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第18章 離れ離れが寂しいのは当然ですよ⁉︎
258話 洞窟遺跡
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厄災の悪魔の目撃場所から更に北西に、通常の馬車なら半日程進むと、川により削られて出来た渓谷が広がっていた。
谷の深さは30mくらいで、壁には地層がハッキリと見えている。その層から見ても、かなり古くからこの渓谷はあるようだ。
「この地図、目印が汚すぎてよく見えないな…」
マンドラゴラ農家の婆さんから受け取った地図は、この渓谷までは分かったのだが、説明書きされた字がミミズが走ったような文字で、言語理解でも飛び飛びにしか理解できない。
「崩れた廃屋、三本木、…絵的には、この位置から見た風景と言えなくもないけど…」
探し歩いて1時間、渓谷の形と照らし合わせて、それとなく似た場所を見つけた。
大きな落石により、入り口が目立たないように隠れた洞窟の入り口が確かにあった。
「とりあえず調べてみよう」
3人は洞窟へとゆっくりと入る。入り口からして、確かに天然洞窟というよりも人工的に掘られた横穴だ。
ライト玉を先行して飛ばしつつ、緩やかな下り坂を進んでいくと、少し広い場所に着いた。
「行き止まりですか?」
「いや、岩壁で入り口が隠されているみたいだ」
熱感知に、壁が空洞になっている場所が映る。
アースクラウドを使用し、壁の土を退かしてみると、案の定、奥に通じている通路が現れた。
「ここからは階段があるね。どうやら、ここが遺跡で間違いないかも」
「では、カオリ様にも連絡を入れます」
クララは、浮遊邸で待機しているカオリに念話で連絡をしようとしたが、洞窟内だからか上手く繋がらない。
「入り口まで戻って試してみます」
「分かった、ここで待ってるよ」
クララは入り口まで急ぎ戻ると、再び念話を送る。すると、やはりカオリには繋がらない。代わりに、今度はアヤコへと送るとスムーズに繋がった。
『さっきカオリさんは逝ったばかりなの。彼女が仮死状態から起き次第、直ぐに準備して向かう様に言うわ。でも、目覚めを待つより魔導書を見つけて帰ってくる方が早いかもしれない。それにしてもその場所、念話が使えないって事は、技能を阻害する何かがあるのかもしれないわ?』
『ライトと、熱感知は使用できていますので、全てを阻害しているわけでは無さそうですけど…』
『ハウン達を送りましょうか?』
『いえ、持ち帰るなら大丈夫です』
『そう?気をつけてね』
クララは再びアラヤ達が待つ入り口に戻って、カオリが来られない事を伝える。
「そっか。それなら今回は魔導書回収後は、祭壇破壊して脱出でいいね」
3人は遺跡へと足を踏み入れる。これといった違和感もなく、罠も低度の罠ばかりで困難無く進める。
1時間足らずで、何ごともなく宝物庫らしき部屋まで到着できた。
「皆んな、魔導書を片っ端から探そう」
「ご主人様、それなら亜空間収納に全て入れていきましょう。魔導書以外のお宝もあるかもしれませんよ?」
「確かにそうだけど、呪われた宝も入れちゃいそうだな」
「直接見分けるよりは早いから、いいんじゃないですかぁ?」
「う~ん、分かった。じゃあ、入るだけ入れよう」
室内にある全ての物を収納していくと、金銀財宝よりも、劣化により使用不可の魔道具や食器類などが多く、魔導書類が見当たらない。
全ての物を収納したが、クララの亜空間にも禁呪魔導書は入っていない。
「これは違う遺跡の可能性もあるか?」
厄災の悪魔の遺跡以外にも、遺跡があっても当然おかしくはない。
だが、収納した中にはフレイア神の石像もあった。
「…祭壇への通路はない?」
「回転壁がありました。ですが、通路の奥は崩れていますね」
確認すると、確かに通路天井が崩落して道を塞いでいる。
「退かして確認しなきゃいけないか…」
「あ、それなら私の契約精霊に確認を頼みましょうか?」
ミュウが、闇の微精霊を肩から下ろす。
エキドナの微精霊時に比べると、下半身の柄が蛇柄になっていて、なんだかミュウの小型版って感じだ。
「名前はペポ。闇精霊には珍しい雄型の微精霊なんですよ?」
『ペポ、祭壇の確認をお願いできるかな?』
『…ま、任された』
オドオドした態度のペポは頷くと、埋まってる通路に向かって姿くらましをして消えた。
少しの間待つと、再びペポが姿現しで戻ってきた。
『さ、祭壇はあった。でも2つ?に割れてる』
「割れてる⁉︎ひょっとして、既に誰か来たって事か?」
ヌル教団が来たのなら、祭壇を破壊する必要は無いと思う。だとすると、大罪教団の調査部隊の可能性が高いか?
「先客が、祭壇を破壊して魔導書を持ち出したって事か…」
「くたびれ儲けってやつですか?」
ミュウの言葉にクララが睨む。
「骨が折れるような損も無いし、ガラクタが多いけど宝も手に入れたので良いんです!」
まぁ確かに、祭壇の破壊は成されている事が分かっただけでも来た意味は充分あるよね。
「目標達成って事で、じゃあ帰還しようか」
テレポートで帰ろうと3人で手を繋ぐも、術が発動しない。
「あれ?」
クララも試してみるが、同じ様に発動しない。例の阻害が影響しているのかもしれない。
「しょうがない、来た道を地道に帰るか…」
3人が宝物庫から帰ろうと通路に出ると、明らかに空気が変わっている。
「何か来た時と違うな…」
魔導感知と熱感知を発動するも反応は無い。というよりも、発動できていない。
「ご主人様、罠解除も発動できません」
「感知系技能が封じられてる⁉︎」
念話やテレポートができない事も、遺跡に仕掛けられた罠って事か?
「罠解除が発動しないなら、罠を1つ1つ確認、自力で解除して進むしかないな」
「まぁ、来る時も大した罠も無かったから、楽勝でしょう」
ミュウの楽観的な予想を嘲笑うかのように、帰る場合にのみに発動する罠が多く用意してあった。
「これはしんどいなぁ…」
技能が使えないってだけで、こうも時間が掛かるとは…。
「2人共、俺が一気に進むからついて来て」
面倒になったアラヤは、先行して罠を破壊しながら進む。
自己再生があるとはいえ、射撃、斬撃、落とし穴、針壁、圧殺、全てを破壊、躱しながらごり押しで進む。
「魔王様は凄いね~」
「本来なら、部下である貴女がやらなきゃいけない役だと思いますよ?」
「私には無理ですよ~。クララ様がやったら良いのでは?」
「言われなくとも、そのつもりです」
クララはアラヤの先に出て、同じ様に罠を破壊しながら進む。
「2人共、私達より人外って気がするわ」
ミュウは、やはり私には無理だわと大人しくついていく事にした。
行きとは違い、入り口に戻るまでに5時間近くかかった。
外は陽が傾き、昼食の時間が過ぎている事に、アラヤは少し苛立っていた。
「ようやくご帰還か」
アラヤ達が出てくるのを待っていたのか、鰐人の亜人達が3人武装した姿で現れた。
「我々は、パガヤ王国…グェッ⁉︎」
アラヤの指示を待たず、鰐人の喉元をミュウの尻尾が締め上げていた。
「ミュウ、待て。説明を聞こう」
「分かりました」
外に出て初めての武装した対人に、彼女なりに緊張していたのだろう。こんな事なら、先に街に出て慣れさせるべきだったかな。
解放された鰐人は、咳き込みながらも仲間の2人に大丈夫だと静止させる。
「我々も失礼な態度ではあった。改めて、…我々はパガヤ王国の兵士です。貴方方は…以前、プラゼンタの街のコロシアムに参加したニイヤ殿と、キララ殿で間違いありませんか?」
「…ああ、そうだけど?」
「我々はある方の命により、貴方方がこの場所に現れるのを待っていました」
ここにアラヤ達が来る事を知っていた?
「ある方って?」
「我が王国が誇る4将軍が1人、レイジ=バンドウ様です」
「うげっ、アイツか」
「…アイツ?」
思わず嫌いな態度が声に出てしまった。
「あ、いや、同じゲーブ様の加護を持つ者同士だからね?知らない顔じゃないんだよ」
「…そうですか。なら話は早いですね!実は、貴方方が現れた際には、レイジ様の下に案内するように命じられております。是非、御同行お願いします!」
3人が頭を下げて頼むも、アラヤは首を横に振った。
「ごめん、俺達は今からご飯だからさ!」
「「「へ?」」」
瞬く間にテレポートでアラヤ達は光の柱になって飛んで行った。
残された鰐人達はポカンと口を開けて、今からご飯?と訳が分からず呆然とするしかなかった。
谷の深さは30mくらいで、壁には地層がハッキリと見えている。その層から見ても、かなり古くからこの渓谷はあるようだ。
「この地図、目印が汚すぎてよく見えないな…」
マンドラゴラ農家の婆さんから受け取った地図は、この渓谷までは分かったのだが、説明書きされた字がミミズが走ったような文字で、言語理解でも飛び飛びにしか理解できない。
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「入り口まで戻って試してみます」
「分かった、ここで待ってるよ」
クララは入り口まで急ぎ戻ると、再び念話を送る。すると、やはりカオリには繋がらない。代わりに、今度はアヤコへと送るとスムーズに繋がった。
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『ライトと、熱感知は使用できていますので、全てを阻害しているわけでは無さそうですけど…』
『ハウン達を送りましょうか?』
『いえ、持ち帰るなら大丈夫です』
『そう?気をつけてね』
クララは再びアラヤ達が待つ入り口に戻って、カオリが来られない事を伝える。
「そっか。それなら今回は魔導書回収後は、祭壇破壊して脱出でいいね」
3人は遺跡へと足を踏み入れる。これといった違和感もなく、罠も低度の罠ばかりで困難無く進める。
1時間足らずで、何ごともなく宝物庫らしき部屋まで到着できた。
「皆んな、魔導書を片っ端から探そう」
「ご主人様、それなら亜空間収納に全て入れていきましょう。魔導書以外のお宝もあるかもしれませんよ?」
「確かにそうだけど、呪われた宝も入れちゃいそうだな」
「直接見分けるよりは早いから、いいんじゃないですかぁ?」
「う~ん、分かった。じゃあ、入るだけ入れよう」
室内にある全ての物を収納していくと、金銀財宝よりも、劣化により使用不可の魔道具や食器類などが多く、魔導書類が見当たらない。
全ての物を収納したが、クララの亜空間にも禁呪魔導書は入っていない。
「これは違う遺跡の可能性もあるか?」
厄災の悪魔の遺跡以外にも、遺跡があっても当然おかしくはない。
だが、収納した中にはフレイア神の石像もあった。
「…祭壇への通路はない?」
「回転壁がありました。ですが、通路の奥は崩れていますね」
確認すると、確かに通路天井が崩落して道を塞いでいる。
「退かして確認しなきゃいけないか…」
「あ、それなら私の契約精霊に確認を頼みましょうか?」
ミュウが、闇の微精霊を肩から下ろす。
エキドナの微精霊時に比べると、下半身の柄が蛇柄になっていて、なんだかミュウの小型版って感じだ。
「名前はペポ。闇精霊には珍しい雄型の微精霊なんですよ?」
『ペポ、祭壇の確認をお願いできるかな?』
『…ま、任された』
オドオドした態度のペポは頷くと、埋まってる通路に向かって姿くらましをして消えた。
少しの間待つと、再びペポが姿現しで戻ってきた。
『さ、祭壇はあった。でも2つ?に割れてる』
「割れてる⁉︎ひょっとして、既に誰か来たって事か?」
ヌル教団が来たのなら、祭壇を破壊する必要は無いと思う。だとすると、大罪教団の調査部隊の可能性が高いか?
「先客が、祭壇を破壊して魔導書を持ち出したって事か…」
「くたびれ儲けってやつですか?」
ミュウの言葉にクララが睨む。
「骨が折れるような損も無いし、ガラクタが多いけど宝も手に入れたので良いんです!」
まぁ確かに、祭壇の破壊は成されている事が分かっただけでも来た意味は充分あるよね。
「目標達成って事で、じゃあ帰還しようか」
テレポートで帰ろうと3人で手を繋ぐも、術が発動しない。
「あれ?」
クララも試してみるが、同じ様に発動しない。例の阻害が影響しているのかもしれない。
「しょうがない、来た道を地道に帰るか…」
3人が宝物庫から帰ろうと通路に出ると、明らかに空気が変わっている。
「何か来た時と違うな…」
魔導感知と熱感知を発動するも反応は無い。というよりも、発動できていない。
「ご主人様、罠解除も発動できません」
「感知系技能が封じられてる⁉︎」
念話やテレポートができない事も、遺跡に仕掛けられた罠って事か?
「罠解除が発動しないなら、罠を1つ1つ確認、自力で解除して進むしかないな」
「まぁ、来る時も大した罠も無かったから、楽勝でしょう」
ミュウの楽観的な予想を嘲笑うかのように、帰る場合にのみに発動する罠が多く用意してあった。
「これはしんどいなぁ…」
技能が使えないってだけで、こうも時間が掛かるとは…。
「2人共、俺が一気に進むからついて来て」
面倒になったアラヤは、先行して罠を破壊しながら進む。
自己再生があるとはいえ、射撃、斬撃、落とし穴、針壁、圧殺、全てを破壊、躱しながらごり押しで進む。
「魔王様は凄いね~」
「本来なら、部下である貴女がやらなきゃいけない役だと思いますよ?」
「私には無理ですよ~。クララ様がやったら良いのでは?」
「言われなくとも、そのつもりです」
クララはアラヤの先に出て、同じ様に罠を破壊しながら進む。
「2人共、私達より人外って気がするわ」
ミュウは、やはり私には無理だわと大人しくついていく事にした。
行きとは違い、入り口に戻るまでに5時間近くかかった。
外は陽が傾き、昼食の時間が過ぎている事に、アラヤは少し苛立っていた。
「ようやくご帰還か」
アラヤ達が出てくるのを待っていたのか、鰐人の亜人達が3人武装した姿で現れた。
「我々は、パガヤ王国…グェッ⁉︎」
アラヤの指示を待たず、鰐人の喉元をミュウの尻尾が締め上げていた。
「ミュウ、待て。説明を聞こう」
「分かりました」
外に出て初めての武装した対人に、彼女なりに緊張していたのだろう。こんな事なら、先に街に出て慣れさせるべきだったかな。
解放された鰐人は、咳き込みながらも仲間の2人に大丈夫だと静止させる。
「我々も失礼な態度ではあった。改めて、…我々はパガヤ王国の兵士です。貴方方は…以前、プラゼンタの街のコロシアムに参加したニイヤ殿と、キララ殿で間違いありませんか?」
「…ああ、そうだけど?」
「我々はある方の命により、貴方方がこの場所に現れるのを待っていました」
ここにアラヤ達が来る事を知っていた?
「ある方って?」
「我が王国が誇る4将軍が1人、レイジ=バンドウ様です」
「うげっ、アイツか」
「…アイツ?」
思わず嫌いな態度が声に出てしまった。
「あ、いや、同じゲーブ様の加護を持つ者同士だからね?知らない顔じゃないんだよ」
「…そうですか。なら話は早いですね!実は、貴方方が現れた際には、レイジ様の下に案内するように命じられております。是非、御同行お願いします!」
3人が頭を下げて頼むも、アラヤは首を横に振った。
「ごめん、俺達は今からご飯だからさ!」
「「「へ?」」」
瞬く間にテレポートでアラヤ達は光の柱になって飛んで行った。
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