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第十二章 大波乱サシマ国
第89話 タブンの依頼
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サシマ国。
アヤカシが跋扈していると言われる鎖国の国。
唯一サシマ国で開いている港町が
『チギリ』である。
チギリに着いたのは既に夜だった。
「今日はチギリに泊まろう。」
チギリにある黒凪で宿を取る。
いつも通り、ジンタンと俺。
セシアとメイとフィットの部屋割り。
先日の夢魔将の奇襲からか、
人の頃の思い出が過り眠りが浅くなっていた。
だめだ。少し夜の街を散歩しよう。
「ジンタン、すまん。ちょっと出てくる。」
一声かけて夜のチギリを一人歩く。
あー。一人って考えたら、無かったな。
今までセシアや、ジンタンやメイが側にいたから、こうして孤独を満喫しながら散歩するって新鮮だ。
サシマ国は温暖な地域で、しかも今は春。
春とはいえ、初夏を思わす蒸し暑さ。
潮風なので、ベタつくし、
少し歩くだけで夜なのに汗が滲む。
「サーモブロック!」
俺の身体だけ周囲の外気と遮断する。
おっ!涼しい!暑さを感じない。
裸で歩いている感覚!
こりゃあいいや。
船が停泊している側の少し路地に入ったところで、4、5人の男がこちらが一人なのを見つけてニヤつきながら近づいてくる。
あ、こりゃ典型的な輩だな。
「ちょっとおじさん。
俺達お金落としちゃってさ、
少し恵んでくれないかな?」
「大丈夫。素直に渡せば痛い目に合わないからさ」
テンプレートな脅し文句を振りかざす男達。
「いや、あのお引取頂けませんか?
後悔しますよ、きっと」
丁重に帰るように促す。
「オメーはバカか?!
さっさと金をだしゃあいいんだ……よ?!」
俺は取り敢えず、目の前にいた
髭のイルカの入れ墨男をぶん殴る。
ドゴッ!
鈍い音がして、入れ墨男の巨体が吹っ飛んでいく。
俺のレベルは既に50を超えている。
手加減はしたが、知らんよ。
「は、はぐぅぅ・・!」
ドッコーーーンンン!
バラバラ!……。カラカラン……。
イルカの入れ墨男は、沢山の樽に突っ込み、樽は全壊し、男は足を震わせながら伸びている。
「ストライク!!ナイスですね!
んでおい?何だって?
聞こえねえなー?」
こちらもニヤニヤしながら、
来いよ!と脅す。
「野郎!」
一人の髑髏の入れ墨の男が、ナイフで襲いかかる。
ナイフの軌道を読み、
腕を取りナイフを落とす。
そのまま肩の関節を外す!
ゴキッ!!
「ぎゃあああ!!!」
そのままポイっと投げる。
またもや、ヒューンと飛んでいき
壁に激突し、ズルッズルッと
落ちて倒れる髑髏の男。
「まだやるかい?」
ポキポキ指を鳴らしながら、
残りの二人に向かっていく。
「すんずれい致しましたぁ!」
輩たちは、ドスンドスンと逃げていった。
平和だね~。
少し道を歩くと酒場だ。
少し飲もうか。
「親父。ウイスキーだ。」
マーラの世界にもビールとウイスキーはあった。
いつもはビールなんだけど、
今日はウイスキーで。
「食い物あるかい?」
俺はマスターに聞く。
「今日は子羊のシチューだ。いいかい?」
マスターは無愛想に答える。
ああ、持ってきなと金を払う。
ビーフシチューのようだが、
デミグラスソースがしつこく無い。
よく煮込まれてる!
う、旨い!
おー。これが町の酒場クラスで出るのかよ。
「これ以外に何かある?」
俺はマスターに問う。
「後はこれくらいしか無いぞ」
マスターが出したのは……。
『マシカのサンド』だ。
マシカ肉を炙ってパンにレタスやトマト、
玉ねぎと一緒に挟んで出したシンプルなサンドだけど、これが旨い!
おー!親父!いい仕事すんな~!
「ちょっといいかな?
あんた聖騎士ハサンだろ?」
隣で飲んでいた冒険者風の男が、
話しかけてくる。
「実はアンタにお願いしたい依頼があるんだ」
冒険者風の男はタブン。
チギリの領主の娘ソマンに恋しているらしい。
ところが、チギリ領主サリン卿は、頑なにソマンとの恋愛を認めないのだとか。
同じ頃、チギリの街に程近い場所にアヤカシの長が出るようになり、
アヤカシを統率し付近の村を、襲い始めたのだと言う。
サシマ国王セバスチャン5世は兵を出したが討伐隊は尽く返り討ちにあった。
チギリの街も同じように兵を差し向け、時には国王軍と合流し、討伐隊を組んだが一向に最終的に結果は同じ。
返り討ちだった。
「頼む。一緒にアヤカシを倒して欲しい。」
どうやら、そのアヤカシを倒せば認めてもらえるらしい。
ソマンとの愛を……。
青いねぇ~。
「いいだろう!そのアヤカシの名は?」
溜めながらタブンは答える。
「種族はオークキングだ。名前はブブキという。」
アヤカシが跋扈していると言われる鎖国の国。
唯一サシマ国で開いている港町が
『チギリ』である。
チギリに着いたのは既に夜だった。
「今日はチギリに泊まろう。」
チギリにある黒凪で宿を取る。
いつも通り、ジンタンと俺。
セシアとメイとフィットの部屋割り。
先日の夢魔将の奇襲からか、
人の頃の思い出が過り眠りが浅くなっていた。
だめだ。少し夜の街を散歩しよう。
「ジンタン、すまん。ちょっと出てくる。」
一声かけて夜のチギリを一人歩く。
あー。一人って考えたら、無かったな。
今までセシアや、ジンタンやメイが側にいたから、こうして孤独を満喫しながら散歩するって新鮮だ。
サシマ国は温暖な地域で、しかも今は春。
春とはいえ、初夏を思わす蒸し暑さ。
潮風なので、ベタつくし、
少し歩くだけで夜なのに汗が滲む。
「サーモブロック!」
俺の身体だけ周囲の外気と遮断する。
おっ!涼しい!暑さを感じない。
裸で歩いている感覚!
こりゃあいいや。
船が停泊している側の少し路地に入ったところで、4、5人の男がこちらが一人なのを見つけてニヤつきながら近づいてくる。
あ、こりゃ典型的な輩だな。
「ちょっとおじさん。
俺達お金落としちゃってさ、
少し恵んでくれないかな?」
「大丈夫。素直に渡せば痛い目に合わないからさ」
テンプレートな脅し文句を振りかざす男達。
「いや、あのお引取頂けませんか?
後悔しますよ、きっと」
丁重に帰るように促す。
「オメーはバカか?!
さっさと金をだしゃあいいんだ……よ?!」
俺は取り敢えず、目の前にいた
髭のイルカの入れ墨男をぶん殴る。
ドゴッ!
鈍い音がして、入れ墨男の巨体が吹っ飛んでいく。
俺のレベルは既に50を超えている。
手加減はしたが、知らんよ。
「は、はぐぅぅ・・!」
ドッコーーーンンン!
バラバラ!……。カラカラン……。
イルカの入れ墨男は、沢山の樽に突っ込み、樽は全壊し、男は足を震わせながら伸びている。
「ストライク!!ナイスですね!
んでおい?何だって?
聞こえねえなー?」
こちらもニヤニヤしながら、
来いよ!と脅す。
「野郎!」
一人の髑髏の入れ墨の男が、ナイフで襲いかかる。
ナイフの軌道を読み、
腕を取りナイフを落とす。
そのまま肩の関節を外す!
ゴキッ!!
「ぎゃあああ!!!」
そのままポイっと投げる。
またもや、ヒューンと飛んでいき
壁に激突し、ズルッズルッと
落ちて倒れる髑髏の男。
「まだやるかい?」
ポキポキ指を鳴らしながら、
残りの二人に向かっていく。
「すんずれい致しましたぁ!」
輩たちは、ドスンドスンと逃げていった。
平和だね~。
少し道を歩くと酒場だ。
少し飲もうか。
「親父。ウイスキーだ。」
マーラの世界にもビールとウイスキーはあった。
いつもはビールなんだけど、
今日はウイスキーで。
「食い物あるかい?」
俺はマスターに聞く。
「今日は子羊のシチューだ。いいかい?」
マスターは無愛想に答える。
ああ、持ってきなと金を払う。
ビーフシチューのようだが、
デミグラスソースがしつこく無い。
よく煮込まれてる!
う、旨い!
おー。これが町の酒場クラスで出るのかよ。
「これ以外に何かある?」
俺はマスターに問う。
「後はこれくらいしか無いぞ」
マスターが出したのは……。
『マシカのサンド』だ。
マシカ肉を炙ってパンにレタスやトマト、
玉ねぎと一緒に挟んで出したシンプルなサンドだけど、これが旨い!
おー!親父!いい仕事すんな~!
「ちょっといいかな?
あんた聖騎士ハサンだろ?」
隣で飲んでいた冒険者風の男が、
話しかけてくる。
「実はアンタにお願いしたい依頼があるんだ」
冒険者風の男はタブン。
チギリの領主の娘ソマンに恋しているらしい。
ところが、チギリ領主サリン卿は、頑なにソマンとの恋愛を認めないのだとか。
同じ頃、チギリの街に程近い場所にアヤカシの長が出るようになり、
アヤカシを統率し付近の村を、襲い始めたのだと言う。
サシマ国王セバスチャン5世は兵を出したが討伐隊は尽く返り討ちにあった。
チギリの街も同じように兵を差し向け、時には国王軍と合流し、討伐隊を組んだが一向に最終的に結果は同じ。
返り討ちだった。
「頼む。一緒にアヤカシを倒して欲しい。」
どうやら、そのアヤカシを倒せば認めてもらえるらしい。
ソマンとの愛を……。
青いねぇ~。
「いいだろう!そのアヤカシの名は?」
溜めながらタブンは答える。
「種族はオークキングだ。名前はブブキという。」
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