47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!

のんたろう

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番外編

【外伝】ハサンの実

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皆ハサンの実って知ってる? 
見てて!今食べるから。  

「おい、こらテメエ。何ブツブツ言ってんだよー!あ!何か食いやがった。コラーッ!人と喋ってる時に何か食ってんじゃねーよ!ナメてんのか!」
 
目の前のイジメっ子坂東ばんどうは俺の顔面に蹴りを放ってきた。

ひでぇな。顔面蹴りかよ。

直撃したら大怪我必至、
鼻血ブーってなるようなもんだが……。

スローモーション。

録画再生のコマ送りのようなスローモーション。

遅っ。止まって見えるわ。
 
でも受けてやるか。

バキッ!

「痛っ!!痛え!!!」
声を上げたのは坂東だった。

ニキビ面が輪を増して赤みを増している。

「な、何だ?硬え!!」
坂東は素っ頓狂すっとんきょうな返しをしてビビッてる。

ヘヘっ。

「おい?次は俺のターンだな?」

ヒュンッ!


俺は奴の脇目掛けて軽く一撃を放つ!

ドゴッッ!

「オエェェェ!!」
胃液を吐いて悶える坂東。

「どうする?まだやる?」

ばんどうはヒィィイって情け無い顔をして泣いている。

「今後まだ来るなら殺すから」
俺は冷ややかな目を坂東に向けてその場を去った。

    ◆◆◆◆◆◆
ただいま!ママ!
俺はまだ震えていた。

俺の名は鏑木翔かぶらぎ しょう

今まで坂東に苛められてきた。
中学に入って他の小学校が集められ、
クラスを編成していた。

アイツは小学校でも問題児だったようだ。
ある日クラスメイトを苛めていたのを注意した結果、標的が俺になった。

蹴る殴るは当たり前。
靴箱は無くなったりした。
生地獄とはこの事だった。

そんなある日、苛め抜かれて帰宅の途に着こうとする俺に、不思議なオジサンが目の前に現れた。

「あ、君、君!」
呼ばれて【】振り向く。

オジサンは何かを差し出す。

それは小瓶に詰められた赤や黄色、ピンク、青の実。

オジサンは言った。
「困ったら食べなさい。これはハサンの実だよ。」

不審者だと思った。

後ろを振り向かずに逃げ去った。
気が付いたらオジサンは消えていた。

そして殴られた傷も癒えており、
その手には小瓶が握られていた。

    ◆◆◆◆◆◆
◎赤の実
赤の実は体力や腕力増量と分かる。
学校の体力測定なんか、本気を出したら世界記録になっちゃうよ。

こないだ、たまたま引ったくりを目撃したんだ。
俺は走ったさ。

走って、あっという間に引ったくりに追いついて投げ飛ばしたよ。

彼は「あァァァァァァ」って
情け無い悲鳴を出して

ゴキッて肩から落ちた。

110番してお手柄中学生として、
夕方のニュースに乗っちゃった。

◎青い実
青い実は知能向上の実みたい。
スラスラと嘘みたいに勉強が出来る。

こないだは、街でやってる脱出ゲームを美代ちゃんとやったんだけど、
直ぐにクリアしちゃった。

すっごーいって褒められたよ。

◎ピンクの実
ピンクの実は魅力や魅了の向上。
男も女も老若男女関係なく、
話しかけるだけで、魅惑するある意味恐ろしい実。

クラスのマドンナ、美代ちゃんが
俺なんかと付き合ってるのは、
これが原因。

◎黄色い実
黄色い実は根性や忍耐を上げる。
絶対諦めない不屈な心と、
どんな事にも屈しない忍耐力が付く。

こないだの坂東との闘いは、
黄色い実と、赤い実を食べたんだよ。


    ◆◆◆◆◆◆

ある日全ての実が無くなった。
もう誰も立ち向かっては来ないし、
イジメられもしない。

又帰り道を歩いていると、

あ!オジサン。

「無くなったかい?ハサンの実」

オジサンは見通していた。
そろそろ切れるというのも。

俺はオジサンに意を決して話した。

「オジサン!ハサンの実は、もう要らない。俺自分の力だけでやってみるよ。
ハサンの実に頼っていたら、いつまでも俺弱いままだと思う。弱い、未熟な部分も全て受け入れて、このままでやってみるよ。」

オジサンは笑いながら話した。

「良かった。それを待っていたんだ。
実はハサンの実は君の中に既にある。
実はハサンの実は本来君が持っている力なんだよ。だから、このまま頑張りな。
あ!魔法のオマジナイ教えてあげる
『トホカミエミタメ』だ。」

オジサン……。
ありがとう。

「オジサン!名前は?!」

オジサンは
「鏑木清方……」

キヨカタ……
ん?カブラギ?!

お父さんに聞いたら、
父方の曾祖父の名前が「キヨカタ」と言ったらしい。

ブブキって言われた剛の人だったんだって。

ありがとうブブキ曾祖父ひいじいちゃん!

あるがまま。トホカミエミタメ
そのままで良いっていいよね!

~おわり~
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