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第十二章 大波乱サシマ国
第93話 夜襲
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オークキングの館で、
ブブキは部下からの報告を仰いでいる。
「ブブキ様。聖騎士が動いたようです」
「何?聖騎士だと?」
アヤカシが村人に紛れているだけで、
アヤカシが村のリーダーというだけで、
聖騎士まで俺達を根絶やしにしようというのか!
篝火篝火に照らされる中、腹心の幽鬼ジョージ、村の長老パジャマ、兵長のガジャリ、そして婆さんと酒を酌み交わしながら談義する。
「ブブキ様。聖騎士が襲ってきたら我々に勝機はあるんですか?」
パジャマが問うてくる。
最もな質問であり愚問だ。
俺の最大攻撃と、幽鬼愚連隊と、
魔法部隊、剣撃隊の全勢力で攻撃しても聖騎士は倒せまい。
しかし、『聖騎士』のワードに少しだけ懐かしさを覚える。
何故だろう。
「村は大丈夫。そしてお前も生き残るよ。聖騎士に会え。そして話せ。」
婆さんはニヤリと笑いながら、
注げよさっさと!と椀を出してくる。
「婆さん、毎度あんたの言葉に救われる。さあ、皆飲もう」
本当に、この婆さんは何が見えてるのやら。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
数日経過して、ジンタンとフィットの
斥候隊がチギリの街に帰還した。
「ハサン様!報告です。」
「帰ったよ!ハサン様!」
聴くとブブキの村は
オークキングが支配してるのではなく、
オークキングがリーダーシップを取りながら、
【人間とアヤカシが共存する村】
だという事だった。
何という事。理想の村だ。
アヤカシは分担して、
力仕事はオーク系のアヤカシが。
夜の見回りは幽鬼系のアヤカシが。
雑務や村の運営も協力して、
行っているらしい。
当時はある果てた大地の村だったようだが、ブブキが統率してからは、開墾を重点に行い、村の警備の強化、特産品等の開発により潤っているようである。
「会ってみよう。ブブキに。
本当に討伐が必要かも。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
永らく滞在していたチギリの街を発つ。
ここから、ブブキの村まで約五里程である。
※一里=約4キロ
サシマ国周辺はアヤカシのレベルが高い。
デーモン系のアヤカシや、死霊系アヤカシ、
魔獣系アヤカシの強さが上がっている。
特に、魔獣系アヤカシの中でも
「キマイラ」と「グリフィン」はヤバイ。
【キマイラ】はドロゴンクエステトラみたいな
鳥型の魔物ではなく、
ライオンの頭と山羊の頭、蛇の尻尾を持つ強敵だ。
【グリフィン】は巨大な鳥。
しかし胴体は巨大なライオンの胴。
どちらも合成アヤカシだ。
こんな奴らがウロウロしてるなら、
魔王スマターの根城はどうやら近いんじゃないかと、
うっすら感じるのだ。
久し振りの野営。
今日はグリフィンの肉と、キマイラの肉。
昔メリーに聞かれたんだけど、
「ハサン様が倒すと浄化されますよね。
どうやって肉の部位を取れるんですか?」
ってね。
それは、倒した瞬間に「思う」んだ。
恵みをいただきたい。
お前達の死を無駄にしないからと。
そうして天に登る瞬間のアヤカシが、
了承をいただけたら肉が残るんだよと。
グリフィン肉を炙り、塩コショウで食べる。
旨い~!!!
鶏肉や!純粋の!
逆にキマイラの肉は部位が硬くて、
しかも臭みがあり、美味しくない。
ジンタンが手製のお酒で下処理してくれる。
暫く漬け込んでいるとお肉が柔らかくなるんだとか。
近くにある山菜や、キノコを取ってきて
お酒で漬け込んだキマイラの肉を味噌で煮込んでいく。
「はい!完全!ジンタン流キマイラ味噌煮込みで~す!」
いつの間に!味噌なんて異界マーラには無いのに俺が一度味噌の事を教えてあげたら、直ぐに実践して作れるようになるとは。
天才だな……。キラッ!
木のお椀でキマイラの味噌煮込みを頬張る。
ありゃ~!間違いない!
やっぱ皆で食べる野営は楽しいな!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
さあ、夜もすっかり暮れてきた。
今日はメイとジンタンが歩哨。
2時間で交代。
何を話したのだろうか?
二人は想い合ってるんだけど、
進展したのかな?
次は俺とセシア。
歩哨思い出すな。
自衛官の頃。
夜空に星が煌めいて、
あの頃は「何してんだろう」と、
問いかけてた気がする。
「ハサン。魔王スマターを倒したらどうするの?」
セシアが聞いてくる。
「魔王スマターを倒したら……邪神アドヴァンを倒す。」
「アドヴァンを倒したら?」
アドヴァンを倒したら……。
考えても無かったな。
「そうだなー。そうしたらマーラでのんびり暮らそうか」
「ハサン!敵!」
え?!敵?
その流れだと私も一緒にみたいな流れじゃないの?!
「敵襲!!各自陣形を取れ!」
暗闇からアヤカシが姿を現す。
ブブキは部下からの報告を仰いでいる。
「ブブキ様。聖騎士が動いたようです」
「何?聖騎士だと?」
アヤカシが村人に紛れているだけで、
アヤカシが村のリーダーというだけで、
聖騎士まで俺達を根絶やしにしようというのか!
篝火篝火に照らされる中、腹心の幽鬼ジョージ、村の長老パジャマ、兵長のガジャリ、そして婆さんと酒を酌み交わしながら談義する。
「ブブキ様。聖騎士が襲ってきたら我々に勝機はあるんですか?」
パジャマが問うてくる。
最もな質問であり愚問だ。
俺の最大攻撃と、幽鬼愚連隊と、
魔法部隊、剣撃隊の全勢力で攻撃しても聖騎士は倒せまい。
しかし、『聖騎士』のワードに少しだけ懐かしさを覚える。
何故だろう。
「村は大丈夫。そしてお前も生き残るよ。聖騎士に会え。そして話せ。」
婆さんはニヤリと笑いながら、
注げよさっさと!と椀を出してくる。
「婆さん、毎度あんたの言葉に救われる。さあ、皆飲もう」
本当に、この婆さんは何が見えてるのやら。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
数日経過して、ジンタンとフィットの
斥候隊がチギリの街に帰還した。
「ハサン様!報告です。」
「帰ったよ!ハサン様!」
聴くとブブキの村は
オークキングが支配してるのではなく、
オークキングがリーダーシップを取りながら、
【人間とアヤカシが共存する村】
だという事だった。
何という事。理想の村だ。
アヤカシは分担して、
力仕事はオーク系のアヤカシが。
夜の見回りは幽鬼系のアヤカシが。
雑務や村の運営も協力して、
行っているらしい。
当時はある果てた大地の村だったようだが、ブブキが統率してからは、開墾を重点に行い、村の警備の強化、特産品等の開発により潤っているようである。
「会ってみよう。ブブキに。
本当に討伐が必要かも。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
永らく滞在していたチギリの街を発つ。
ここから、ブブキの村まで約五里程である。
※一里=約4キロ
サシマ国周辺はアヤカシのレベルが高い。
デーモン系のアヤカシや、死霊系アヤカシ、
魔獣系アヤカシの強さが上がっている。
特に、魔獣系アヤカシの中でも
「キマイラ」と「グリフィン」はヤバイ。
【キマイラ】はドロゴンクエステトラみたいな
鳥型の魔物ではなく、
ライオンの頭と山羊の頭、蛇の尻尾を持つ強敵だ。
【グリフィン】は巨大な鳥。
しかし胴体は巨大なライオンの胴。
どちらも合成アヤカシだ。
こんな奴らがウロウロしてるなら、
魔王スマターの根城はどうやら近いんじゃないかと、
うっすら感じるのだ。
久し振りの野営。
今日はグリフィンの肉と、キマイラの肉。
昔メリーに聞かれたんだけど、
「ハサン様が倒すと浄化されますよね。
どうやって肉の部位を取れるんですか?」
ってね。
それは、倒した瞬間に「思う」んだ。
恵みをいただきたい。
お前達の死を無駄にしないからと。
そうして天に登る瞬間のアヤカシが、
了承をいただけたら肉が残るんだよと。
グリフィン肉を炙り、塩コショウで食べる。
旨い~!!!
鶏肉や!純粋の!
逆にキマイラの肉は部位が硬くて、
しかも臭みがあり、美味しくない。
ジンタンが手製のお酒で下処理してくれる。
暫く漬け込んでいるとお肉が柔らかくなるんだとか。
近くにある山菜や、キノコを取ってきて
お酒で漬け込んだキマイラの肉を味噌で煮込んでいく。
「はい!完全!ジンタン流キマイラ味噌煮込みで~す!」
いつの間に!味噌なんて異界マーラには無いのに俺が一度味噌の事を教えてあげたら、直ぐに実践して作れるようになるとは。
天才だな……。キラッ!
木のお椀でキマイラの味噌煮込みを頬張る。
ありゃ~!間違いない!
やっぱ皆で食べる野営は楽しいな!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
さあ、夜もすっかり暮れてきた。
今日はメイとジンタンが歩哨。
2時間で交代。
何を話したのだろうか?
二人は想い合ってるんだけど、
進展したのかな?
次は俺とセシア。
歩哨思い出すな。
自衛官の頃。
夜空に星が煌めいて、
あの頃は「何してんだろう」と、
問いかけてた気がする。
「ハサン。魔王スマターを倒したらどうするの?」
セシアが聞いてくる。
「魔王スマターを倒したら……邪神アドヴァンを倒す。」
「アドヴァンを倒したら?」
アドヴァンを倒したら……。
考えても無かったな。
「そうだなー。そうしたらマーラでのんびり暮らそうか」
「ハサン!敵!」
え?!敵?
その流れだと私も一緒にみたいな流れじゃないの?!
「敵襲!!各自陣形を取れ!」
暗闇からアヤカシが姿を現す。
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