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第17章 追う者、追われる者、どっちか分からないよ⁉︎
248話 冥界の国ゴーモラ
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ムシハ連邦の後一つの神殿を念のために調べたが、やはり祭壇は無くハズレだった。
これでマンモンの祭壇はナーサキに有ったと推測できる。
浮遊邸の進路をゴーモラ国へと変え、アラヤ達はムシハ連邦を後にした。
「スニス大陸から出たら、急に気候が変わった様に感じる。雲も厚みがあって視界があまり良く無いな」
雲海とまではいかないが、積乱雲が多く広がり、海面があまり見えていない。
『安心しなさい、例え雷雲に囲まれ様とも、私が居る限りこの浮遊邸に取り巻く風の壁で影響は無いわ』
風の大精霊エアリエルは、結界の周りに風を張り巡らせて、進行中に当たる雲を左右に飛散させている。
確かにこれなら浮遊邸に影響は無いだろう。
「この辺の海域から、ゴーモラ国の海域に入るんですかね?」
『ああ、そうだ。それと同時に、このデーヴォン列島は闇の大精霊プルートーの領域。それにより1年中、日照時間は少ない』
「そのプルートー様は、どういった大精霊様でしょうか?」
『…なんというか…根暗な奴だな。誰も信用していないのかもしれん。眷属竜の…ニュクスだったかな?其奴が間に入らないと、まともに会話すら出来ない奴だよ』
引きこもり?いや、人見知りって感じかな?
『まぁ、向こうから接触してくる事はないだろう。私も別段、会いたい訳では無い』
そんな話をしていると、浮遊邸はいつの間にか積乱雲の中へと入っていた。
とはいえ、辺り一面が雲というだけで、浮遊邸自体には入って来ない。
だが、稲光と雷鳴は馬達や飛竜を驚かせ、チャコとイシルウェが宥めるのに苦労する羽目になった。
「ね、ねぇ、アラヤ、このまま雲の中を突っ込むよりも、浮上して雲を避けた方が良くない?」
雷鳴にビクビクしているサナエが、雷雲から抜け出したいと訴えてきた。
「いや、むしろ降下するべきかな。こうも雲が広がっていると、上空からは陸地が見えない。下に降りた方が発見しやすいと思うんだ」
浮遊邸は降下して、積乱雲から脱出する事にした。
雲の層を抜けると、まるで夜かと思う程に暗くて、視界を暗視眼に切り替える。
「ああ、島が幾つか見えるね。デーヴォン列島か…。どの島がコウサカの住む島なんだろう」
「全ての島がゴーモラ国の領土らしいので、とりあえず手前の島に降りて聞いてみますか?」
「招待された事を知らない国民と会ったら、揉める気がするんだけど…」
とはいえ、コウサカ側からの案内が無い事には、その方法しかないんだよね。
『アラヤ、10時の方角に帆船を2船確認。帝国船みたいね。どうする?』
シレネッタから念話が入り確認すると、確かに帆船の帆にグルケニア帝国の紋が入った帆船が島へと向かい航海している。
「とりあえずは、離れたまま監視するだけにしよう」
『船員数は、1船に30人弱。なんだろう、緊張している感じかな?』
2船は離れ過ぎず、一定の距離を保っている。航路先を複数のライト玉で照らしながら、甲板にも兵士と砲台が並び、何故か臨戦態勢の状態だ。
『海底から巨大な魔力反応!あの船達の後ろ!』
海底に巨影が見えたと思うと、海面がみるみるうちに反り上がって来る。
「出たぞ!レヴィアタンだ!」
海面から現れたのは、厄災の悪魔と称されるレヴィアタン。その容姿は水龍のイメージそのもので、長い胴体をくねらせながら2船の回りを威嚇する。その体長はベヒモスを超える身長だ。
「見た目、悪魔って言うより、やはりドラゴンだよね?」
『よく見ろ、頭部の眉間部分に、本来の体がある』
エアリエルに指摘され、集中して見てみると、龍頭の眉間部分に人型の上半身が見えた。え?という事は、下半身が龍って感じなの?
思っていたよりかっこ悪く感じて引いていると、兵士達は行動を開始した。
「放てっ‼︎」
2船は元からレヴィアタンを狙っていたらしく、大砲の一斉射撃が放たれた。
『愚かなり』
砲弾はレヴィアタンに当たる前に、魔法障壁で爆発して煙を上げた。
しかし怯まず、帝国兵士達は第二射を放つ。それだけでなく、武器を持った兵士達がレヴィアタンに近い場所から飛び乗り、直接攻撃を始めた。
だが、そんな攻撃はレヴィアタンの身を一捻りしただけで弾き飛ばされ、次々と海面に叩きつけられた。
『光り届かぬ海淵に沈め、闇の大渦!』
レヴィアタンが開口し吠えると、2船は現れた巨大な大渦になす術無く飲み込まれて沈んでいった。
「帝国兵士達は、何故あの程度の戦力で厄災の悪魔に挑んだんだろう?」
『それ…、多分、あの為…』
エキドナが尻尾の先でアラヤの顔の向きを変える。
その視線の先には、島の端に上陸した小さな船が見える。
「えっ?ひょっとしてあの2船は囮で、あっちが本命って事⁉︎」
「随分と代償が大きい気がしますが、レヴィアタンには気付かれずに上陸できましたね。きっと、それに見合う目的があるんでしょう。例えば、祭壇や禁呪の魔導書とか…」
「ヌル虚無教団⁉︎ああ、その可能性もあるか…」
「じゃあ、後を追うの?」
「う~ん…。今は放置しようか。そもそも、この領土を支配してるのはコウサカだよね?勝手に争ったりするのはダメな気がする。もしかしたら、上陸した奴等の目的がコウサカとの親交目的って可能性もゼロじゃないし…」
自分で言いながらも、流石にそれは無いだろうと思うけど、他人の国で勝手にいざこざを起こすのは、間違いなくダメだよね?
結局、アルディスの提案で、彼女の契約精霊のモースが尾行する形で話がついた。
奴等の動きはモースに任せて、アラヤ達はそのまま島の上空を進む。
「なんだろう、このジメジメ感は日本の梅雨に似ているなぁ。体温調整の技能が無ければ、ひょっとして暑いのかな?」
「わざわざ嫌な思いをしたくないわ」
女性陣はジメジメ感だけで嫌なのにと呆れている。それもそうだね。それならと体温調節を持たないアスピダ達を見たら、見るからに汗をかいている。
どうやらこの国の気候は梅雨みたいだね。
「あ、あれを見て!招待先はあそこみたいよ?」
サナエが指差した先には、沼地に人魂が集まり、日本語の文字を表していた。
『ようこそ、クラト』
名前の横に矢印があり、その先に大きな西洋風の城が見えて来た。
アラヤ達が上空から来ると分かっていたからの対応だね。
浮遊邸を城の真上で止めると、アラヤ達は城門前に降りた。
突如姿を現したアラヤ達に、門番をしていたデスナイトが驚き顎骨を落とした。
『ナ、ナニモノダ⁉︎』
顎骨を拾って直ぐに嵌め直すと、アラヤ達をジロジロと見る。
「コウサカに招かれた、暴食魔王とその家族達だ。コウサカの下へ案内してくれ」
『ヘイカ二?シバシマタレヨ』
デスナイトは、門の裏に居たレイスに話をする。すると、レイスは慌てて場内に消えた。
暫く待つと、先程のレイスが帰ってきた。アラヤ達の前に来たレイスは仰々しく頭を下げる。
「お待ちしておりました。暴食魔王様、色欲魔王様。そのお供の方々。入場するにあたり、浄化魔法の使用は禁止して頂きたく存じます」
「「「お供…」」」
「こちらでございます」
アラヤとカオリ以外を下に見た言い方に、サナエ達が少し凹んでる。こちらは家族だって言ったんだけど。
門が開けられ、レイスの後をついていく。
城内は、人魂の灯りが要所要所に配置してあり外よりは明るい。
謁見の間に案内されたアラヤ達は、玉座に座るコウサカを見て、少なからず女王の品格はあるんだなと思った。
玉座の彼女は、幼可愛いを売りにした態度は無く、凛とした表情と冷徹な雰囲気を出している。
「皆んな、良く来てくれたわね。此処が、私が治める国、ゴーモラ王国よ。既に歓迎の準備は出来てるわ」
初めは罠の可能性も考えていたが、その後にはちゃんと料理(魔物肉の料理と魚料理)が準備されていて、本当に歓迎してくれる気なんだなとアラヤ達は関心したのだった。特に、料理の味付けがちゃんとしていた事にアラヤは喜んだのだけど。
どうやら、料理係は味覚の無いアンデッドではなかったらしい。
うん、人を招待するなら、そこまでしなきゃね?
これでマンモンの祭壇はナーサキに有ったと推測できる。
浮遊邸の進路をゴーモラ国へと変え、アラヤ達はムシハ連邦を後にした。
「スニス大陸から出たら、急に気候が変わった様に感じる。雲も厚みがあって視界があまり良く無いな」
雲海とまではいかないが、積乱雲が多く広がり、海面があまり見えていない。
『安心しなさい、例え雷雲に囲まれ様とも、私が居る限りこの浮遊邸に取り巻く風の壁で影響は無いわ』
風の大精霊エアリエルは、結界の周りに風を張り巡らせて、進行中に当たる雲を左右に飛散させている。
確かにこれなら浮遊邸に影響は無いだろう。
「この辺の海域から、ゴーモラ国の海域に入るんですかね?」
『ああ、そうだ。それと同時に、このデーヴォン列島は闇の大精霊プルートーの領域。それにより1年中、日照時間は少ない』
「そのプルートー様は、どういった大精霊様でしょうか?」
『…なんというか…根暗な奴だな。誰も信用していないのかもしれん。眷属竜の…ニュクスだったかな?其奴が間に入らないと、まともに会話すら出来ない奴だよ』
引きこもり?いや、人見知りって感じかな?
『まぁ、向こうから接触してくる事はないだろう。私も別段、会いたい訳では無い』
そんな話をしていると、浮遊邸はいつの間にか積乱雲の中へと入っていた。
とはいえ、辺り一面が雲というだけで、浮遊邸自体には入って来ない。
だが、稲光と雷鳴は馬達や飛竜を驚かせ、チャコとイシルウェが宥めるのに苦労する羽目になった。
「ね、ねぇ、アラヤ、このまま雲の中を突っ込むよりも、浮上して雲を避けた方が良くない?」
雷鳴にビクビクしているサナエが、雷雲から抜け出したいと訴えてきた。
「いや、むしろ降下するべきかな。こうも雲が広がっていると、上空からは陸地が見えない。下に降りた方が発見しやすいと思うんだ」
浮遊邸は降下して、積乱雲から脱出する事にした。
雲の層を抜けると、まるで夜かと思う程に暗くて、視界を暗視眼に切り替える。
「ああ、島が幾つか見えるね。デーヴォン列島か…。どの島がコウサカの住む島なんだろう」
「全ての島がゴーモラ国の領土らしいので、とりあえず手前の島に降りて聞いてみますか?」
「招待された事を知らない国民と会ったら、揉める気がするんだけど…」
とはいえ、コウサカ側からの案内が無い事には、その方法しかないんだよね。
『アラヤ、10時の方角に帆船を2船確認。帝国船みたいね。どうする?』
シレネッタから念話が入り確認すると、確かに帆船の帆にグルケニア帝国の紋が入った帆船が島へと向かい航海している。
「とりあえずは、離れたまま監視するだけにしよう」
『船員数は、1船に30人弱。なんだろう、緊張している感じかな?』
2船は離れ過ぎず、一定の距離を保っている。航路先を複数のライト玉で照らしながら、甲板にも兵士と砲台が並び、何故か臨戦態勢の状態だ。
『海底から巨大な魔力反応!あの船達の後ろ!』
海底に巨影が見えたと思うと、海面がみるみるうちに反り上がって来る。
「出たぞ!レヴィアタンだ!」
海面から現れたのは、厄災の悪魔と称されるレヴィアタン。その容姿は水龍のイメージそのもので、長い胴体をくねらせながら2船の回りを威嚇する。その体長はベヒモスを超える身長だ。
「見た目、悪魔って言うより、やはりドラゴンだよね?」
『よく見ろ、頭部の眉間部分に、本来の体がある』
エアリエルに指摘され、集中して見てみると、龍頭の眉間部分に人型の上半身が見えた。え?という事は、下半身が龍って感じなの?
思っていたよりかっこ悪く感じて引いていると、兵士達は行動を開始した。
「放てっ‼︎」
2船は元からレヴィアタンを狙っていたらしく、大砲の一斉射撃が放たれた。
『愚かなり』
砲弾はレヴィアタンに当たる前に、魔法障壁で爆発して煙を上げた。
しかし怯まず、帝国兵士達は第二射を放つ。それだけでなく、武器を持った兵士達がレヴィアタンに近い場所から飛び乗り、直接攻撃を始めた。
だが、そんな攻撃はレヴィアタンの身を一捻りしただけで弾き飛ばされ、次々と海面に叩きつけられた。
『光り届かぬ海淵に沈め、闇の大渦!』
レヴィアタンが開口し吠えると、2船は現れた巨大な大渦になす術無く飲み込まれて沈んでいった。
「帝国兵士達は、何故あの程度の戦力で厄災の悪魔に挑んだんだろう?」
『それ…、多分、あの為…』
エキドナが尻尾の先でアラヤの顔の向きを変える。
その視線の先には、島の端に上陸した小さな船が見える。
「えっ?ひょっとしてあの2船は囮で、あっちが本命って事⁉︎」
「随分と代償が大きい気がしますが、レヴィアタンには気付かれずに上陸できましたね。きっと、それに見合う目的があるんでしょう。例えば、祭壇や禁呪の魔導書とか…」
「ヌル虚無教団⁉︎ああ、その可能性もあるか…」
「じゃあ、後を追うの?」
「う~ん…。今は放置しようか。そもそも、この領土を支配してるのはコウサカだよね?勝手に争ったりするのはダメな気がする。もしかしたら、上陸した奴等の目的がコウサカとの親交目的って可能性もゼロじゃないし…」
自分で言いながらも、流石にそれは無いだろうと思うけど、他人の国で勝手にいざこざを起こすのは、間違いなくダメだよね?
結局、アルディスの提案で、彼女の契約精霊のモースが尾行する形で話がついた。
奴等の動きはモースに任せて、アラヤ達はそのまま島の上空を進む。
「なんだろう、このジメジメ感は日本の梅雨に似ているなぁ。体温調整の技能が無ければ、ひょっとして暑いのかな?」
「わざわざ嫌な思いをしたくないわ」
女性陣はジメジメ感だけで嫌なのにと呆れている。それもそうだね。それならと体温調節を持たないアスピダ達を見たら、見るからに汗をかいている。
どうやらこの国の気候は梅雨みたいだね。
「あ、あれを見て!招待先はあそこみたいよ?」
サナエが指差した先には、沼地に人魂が集まり、日本語の文字を表していた。
『ようこそ、クラト』
名前の横に矢印があり、その先に大きな西洋風の城が見えて来た。
アラヤ達が上空から来ると分かっていたからの対応だね。
浮遊邸を城の真上で止めると、アラヤ達は城門前に降りた。
突如姿を現したアラヤ達に、門番をしていたデスナイトが驚き顎骨を落とした。
『ナ、ナニモノダ⁉︎』
顎骨を拾って直ぐに嵌め直すと、アラヤ達をジロジロと見る。
「コウサカに招かれた、暴食魔王とその家族達だ。コウサカの下へ案内してくれ」
『ヘイカ二?シバシマタレヨ』
デスナイトは、門の裏に居たレイスに話をする。すると、レイスは慌てて場内に消えた。
暫く待つと、先程のレイスが帰ってきた。アラヤ達の前に来たレイスは仰々しく頭を下げる。
「お待ちしておりました。暴食魔王様、色欲魔王様。そのお供の方々。入場するにあたり、浄化魔法の使用は禁止して頂きたく存じます」
「「「お供…」」」
「こちらでございます」
アラヤとカオリ以外を下に見た言い方に、サナエ達が少し凹んでる。こちらは家族だって言ったんだけど。
門が開けられ、レイスの後をついていく。
城内は、人魂の灯りが要所要所に配置してあり外よりは明るい。
謁見の間に案内されたアラヤ達は、玉座に座るコウサカを見て、少なからず女王の品格はあるんだなと思った。
玉座の彼女は、幼可愛いを売りにした態度は無く、凛とした表情と冷徹な雰囲気を出している。
「皆んな、良く来てくれたわね。此処が、私が治める国、ゴーモラ王国よ。既に歓迎の準備は出来てるわ」
初めは罠の可能性も考えていたが、その後にはちゃんと料理(魔物肉の料理と魚料理)が準備されていて、本当に歓迎してくれる気なんだなとアラヤ達は関心したのだった。特に、料理の味付けがちゃんとしていた事にアラヤは喜んだのだけど。
どうやら、料理係は味覚の無いアンデッドではなかったらしい。
うん、人を招待するなら、そこまでしなきゃね?
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