思わなかったぞ!もう冒険者に誘えないではないか!」
「ハハハ、諦めがついて良かったです。今回はグスタフ兵長は呼んでないのですね?」
「クズタフは敢えて呼ばんかったんだ!彼奴は小煩いからな!居らん方が問題なく話ができるってもんよ!」
カザックはガハハと笑い飛ばしているが、グスタフが居ない方が良いってのは賛成だな。あのクネクネした動きは苦手過ぎる。
「私としては、君が魔王だった事が1番驚いたんだがな。まぁ実力があったし、納得はしているよ」
「敵対する気は無いのですか?」
「まさか。命を救われた者に対して魔王だからと剣を向ける様な真似はしないよ。その辺の勇者と一緒に見られては困るな。これでも人を見る目は多少だが、弁えているつもりさ」
ウィリアムは分別の勇者として、元々正義感の強い人柄だった。いろんな場所で人助けしていた事は聞いたからね。
多分、自分が定義する勇者の中では1番勇者らしい男だと思う。
「私はウィルを助けてくれたってだけで、味方だと受け入れているわ。美徳教団側としては間違っていると指摘されそうだけど、貴方が勇者を敵対していたなら、彼に薬の素材を渡すとは思えないもの」
ああ、そういえばロック鳥の卵の件では悩んだ結果、素材として売り渡したんだったなぁ。今となっては、売って良かったな。
その神々の霊薬って薬、ファブリカンテに作れるか後で聞いとこう。
それからも、当時の話で盛り上がった。
「思い出話に花を咲かせるのも良いですが、大公様も忙しい身、そろそろ今回の目的である話に移行してもよろしいのではないですか?ベルフェル様」
しばらくして一向に話が進まない事に、流石にアヤコが痺れを切らした。
「今回、彼等をお呼びしたのは大公殿が街を去ってから、どうしても会いたいと前々から願い出ていたからなのですが…。確かにそうですな」
ベルフェル司教も咳払いすると、気を取り直して話を始めた。
「さて、知りたいのはベヒモスの現状についてでしたが、結果から先に申し上げると、捕獲時から何の変化もございませんな。管理は美徳教団と共同で行っていますが、現在露出している足の小指(先端)が我々大罪教、耳の一部を美徳教が管理しています」
「あれ?足の指は斬り落としましたよね?まさか再生しているのですか?」
「そのようです。研究の為に削いだ場所も、10日程で元通りになります。おそらく、斬り落とされた手首も、抑えつけている魔鉱石が無くなると復活するでしょうな」
「ベヒモスを抑えている魔鉱石はどうでしょうか?」
相当量の魔鉱石により抑えてはいるが、あの巨体を抑えるには鉱石の変化には気を配らないといけない。
「初めのうちはベヒモスが暴れたので、亀裂が数カ所ありましたが、全て補修した後にその上から更に魔鉱石を載せました。最近では眠っているのか、動きはありませんな。再生するあたり生きてはいるようですが」
「なるほど…。あれから魔物達の襲撃はありましたか?」
「いや、嫉妬魔王もそれどころでは無いのだろうと、連絡を受けましたが?その辺りは大公殿の方が詳しいのでは?」
ああ、そういえば、大罪教教皇に冥界の国ゴーモラも禁呪の被害にあったと教えたんだった。
同盟関係にある情報は知らないだろうけど、接触がある事は知られているだろうな。
だとすれば、下手に隠さず話を進めよう。
「確かにそうですね。現状では嫉妬魔王は動いていないでしょう。…だとすれば、ベヒモスを狙っているのはヌル虚無教団の可能性があるかな?」
「ヌル虚無教団⁉︎例の、王都を厄災の悪魔で襲わせた奴等か!」
「…ふむ。大公殿は何故、ベヒモスが狙われていると判断されたのですかな?そもそも、大公殿はつい先日まで他国に足を運んでいた筈。もしや、このインガス領の動きが違って見えたのですかな?」
「ベルフェル殿は、今の世界情勢をどの程度まで把握していますか?」
相手から矢継ぎ早に質問をされた時、質問に質問で返すのは悪い癖かもしれない。
でも、そうすることで相手がどの程度知っていて、自分からどれぐらい情報を得たいのかが分かりやすい。
何より、質問のラッシュが1度止まる事で両者が冷静になれるとアラヤは考えているのだ。
「…ラエテマ王国内の事でしたら、ある程度は情報を得ております」
「では、他国の大罪教関係者からの情報はまだ…という事ですね?」
「いかにも…。他国の情報は余程の大事でない限り、こちら側には回って来ないのが現状なのです」
「…そうですか。では特別に、我が国が入手したばかりの情報をお教えしましょう。但し、ここだけの話として下さいね?」
「それは、俺達も聞いて良い話だろうか?大罪教に不利になるならば、俺達は離れようか?」
ウィリアムとサラは美徳教団側なので、口外はしないと約束は出来ても知るべきでは無い内容なら遠慮すると配慮してくれる。
「いや、これは知っていて構わない情報だと思う。美徳教団にも伝えて良い情報だよ」
むしろ、知った事でラエテマ王国内の美徳教団側にも協力願いたいからね。
「実は先日、ムシハ連邦国の国王であるミルトン国王が亡くなられた。現在、我が国の諜報員が調査中だが、おそらくは内乱によるものだと考えている。それと同じくして、このインガス領からモザンピア領に対して移動者が極端に増えた。……どうしたの?」
反応が静かなので見ると、カザックやウィリアムはポカンと口を開けたまま呆けている。サラに至っては、どうやってそんな情報を?と首を捻っている。
「アラヤ君、内容が強過ぎて皆さんは情報の整理がまだ追いつかないところですよ?」
ベルフェル司教までもが苦笑いしている。しかし、この情報を話さなければ次を話せない。
「危険とされるモザンピア領には、何があるかはベルフェル殿は知ってますよね?」
「ウム。スニス大陸に張り巡らされた地下通路ですな」
「モザンピアのドワーフは、こっちのドワーフと違って我も気性も野蛮で危険だぞ⁉︎」
「ええ。ですがその情報は一般的には知られていませんよね?」
ウィリアムとサラも知らなかったと首を横に振る。
そもそも元々が山岳地帯で、情報が少ない領にわざわざ出向く旅行者はそういない。
「そこでお尋ねします。そんな場所に、多くの人が移動する目的は何でしょうか?」
アラヤの聞きたいのは正にここだ。
「そもそもが一般人じゃないわよね?その移動者達は」
「我々大罪教教団にも、知っている者は居ますが、そう多くはないでしょう。美徳教団も似たようなものと推測します」
「外に出たドワーフ達は、わざわざあそこに戻ろうとは思わないだろう。だからドワーフでもないと思うぞ?」
「となると、ヌル虚無教団の可能性が高いという訳か。だが、理由は何だろう?」
「ムシハの内乱がヌル虚無教団の企みなら、成功した後で向かう意味は分からない」
「むしろ、ムシハ連邦国で暗躍した者達が逃げて来ると思いませんか?次の目的地か潜伏先に」
「それだ!モザンピアの地下通路がヌル虚無教団の潜伏場所であり移動通路に違いない!」
「あれ?じゃあ何で何も起きていないインガス領から撤退するように移動しているの?」
みんなの意見が次々と出てくる。やはり、他人の意見は視点が違うから参考になる。
「それはおそらく撤退ではなくて、出迎えと準備だからじゃないかな?」
「何の準備?」
「「「オモカツタの街を襲撃、ベヒモスを奪う⁉︎」」」
みんなの導き出した考えが1つになり、視線がアラヤに向けられる。
「はい、俺達はそう考えています」
アラヤが頷いた事で、今回のベヒモスの現状を知りたいと言った理由をベルフェル司教は理解した。
「ヌル虚無教団は世界中で破壊や混乱を招いている。同盟国であるラエテマ王国の為にも、月の庭は力になりたいんです」
アラヤのその言葉にウィリアムは感激し、強く握手をする。
「君の行動は勇者だと思うよ!もちろん、俺達はこの街を守る為に全力を尽くす!」
「そうと決まれば、クズタフの奴にも話を通し準備をせねばな!」
「うむ、美徳教団側には私から話を伝えましょう。セパラシオン殿なら理解を示してもらえる筈だ」
「ありがとうございます」
アラヤは全員と握手を交わし、必ず協力すると約束をした。
全てが終われば飲む約束までして、アラヤ達はモーントガルテンへと帰ってきた。
「…みんなに悪い気がするなぁ…」
アラヤは管制室に入るなり、溜め息をついてソファへともたれかかる。
「嘘は言ってませんよ?私達には私達の目的があるというだけです」
アヤコが安心させようと紅茶を差し出す。
確かに嘘は言っていない。だが、全てを話したわけでもない。
ウィリアムは俺を勇者だと言ったけれども、やはり俺は彼の様にはなれないな。
アラヤは甘い紅茶を啜り、もう一度溜め息を吐くのだった。
集まっている6人は、護衛(見張り)のアスピダを除いたアラヤとアヤコ、勇者ウィリアムとサラ、冒険者ギルドマスターのカザックと大罪教司教であるベルフェル司教だ。
「先ずは、アラヤ=グラコ殿、貴方が空中公国月の庭の大公となられました事を、心より祝福致します」
ベルフェル司教が仰々しく頭を下げるけど、建国についていろいろと俺に言いたいことがありそうな笑顔だな。
まぁ、大罪教教皇や大司教が承認者に入っている事を知っているだろうから、詳しくは聞いてこないだろうけど。
「いやぁ、全くだよアラヤ殿!貴殿がまさか国を立ち上げるなんて思わなかったぞ!もう冒険者に誘えないではないか!」
「ハハハ、諦めがついて良かったです。今回はグスタフ兵長は呼んでないのですね?」
「クズタフは敢えて呼ばんかったんだ!彼奴は小煩いからな!居らん方が問題なく話ができるってもんよ!」
カザックはガハハと笑い飛ばしているが、グスタフが居ない方が良いってのは賛成だな。あのクネクネした動きは苦手過ぎる。
「私としては、君が魔王だった事が1番驚いたんだがな。まぁ実力があったし、納得はしているよ」
「敵対する気は無いのですか?」
「まさか。命を救われた者に対して魔王だからと剣を向ける様な真似はしないよ。その辺の勇者と一緒に見られては困るな。これでも人を見る目は多少だが、弁えているつもりさ」
ウィリアムは分別の勇者として、元々正義感の強い人柄だった。いろんな場所で人助けしていた事は聞いたからね。
多分、自分が定義する勇者の中では1番勇者らしい男だと思う。
「私はウィルを助けてくれたってだけで、味方だと受け入れているわ。美徳教団側としては間違っていると指摘されそうだけど、貴方が勇者を敵対していたなら、彼に薬の素材を渡すとは思えないもの」
ああ、そういえばロック鳥の卵の件では悩んだ結果、素材として売り渡したんだったなぁ。今となっては、売って良かったな。
その神々の霊薬って薬、ファブリカンテに作れるか後で聞いとこう。
それからも、当時の話で盛り上がった。
「思い出話に花を咲かせるのも良いですが、大公様も忙しい身、そろそろ今回の目的である話に移行してもよろしいのではないですか?ベルフェル様」
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「今回、彼等をお呼びしたのは大公殿が街を去ってから、どうしても会いたいと前々から願い出ていたからなのですが…。確かにそうですな」
ベルフェル司教も咳払いすると、気を取り直して話を始めた。
「さて、知りたいのはベヒモスの現状についてでしたが、結果から先に申し上げると、捕獲時から何の変化もございませんな。管理は美徳教団と共同で行っていますが、現在露出している足の小指(先端)が我々大罪教、耳の一部を美徳教が管理しています」
「あれ?足の指は斬り落としましたよね?まさか再生しているのですか?」
「そのようです。研究の為に削いだ場所も、10日程で元通りになります。おそらく、斬り落とされた手首も、抑えつけている魔鉱石が無くなると復活するでしょうな」
「ベヒモスを抑えている魔鉱石はどうでしょうか?」
相当量の魔鉱石により抑えてはいるが、あの巨体を抑えるには鉱石の変化には気を配らないといけない。
「初めのうちはベヒモスが暴れたので、亀裂が数カ所ありましたが、全て補修した後にその上から更に魔鉱石を載せました。最近では眠っているのか、動きはありませんな。再生するあたり生きてはいるようですが」
「なるほど…。あれから魔物達の襲撃はありましたか?」
「いや、嫉妬魔王もそれどころでは無いのだろうと、連絡を受けましたが?その辺りは大公殿の方が詳しいのでは?」
ああ、そういえば、大罪教教皇に冥界の国ゴーモラも禁呪の被害にあったと教えたんだった。
同盟関係にある情報は知らないだろうけど、接触がある事は知られているだろうな。
だとすれば、下手に隠さず話を進めよう。
「確かにそうですね。現状では嫉妬魔王は動いていないでしょう。…だとすれば、ベヒモスを狙っているのはヌル虚無教団の可能性があるかな?」
「ヌル虚無教団⁉︎例の、王都を厄災の悪魔で襲わせた奴等か!」
「…ふむ。大公殿は何故、ベヒモスが狙われていると判断されたのですかな?そもそも、大公殿はつい先日まで他国に足を運んでいた筈。もしや、このインガス領の動きが違って見えたのですかな?」
「ベルフェル殿は、今の世界情勢をどの程度まで把握していますか?」
相手から矢継ぎ早に質問をされた時、質問に質問で返すのは悪い癖かもしれない。
でも、そうすることで相手がどの程度知っていて、自分からどれぐらい情報を得たいのかが分かりやすい。
何より、質問のラッシュが1度止まる事で両者が冷静になれるとアラヤは考えているのだ。
「…ラエテマ王国内の事でしたら、ある程度は情報を得ております」
「では、他国の大罪教関係者からの情報はまだ…という事ですね?」
「いかにも…。他国の情報は余程の大事でない限り、こちら側には回って来ないのが現状なのです」
「…そうですか。では特別に、我が国が入手したばかりの情報をお教えしましょう。但し、ここだけの話として下さいね?」
「それは、俺達も聞いて良い話だろうか?大罪教に不利になるならば、俺達は離れようか?」
ウィリアムとサラは美徳教団側なので、口外はしないと約束は出来ても知るべきでは無い内容なら遠慮すると配慮してくれる。
「いや、これは知っていて構わない情報だと思う。美徳教団にも伝えて良い情報だよ」
むしろ、知った事でラエテマ王国内の美徳教団側にも協力願いたいからね。
「実は先日、ムシハ連邦国の国王であるミルトン国王が亡くなられた。現在、我が国の諜報員が調査中だが、おそらくは内乱によるものだと考えている。それと同じくして、このインガス領からモザンピア領に対して移動者が極端に増えた。……どうしたの?」
反応が静かなので見ると、カザックやウィリアムはポカンと口を開けたまま呆けている。サラに至っては、どうやってそんな情報を?と首を捻っている。
「アラヤ君、内容が強過ぎて皆さんは情報の整理がまだ追いつかないところですよ?」
ベルフェル司教までもが苦笑いしている。しかし、この情報を話さなければ次を話せない。
「危険とされるモザンピア領には、何があるかはベルフェル殿は知ってますよね?」
「ウム。スニス大陸に張り巡らされた地下通路ですな」
「モザンピアのドワーフは、こっちのドワーフと違って我も気性も野蛮で危険だぞ⁉︎」
「ええ。ですがその情報は一般的には知られていませんよね?」
ウィリアムとサラも知らなかったと首を横に振る。
そもそも元々が山岳地帯で、情報が少ない領にわざわざ出向く旅行者はそういない。
「そこでお尋ねします。そんな場所に、多くの人が移動する目的は何でしょうか?」
アラヤの聞きたいのは正にここだ。
「そもそもが一般人じゃないわよね?その移動者達は」
「我々大罪教教団にも、知っている者は居ますが、そう多くはないでしょう。美徳教団も似たようなものと推測します」
「外に出たドワーフ達は、わざわざあそこに戻ろうとは思わないだろう。だからドワーフでもないと思うぞ?」
「となると、ヌル虚無教団の可能性が高いという訳か。だが、理由は何だろう?」
「ムシハの内乱がヌル虚無教団の企みなら、成功した後で向かう意味は分からない」
「むしろ、ムシハ連邦国で暗躍した者達が逃げて来ると思いませんか?次の目的地か潜伏先に」
「それだ!モザンピアの地下通路がヌル虚無教団の潜伏場所であり移動通路に違いない!」
「あれ?じゃあ何で何も起きていないインガス領から撤退するように移動しているの?」
みんなの意見が次々と出てくる。やはり、他人の意見は視点が違うから参考になる。
「それはおそらく撤退ではなくて、出迎えと準備だからじゃないかな?」
「何の準備?」
「「「オモカツタの街を襲撃、ベヒモスを奪う⁉︎」」」
みんなの導き出した考えが1つになり、視線がアラヤに向けられる。
「はい、俺達はそう考えています」
アラヤが頷いた事で、今回のベヒモスの現状を知りたいと言った理由をベルフェル司教は理解した。
「ヌル虚無教団は世界中で破壊や混乱を招いている。同盟国であるラエテマ王国の為にも、月の庭は力になりたいんです」
アラヤのその言葉にウィリアムは感激し、強く握手をする。
「君の行動は勇者だと思うよ!もちろん、俺達はこの街を守る為に全力を尽くす!」
「そうと決まれば、クズタフの奴にも話を通し準備をせねばな!」
「うむ、美徳教団側には私から話を伝えましょう。セパラシオン殿なら理解を示してもらえる筈だ」
「ありがとうございます」
アラヤは全員と握手を交わし、必ず協力すると約束をした。
全てが終われば飲む約束までして、アラヤ達はモーントガルテンへと帰ってきた。
「…みんなに悪い気がするなぁ…」
アラヤは管制室に入るなり、溜め息をついてソファへともたれかかる。
「嘘は言ってませんよ?私達には私達の目的があるというだけです」
アヤコが安心させようと紅茶を差し出す。
確かに嘘は言っていない。だが、全てを話したわけでもない。
ウィリアムは俺を勇者だと言ったけれども、やはり俺は彼の様にはなれないな。
アラヤは甘い紅茶を啜り、もう一度溜め息を吐くのだった。
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