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第5章 自重が足りてないって言われたよ⁈
066話 指導者
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「さて、そろそろ始めようか」
「はい?」
夕食後、ゆっくりと休んでいたアラヤの元に、バルガスが二本の木剣を携えてやって来た。
「お前さんの剣の腕をみてやろう」
「なんでまた急に?」
「お前さんは魔法剣士だと聞いた。だが、見たところ、些細な事でも魔法に頼り過ぎでいる様に見えたからな」
重い酒樽をグラビティで楽々運んでいたのを言っているのかもしれない。
「だって便利ですし、魔力も上げなきゃいけませんから」
「それは、使える場での話だ。もし、魔力が枯渇寸前だったら?魔法を封じられてしまったら?魔法を吸収する、無効化する相手だったら?そんな時は白兵戦しかない。大体、お前さんは誰に剣を教わった?」
「あ、誰からも教わっていません。我流ですね」
大体は、アニメやゲームでのキャラクターの動きを真似ている。だから、師匠はゲームキャラクターになるのかも。
「そんなところだろうと思っていた。ならば、元王国騎士団団長のこの俺が稽古をつけてやる。もちろん、魔法の使用は一切禁止だ」
アラヤの胸に木剣を押し付けて、部屋を出て行った。アラヤは、溜息をつきながらも仕方なしに後を追う。
バルガスは、中庭で軽く準備運動をしながら待っていた。
「さっきも言ったが、魔法は攻撃系も補助系も一切無しだ。だが、技能は使用して構わない。全力でかかってこい」
「全力ですか…」
アラヤは、バルガスに鑑定を掛ける。
バルガス
種族 人間(ノーマル) 男 age 61
体力 526/526
戦闘力 316/316
耐久力 268/268
精神力 253/253
魔力 241/241
俊敏 293/293
魅力 52/100
運 56
職種 重騎兵士 LV3
技能 身体強化 LV 2 物理耐性 LV 3 魔法耐性 LV 3 威圧 LV 2 剣技LV2 槍技 LV 3 集団引率術 LV 2 土属性魔法 LV 1
ステータスはドワーフ並みで技能も多く修得している。魔法無しだと勝てる気がしないんだけど。
「さぁ、かかって来い!」
そうは言っても、木剣を構えたバルガスには隙が見当たらない。アラヤは、こういう場こそ魔法で切り崩したいのにとつくづく思う。
「やるしかないか!」
アラヤは木剣を片手に持ち、もう片方の手には魔力粘糸の糸を隠し持つ。
バルガスに向かって勢いよく飛び出した。上段からの袈裟斬りに、難無く反応したバルガスさん。アラヤも、囮の剣撃が受けられたら直ぐに離れる。
「ん?」
視線が木剣に移ったタイミングで、アラヤは隠し持っていた粘糸をバルガスの足に飛ばしていた。粘糸は片足を地面に縫い付けるように密着していて、簡単には剥がせない。
アラヤは木剣を両手に持ち直し、このチャンスを生かそうと剣撃のラッシュをかけていく。
「ふふん、ハンデには丁度良い」
アラヤの斬撃を、バルガスは全てまともに受けずに軌道を逸らすだけで防いでいる。
「ならば!」
アラヤは、通常の剣技が通用しないと分かると、技能で攻める事にした。
刺突に一点突貫を乗せて行えば、今まで通りに逸らせずに受けだした。
続けて魔爪連撃で多段斬りを行う。明らかに威力は跳ね上がる。しかし、バルガスはそれをも受けきった。
「せっかくの技能が勿体ないな。剣技に併用して使うのは良い考えだが、肝心の剣技が悪過ぎる。今のお前さんは、剣技の使い方が良くない」
「剣技が?」
「実際に受ければ分かるだろう。いくぞ、袈裟斬り!」
アラヤは木剣で何とか受けるも、体は少し後退していた。
その袈裟斬りは、アラヤのそれとは全く違う。速さも、入る角度も、アラヤのように一定ではない。
「お前さんは、技能に腕や体を動かされているだけ。技能に体を丸投げするな。技能はあくまで技であり、操るのはお前さんだ。恩恵にあやかるんじゃなく、利用するのだ」
「利用する?」
「恩恵である技能は万全だ。使用するだけで、誰でも技を繰り出せる。だが、その先を見なければならない。動きの意味を理解して、その場にあった使い方をせねばならぬ。他者と同じではいけないのだ」
バルガスは木剣を構える。ここから先は体で覚えろと。
アラヤはその後、2時間に渡る稽古に悲鳴を上げた。いや、竜鱗防御と自己再生もあるから、肉体的ダメージは無いんだけどね。
これだけやって、少しの汗しかかいてないなんて、この人、本当に還暦過ぎてる人なのか?と思うよ。
「自主練は毎日続けるんだぞ」
「はい、ありがとうございました」
初めて、他人からの指導を受けたアラヤは、人から学ぶことの大切さを思い出した気がした。
翌朝、王女に献上する土産用の葡萄水を受け取り、見送る農園の皆んなに手を振りながら馬車を出発させた。
荷台には、結局付いてくる事になったクララが乗っている。
因みに、今は銀狼の姿で寝ていて、三人から毛を撫でられている。
ああ、この触り心地、やめられない止まらない。アヤコさんもサナエさんも、渋々連れて行く事を認めたものの、街中ではなるべく銀狼の姿でいる事を約束させている。
決して、モフモフを堪能したいが為に言ってるわけじゃないよ?
クララも、銀狼の姿は楽らしく、今までも農園の仕事の時にだけ人狼や狼人に変身していたらしい。
「そろそろ東門の入り口です。どうやらまだ検問がありますね」
「問題無い。クララのステータスも従獣にジャミングしてあるから」
予想通り、すんなりと通過でき、コルキアの街から無事に出る事ができた。
ソーリンは、進路を当初決めていた北ではなく、東、ラエテマ王国の王都へと変えたのだった。
「クララは水・風属性魔法が使えるんだね。人狼や狼人の時の使用武器は何?」
クララ
種族 亜人族(狼人)
雌 age 16
体力 401/401
戦闘力 221/221
耐久力 182/182
精神力 185/185
魔力 125/125
俊敏 396/396
魅力 72/100
運 47
職種 獣狩人
技能 身体強化LV 1 気配感知LV 1 超嗅覚LV 1 咆哮LV 1 魔爪連撃LV 1水属性魔法LV 1 風属性魔法 LV1
「はい、母譲りの魔法属性ですね。人型の時も、爪が主体の攻撃なんですけど、使用するとしたらナイフですね」
人狼に変わっているクララは、銀狼の時よりも流暢に話すことができる。人語を話すには、声帯の形的にやはり人型になる方が喋りやすいらしい。
それにしても得意武器が短刀とは、やはり亜人族は、接近戦を得意とするみたいだね。獣で狩人って、確かに狼は狩人とも言えなくもないか。
癒やしを兼ね備えた新たな仲間を歓迎し、五人は王都に向けて出発したのだった。
「はい?」
夕食後、ゆっくりと休んでいたアラヤの元に、バルガスが二本の木剣を携えてやって来た。
「お前さんの剣の腕をみてやろう」
「なんでまた急に?」
「お前さんは魔法剣士だと聞いた。だが、見たところ、些細な事でも魔法に頼り過ぎでいる様に見えたからな」
重い酒樽をグラビティで楽々運んでいたのを言っているのかもしれない。
「だって便利ですし、魔力も上げなきゃいけませんから」
「それは、使える場での話だ。もし、魔力が枯渇寸前だったら?魔法を封じられてしまったら?魔法を吸収する、無効化する相手だったら?そんな時は白兵戦しかない。大体、お前さんは誰に剣を教わった?」
「あ、誰からも教わっていません。我流ですね」
大体は、アニメやゲームでのキャラクターの動きを真似ている。だから、師匠はゲームキャラクターになるのかも。
「そんなところだろうと思っていた。ならば、元王国騎士団団長のこの俺が稽古をつけてやる。もちろん、魔法の使用は一切禁止だ」
アラヤの胸に木剣を押し付けて、部屋を出て行った。アラヤは、溜息をつきながらも仕方なしに後を追う。
バルガスは、中庭で軽く準備運動をしながら待っていた。
「さっきも言ったが、魔法は攻撃系も補助系も一切無しだ。だが、技能は使用して構わない。全力でかかってこい」
「全力ですか…」
アラヤは、バルガスに鑑定を掛ける。
バルガス
種族 人間(ノーマル) 男 age 61
体力 526/526
戦闘力 316/316
耐久力 268/268
精神力 253/253
魔力 241/241
俊敏 293/293
魅力 52/100
運 56
職種 重騎兵士 LV3
技能 身体強化 LV 2 物理耐性 LV 3 魔法耐性 LV 3 威圧 LV 2 剣技LV2 槍技 LV 3 集団引率術 LV 2 土属性魔法 LV 1
ステータスはドワーフ並みで技能も多く修得している。魔法無しだと勝てる気がしないんだけど。
「さぁ、かかって来い!」
そうは言っても、木剣を構えたバルガスには隙が見当たらない。アラヤは、こういう場こそ魔法で切り崩したいのにとつくづく思う。
「やるしかないか!」
アラヤは木剣を片手に持ち、もう片方の手には魔力粘糸の糸を隠し持つ。
バルガスに向かって勢いよく飛び出した。上段からの袈裟斬りに、難無く反応したバルガスさん。アラヤも、囮の剣撃が受けられたら直ぐに離れる。
「ん?」
視線が木剣に移ったタイミングで、アラヤは隠し持っていた粘糸をバルガスの足に飛ばしていた。粘糸は片足を地面に縫い付けるように密着していて、簡単には剥がせない。
アラヤは木剣を両手に持ち直し、このチャンスを生かそうと剣撃のラッシュをかけていく。
「ふふん、ハンデには丁度良い」
アラヤの斬撃を、バルガスは全てまともに受けずに軌道を逸らすだけで防いでいる。
「ならば!」
アラヤは、通常の剣技が通用しないと分かると、技能で攻める事にした。
刺突に一点突貫を乗せて行えば、今まで通りに逸らせずに受けだした。
続けて魔爪連撃で多段斬りを行う。明らかに威力は跳ね上がる。しかし、バルガスはそれをも受けきった。
「せっかくの技能が勿体ないな。剣技に併用して使うのは良い考えだが、肝心の剣技が悪過ぎる。今のお前さんは、剣技の使い方が良くない」
「剣技が?」
「実際に受ければ分かるだろう。いくぞ、袈裟斬り!」
アラヤは木剣で何とか受けるも、体は少し後退していた。
その袈裟斬りは、アラヤのそれとは全く違う。速さも、入る角度も、アラヤのように一定ではない。
「お前さんは、技能に腕や体を動かされているだけ。技能に体を丸投げするな。技能はあくまで技であり、操るのはお前さんだ。恩恵にあやかるんじゃなく、利用するのだ」
「利用する?」
「恩恵である技能は万全だ。使用するだけで、誰でも技を繰り出せる。だが、その先を見なければならない。動きの意味を理解して、その場にあった使い方をせねばならぬ。他者と同じではいけないのだ」
バルガスは木剣を構える。ここから先は体で覚えろと。
アラヤはその後、2時間に渡る稽古に悲鳴を上げた。いや、竜鱗防御と自己再生もあるから、肉体的ダメージは無いんだけどね。
これだけやって、少しの汗しかかいてないなんて、この人、本当に還暦過ぎてる人なのか?と思うよ。
「自主練は毎日続けるんだぞ」
「はい、ありがとうございました」
初めて、他人からの指導を受けたアラヤは、人から学ぶことの大切さを思い出した気がした。
翌朝、王女に献上する土産用の葡萄水を受け取り、見送る農園の皆んなに手を振りながら馬車を出発させた。
荷台には、結局付いてくる事になったクララが乗っている。
因みに、今は銀狼の姿で寝ていて、三人から毛を撫でられている。
ああ、この触り心地、やめられない止まらない。アヤコさんもサナエさんも、渋々連れて行く事を認めたものの、街中ではなるべく銀狼の姿でいる事を約束させている。
決して、モフモフを堪能したいが為に言ってるわけじゃないよ?
クララも、銀狼の姿は楽らしく、今までも農園の仕事の時にだけ人狼や狼人に変身していたらしい。
「そろそろ東門の入り口です。どうやらまだ検問がありますね」
「問題無い。クララのステータスも従獣にジャミングしてあるから」
予想通り、すんなりと通過でき、コルキアの街から無事に出る事ができた。
ソーリンは、進路を当初決めていた北ではなく、東、ラエテマ王国の王都へと変えたのだった。
「クララは水・風属性魔法が使えるんだね。人狼や狼人の時の使用武器は何?」
クララ
種族 亜人族(狼人)
雌 age 16
体力 401/401
戦闘力 221/221
耐久力 182/182
精神力 185/185
魔力 125/125
俊敏 396/396
魅力 72/100
運 47
職種 獣狩人
技能 身体強化LV 1 気配感知LV 1 超嗅覚LV 1 咆哮LV 1 魔爪連撃LV 1水属性魔法LV 1 風属性魔法 LV1
「はい、母譲りの魔法属性ですね。人型の時も、爪が主体の攻撃なんですけど、使用するとしたらナイフですね」
人狼に変わっているクララは、銀狼の時よりも流暢に話すことができる。人語を話すには、声帯の形的にやはり人型になる方が喋りやすいらしい。
それにしても得意武器が短刀とは、やはり亜人族は、接近戦を得意とするみたいだね。獣で狩人って、確かに狼は狩人とも言えなくもないか。
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