103 / 119
第十二章 大波乱サシマ国
第89話 タブンの依頼
しおりを挟む
サシマ国。
アヤカシが跋扈していると言われる鎖国の国。
唯一サシマ国で開いている港町が
『チギリ』である。
チギリに着いたのは既に夜だった。
「今日はチギリに泊まろう。」
チギリにある黒凪で宿を取る。
いつも通り、ジンタンと俺。
セシアとメイとフィットの部屋割り。
先日の夢魔将の奇襲からか、
人の頃の思い出が過り眠りが浅くなっていた。
だめだ。少し夜の街を散歩しよう。
「ジンタン、すまん。ちょっと出てくる。」
一声かけて夜のチギリを一人歩く。
あー。一人って考えたら、無かったな。
今までセシアや、ジンタンやメイが側にいたから、こうして孤独を満喫しながら散歩するって新鮮だ。
サシマ国は温暖な地域で、しかも今は春。
春とはいえ、初夏を思わす蒸し暑さ。
潮風なので、ベタつくし、
少し歩くだけで夜なのに汗が滲む。
「サーモブロック!」
俺の身体だけ周囲の外気と遮断する。
おっ!涼しい!暑さを感じない。
裸で歩いている感覚!
こりゃあいいや。
船が停泊している側の少し路地に入ったところで、4、5人の男がこちらが一人なのを見つけてニヤつきながら近づいてくる。
あ、こりゃ典型的な輩だな。
「ちょっとおじさん。
俺達お金落としちゃってさ、
少し恵んでくれないかな?」
「大丈夫。素直に渡せば痛い目に合わないからさ」
テンプレートな脅し文句を振りかざす男達。
「いや、あのお引取頂けませんか?
後悔しますよ、きっと」
丁重に帰るように促す。
「オメーはバカか?!
さっさと金をだしゃあいいんだ……よ?!」
俺は取り敢えず、目の前にいた
髭のイルカの入れ墨男をぶん殴る。
ドゴッ!
鈍い音がして、入れ墨男の巨体が吹っ飛んでいく。
俺のレベルは既に50を超えている。
手加減はしたが、知らんよ。
「は、はぐぅぅ・・!」
ドッコーーーンンン!
バラバラ!……。カラカラン……。
イルカの入れ墨男は、沢山の樽に突っ込み、樽は全壊し、男は足を震わせながら伸びている。
「ストライク!!ナイスですね!
んでおい?何だって?
聞こえねえなー?」
こちらもニヤニヤしながら、
来いよ!と脅す。
「野郎!」
一人の髑髏の入れ墨の男が、ナイフで襲いかかる。
ナイフの軌道を読み、
腕を取りナイフを落とす。
そのまま肩の関節を外す!
ゴキッ!!
「ぎゃあああ!!!」
そのままポイっと投げる。
またもや、ヒューンと飛んでいき
壁に激突し、ズルッズルッと
落ちて倒れる髑髏の男。
「まだやるかい?」
ポキポキ指を鳴らしながら、
残りの二人に向かっていく。
「すんずれい致しましたぁ!」
輩たちは、ドスンドスンと逃げていった。
平和だね~。
少し道を歩くと酒場だ。
少し飲もうか。
「親父。ウイスキーだ。」
マーラの世界にもビールとウイスキーはあった。
いつもはビールなんだけど、
今日はウイスキーで。
「食い物あるかい?」
俺はマスターに聞く。
「今日は子羊のシチューだ。いいかい?」
マスターは無愛想に答える。
ああ、持ってきなと金を払う。
ビーフシチューのようだが、
デミグラスソースがしつこく無い。
よく煮込まれてる!
う、旨い!
おー。これが町の酒場クラスで出るのかよ。
「これ以外に何かある?」
俺はマスターに問う。
「後はこれくらいしか無いぞ」
マスターが出したのは……。
『マシカのサンド』だ。
マシカ肉を炙ってパンにレタスやトマト、
玉ねぎと一緒に挟んで出したシンプルなサンドだけど、これが旨い!
おー!親父!いい仕事すんな~!
「ちょっといいかな?
あんた聖騎士ハサンだろ?」
隣で飲んでいた冒険者風の男が、
話しかけてくる。
「実はアンタにお願いしたい依頼があるんだ」
冒険者風の男はタブン。
チギリの領主の娘ソマンに恋しているらしい。
ところが、チギリ領主サリン卿は、頑なにソマンとの恋愛を認めないのだとか。
同じ頃、チギリの街に程近い場所にアヤカシの長が出るようになり、
アヤカシを統率し付近の村を、襲い始めたのだと言う。
サシマ国王セバスチャン5世は兵を出したが討伐隊は尽く返り討ちにあった。
チギリの街も同じように兵を差し向け、時には国王軍と合流し、討伐隊を組んだが一向に最終的に結果は同じ。
返り討ちだった。
「頼む。一緒にアヤカシを倒して欲しい。」
どうやら、そのアヤカシを倒せば認めてもらえるらしい。
ソマンとの愛を……。
青いねぇ~。
「いいだろう!そのアヤカシの名は?」
溜めながらタブンは答える。
「種族はオークキングだ。名前はブブキという。」
アヤカシが跋扈していると言われる鎖国の国。
唯一サシマ国で開いている港町が
『チギリ』である。
チギリに着いたのは既に夜だった。
「今日はチギリに泊まろう。」
チギリにある黒凪で宿を取る。
いつも通り、ジンタンと俺。
セシアとメイとフィットの部屋割り。
先日の夢魔将の奇襲からか、
人の頃の思い出が過り眠りが浅くなっていた。
だめだ。少し夜の街を散歩しよう。
「ジンタン、すまん。ちょっと出てくる。」
一声かけて夜のチギリを一人歩く。
あー。一人って考えたら、無かったな。
今までセシアや、ジンタンやメイが側にいたから、こうして孤独を満喫しながら散歩するって新鮮だ。
サシマ国は温暖な地域で、しかも今は春。
春とはいえ、初夏を思わす蒸し暑さ。
潮風なので、ベタつくし、
少し歩くだけで夜なのに汗が滲む。
「サーモブロック!」
俺の身体だけ周囲の外気と遮断する。
おっ!涼しい!暑さを感じない。
裸で歩いている感覚!
こりゃあいいや。
船が停泊している側の少し路地に入ったところで、4、5人の男がこちらが一人なのを見つけてニヤつきながら近づいてくる。
あ、こりゃ典型的な輩だな。
「ちょっとおじさん。
俺達お金落としちゃってさ、
少し恵んでくれないかな?」
「大丈夫。素直に渡せば痛い目に合わないからさ」
テンプレートな脅し文句を振りかざす男達。
「いや、あのお引取頂けませんか?
後悔しますよ、きっと」
丁重に帰るように促す。
「オメーはバカか?!
さっさと金をだしゃあいいんだ……よ?!」
俺は取り敢えず、目の前にいた
髭のイルカの入れ墨男をぶん殴る。
ドゴッ!
鈍い音がして、入れ墨男の巨体が吹っ飛んでいく。
俺のレベルは既に50を超えている。
手加減はしたが、知らんよ。
「は、はぐぅぅ・・!」
ドッコーーーンンン!
バラバラ!……。カラカラン……。
イルカの入れ墨男は、沢山の樽に突っ込み、樽は全壊し、男は足を震わせながら伸びている。
「ストライク!!ナイスですね!
んでおい?何だって?
聞こえねえなー?」
こちらもニヤニヤしながら、
来いよ!と脅す。
「野郎!」
一人の髑髏の入れ墨の男が、ナイフで襲いかかる。
ナイフの軌道を読み、
腕を取りナイフを落とす。
そのまま肩の関節を外す!
ゴキッ!!
「ぎゃあああ!!!」
そのままポイっと投げる。
またもや、ヒューンと飛んでいき
壁に激突し、ズルッズルッと
落ちて倒れる髑髏の男。
「まだやるかい?」
ポキポキ指を鳴らしながら、
残りの二人に向かっていく。
「すんずれい致しましたぁ!」
輩たちは、ドスンドスンと逃げていった。
平和だね~。
少し道を歩くと酒場だ。
少し飲もうか。
「親父。ウイスキーだ。」
マーラの世界にもビールとウイスキーはあった。
いつもはビールなんだけど、
今日はウイスキーで。
「食い物あるかい?」
俺はマスターに聞く。
「今日は子羊のシチューだ。いいかい?」
マスターは無愛想に答える。
ああ、持ってきなと金を払う。
ビーフシチューのようだが、
デミグラスソースがしつこく無い。
よく煮込まれてる!
う、旨い!
おー。これが町の酒場クラスで出るのかよ。
「これ以外に何かある?」
俺はマスターに問う。
「後はこれくらいしか無いぞ」
マスターが出したのは……。
『マシカのサンド』だ。
マシカ肉を炙ってパンにレタスやトマト、
玉ねぎと一緒に挟んで出したシンプルなサンドだけど、これが旨い!
おー!親父!いい仕事すんな~!
「ちょっといいかな?
あんた聖騎士ハサンだろ?」
隣で飲んでいた冒険者風の男が、
話しかけてくる。
「実はアンタにお願いしたい依頼があるんだ」
冒険者風の男はタブン。
チギリの領主の娘ソマンに恋しているらしい。
ところが、チギリ領主サリン卿は、頑なにソマンとの恋愛を認めないのだとか。
同じ頃、チギリの街に程近い場所にアヤカシの長が出るようになり、
アヤカシを統率し付近の村を、襲い始めたのだと言う。
サシマ国王セバスチャン5世は兵を出したが討伐隊は尽く返り討ちにあった。
チギリの街も同じように兵を差し向け、時には国王軍と合流し、討伐隊を組んだが一向に最終的に結果は同じ。
返り討ちだった。
「頼む。一緒にアヤカシを倒して欲しい。」
どうやら、そのアヤカシを倒せば認めてもらえるらしい。
ソマンとの愛を……。
青いねぇ~。
「いいだろう!そのアヤカシの名は?」
溜めながらタブンは答える。
「種族はオークキングだ。名前はブブキという。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
僕とシロ
マネキネコ
ファンタジー
【完結済】僕とシロの異世界物語。
ボクはシロ。この世界の女神に誘われてフェンリルへと転生した犬のシロ。前回、ボクはやり遂げた。ご主人様を最後まで守り抜いたんだ。「ありがとう シロ。楽しかったよ。またどこかで……」ご主人様はそう言って旅立たっていかれた。その後はあっちこっちと旅して回ったけど、人と交われば恐れられたり うまく利用されたりと、もうコリゴリだった。そんなある日、聞こえてきたんだ、懐かしい感覚だった。ああ、ドキドキが止まらない。ワクワクしてどうにかなっちゃう。ホントにご主人様なの。『――シロおいで!』うん、待ってて今いくから……
……異世界で再び出会った僕とシロ。楽しい冒険の始まりである………
スキル【心気楼】を持つ一刀の双剣士は喪われた刃を求めて斬り進む!その時、喪われた幸福をも掴むのをまだ知らない
カズサノスケ
ファンタジー
『追放者の楽園』
追放された者が逆転するかの様に名を成し始めた頃、そう呼ばれる地があるとの噂が囁かれ始めた。流れ着いた追放者たちは誰からも必要とされる幸せな人生を送っているらしい、と。
そして、また1人。とあるパーティを追放され、噂にすがって村の門を叩く者がいた。その者、双剣士でありながら対を成す剣の1つを喪ってしまっていた……。いつ?なぜ?喪ったのか、その記憶すら喪われていた。しかし、その者は記憶の中にある物を実体化出来る特別な能力【心気楼】を有していた。その力で記憶の中から抜刀する、かりそめの双剣士『ティルス』は1人の少女との出会いをきっかけに喪われた双剣の一振りを取り戻す旅に出る。その刃を掴む時、その者は喪われた幸福をも掴み取る。
※この作品は他サイトにも掲載しております。
ハサンDeハサン〜聖騎士伝説序章〜
のんたろう
ファンタジー
ある日急に異世界マーラに召喚された男は
聖騎士ハサンと名乗り、
魔王スマターを、倒せと命じられる。
「47歳のおじさんが異世界に召喚されたとて、そんなに都合の良いことは起きないよ」=しなおじ
の外伝になる物語です。
器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜
白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。
光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。
目を開いてみればそこは異世界だった!
魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。
あれ?武器作りって楽しいんじゃない?
武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。
なろうでも掲載中です。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる