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第十二章 大波乱サシマ国

第85話 ステルトの夜は最高さ!

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「サシマ国に渡るならば我が街自慢のラティーナ船(※キャラベル船)をご用意致しましょう。

明後日には出港できるでしょう。
それまで、ゆっくりステルトの街を楽しんでください。」
ビクトリー公は我々に船の手配だけではなく、宿の手配やコロッセオの優勝賞金まで渡してくれたのだった。

「流石にここまでして貰うのは気が引けます。
必ずこの御恩はお返しします」
と一応お礼を述べたところ、

「いやいや聖騎士が訪れ邪神を倒した伝説のコロッセオと後世まで語り継がれるでしょう。あまつさえ従者に我が娘を同席されるとのことで、寧《むし》ろ足りないくらいだと感じてます」
だってさ。

流石。抜け目ない。
こういう狡猾さ、計算高さは必要だよな、
と思いつつ領主の配慮に感謝する。

さあ!今日は取り敢えずゆっくりしよう!
酒場で乾杯だ!

☆★☆★☆★☆★☆★★☆

街で一番美味しいと呼ばれる
モンテオーカンの酒場で今日は一杯!

銀のタンカード(※ビアジョッキ)で並々注がれるビール。

「お!あんたら見ない顔だね。
豆とスズキの香草焼きが、当店の自慢さ!食べていきな!」
肝っ玉母さんみたいな女将さんが、
オススメ郷土料理を推してくる。

スズキ?!
この世界にもあるの?
おー!美味そう!

酒場の奥がザワつく。
「アイツラ聖騎士じゃねーの?」
「あ!コロッセオにいたぞ!」
「聖騎士の一行だ!」

あちゃー。気付かれたか。
こうなったら!

「皆の衆!知っての通りこの街は
コロッセオで邪神の一派に我々は襲われた。
そして尊い犠牲も出た。
しかし我々は邪神の悪しき力を跳ね除けた!
それは我々だけの力ではない!

皆の思いが我々に力をくれたのだ!
今日は弔いだ!だから皆に酒を振る舞おう!
どんどん呑んでくれ!
ステルトに乾杯!マーラに乾杯!」

ウォォォォォ!!!

「よ!聖騎士様!」
「一生付いてくぜ!」
「最高だぁ!!」

酒場に一瞬で熱気に変わる。

肝っ玉母さん=ドレイヌも
「あんた!聖騎士様かい?!
こりゃこの店も運が回ってきたねぇ!」

ドレイヌに領主から金はたんまり貰ってるから

「ジャンジャン持って来て!」
と目配せしながら俺は答えちゃう。

なんか疲れてるのかな?
酔が早いや。

結婚式思い出すなー。

「親戚中に恥かかせやがって」
と実父に怒られ、

「いい加減にしろよ!お祖母ちゃんお冠だぞ」
と従兄弟から言われて、

「終いには殴る!」
と叔父からも言われた結婚式。

ぐるぐる。
ぐるぐる。

世界は、回る。

そうそう、俺はお酒が弱かったんだよね
~♫

ワッハッハー!
ワッハッハー!

気持ち悪ッ!
オエー。

「聖騎士様!どんだけ強いのか、お手合わせ下さいよ!」
屈強な男が絡んでくる。

いいね!よし!やろう!
とことんやろう!

「酔ってるから手加減出来ないよ。よい?
じゃあ、いくぜ!」
手にソウルパワーを込めて、
屈強なスキンヘッドの男を思いっきりぶん殴る!

ドッゴーー!!

スキンヘッドの男は顔を歪めながら
酒場の壁をぶっ壊し、広場の噴水まで飛んでいく。
「あァァァーー!」

ジャボーーンッ!

八ツ墓村のアレみたいに
逆立ちで水に浸るスキンヘッド。

アッハッハ!
最高だな!


ステルトの街の夜は楽しく
過ぎてくのだった。
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