47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!

のんたろう

文字の大きさ
上 下
89 / 119
第十一章 六道輪廻編

第75話 農夫タロサの箴言

しおりを挟む
以前俺ハデルが、カントン国を旅している時に『とある農夫』に出会った。

ヤビツという山間やまあいの村。

農夫は農夫だった。
小麦を栽培し、時に猟師として
肉や薬に加工して生きていた。

彼の家に泊めて貰ったことがある。

「納屋でいいなら寝ていけ。さしずめ家のニワトリからは苦情は出てない」だってさ。

その農夫の名前はタロサと言った。

タロサは夜話があると、
小高い見晴らしの良い丘に案内してくれた。

そこで焚火をしながら、
俺達にマシカの肉やドテチンの肉が
に入ったカントン国の郷土料理鍋を振る舞ってくれた。

「あんた聖騎士だろ?ハサンかい?」
タロサは俺に聞いた。

いや違う。俺はハデルだ。
そうタロサに言ったところ

「あー。2番手な。
苦労するよな2番手は。」
そうタロサは呟いた。

タロサがそう言うには理由があった。

彼には歳の離れた兄がいた。
非の打ち所の無い性格も優しい
尊敬する兄が。

ところが、38年前兄はアヤカシに襲われた。
兄は小さい俺を逃した。

そしてアヤカシに殺された。

アヤカシに殺された者はアヤカシとなる。

兄はその日から、兄では無くなった。

似ても似つかぬ兄の姿
幽鬼ピシューチャとして食人鬼に
成り下がってしまった兄。

討伐隊も組まれたが、
ことごとく撃ち倒してしまった。

奇しくも幽鬼ピシューチャと化した兄を天へ送ったのは前聖騎士ハサンことシオリだったのだ。

シオリが三鈷剣で天へ送る際に、
僅かに優しかった兄に戻りにこやかに、
笑いながら浄化して行った。

タロサは言う。
「俺は、この日を境に分をわきま
天命に従い生きると決めた。
だから、農民として生きるのも猟師として命を糧として生きるのも天命。
いいか、ハデル。『今』を生きろ。
そして希望から絶望に変わった後、
全て受け入れたらお前は強くなる。」

鍋を回しながらタロサは話した。
そして、「今は食え」とお椀を出してくれた。

じゃが芋と、里芋と、マシカとドテチンの肉がゴロゴロ入った田舎の鍋だ。

タロサは受け入れている。
そしてこの世界には、こんな悲しい思いをした人が大勢いる。

長い旅路の一瞬の篝火かがりび

焚き火の側で、こぼした農夫の一言に救われた。

「いやー。流石にダメかなって思ったよ~」
ハサンの野郎はヘラヘラしてやがる……。

フッ。あの人らしい。

ジンタンも気付いたようだ。
良かった。どうやら正気だ。

さて、俺は行くか。
病魔の村の瘴気は全て浄化した。

転移してきたから、皆(パーティのメンバー)が心配している。

「ハサン、後はお前達でやるんだな」
俺は再度転移の術で皆の元へ戻る。

遠くで「ハデルありがとう!」
と、ハサンの声が聞こえた気がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。 いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。 テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。 そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。 『強制フラグを、立てますか?』 その言葉自体を知らないわけじゃない。 だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ? 聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。 混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。 しかも、ちょっとだけ違うセリフで。 『強制フラグを立てますよ? いいですね?』 その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。 「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」 今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。 結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。 『強制フラグを立てました』 その声と、ほぼ同時に。 高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、 女子高生と禁断の恋愛? しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。 いやいや。俺、そんなセリフ言わないし! 甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって! 俺のイメージが崩れる一方なんだけど! ……でも、この娘、いい子なんだよな。 っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか? 「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」 このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい? 誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

(仮)鏑木雄一の異世界マーラ放浪記〜新説ハサンの実〜

のんたろう
ファンタジー
ある日家族旅行に横浜に来ていた 鏑木雄一は怪異と出会う。 それは壮大な物語の始まりだった。 ハサン伝説の正統続編!

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

処理中です...