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第十三章 最終決戦
第100話 門番
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「御方!」
魔将軍ザンがこちらを見る。
分かっている。
言わないでくれ。
俺はザンに手で遮り、
大丈夫だと合図をし、それ以上の言動を控えるよう促す。
そう、魔将軍アスタロットが敗れたのだ。
小さい時から娘のように育てた秘蔵っ子だった。
二百年の間、よく従いてきてくれた。
「御方!間もなく聖騎士共が城に侵入してきますぞ!命令を!」
そうだ。泣いている暇はない。
「魔将軍ザンよ!次こそ聖騎士の息の根を止めよ!召喚士を始末すれば、聖騎士はアヤカシと化す。お前の力を存分に見せつけてやるのだ!」
魔将軍ザンヘ蟻の子一匹も通すな!
と檄を飛ばす。
「ははっ!命に換えてもこの魔将軍ザン。これ以上の進軍を止めてみせます!」
魔将軍ザンは振り向き様に俺に深々と下げる。
ザンも命を賭した闘いだと、どこかで感じているのだ。
魔将軍ザンが見えなくなった途端、
堰を切ったように咽び泣いた。
また娘を失った……。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
魔王城は切り立った岸壁にそびえ立つ居城。
天然の要塞と化している。
よって時折しか、この難攻不落の魔王城には近づく者は少なかった。
時折現れた冒険者も、
魔将軍と戦う前に門番と言われる
【フーガ】【ライガ】の二大アヤカシの前に為す術もないままに喰われるか、敗走を止む無くした。
それ程の強者だった。
フーガはケルベロスであり、
ライガはオルトロスである。
地獄の門番に相応しい巨体。
ハサン達も門番に辿り着くなり
二匹の超巨大なアヤカシが立ち塞がり、
二の足を踏んでいた。
「ハサン様。ここは我々にお任せください。」
そこにはウルフィーの王ガンウルフと、
レオナルド熊、そしてヒババンゴと化したシオリ、そして同じく獣人と化したシマジである。
「シオリ姐さんは、レオナルドとでケルベロスを。ガンウルフと俺はオルトロスを倒します!」
シマジが仕切る。
「コゾウガ。アシデマトイニ、ナルナヨ。サア、セニノルガヨイ」
ガンウルフが満更でもないようにニヤリと笑う。
オルトロスは雷撃で、ガンウルフとシマジを仕留めにかかる。
シマジは舞空術を駆使して、空を舞っている。
野郎、いつの間に……(笑)。
雷撃を避けたガンウルフとシマジはあっという間に空中で回転。
ガンウルフ得意技である
【天狼罰当牙牙】とシマジの光速のポックントン拳奥義『飛翔舶来』&『伝播水晶』がダブルでオルトロスに決まる!
こちらも負けじと音速のダブル攻撃。
オルトロスの頭蓋にめり込む程の手刀!
ソウルパワーが練り込まれた神拳に、
少しだけ目が飛び出るオルトロス。
その瞬間に、ガンウルフの音速の体当たりの牙が首筋を噛み切る!
ブッシュー!!
大量の血飛沫!
「キャウーン……」
こうなったら、もう只の犬である。
オルトロスは尻尾を巻いてどこぞへと走り去っていった。
よし!完勝!!
さて、シオリの方は??
一方対ケルベロス戦は、ややシオリ達が押されていた。
ケルベロスは業火の火炎を吐く。
避けるシオリだが、レオナルドは火に巻かれる。
「ギャー!!」
ヒババンゴからシオリの人間態に戻ると冷却魔法をレオナルドにかけると同時に、
ヒババンゴに再度戻り、
更にケルベロスの火炎を避けながら、横面に蹴りを見舞う!!
「ギャブッ」
凄い勢いでよろけるケルベロス。
流石元聖騎士!!
速い!
火炎から息を吹き返したレオナルドは剛腕パンチをケルベロスに見舞う。
ドッゴーン!!
岸壁近くの大岩に叩きつけられたケルベロスは泡を吹き倒れる。
「キャー!やったな!」
「ガオガオ……」
やったぜ!
そう思った矢先、後ろを向いていたレオナルドに最後の力を振り絞ったケルベロスが、高速の火球を放つ!
音速の火球は、そのままレオナルドの心臓を背中から貫いた。
「どけぇぇーい!!」
セシアは鬼の形相で突っ込む!
「大爆発屯田兵ゥゥゥ!!」
極大魔法だ!
ケルベロスの身体は木っ端微塵に吹き散る!
「ガオガオ……ガオ……」
レオナルドは、大好きなセシアを見ている。
セシアは昔飼っていた熊のアカカブトを思い出しているのだろう。
泣きながらレオナルドの手を握っている。
ゲハッ。血を吐いて眠るように息を引き取るレオナルド。
「うわぁーーん、レオー!」
夕暮れの魔王城。
別れが済んだのを見計らい、
俺は倶利伽羅剣を奏でる。
『トホカミエミタメ、トホカミエミタメ
レオナルドの魂を導き給え』
金色の粒子となり、レオナルド、そしてケルベロスは天に召されていく。
そう。ケルベロスも責務を果たしただけなのだ。
敵ながら天晴だった。
ありがとう。ありがとうレオ。
必ずスマターを倒す!
邪神を倒して見せる!
魔将軍ザンがこちらを見る。
分かっている。
言わないでくれ。
俺はザンに手で遮り、
大丈夫だと合図をし、それ以上の言動を控えるよう促す。
そう、魔将軍アスタロットが敗れたのだ。
小さい時から娘のように育てた秘蔵っ子だった。
二百年の間、よく従いてきてくれた。
「御方!間もなく聖騎士共が城に侵入してきますぞ!命令を!」
そうだ。泣いている暇はない。
「魔将軍ザンよ!次こそ聖騎士の息の根を止めよ!召喚士を始末すれば、聖騎士はアヤカシと化す。お前の力を存分に見せつけてやるのだ!」
魔将軍ザンヘ蟻の子一匹も通すな!
と檄を飛ばす。
「ははっ!命に換えてもこの魔将軍ザン。これ以上の進軍を止めてみせます!」
魔将軍ザンは振り向き様に俺に深々と下げる。
ザンも命を賭した闘いだと、どこかで感じているのだ。
魔将軍ザンが見えなくなった途端、
堰を切ったように咽び泣いた。
また娘を失った……。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
魔王城は切り立った岸壁にそびえ立つ居城。
天然の要塞と化している。
よって時折しか、この難攻不落の魔王城には近づく者は少なかった。
時折現れた冒険者も、
魔将軍と戦う前に門番と言われる
【フーガ】【ライガ】の二大アヤカシの前に為す術もないままに喰われるか、敗走を止む無くした。
それ程の強者だった。
フーガはケルベロスであり、
ライガはオルトロスである。
地獄の門番に相応しい巨体。
ハサン達も門番に辿り着くなり
二匹の超巨大なアヤカシが立ち塞がり、
二の足を踏んでいた。
「ハサン様。ここは我々にお任せください。」
そこにはウルフィーの王ガンウルフと、
レオナルド熊、そしてヒババンゴと化したシオリ、そして同じく獣人と化したシマジである。
「シオリ姐さんは、レオナルドとでケルベロスを。ガンウルフと俺はオルトロスを倒します!」
シマジが仕切る。
「コゾウガ。アシデマトイニ、ナルナヨ。サア、セニノルガヨイ」
ガンウルフが満更でもないようにニヤリと笑う。
オルトロスは雷撃で、ガンウルフとシマジを仕留めにかかる。
シマジは舞空術を駆使して、空を舞っている。
野郎、いつの間に……(笑)。
雷撃を避けたガンウルフとシマジはあっという間に空中で回転。
ガンウルフ得意技である
【天狼罰当牙牙】とシマジの光速のポックントン拳奥義『飛翔舶来』&『伝播水晶』がダブルでオルトロスに決まる!
こちらも負けじと音速のダブル攻撃。
オルトロスの頭蓋にめり込む程の手刀!
ソウルパワーが練り込まれた神拳に、
少しだけ目が飛び出るオルトロス。
その瞬間に、ガンウルフの音速の体当たりの牙が首筋を噛み切る!
ブッシュー!!
大量の血飛沫!
「キャウーン……」
こうなったら、もう只の犬である。
オルトロスは尻尾を巻いてどこぞへと走り去っていった。
よし!完勝!!
さて、シオリの方は??
一方対ケルベロス戦は、ややシオリ達が押されていた。
ケルベロスは業火の火炎を吐く。
避けるシオリだが、レオナルドは火に巻かれる。
「ギャー!!」
ヒババンゴからシオリの人間態に戻ると冷却魔法をレオナルドにかけると同時に、
ヒババンゴに再度戻り、
更にケルベロスの火炎を避けながら、横面に蹴りを見舞う!!
「ギャブッ」
凄い勢いでよろけるケルベロス。
流石元聖騎士!!
速い!
火炎から息を吹き返したレオナルドは剛腕パンチをケルベロスに見舞う。
ドッゴーン!!
岸壁近くの大岩に叩きつけられたケルベロスは泡を吹き倒れる。
「キャー!やったな!」
「ガオガオ……」
やったぜ!
そう思った矢先、後ろを向いていたレオナルドに最後の力を振り絞ったケルベロスが、高速の火球を放つ!
音速の火球は、そのままレオナルドの心臓を背中から貫いた。
「どけぇぇーい!!」
セシアは鬼の形相で突っ込む!
「大爆発屯田兵ゥゥゥ!!」
極大魔法だ!
ケルベロスの身体は木っ端微塵に吹き散る!
「ガオガオ……ガオ……」
レオナルドは、大好きなセシアを見ている。
セシアは昔飼っていた熊のアカカブトを思い出しているのだろう。
泣きながらレオナルドの手を握っている。
ゲハッ。血を吐いて眠るように息を引き取るレオナルド。
「うわぁーーん、レオー!」
夕暮れの魔王城。
別れが済んだのを見計らい、
俺は倶利伽羅剣を奏でる。
『トホカミエミタメ、トホカミエミタメ
レオナルドの魂を導き給え』
金色の粒子となり、レオナルド、そしてケルベロスは天に召されていく。
そう。ケルベロスも責務を果たしただけなのだ。
敵ながら天晴だった。
ありがとう。ありがとうレオ。
必ずスマターを倒す!
邪神を倒して見せる!
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