【R18】スキ美味⁉︎ 〜美味しくいただきました〜

テルボン

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第12章177話 禁じられた遊び

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 それは、風精霊達もうたた寝してしまう様な、風が穏やかな日だった。
 その日、私が住む巨大樹の家に、新たな命が産まれた。

『おめでとう、アルディス!今朝、産まれたよ!どっちだと思う?男の子?女の子?』

「…男の子よ。風精霊モース、ちょっと静かにしてて。今、集中しているんだから…」

 私は今、正方形に切り取った巨大樹の葉に、20ある魔法陣の写し書きをしている。というのも、先日、村長になる事を決められた私に与えられた初めての仕事だった。
 この20種の魔法陣を全て覚えなければ、実家に帰る事すら許されないのだ。

「…よろしい。次の課題は3日後に始めます」

 村長宅に、4日間缶詰状態だった私は、後妻ハハの出産に立ち合えなかった。
 近親婚で産まれた私と違い、今度産まれた子は遠縁のハハとの子だ。天才や障害を持つ子の可能性は極めて低い。つまりは、平凡な子に違いない。

『ちょっとアルディス、何で嬉しそうな顔をしないの?』

 契約精霊パートナーであるモースが、家路につく私の顔を、様々な角度から覗き込む。

「別に…。ただ、私の跡は継げないなぁって思っただけ」

『それは無理かもねー。昔から村長候補は、契約精霊が居るアルディスみたいな魔力量持ちだけだからね。でもさぁ、平凡から秀才になる可能性もあると思うよ?』

「…そうかもね。まぁ、私の初めての妹か弟になる事は嬉しいわ」

 顔の表情を和らげ、深呼吸してから玄関の扉を開ける。

「ただいま」

「おお、帰ったかアルディス。こっちだ、来てごらん?」

 奥の部屋から父の声が聞こえて、アルディスはゆっくりと部屋を覗き込んだ。

「おかえりなさい、アルディス」

 ベッドに横たわるハハの横に、軟布で包まれた赤子が見えた。

『フフフ、正解よアルディス!男の子よ!』

「‼︎⁉︎」

 アルディスは、何故か全身に痺れが走った。決して痛いわけでは無く、初めて味わった感覚。それは快感に近いものであった。

「名は…名は何と…?」

 恐る恐る近付き、赤子の頬に指で触れる。スベスベしていて、とても柔らかい。ふと目が合うと、鼓動が昂まり胸が熱くなった。

「イシルウェ(月光)、貴女の弟よ」

 アルディスが触れていた指を、赤子の手が触る。弱々しい力で、何かを探す様な動きだ。そして彼女の指の形を理解したのか、そっと包む様に掴んだ。

「ーーーッ‼︎」

 隣で感動する父よりも、彼女は大量の涙が目から溢れていた。

「絶ーー対っ、イシルウェを立派なエルフにして見せるわ!」

 弟の誕生から5年。アルディスは、ハハよりも徹底した教育を弟に与えた。村での生活はもちろんのこと、生息動物の生態・狩りの仕方・基礎薬学、あらゆる事を学ばせた。
 しかし、弟は彼女に比べて物覚えの才は平凡だった。特に、魔力量は平凡以下で、精霊との契約はできそうになかった。才のある友人を作るのも手だと思い、ファウンロドという弟と同年代の子と遊ばせたりもした。

「お姉ちゃん、ごめんなさい…」

 落ち込む弟を、アルディスは強く抱きしめる。その行為が、何故か彼女は堪らなく好きだった。
 これは母性本能?彼女はいつしか、弟には不向きと分かっている事もやらせる様になっていた。

「あ、あの、お姉ちゃん。俺、自分でするよ?」

 イシルウェが15歳を過ぎた頃、初めて自分を俺と自称した。これは少しショックだった。
 糸瓜のタワシを川水で浸すと、弟の背中を洗いだす。その手を掴んで自分ですると言ったのだ。

「どうして?昔から、姉弟で毎日している事よ?」

「そ…そうだけど、他の人達は自分の事は自分でしてるって…」

「…ファウンロドが言ったの?」

「違うけど…。ぼ、…俺も男だから…」

 恥ずかしそうに前を隠す弟は、顔を少し赤らめている。イシルウェにとって、アルディスは物心ついた時から姿が変わらず、美しいだ。小さい頃は、何の躊躇いも無くお互いの体を洗いっこしていたが、心がモヤモヤして、それが異常である事に思えてきたのだ。

「ダメよ。これは家族の大事な絆ですもの。だけど、貴方の体と心が成長している証でもあるわね」

 アルディスは、イシルウェの背中に抱きつくと、タワシをゆっくりと彼の腹部へと移動する。押し当てられた胸の弾力に、イシルウェは必死に耐えているのが分かる。
 そう、性への興味が芽生えたのね…。

「貴方の成長に合わせて、いろいろと教える事が増えるわね」

 弟が隠していた布をゆっくりと取り払うと、雄としての象徴がそこにあった。

「ーーッ⁉︎」

 細く冷たい指先が、急激な変化をもたらした自分の一部を、ゆっくりと包み込む。

「怯えないで?これは正常の反応なのよ?貴方が大人に近付いている証拠」

 その指をゆっくりと上下させ、先端の皮がメリメリと広げられる。

「ううっ、なんか変な感じだよっ⁉︎」

 狼狽る弟の反応を楽しむ様に、アルディスは舌を彼の胸へと這わした。ビクビクと体を仰け反らせる弟を寝かせると、その舌を下腹部へと移動させる。
 背徳感が彼女を更に昂らせ、これは決して母性本能では無いと、彼女自身もようやく気付いた。
 胸板に這わせる右手で彼が起き上がる事を封じ、左手は優しくをスライドさせる。舌先は時間をかけてそれへと向かう。

「お、お姉ちゃん⁉︎な、何か嫌だよ⁉︎こんな事、ほ、本当に皆んなもしているの⁉︎」

「フフフ、そうね。これは特別な絆がある者同士が行う行為よ。安心しなさい、私と貴方はだから…」

 それに行き着いた舌は、まるで洗うかの様に入念にそれを舐め回した。体験した事の無い快感に、イシルウェは頭が真っ白になる。これが許される事か、禁じられている事か、もはや考える余裕すら無かった。

「大丈夫。これからも私が、貴方を立派な男にしてあげるわ。だって貴方は、私の特別な男性おとうとだもの…」

 その日を境に、アルディスのイシルウェに対する固執した感情は執拗さを増し、彼の、彼に近付く女性達(ハハを含む)の繋がりを全て排除し、彼を長年の間、孤立させていくのだった。
 全ては自分だけを見てもらう為。
 自分との絆を強固なものにする為。
 私にとっての彼が半身であるように、彼にとっての私が半身である為に。

 軟禁されていた彼が村から逃げ出すその時まで、彼女の歪んだ愛情は注がれていた。 
 終始、彼女自身が彼を苦しめている事に、再び出会った今まで気付く事は無かったのだ。
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