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【外伝】13歳の狼獣人族シマジは聖騎士の従者になりたい!

大広場決戦②

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ついに、大魔司教ガリウスとの
死闘の火蓋ひぶたは切って落とされた。

しかし、ハデルは焦っていた。
何故か。それは同じ聖騎士なのだが、
ハサンには奥の手がある。

『化身の術』である。
五大明王へと化身する力を
聖騎士ハサンは自ら会得したのである。

しかし、俺には化身の術は無い。

どうする?

どこまで通じるか?

「サマンサ、倍加の術だ。
メリーは召喚獣で援護しろ!」

サマンサは攻撃倍加の術をハデルにかけ、
召喚士メリーは、
ヌメヌメ、クーモン、
バーチを次々に召喚する。

ナメクジ型アヤカシのヌメヌメが、
溶液を出し、大魔司教ガリウスの
動きを止めにかかるが全く効かない。

クモ型のアヤカシ=クーモンの縛糸も、
瘴気により、焼き切れ効果が無い。

蜂型のアヤカシ=バーチの鋭い針も
大魔司教ガリウスには効かない。

ハデルは、霊剣破邪の剣に波動を込める。

『ハデルブレードォォ!!』

最大奥義が火を吹く。

『ハデルダイナミック!』

袈裟斬りに一刀両断!

「ふむぅ。聖騎士の力は、こんなものか。
では次はこちらの番だな。」
そこには涼しげに佇む大魔司教がいた。

大魔司教ガリウスはシマジを
一瞬に倒した奥義
魔瘴気轟龍波ましょうきごうりゅうは
の構えを取る。

一瞬、ハデルの従者である
魔法剣士サマンサを見つける大魔司教。

「こんなとこにいたのか。」
しはし呆然とサマンサを凝視している。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
聖騎士ハデルの闘いを
遠巻きに見つめるシマジ。

既に満身創痍まんしんそういで動ける状態に無い。

そして、明らかに聖騎士に分が悪い。
近くにいる祭司に、力を振り絞り話す。

「た、頼む。ヒールを俺にかけてくれ。
拳に一瞬の力を。」

女祭司は、シマジにヒールをかける。

よし、一瞬動ける。
ポックントン神拳秘奥義を出すしかない。

大魔司教は、今にも
魔瘴気轟龍波を出そうとしている。

ピカッーーー!
優しい光がシマジを包む。
ヒールの効果で少しだけ体力を回復する。

「一瞬、一瞬でいい。一撃を見舞う力を」
体中にヒールにより体力の回復を、
優しいオドを感じる。

いける!!

風のように駆けるシマジ。

だが、間に合わない。

『獣化!』

狼獣人に姿を変え、
隙を突いて、大魔司教のこめかみに、
神拳の波動を込める。

『ポックントン神拳秘奥義
伝播水晶でんぱすいしょう!!』

ポックントン神拳の秘奥義が炸裂。

ドゴゴゴゴッ!!!!

『グ、グォッ!!』
一瞬大魔司教の動きが止まる。

「ハデル様!今です」

倍加した破邪の剣が倍の大きさになる。
「大破邪の剣ハデルダイナミック!」

全ての力を開放し、
ハデルは回転しながら一文字に斬りかかる。

「ギャァァァーーーッ!」
断末魔を上げて大魔司教は雲散霧消した。

やった!

・・・・!!

『フフフ……』
雲散霧消した筈の魔瘴気は、
また大魔司教ガリウスの姿を構築する。

最大の力を持ってしても
ハデル達の攻撃も、
シマジの身を挺した攻撃も
無為に終わった。

「まじか?!」
「俺の渾身の一撃を!」

項垂うなだれて、
座り込みそうになるのを
気力のみで抑える二人。

!!!

大魔司教ガリウスが二人の戦士ではなく、
一人の女剣士に目を移す。

その時、サマンサは古代語からの
封印呪文を唱えた。

「!?矢張り伝承されていたか!」
大魔司教ガリウスの動きは止まる。

見る見るうちに大魔司教の
闇の魔瘴気が消えていく。

ハデルはサマンサを見る。
この亜人の娘には何かある。

そして、ハデルも印を唱える。
聖騎士のハデルが代々受け継いできた力、

貴皇帝きこうていの鎧』の解放である。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
来い!貴皇帝ぇぇぇい!」
白光に燦めく黄金の鎧。

神を具現化した貴皇帝の鎧により、
ハデルのソウルパワーは計測すら
烏滸おこがましい
信じられないパワーを得る。

「大魔司教ガリウスよ。
お前も愛に還れ!
破邪の剣で今度こそ天に送ってやる

いくぞ!貴皇帝奥義!
『貴皇帝大昇天インパクトォォ!!』」

超巨大な波動粒子がガリウスへ放出される。

「ガガ、グハッ!!!」

大昇天インパクトをまともに受けた大魔司教ガリウス。

血は出ない。
しかし、次第に金の粒子が
ガリウスの身体を崩していき、
その粒子は天に昇り消えていく……。

大魔司教ガリウスは最後は人の形に戻る。
「これで私もあの子らの元へ。
ありがとう……。」

安らかな笑みを浮かべて、
第二の邪神アドヴァンの欠片
大魔司教ガリウスは倒れた。

貴皇帝の鎧は消え、
聖騎士ハサンと、シマジは倒れる。

剣士サマンサ、召喚士メリーは
魔力の消費が大きすぎて動けない。

「か、勝った。」
メリーはヘタヘタとへたり込む。

次回へ続く
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