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第4章 魔王と呼ばれてるなんて知らなかったよ⁈
049話 白熱?腕相撲大会
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元々開催する予定だったのかは分からないけど、突然始まった腕相撲大会。
部屋の中央に、鋼鉄製のアームレスリング台が二つ用意される。
3位以上の上位者には豪華景品がある。
優勝 幻の銘酒三点セット
準優勝 【大業物】ティーセット
3位 最高級果物盛り合わせ
参加賞 今、話題沸騰中の遊戯 【将棋】
ひょっとしてあのティーセット、メリダさんの作品じゃないか?しかも、参加賞が将棋って広める気満々だね。
参加人数は16人。本日主役のソーリン=バルグも参加するようだ。
対戦はAとBのトーナメント方式で行われる。貼り出された紙に、初戦の対戦相手が書き出されている。
アラヤはAグループに入っていて、トーマスも同じAグループだ。お互い勝ち進めば準決勝戦で当たる。
腕相撲Aグループ一試合目、商工会のメンバーのドワーフ商人(力 324) 対 男爵Aの護衛A(力 198)。
「いざ勝負!始め‼︎」
ガキン‼︎
一瞬で決まった決着。護衛の男は拳が複雑骨折したようだ。しかし、顔中に大量の汗をかきながらも悲鳴を一切上げなかった。
Aグループ二試合目、アラヤ(力 325) 対 男爵Bの護衛A(力 206)。アラヤも、日々の鍛錬で筋力は上がっている。ジャミングで戦闘力は201になっているけどね。
台の前に立ち肘を置き、左手はグリップをしっかりと握る。腕相撲は決して腕力だけで勝敗が決まる競技では無い。もちろん腕力が最も必要だが、手首、腕、背中、肩、腰や足先と全身の筋力が必要である。つまり、身体強化の技能持ちは最初から有利になる。
『アラヤ、頑張って!』
対戦相手の護衛は、アラヤより戦闘力は僅かだが上なので(偽ステータス)、少しだけ勝った気でいるようだ。
「いざ勝負!始め‼︎」
開始の合図と共に、掴まれた掌にかかる腕力は、今のアラヤにはどうという事はない。だが、演技でギリギリ勝つのも相手に失礼だろう。徐々に力を強めていき、ゆっくりと相手の腕を引き倒す。
「勝者、アラヤ殿!」
先ずはアラヤ一回戦突破である。
続いて三回戦、ドワーフの貴族(力 329) 対 ドワーフの護衛(力321)。
「いざ勝負!始め‼︎」
「ぐぬぬぬぬ~っ‼︎‼︎」
これは良い勝負で、腕力では負けていた護衛が勝利した。彼は身体強化LV 1を持っていたのだ。
そして四回戦、トーマス(力 225) 対 支部ギルマスのドワーフ(力 362)。本部対支部のギルマス対決だ。
「いざ勝負!始め‼︎」
腕力の差は歴然としているが、開始と同時にお互いの腕は全く動かない。むしろ、ドワーフのギルマスが歯をくいしばっているのが分かる。トーマスめ、やっぱり偽ステータスなんじゃないか。
しかし、トーマスも余裕がある表情ではない。お互いの腕の服がビキビキと悲鳴を上げ始める。そこでトーマスがボソッと呟いた。
「バルクアップ・腕」
その直後に、彼の両腕は筋肥大を起こしてドワーフを追い込み始める。
アラヤの超聴覚は確かに聞いた。バルクアップ、あれは技能に違いない。
「勝者、トーマス殿!」
「くそぉぉぉっ!今回こそは勝てると思っとったのに!」
あの腕力に勝てるとは、トーマスの真の戦闘力は350を超えているのは確かな気がする。後は身体強化LVがアラヤと同じの3か2ぐらいだろう。加えて、あの一部の筋力肥大の技能。ヤバイな、ちょっと勝てる気がしない。
いや、待てよ?技能の使い方次第ではなくもないか?
アラヤの二回戦は、一試合目の勝者の商工会のドワーフ商人だ。彼の腕力とアラヤの筋力はほぼ同じだ。
「いざ勝負!始め‼︎」
うっ!流石に筋力が同じだと、押される力はかなり強い。しかし、身体強化はLV 1なのだろう。LV 3のアラヤの底力には敵わない。
ここで勝つのは大丈夫と考えたアラヤは、この状況で覚えたての竜鱗防壁を、両足限定で発動してみた。
途端に足が重くなり、少しバランスが崩れて、かなり追い込まれる形になってしまった。
直ぐに感覚補正が入り体勢を立て直した。この感覚補正はあらゆるバランスを整えることができる。竜鱗防御により筋力と体重が増えた今の状況を直ぐに対応してくれる。
「勝者、アラヤ殿!」
何とか逆転勝利を決め、トーマスと戦う算段がついた。だがここで、周りの反応にアラヤはようやく気付いた。
「おい、あの小僧、ドワーフに勝ちやがったぞ⁈」
「おい、ステータスに間違いは無いのか?」
「どうせ、ドワーフが手加減したんだろう」
「何だ、やらせかよ」
しまった、悪目立ちしている。勝負に夢中になり過ぎたな。癪だが次で負けた方が良さそうだ。
「おいおい、そんな些細な事で外野が邪魔するなよ。ステータス以外にも強さってのはあるんだぜ?それが分からないなら、黙って見てな!」
トーマスが外野達の話を断ち切る。トーマスは本気で外野を邪魔だなと思っていた。
お前達は、少年のあの顔を見てないから平気なんだ。確かな殺意と共に狂喜に満ちた表情を。あんな顔を見たら、忘れかけていた冒険者感情が湧き上がるに決まってるだろ?対戦する邪魔をするんじゃねーよ!
トーマスの二回戦相手のドワーフの護衛は、開始2秒でトーマスに敗れた。最早、トーマスの目にはアラヤしか映っていないようだ。
「Aグループ決勝戦、アラヤ殿 対 トーマス殿!」
「さて、君の本性を見させてもらうとしよう」
「流石は冒険者ギルドのマスターですね。相手を魔物みたいに見てる」
がっしりと握り合う掌は、始めから握力全開の状態である。
痛たたっ!こちらも強く握り返さなきゃ、始まる前に握り潰されてしまう。どうあっても本気で戦いたいらしい。
「いざ勝負!始め‼︎」
「ふん!」
開始と同時に、アラヤはいきなり劣勢に立たされる。ギリギリを耐えながら、下半身を竜鱗防御する。発動と同時に感覚補正により腰は安定し、徐々に巻き返す。
「んっ、まだまだっ…!」
今は服で見えないが、下半身はおそらく鱗状の物が見えているだろう。それ故に腕には竜鱗防御が発動できない。
「そんなものじゃないはずだ。全力で来い!バルクアップ・腕!」
例の技能を使って、再び追い込みをかけてくるトーマス。膨れ上がる彼の両腕の力は、腕の服が弾け飛ぶ程に想像以上だ。
アラヤは、腕の力に【一点突貫】の技能を乗せる。本来なら拳先に向かう力を、感覚補正で方向修正している。
「どうだぁぁぁっ‼︎」
トーマスの腕を追い込んで行く。しかし、後一歩のところで【一点突貫】の効果が切れた。力が抜けた一瞬の隙でアラヤは負けた。
「勝者、トーマス!」
「全力で来いって言ったろ⁈」
いや、全力でって言われても、これ以上手の内を晒すわけにもいかないし(全身竜鱗防御、妨害系の魔法等)、腕相撲としては全力でやったつもりだけど。
結果的に負けてしまった。Bグループの方は、ソーリン=バルグが勝ち上がったようだ。
決勝戦はトーマス 対 ソーリンに決まった。だが、その前にアラヤ 対 支部ギルマス(人間。戦闘力 289)との、3位決定戦をする羽目になる。まぁ、結果は言わずもがなアラヤの勝利である。優勝すると思っていた二人には悪いが、景品の最高級果物盛り合わせで満足してくれるはずだ。
「決勝戦、トーマス殿 対 ソーリン殿」
急にやる気が無くなったトーマスだが、子ドラゴンを倒したソーリンを甘く見る程馬鹿では無い。奥の手は使わなかったが、良い勝負をしてトーマスが優勝した。
「流石は、元Sランク冒険者だな」
「ギルドマスターの肩書きは伊達じゃないな」
「ソーリン殿も凄かったな。成人成り立てであの強さは将来有望だぞ」
どうやら、アラヤの悪目立ちは解消されたようだ。わざと負けた訳じゃ無いけど、結果的には良かったのかもしれないな。
「う~、逃げられた気分だ」
残念そうに俺を見る、トーマスの心境は知らないけどね。
部屋の中央に、鋼鉄製のアームレスリング台が二つ用意される。
3位以上の上位者には豪華景品がある。
優勝 幻の銘酒三点セット
準優勝 【大業物】ティーセット
3位 最高級果物盛り合わせ
参加賞 今、話題沸騰中の遊戯 【将棋】
ひょっとしてあのティーセット、メリダさんの作品じゃないか?しかも、参加賞が将棋って広める気満々だね。
参加人数は16人。本日主役のソーリン=バルグも参加するようだ。
対戦はAとBのトーナメント方式で行われる。貼り出された紙に、初戦の対戦相手が書き出されている。
アラヤはAグループに入っていて、トーマスも同じAグループだ。お互い勝ち進めば準決勝戦で当たる。
腕相撲Aグループ一試合目、商工会のメンバーのドワーフ商人(力 324) 対 男爵Aの護衛A(力 198)。
「いざ勝負!始め‼︎」
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一瞬で決まった決着。護衛の男は拳が複雑骨折したようだ。しかし、顔中に大量の汗をかきながらも悲鳴を一切上げなかった。
Aグループ二試合目、アラヤ(力 325) 対 男爵Bの護衛A(力 206)。アラヤも、日々の鍛錬で筋力は上がっている。ジャミングで戦闘力は201になっているけどね。
台の前に立ち肘を置き、左手はグリップをしっかりと握る。腕相撲は決して腕力だけで勝敗が決まる競技では無い。もちろん腕力が最も必要だが、手首、腕、背中、肩、腰や足先と全身の筋力が必要である。つまり、身体強化の技能持ちは最初から有利になる。
『アラヤ、頑張って!』
対戦相手の護衛は、アラヤより戦闘力は僅かだが上なので(偽ステータス)、少しだけ勝った気でいるようだ。
「いざ勝負!始め‼︎」
開始の合図と共に、掴まれた掌にかかる腕力は、今のアラヤにはどうという事はない。だが、演技でギリギリ勝つのも相手に失礼だろう。徐々に力を強めていき、ゆっくりと相手の腕を引き倒す。
「勝者、アラヤ殿!」
先ずはアラヤ一回戦突破である。
続いて三回戦、ドワーフの貴族(力 329) 対 ドワーフの護衛(力321)。
「いざ勝負!始め‼︎」
「ぐぬぬぬぬ~っ‼︎‼︎」
これは良い勝負で、腕力では負けていた護衛が勝利した。彼は身体強化LV 1を持っていたのだ。
そして四回戦、トーマス(力 225) 対 支部ギルマスのドワーフ(力 362)。本部対支部のギルマス対決だ。
「いざ勝負!始め‼︎」
腕力の差は歴然としているが、開始と同時にお互いの腕は全く動かない。むしろ、ドワーフのギルマスが歯をくいしばっているのが分かる。トーマスめ、やっぱり偽ステータスなんじゃないか。
しかし、トーマスも余裕がある表情ではない。お互いの腕の服がビキビキと悲鳴を上げ始める。そこでトーマスがボソッと呟いた。
「バルクアップ・腕」
その直後に、彼の両腕は筋肥大を起こしてドワーフを追い込み始める。
アラヤの超聴覚は確かに聞いた。バルクアップ、あれは技能に違いない。
「勝者、トーマス殿!」
「くそぉぉぉっ!今回こそは勝てると思っとったのに!」
あの腕力に勝てるとは、トーマスの真の戦闘力は350を超えているのは確かな気がする。後は身体強化LVがアラヤと同じの3か2ぐらいだろう。加えて、あの一部の筋力肥大の技能。ヤバイな、ちょっと勝てる気がしない。
いや、待てよ?技能の使い方次第ではなくもないか?
アラヤの二回戦は、一試合目の勝者の商工会のドワーフ商人だ。彼の腕力とアラヤの筋力はほぼ同じだ。
「いざ勝負!始め‼︎」
うっ!流石に筋力が同じだと、押される力はかなり強い。しかし、身体強化はLV 1なのだろう。LV 3のアラヤの底力には敵わない。
ここで勝つのは大丈夫と考えたアラヤは、この状況で覚えたての竜鱗防壁を、両足限定で発動してみた。
途端に足が重くなり、少しバランスが崩れて、かなり追い込まれる形になってしまった。
直ぐに感覚補正が入り体勢を立て直した。この感覚補正はあらゆるバランスを整えることができる。竜鱗防御により筋力と体重が増えた今の状況を直ぐに対応してくれる。
「勝者、アラヤ殿!」
何とか逆転勝利を決め、トーマスと戦う算段がついた。だがここで、周りの反応にアラヤはようやく気付いた。
「おい、あの小僧、ドワーフに勝ちやがったぞ⁈」
「おい、ステータスに間違いは無いのか?」
「どうせ、ドワーフが手加減したんだろう」
「何だ、やらせかよ」
しまった、悪目立ちしている。勝負に夢中になり過ぎたな。癪だが次で負けた方が良さそうだ。
「おいおい、そんな些細な事で外野が邪魔するなよ。ステータス以外にも強さってのはあるんだぜ?それが分からないなら、黙って見てな!」
トーマスが外野達の話を断ち切る。トーマスは本気で外野を邪魔だなと思っていた。
お前達は、少年のあの顔を見てないから平気なんだ。確かな殺意と共に狂喜に満ちた表情を。あんな顔を見たら、忘れかけていた冒険者感情が湧き上がるに決まってるだろ?対戦する邪魔をするんじゃねーよ!
トーマスの二回戦相手のドワーフの護衛は、開始2秒でトーマスに敗れた。最早、トーマスの目にはアラヤしか映っていないようだ。
「Aグループ決勝戦、アラヤ殿 対 トーマス殿!」
「さて、君の本性を見させてもらうとしよう」
「流石は冒険者ギルドのマスターですね。相手を魔物みたいに見てる」
がっしりと握り合う掌は、始めから握力全開の状態である。
痛たたっ!こちらも強く握り返さなきゃ、始まる前に握り潰されてしまう。どうあっても本気で戦いたいらしい。
「いざ勝負!始め‼︎」
「ふん!」
開始と同時に、アラヤはいきなり劣勢に立たされる。ギリギリを耐えながら、下半身を竜鱗防御する。発動と同時に感覚補正により腰は安定し、徐々に巻き返す。
「んっ、まだまだっ…!」
今は服で見えないが、下半身はおそらく鱗状の物が見えているだろう。それ故に腕には竜鱗防御が発動できない。
「そんなものじゃないはずだ。全力で来い!バルクアップ・腕!」
例の技能を使って、再び追い込みをかけてくるトーマス。膨れ上がる彼の両腕の力は、腕の服が弾け飛ぶ程に想像以上だ。
アラヤは、腕の力に【一点突貫】の技能を乗せる。本来なら拳先に向かう力を、感覚補正で方向修正している。
「どうだぁぁぁっ‼︎」
トーマスの腕を追い込んで行く。しかし、後一歩のところで【一点突貫】の効果が切れた。力が抜けた一瞬の隙でアラヤは負けた。
「勝者、トーマス!」
「全力で来いって言ったろ⁈」
いや、全力でって言われても、これ以上手の内を晒すわけにもいかないし(全身竜鱗防御、妨害系の魔法等)、腕相撲としては全力でやったつもりだけど。
結果的に負けてしまった。Bグループの方は、ソーリン=バルグが勝ち上がったようだ。
決勝戦はトーマス 対 ソーリンに決まった。だが、その前にアラヤ 対 支部ギルマス(人間。戦闘力 289)との、3位決定戦をする羽目になる。まぁ、結果は言わずもがなアラヤの勝利である。優勝すると思っていた二人には悪いが、景品の最高級果物盛り合わせで満足してくれるはずだ。
「決勝戦、トーマス殿 対 ソーリン殿」
急にやる気が無くなったトーマスだが、子ドラゴンを倒したソーリンを甘く見る程馬鹿では無い。奥の手は使わなかったが、良い勝負をしてトーマスが優勝した。
「流石は、元Sランク冒険者だな」
「ギルドマスターの肩書きは伊達じゃないな」
「ソーリン殿も凄かったな。成人成り立てであの強さは将来有望だぞ」
どうやら、アラヤの悪目立ちは解消されたようだ。わざと負けた訳じゃ無いけど、結果的には良かったのかもしれないな。
「う~、逃げられた気分だ」
残念そうに俺を見る、トーマスの心境は知らないけどね。
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